〈痴呆〉のオリヴィア【完結】   作:peg

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カサンドラとロクサーヌの過去編及び確執は省かせていただきます。丸パクになるからねしょうがないね(今更感)


深淵級のヤベー奴が誕生して、いがみ合ってるという状況だけ把握して頂ければ。
ダーエってやつが全部悪いんだ。




怪獣の戦争

 あの謎のイースレイが消えたあと、私達は組織の本拠地へダッシュしていた。

 実は北の拠点を出てすぐ辺りで、シンシアがミリアの妖気を感知していたのだ。敢えて言わせてもらおう、生きとったんかワレェー!

 組織内の戦士達も、ミリアに従って戦闘になっているようだった。

 

 そういう訳で、私達は現役下位戦士が着いてこれるだけの速度を出して移動していた。

 傍から見れば、海をバックに走るセクシーコマンドー使いのように見えるに違いない。場所は荒野だったが。

 障害物でジャンプするタイミングが完全に一致して無駄に一体感を感じる……。

 

 しかし、ここに来て更に速度を上げることになった。シンシアが新たに敵を感知したからだ。

 

「ウンディーネさん! 組織の中に異質な妖気が3つ湧きました! 戦闘に入ります!」

 

「ちっ。デネヴ!」

「あぁ! これから先は付いてこられる者だけが付いてこい! 速度を上げるぞ!!」

 

 皆が速度を上げた。完全に早送りしたオープニングみたいになった。

 そう言えば、さっきから視界の先でゆらゆらと空中に揺れる妖気の紐が無性に気持ち悪かった。なんだコレ?

 

 

 私達のセクシーさに付いてこれなくなり、現役戦士の下位ナンバーが置いてけぼりになったが、誰も構わなかった。

 

 それから暫く走ったが、ユマやイライザもミリア隊長の危機とあって、なんとか食い付いてきていた。コイツらは元々セクシーだった。尻の躍動を感じる!!

 

「ぐへへへ。……『うおっ! まぶしっ!』」

 

 足遅組のセクシーさで鼻の穴を膨らませていると、視界が真っ赤に染まった。すんげぇチカチカする。何だこの気持ち悪い妖気!

 

「どうした、オリヴィア!?」

「ひえっ」

 

 余りの声が出てしまったのだろう、デネヴが振り返った。やべぇ、逆光で前が見えない。そして顔の見えないデネヴが普通に怖い。夢に出てきそう。

 

「オリヴィアさん、落ち着いてください! 妖気に当てられては駄目です!」

 

 どっちかというと色気に当てられていたのが、妖気で正気に戻れた説を押したい。わたしは、しょうきに、もどった!

 

「シンシア! 何があった!?」

 

 姉御がシンシアに訊ねた。

 

「組織の中に、〈深淵の者〉並の妖気が突然沸きました! 異質な妖気を持つ戦士が覚醒した様です!」

「なんだと!?」

 

「……それと、」

 

 シンシアはモゴモゴと言い澱んだ。

 

「どうしたんだ? 早く言」

「み、ミリア隊長の! ……妖気が消えました」

「!?」

 

 うそやろ。

 

 

 

――――

―――

――

 

 

 私達が辿り着いた時、戦場は血だらけで、辺りに戦士はほとんど立っていなかった。現役の戦士たちが血の池に沈み、私は何処か遠い風景を見ているように感じた。

 だが、よく見てみると妖気の紐がちょこちょこと見えた。辛うじて息のある様だ。まるで、地面から生えるニョロニョロだった。虫の息とは……このことか。

 シンシアとユマであれば、治せるかもしれない。

 

 新たな〈深淵の者〉っぽい奴は、大地に仰向けで寝そべって移動していた。正座したまま背中に倒れて、両肘をついている姿勢と言えばいいのだろうか。両肘は触手みたいになってるけど……。エクソシストよりヤベェや。

 首のような部分から繋がった3つの頭が地面に落ちており、完全に化け物だった。サイズ感もリフルのような〈深淵の者〉の例にもれず、超巨大だった。

 胸元から戦士だったものが生えていて、ムシャムシャしながら何処か虚空を見つめている。普通に怖い。

 

