雑多に書いていたものの、整理の目途が着いたので頑張って更新します。
書いてた当時のしょうもないネタを、分かりやすいものへ上書きする作業が一番時間が掛かるっていう。
覚醒者討伐も日々の任務に加えられてしばらくが経った。あれから原作に登場していた戦士達と組むことはなく、ナンバーも据え置きである。既に11回ほど覚醒者討伐に参加させられている。何気に20番台にしては討伐経験が多いような気もする。原作の時系列が現在どこなのか気になるところだ。ぶっちゃけ言葉の壁があり、ある程度分かるとはいえ質問もしづらい。あと、同僚にも避けられてる気がするんですけど……。
「次の任務だ、オリヴィア。ここから北へ少し向かったところにある廃墟に覚醒者が確認された。今回はNo.9と構成される部隊で参加してもらう」
「ん、了解」
溜息おじさんの黒服が任務を持ってきた。No.9とか初めて討伐した覚醒者と同じ番号じゃん。なんか因果を感じるわ。
「複数の妖魔も確認されている。精々気を付けることだ」
廃墟近くの町で待機することになった。
街に着いて真っ先に食事処を探す。最近急いで拠点になる街に向かって爆食いすることを覚えた。というのも任務中ほとんど飯を食わないやつが多いため、食いだめしておかないと辛いからだ。今回は早朝に着いたため、旨いと噂の宿の食堂で食事をとることにした。普段は前日に着くように行きフカフカのベッドで寝るのだが、今回は移動中に野生(?)の妖魔に絡まれ遅れてしまった。
「これをこのお金で買えるだけ」
「あぁ、へぇ。あのほんとに食べれるんで?」
割と貯まってしまいがちな、棒状のお金をジャラジャラと出す。いいからはよ持ってこいや。肉のランチプレート感ある料理を頼んだが、食べきれるのか宿の親父に疑われてしまった。金額的に10人前ほどであったせいだろうか。
「……早くして」
「へ、へい!」
有無を言わさない威圧感というのも出せるようになったらしい。具体的には殺気だが。おまえを、殺す(デデン!)
飯を詰め込んでいると、珍しく人間の旅人が宿をとったようだった。何でも生き別れの弟を探しているらしい。このご時世、生き別れて会える確率なんてかなり低いのだが、よほどのロマンティストなのだろう。ようやく食べ終わり、集合場所へ移動する。
仲間の気配を探ると空家だろうか、町外れの建家に集合しているようだった。妖気感知も立ち止まって時間をかければ、ちょっとは分かるようになっていた。
「遅い到着だな」
ボロ小屋の戸を開けると既に仲間達が揃っているようだった。オールバックのくっそ鋭い目でこちらを睨んできているのが件のNo.9らしい。人数は私を入れて5人ほど、今回の覚醒者もそこまで数字の高い相手ではないらしい。ごめんね、飯食ってたわ。と、曇りなき
「隊長。こいつ〈痴呆〉のです」
「こいつが……。専属の黒服はどこだ」
「最近は付かないことが多いようだぞ」
黒服ため息おじさんは、前々前回くらいで勝手にしろと言っていたから来ないぞ。これまでチームを組んで、同僚とのいざこざや脱落者がでなかった為か、黒服が来ることはなくなった。日常会話くらいならそこそこ喋れるようになったからだろうか。ってか、同僚まで〈痴呆〉って呼んでくるのやばくない? 喧嘩売ってる?
30番台が2名、20番台が1名、No.9、そして私。構成的に微妙である。No.9てジーンじゃない? 原作のキーパーソンだ。
ちなみに原作登場者にあったからと言って、前のようにテンション爆上げで引っ付き回るようなことはしない。普通に嫌われるからだ(1敗)。
「ふん。精々邪魔しないことだ」
「ん、了解」
「また、よろしくね」
ジーンは割りと冷たかった。つらい。32番の人が髪を耳に掛けつつ私へ言った。そういえばこの32番の人、妙に優しいと思ったらこの間の討伐で一緒だったわ。よろしくな。最近の討伐でおつよろオンラインだったから嬉しい。そもそも、あんまり言葉のキャッチボール自体しないけど。でもドッジボールは得意よ。
場所は拠点を離れ、町中を通って廃墟に向かっている途中である。今回の目的地は、ゴナル山という山の中腹にあるらしい。かつて栄えた街があったそうだが、組織への支払いをごねて妖魔の大群に襲われ消滅したそうだ。諸行無常。いや、くそみてーなマッチポンプだった。
「攻撃型が2人。防御型が2人か。おい、〈痴呆〉の。おまえ、どっちだ?」
考え事をしているとジーンが問いかけてきた。攻撃型とか防御型ってそういやあったなくらいの感覚である。ぶっちゃけ強いやつは強いし、弱いやつは弱い。
「……しらない」
「なに?」
「わからない」
立ち止まったジーンは唖然とした顔でこちらをみていた。戦士は攻撃型防御型に分かれるが、防御型であれば傷の治りが速く四肢欠損しても再生できる等、それぞれの特性がある。しかしそもそも敵の攻撃で、傷を治さないといけないようなものなんて食らったことがない。もっと言えば、妖力解放が目ん玉光るくらいしかできないので、覚醒者クラスの敵からもらう攻撃はもれなく致命傷である。
凍った空気を、きれいな長髪の32番さんがフォローしてくれた。名前はカティアだった。
「26番ちゃんは、攻撃をまともにくらったことがないの」
『その言い方は語弊があるのでは?』
「チビっ子だ。どーせ、みんなの後ろに隠れていたんだろう?」
ラケルと呼ばれた20番台前半の短髪戦士がからかうように言った。てめぇ、数字が私よりちょっと上だからって調子乗るなよ……! 一生フカフカのベッドで寝れない呪いをかけてやろうか。
「まぁいい。時間さえ稼いでくれれば敵への止めは必ず刺す。それだけ覚えていてくれ」
『旋空剣ですね。わかります』
「さっきから、何言ってんだこいつ?」
旋空剣って恐らく強いんだろうけど、溜めに時間が掛かるのがネックよね。腕を掴んでねじり込むようにツイスト決めたら溜まらないだろうか。腕大車輪とか。
歩くのを再開し始めたとき、ジーン隊長が突然振り向いて宿を睨んだ。私が飯食ったところだ。どうした? お腹すいたのか?
