な、なんで。
何が足りないんだ。
う、うわあぁぁぁ(妖気解放)
おれは しょうきに もどった
というわけで、
ラスボス(プリシラ)VS深淵を超える者(ラファエラ・ルシオラ)VSクレアVSちびイースレイVSラスボスの強化分体VS北のメンバーズVS生き残りの覚醒者達VS生き残りの現役戦士達VS VSオリヴィアVSダークライ
です!
ファイ!!!!!!!
※すでに死亡したメンバーは赤で表示されています。
想定していた状況が異なるとはいえ、クレアの救出を断念する、そんな選択肢を戦士たちは持ち合わせていなかった。
しかし、一人だけ止めるものがいた。妖気を深く読むことのできるガラテアだ。
「やめろ。これは危険すぎる!」
「……ガラテア。もう時間がない。どちらにせよ、我々には手段が残されてはいないんだ」
ミリアと対立するようにガラテアが立った。
「だからと言って……。それに人間が近づくのは、やはり危険だ! 何が起きるかわからないんだぞ!」
止める理由を人間のラキに変えたガラテアは、猥褻物の前で両手を広げた。
「どいてくれ」
デネヴの背中から降りたラキが、ガラテアの肩に手を掛けて言った。
「心配してくれてありがとう。覚悟はできている」
完全に覚悟が完了しているラキは、ガラテアに微笑みかけた。
「な……」
「でも、クレアなら大丈夫だ」
ラキはゆっくりと、猥褻物の球体へ足を進めた。
「あの約束の通り、もう7年も待ったんだ。俺も、いつまでも待っているガキのままではないさ」
球体に手をついたラキへ、もじゃもじゃの触手が殺到した。
「ぐぅ……!」
「ラキ! くそ、やっぱだめじゃねーか!」
「引きはがすぞ!」
触手に体を穿たれて、全身から血を噴出したラキを救うべく、ヘレンやデネヴが動き出した。
「待ってくれ。きっと、俺が誰か……調べているだけだ」
絵面は最悪だったが、ラキの言うように触手の動きからは、片玉が人間を捕食しようとする意志は感じ取れなかった。
「さぁ、出てきてくれ! クレア!!」
ラキの叫び声に呼応するように、猥褻物が鳴動した。
グネグネと形を変えた猥褻物は、なんともう一本、肉の砲身が生えた。
「な、なんだ!?」
「来るぞ!」
駆け出した姿勢のヘレンが動揺し、身構えたデネヴが叫んだ。
肉が潰れるような音を放ち、新たな砲身から裸の女が射出された。
放たれた刹那の時。
肉の巨砲の先端に銀髪頭が見えたが、一瞬で引っ込んだ。
「!?」
「ラキ、全身で受け止めろ!!」
全員の気持ちを代弁して、ウンディーネが叫んだ。
裸の女は錐もみして墜落してきた。
クレアだ。
「ぐ! 捕まえた! 早く処置してくれ!!」
「シンシア! ナタリー! 針と糸だ!!」
「は、はい!」
ラキはクレアを受け止めたが、抱き留めた身体の前面から血が噴き出し、ラキを侵した。
事前に打ち合わせした通りに、必死に半人半妖の身体特有の傷を慌ただしく縫合した。
処置を終えてしばらくして、クレアは目を覚ました。
「……私は……。生きてる? せんせ、い……?」
「クレア……クレアぁぁ!!」
ラキはかつての少年だった時のように、泣きじゃくりながらクレアを抱きしめた。
7年間離れ離れになっていた二人は、絶望的な状況を乗り越え、再び再開した。
「おまえは……ラキ、か?」
クレアは目を見開いた。
探していた少年が大人となり、自身を力いっぱい抱きしめていたからだ。それが自ずと分かった。
しかし、クレアがラキと感動の再会を果たしたのも束の間、猥褻物に急激な変化があった。
辺りに醜悪な妖気が溢れ出し始め、砲身はそのままに形が崩れる様に不形となり、書き損ないのような猫の像に変じた。
「な、なんだ……」
「まって……オリヴィアは? オリヴィアはどうなるんだ!? うわあああ!」
グネグネと変化する猥褻物の、出すものを出してシナシナになった猥褻物に突撃しようとするイライザを、手の空いた全員が止めに入った。
「落ち着けイライザ、落ち着けって!! ぶへっ! てめっ」
羽交い絞めにしようとしたヘレンだったが、最初に殴り飛ばされた。
もはやこうなっては、救出どころではなかった。
この卵のような存在から生まれるのは、〈深淵の者〉を完全に超えた存在。
事前に推測されていた事が、現実のものとなっていた。
「ここに居ては危険だ! 離れるぞ!」
ミリアの号令で、瀕死のクレアと暴れるイライザを連れて全員が離脱した。