 巨大な〈深淵の者〉は、ボロくずになったミニツインテをしている戦士の遺骸と思われる物を嬲っていて、とてもじゃないが正気じゃなかった。距離が離れているのは幸いか。

 

「ミリアは!?」

「あ! あそこです!」

 

 デネヴが叫んだ。

 気を張っていたのだろう、シンシアが真っ先にミリア隊長を見つけた。

 ミリアは新しい〈深淵の者〉が大人しいうちに、現役戦士の救出を行っているようだった。良かった……、生きてた。

 

「妖気を消す薬を飲んだのでしょうか?」

「けっ。紛らわしいぜ」

 

 そう言った姉御の目には、光るものがあった。鬼の目にも涙……。

 

「ふん!」

「ぴィ!」

 

 姉御を眺めていたら殴られた。ぬぅおぉ……パワハラ反対!

 

 戦いの中で、ミリア隊長は妖気を消す薬を飲む事態になったのかもしれない。死んだふり作戦とか?

 

 妖気を消す薬を飲むとクラクラして頭痛がする。そして、飲んですぐには妖気開放が難しくなる。戦闘中に服用するようなタイプの薬じゃなかった。

 

「ふん。〈深淵の者〉レベルの覚醒者の前で、人助けをする馬鹿な隊長の手助けだ。行くぞ!」

「ユマとシンシアは負傷者の治療に当たれ! 他は遊撃だ! 散れ!!」

 

 確かにミリアが無事とわかった今、〈深淵の者〉を放置するわけにはいかない。

 デネヴと姉御の号令で、私達は〈深淵の者〉に向かって散った。

 

 

 

 先んじて空を跳んで行くのは、姉御とヘレン、ディートリヒだ。

 なんと私達は、〈お嬢様〉の髪に乗って空を飛ぶことができるようになっていたのだった。

 

 足場を作る〈お嬢様〉と息切れして出遅れたイライザがその場に残り、デネヴとナタリーはミリアの方へ走っていった。

 

 ちなみに、私が乗って妖気を込めると黒ずんで切れるので、私は自転車を追いかける子供のごとくハブにされていた。辛い。

 

「みんな〜『まってぇ!』」

 

 おかげで私も出遅れた。

 しかし、折角なので、私は走って行って股から大剣でツンツンすることにした。

 

 

 

「ぐるぐるドーンだっ!」

 

 ちょっとふざけ気味のヘレンが、空中から全力の〈旋空剣〉を人型キングギドラに打ち込んだ。〈深淵の者〉の右脚が削がれて弾け飛んだ。

 

 攻撃を受けた〈深淵の者〉は、多少ぐらついたがヘレンに意識を向けずに仰け反るように沈み込んだ。

 

「『よっしゃぁ!』つんつん!」

「いかん! 離れろ!!」

 

 遠くでミリア隊長がなんか叫び始めたが、丁度その時、セフィーロ印のツンツンブレードが股を捉えた。ほーれ、つんつん。

 

「げっ!」

 

 ヘレンの嫌そうな声が聞こえて左側を見ると、足があった。あれ? 右足がもう生えてる。

 

「馬鹿、逃げろ! オリヴィア!!」

「ヌッッッッッッ!」

 

 悲痛なイライザの声に、つんつん熱が冷めないままに振り返った。

 轟音と供に辺りが消し飛んだ。え?

 

 〈深淵の者〉を中心に、デコボコだった地面が同心円状に均され、姉御達はイライザと〈お嬢様〉に髪で引っ張られて緊急離脱したようだった。……。私は置いてけぼり……?

 

 ツンツンして賢者タイムみたいになった私の前に、性格の悪そうなミニツインテの頭が降ってきた。

 地面と衝突してグチャッと音がした。グロい……ベチャッってなってる。モザイクがないと見せられないよ、こんなの。

 

 ミニツインテの頭からは、気持ち悪い妖気がニョロニョロしていて、この状態でもまだ息があるようだった。どう見ても致命傷だろこれ。

 

 一連の流れが意味不明で、目を瞬いていると、いつの間にかミニツインテの首がひとりでに持ち上がり、私にニッコリと微笑みかけた。こやつ、首だけで動きおった!!