「どうしたんだ隊長?」
「誰かにみられているような……いや、気のせいのようだ」
このシーン何処かで見たような……。あーなんだっけ。こっち見てるのクレアじゃね? ……これ、リフル出てくるやつじゃ……? あれ、詰んだ?
その時、滝のような汗が出てきた。リフルはだめだ。例えるなら、ラスボス一歩前くらいにいるクラスのボスキャラだ。足元が崩れた気がして、生き残りたい願望が潰えそうになった。逃げるか……? でも、すぐにラファエラあたりに追いつかれて粛清されそう。
「おい、26番急にどうしたんだ。
「!『それがあった! ラケルありがとう!』」
「なんだって? あ、おい!」
急に頭を上げた私は宿に突撃した。
「さっきの大食いの嬢ちゃんじゃないか」
「みず! みず!」
驚く店主に食い気味で言った。思い出したのは妖気を消す薬の特性だ。半分に割って飲めば、気を失ったとき妖気が漏れるのを防ぎ、死んだ振りが可能になるのだ。ちょっと前の任務でもらったやつが3つ余ってたはずだ。ちなみにくそ不味すぎて口にした瞬間リバース確定するので、水で流し込む所存である。もっともまともに攻撃を食らったことのない私が、ダフの攻撃をくらって生き残れるか不安も残るが……。クレアも確認できたことだし、覚醒さえしなければ生き残れる気もする。そもそも捕まらなければいいのだ。
カウンター脇に置いてあった干し葡萄入りの乾パンに、全員分の薬をぶっ刺して急いで宿を出た。
どこかに消えたことを咎められたが、全員に乾パンを渡して、いつものように謎言語(日本語)アピールからの笑顔を向けると黙った。
しかし結局、乾パンを食べてくれたのはカティアともう一人の30番台のミアだけだった。
◆
クレアは、ラキの痕跡を探して街にはいった。組織に追われる立場にあり、拠点として宿をとるのは戸惑われたが、人間に紛れなければ却って目立つと思い宿を取った。
クレアが宿を取ったとき、豆粒のようでようやく感知できる大きさの妖気が近くで発生した。
(組織の追っ手か……。ばれたのか?)
発生源は土間繋がりである食堂から発生しており、息を呑んで覗くと小さなクレイモアがテーブル一杯の肉を手掴みで次々に食べていた。食堂の給持や客が唖然とした顔で見ている。緩くカーブが掛かった銀髪は肩口で切り揃えられており、整ったアーモンド型の目が肉を頬張る度に崩壊していた。体格からいって辛うじて大剣を背負える大きさだった。殆ど横向きに大剣を差すのだろう、ホルスターが斜めについていた。しかしそれでも、下手をすれば地面に
(本来、半人半妖は食事をあまり必要としないはず。まさかこいつ、ヘレンと同じタイプか……?)
クレアには、妖力解放限界を越えて尚、人側であり続ける仲間がいた。そのうちの一人がヘレンだった。半覚醒の影響で食欲が増大しているのだ。
(しかし、なんだこの不安定な妖気は……?)
豆粒のような妖気の癖に、消え入りそうになったり強くなったり、呼吸のように明滅している。
『おっさん! ご馳走さま! 釣りはいらねぇ!』
「なん……? おい! 嬢ちゃん、お釣りお釣り!」
考え事をしている間に、小柄なクレイモアは食事を終え意味不明なことを喚きながら走り去った。
その後しばらくして、借りた部屋から街下を見下ろしていたとき、5人程の隊で幼いクレイモアが帰ってきた。
隊列の後方を歩いており、短い髪の戦士に絡まれていた。相当嫌そうな顔をしており、喜怒哀楽が顔に出やすいタイプなのだろう。
その時、一番先頭を歩いていた戦士がこちらを見た。慌てて隠れたクレアは、こちらに気づきそうになった戦士がナンバーひと桁と当たりをつけた。オールバックの髪に鷹のような目をしていた。
「あれが頭か……。印は……、見えないか。なんだ? なっ!?」
後方を歩いていた幼い戦士が取り乱し、突然宿に突っ込んできた。
(どうする……? ばれたのか?)
一階ですさまじい騒音が立った。しばらくして、幼い戦士は何事もなかったかのように宿から走って出てきた。小さな手には小包を掴んでいた。当然のことだが、覚醒者の討伐と見られる部隊は幼い戦士の行動に一瞬動揺した後、普通に置いて進んでいった。一人だけ長髪の戦士が心配そうにチラチラと後ろを振り返っていたのが印象に残った。
『みんなまってぇー!』
「なんなんだ、あいつは?」
(印は……"呆"か。上位ナンバーでもないようだな。いくつなんだ……)
突飛な行動をする戦士に精神を揺さぶられ、クレアは冷や汗をかきながら思わず呟いた。クレアにとって突飛な性格をしている戦士は、戦闘において優秀なものが多い印象だった。しかし、あまりにも行動が普通の戦士とずれている。
この後すぐに、クレアは出会うことになる。
〈痴呆〉という名の一人の戦士と。
なんというか。
上書き作業を端的に言うと。
その、滑ったボケを解説させられてるみたいで辛い。