「オリヴィア、オリヴィアァァァ!!」
悲痛に名前を呼ぶイライザの声が、全員の耳朶を打った。
―――
――
―
瀕死のクレア達が去った、半日後。
膨れ上がり続けた猥褻物の醜悪な妖気が、一気に収斂した。
煙が晴れた場に現れたのは、上半身には一本角を生やして4枚の羽を広げた女、下半身は6本脚の馬の化け物が融合したようなキメラだった。そして、いきり立った巨大な馬っ気を出していた。7本脚の馬の化け物。シルエットだけ見れば、そう見えた。
「……」
白目を剥いたままの醜悪な化け物は、全身から黒い触手を狂ったように放つと、周りにある木々を
ある程度喰らい尽くすと、巨大な翼を広げて、複数の力を感じるラボナの方へ飛び去った。
物見雄山に来ていた覚醒者達は、新たなる超越者の存在を肌で感じ取っていた。
その中でも、オリヴィアに髭ダンディと呼ばれていた男、クロノスはちょい悪親父のような風貌から一筋の汗を流した。
彼は、組織がまだ男の戦士を作り出していた頃、組織のナンバー4を張っていた。
「ラーズ。……ここに来たのは失敗だったかもしれねぇ」
「なに?」
クロノスは、子分の元ナンバー6のラーズへ語り掛けた。ラーズの人間体は、ベジータ頭のおっさんだった。
本来の想定であれば、生まれ出でた者の力を測り、自身達の実力で切り抜けて逃げるつもりだった。しかしその自信は、感じ取った濁った妖気によって一瞬で打ち砕かれた。
「ここから先は死地だ。全力で逃げ延びるしかない!」
クロノスが叫んだ時、醜悪な超越者がその場に姿を現した。
「ブルるぅぁァ!」
それは、馬と人が融合した強大な化け物だった。何よりも、引きずるように存在している巨大な馬っ気が目立っている。
「何だこいつは!?」
超越者は、まるで嘶くように後ろ脚2本で立ち上がると、腰に4足を当てて仁王立ちした。それは、最早3本足で立っていると言っても、過言ではなかったのかもしれない。
莫大な妖気が零れ落ち、膨れ上がった3本目の足から、虹色に輝く螺旋状の触手が放たれた。
「ぷるぅぁぁぁぁぁぁぁ!!」
馬っ気から放たれた虹色に輝く馬っ気が、すべてを飲み込んでいく……!
「ラーズ! アレに触るなよ!! 喰われるぞ!!」
「く……!」
クロノスが叫び、生き残りの男の覚醒者2人は、とっさの回避行動を取った。
「ぎぁああアア!」
「ああァァァああ!」
その直後、悼ましい叫び声が響いた。
受け止める自信があったのだろう、射線上にいた幾名かの女の覚醒者たちが、巨大な螺旋状の触手に焼かれて消滅した。全て上位ナンバーの覚醒者だ。その中には、元ナンバー2の女達もいた。
吸収した超越者の妖気が、どんどん膨れ上がっていく。
「くそ! 吸収しやがった。どれだけ巨大化するつもりだ……。こんな力は、最早覚醒者ですらないぞ!」
「フオォォォオオオオォオォ!!」
直後、超越者は腰を振るように、虹色の触手を振り回した――。
―――
――
―
場所は、空飛ぶ〈深淵の者〉を追う山中。
空飛ぶ〈深淵の者〉は以前と微妙に形を変え、平たい胴体にぶら下がった太い触手が、西部の伝統料理である皿に乗った麺状の何かにも見える。
馬上から、ダーエは〈深淵の者〉を見上げた。
「あの〈深淵の者〉から、ぶら下がっている人間体。私はあの戦士を……。んー、どうにも知らんなぁ」
「……」
ルヴルは深刻に考えるダーエの様子を、帽子の縁から盗み見た。
(プリシラの事をどう伝えようか……)
ルヴルの頭の中に、一抹の嗜虐心が湧き上がり口元が緩んだ。
「プリシラ……かつて、〈微笑〉のテレサ討伐の際、参加した1人の戦士の名前だ」
「……ん? それが、どうした? ……たしか、ナンバー2の戦士が覚醒する前に首を刎ねられたという、ありふれた話だったか」
「実は覚醒していたんだよ」
「!? 報告がどうにも……ネジ曲がって居たようだな」
嘆息したダーエは、黄昏れるように煤けた背中をルヴルへと向けた。
「あぁ……それと。貴様が以前していた、肉親の妖魔を使って行う実験。実はあれも成功していたんだ。覚醒しても人間に戻って来れる戦士。おや……知らなかったかな?」
「……」
「奴らは、それを半覚醒と呼んでいたよ」
「……」
ルヴルは嗤った。
背を向けたまま固まったダーエが、自身の無知を沈黙で雄弁に語っていたからだ。
しかし――。