 

「ひえっ」

 

 いや、普通にホラーだこれ。危うくチビるところだった。首から触手が出てるのか……。

 私は、『このロリコンどもめ!』みたいな表情になってるミニツインテと、にらめっこしてしまった。しかし、私はロリコンではない。

 

「『ロリだ!』」

「何やってるんだ、逃げるぞ!」

「ぴょっ」

 

 さっきの攻撃は上空に離脱したんだろう、ディートリヒが突然降ってきて、そう言うや否や私の首根っこを掴んでジャンプした。

 

 その瞬間、ミニツインテが巨大な覚醒体に変じて、衝撃波が空中にいる私達を走り抜けた。

 

「大物すぎて、もう何も言えないぞ私は」

「ほんとだ、でかい」

「……はぁ。お前を投げ出さなかったあいつ等を、尊敬するぞ私は」

「?」

 

 ディートリヒの言うように、ミニツインテもホラー系キングギドラみたいに〈深淵の者〉クラスの妖気を放っていた。空中から様子がよく分かった。

 

 現れた巨大な覚醒体は、黒い人型の彫像のような身体をしていて、八本の触手が体を拘束しているように見えた。触手には鋭利な刃物がずらりと並んでいる。

 

 ミニツインテの覚醒体は、8本ある触手を手当たり次第に伸ばして、倒れた戦士に刃を突き刺そうとしていた。食べようとしてるのかも知れない。

 覚醒したては異様な飢餓感に襲われるらしい。

 

 ところが、ミニツインテの覚醒体が現役戦士を突き刺す寸前で、キングギドラが邪魔し始めた。

 

「ちょっと、私の食事だったのに何をするの?」

「クソは黙って糞でも食ってろ」

 

 言い捨てたキングギドラは触手みたいな首で、ミニツインテの身体を高速でモシャモシャと食べ始めた。うわぁあ! 共食いだ!!

 

「糞は覚醒してもクソの味だな」

「く……、カサンドラァァ!!」

 

 急に2体の〈深淵の者〉が喧嘩をし始めた。

 

 争いは同じレベルの者同士でしか起きない。突如、私の脳裏にカンガルーが殴り合う画像が浮かんだ。その時、カンガルーの足元の草が急にフォーカスされ、一匹のアリが現れた。私だった。

 

「何なんだ一体……。一旦離脱するぞ!」

「はっ!? うん」

 

 妄想していると、ディートリヒに話しかけられた。

 ディートリヒを支えている〈お嬢様〉の髪の毛が、2体が大暴れし始めたことによって、切れて少なくなってしまっているようだった。

 あれ? 〈お嬢様〉がこれを繰り返していると、終いには禿げてしまうのではないか。禿げて弱体化した〈お嬢様〉を思い浮かべた。もう、お嬢様ではなかった。

 

 そんな私の考えを他所に、ディートリヒはミリアの方へ離脱した。

 

 私はディートリヒに抱えられて跳びながら、考えを巡らした。……連戦移動続きで疲れてるのかも知れない。全然集中できてねえ!

 

 

 

 

 

 遠くで怪獣同士の戦争みたいになっている背景をバックに、私は腰に手を当てたイライザに指を刺されていた。

 

「おまえ! 危ないだろ! 聞いてんのか?」

 

 戻ってきて早々にイライザにクドクドと怒られた。無傷だったので実質セーフでは? 私は首を傾げた。

 

 離脱して集まった場所では、デネヴとミリアが現役戦士達の避難を終わらせていた。

 そして、現役の上位ナンバーは、皆だるま状態にされていた。恐ろしくショッキングな光景なのだが……。危ないのは、この3人では? 

 

「……、私達は放っておいて……。下位ナンバー達を助けてあげて」

「喋るな! お前達が一番重症なんだ!」

 

 以前おしっこを漏らした戦士が、ユマにキレられていた。おしっこを漏らした戦士よ、ユマの集中を妨げると、くっついた手足がベーコン・エピみたいになるぞ。気をつけろ。

 

「隊長……」

「ナタリー……、お前」

「ミリア。皆、お前を追いかけてきたんだ。大人しく一発殴られてもらうぞ」

 

「お前達……」

 

 ミリアは袖で顔を拭った。

 

「……ミリア隊長よぉ。殴るのは後にして、だ。アイツ等は何なんだ?」

「……。かつて戦士達の頂きに居た者達だ」

「!?」

「……組織は、かつてのナンバー1を蘇生したっていうの!?」

 

 ミリアに問いかけた姉御のお陰で、イライザのヘイトがミリアの話に移った。助かった。

 

 ミリアが視線を送った先では、戦士の恰好をした一人が、岩だらけの場所で首切りブレードされていた。ミリアが倒したのかもしれない。

 何となく気を引かれたが、ミリアが喋っているので視線を戻した。また殴られるからね!

 

「一人一人が尋常な力量じゃなかった……本物だ。あの覚醒した二人は、新たなる〈深淵の者〉と言っても過言じゃない」

「じょ、冗談だろ!?」

「いや、お前も一太刀入れたならわかるだろ……」

 

 目を剝いたヘレンが食い気味に言ったが、半眼のデネヴが突っ込んだ。

 

「幸い、今は争い合っているが、何時こちらに向かってくるか分からない」

「ふんっ。……野放しにはできねぇ、よな?」

 

 不敵に笑ったウンディーネ姉御がミリアに言った。

 

「ああ。そして、直接剣を合わせていないから確信はないが、間を置いて冷静になった今なら分かる。恐らく……あれは〈塵喰い〉のカサンドラと〈愛憎〉のロクサーヌだ」

 

「えっ!? ……誰だそれ?」

「……お前なぁ」

「ク、クク」

 

 緊張感無く頭を掻いたヘレンの一言で、話が終わった。

 

 というわけで、ミリアを筆頭に共食いする狂った〈深淵の者〉達を倒すことになった。

 キングギドラは、カサンドラというらしい。名前が似てた。

 ユマとシンシアは、残って現役戦士の回復に努めるようだった。

 

「つってもよぉ……どうやって近付くよ……?」

「消耗したところを狙って、各個撃破を狙うほかあるまい」

 

 双剣を構えたデネヴが答えた。

 

 その時、下腹部に轟音が響いた。私は自分のお腹を見た。しかしみんなの視線は、〈深淵の者〉の方に注がれていた。私の腹の虫の音かと思ったが、殴り合う〈深淵の者〉の音だった。

 遠くで小山のような〈深淵の者〉が、ウルトラマンさながらに殴り合っていた。なお、正義の巨人はいなかった。

 

 ロクサーヌの覚醒体から生えた複数のムチが高速で揺れ、棘を射出した。

 

「皆、避けろ!」

「うわぁぁあ!」

 

 かなり遠くにいるのに、建物くらいある棘が雨みたいに降ってきた。動けなくなった絶望表情の下位ナンバー達が居たので、私は妖気の紐を使って、棘をちょっと引っ張った。

 射線が逸れ、棘同士がぶつかって錐揉みしながら墜落した。現役下位ナンバー達が右往左往していて笑う。

 

「オリヴィア……、お前……?」

「ミリア。お前が見ていない間に、西の地獄のような戦場で我々は強くなった」

「……」

「ユマは妖気同調能力を身に着けた。オリヴィアは、苦手だった妖気読みと強引な妖気操作能力を身に着けたんだ」

 

「もっと、私達を頼れ……ミリア」

「そうか……。そうだな」

 

 

 

 

 極至近距離にいたカサンドラは、体が半壊したが一瞬で元に戻っていた。あいつ等は回復力も高すぎる。戦闘の規模が違いすぎて笑えてきた。

 

「準備出来ました!」

 

 お嬢様の一声で準備を終えた私達は、死地に赴くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




上手く嵌らなくて、3万文字くらいの怪文書を書いてました。
一説によると、不快な気持ちになり脳が破壊され腹筋をやられるらしいので、態々マイページを辿って見ないことをオススメします(怪文書)
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