「……く、くっくくく。あはっはは! そうか……それがヤツか。まぁ、何だ。得心が行った」
「!?」
それを上回る狂気的な嗤いに、ルヴルは引いた。
「プリシラ、か。……ヤツの妖魔に対する憎しみの深さだけは覚えている。何せヤツは、人間だった時に妖魔に取り憑かれた父を殺し、その血肉を喰らったのだからな。その記憶を失ってはいたが、その出来事が、妖魔に対する強烈な憎悪を形作っていたのだろうよ」
「なに……?」
ダーエは饒舌に見解を話し始めた。
若干の早口で。
「憎悪やそれにに類する意志の力を、私は軽視したことはない。だが、それが、儘ならぬものであることも理解している。同じような実験を施しても、全く同じ結果を得ることはできない……。肉親の血肉についてもそうだ。繋がりや絆……いや憧憬というのかな……。それが、覚醒しかけた戦士をほんの少しだけ人間側へ戻す、
ダーエは思い出すように天を仰いだ。
「そうだ。おまえに……1つ良いことを教えてやろう……。覚醒しても戻ってこれる戦士だったかな? 実は完成していたのだよ……たったの一度だけだったがね。……〈黒〉のアリシアを創り出す、ずっと前の話だ」
「なんだと!?」
秘していた情報の、更に上を行く情報でマウントを取られたルヴルは叫んだ。
「知らなかったかな? 妖気解放をすると、身体の色が汚泥のように変わる戦士……〈涅〉のサルビア。私はあの傑作をそう呼んでいたよ」
「〈涅〉のサルビア……?」
「しかし、それも〈痴呆〉と呼ばれる絞り
唐突な人物の登場に、ルヴルはキャラが崩壊し2度見した。
(え、〈痴呆〉に? ナンバー42だった〈痴呆〉に?)
咳払いしたルヴルは、今一度問いかけた。
「……どういうことだ?」
ダーエは深々とため息を付いた。一気に老け込んだような雰囲気を感じる。
「はぁぁぁぁ………………………。やつは〈痴呆〉の姉だった。戦士は本来、自身の命を第一に妖気解放を行う。まさに命懸けというやつだ。理由はともあれ、命を捨てた覚醒では凄まじい力を発揮するのは、本国でも承知の通りだ。しかし、やつの場合は違った。組織に
「自己犠牲……か?」
「いいや、そんな高尚なものではないだろう。肉の欲求、食欲……そういったものを自身の強靭な意志で、すり替えたと言えば良いか。まぁ、結末を言えば……ある日、ちょっとした誤解があってなぁ……。その時に容易く敵対したよ。人間の意識を保ったままな」
(人の意志を保ったままの覚醒……!)
ルヴルは度肝を抜かれた。最も恐れていたことが、組織内で既に終わっていたからだ。
「当然、時のナンバー1に殺された。何せ、組織内でその力を解放したからな。造った側の人間からすれば、少々残念だが……。仕方のないことではあった」
(不味いぞ……。そのノウハウを、この男は持っているということ。逃がす前に殺せるか……?)
気まずい沈黙が続いた。
その時、視界の開けた先に、聖都ラボナが見えた。
「ラボナ……か」
(どうでもいいと、関わるのも避けていたが……。どうやらそれが祟ったらしいな)
ルヴルと供に〈深淵の者〉を追っていたダーエは、馬上から聖都を眺め若干の後悔を込めて言った。
「ラボナ……。何かと縁の多い街……か」
「……」
気分の優れない様子で帽子を押さえたルヴルが、馬上でひとりごちた。ルヴルの独白を聞いたダーエは、肩を竦めて空飛ぶ〈深淵の者〉へ視線を送った。
「この化け物の目指す終着点……。新たな深淵を超える者が、妖魔排斥をしていたラボナで誕生するつもりとは……因果なものだなァ」
ラボナの付近から、巨大な土煙が上がった。更に虹色の竜巻のようなものが見える。
「来たな」
「……」
最悪の情報を聞いて気もそぞろだったルヴルは、一瞬、
「フォォォォォオオオオ!!」
汚い汁を吐き出す果物のような、甲高い声が遠くから聞こえた。
回転した巨大な触手が、大地を破壊しながらゆっくりと移動している。
(こちらに来るか……)
竜巻の進行方向には、空飛ぶ〈深淵の者〉がいた。
ルヴルの直感が働いた。
「……ここに居ては危険か」
「おや、逃げるのかね? この誕生を……いや、結末を見ずに? まぁ、いいがね」
ダーエの言葉にルヴルは、進みかけた馬の手綱を引いた。
「経験から言って……。まぁ、まだ大丈夫か」
「くくく……」
僅かばかりの興味が
戻ってるよね、ね?
章分けするか迷ったけど、途中からしてないからまぁいっか!
いったれぇ!!