「母さん…」
こらえる必要もないだろう涙をこらえる
母親が死んだ
持病によるものだ
両親が死んだ
そんな悲しい中、空気も読めない
「ユーノ、お前転校な」
「は?」
「お前の行き場を探したが、たった一ヶ所しかなかった」
「追い出す前提……」
「国立だ、安心しろ」
「逆に怖いんだが」
公立から何で国立へ転校するんだよ
◇ ◆ ◇
夕焼けの野原。僕の最も好きなものだ
もともと田舎育ちの僕からすると、親の顔より見た光景(もっと親の顔を見ろ)
この学校の説明をする
クラスの人数は少ない
たったの八人(国立とは?)
メンバーを言う
ヤバいオーラを放つセイ先生
オオカミっぽいミミとシッポを着けた一目で分かる二卵性の双子のフェルさんとリンさん
小悪魔っぽい羽とシッポのベルさん
いかにも吸血鬼という感じの衣装と羽のミナさん
青白い肌で、頭にネジがぶっ刺さっている大男、シュンさん
下半身が無い、というか大丈夫か?レイン君
金髪青目の西洋人形っぽい雰囲気を放つメリーさん
「ユーノです。これからお願いします」
第一印象は『コスプレ多すぎ』だった
ついでにいえば『イケメン美女多すぎ』だ
それに比べて黒髪で目も黒い僕は、普通だった
休み時間
「シュンだ、よろしくな」
頭にネジがぶっ刺さっているシュンさんが声をかけてきた
「よろしくです」
簡単な返事、昔から緊張を隠すのに使う
一瞬、『変わったコスプレですね』と言おうか悩んだが、衣装は個性。僕が口出しできる筋合いはない
「お前、強いのか?」
「……は?」
常識を知らないのか?
ここは学校。強さを求める場所ではなく、学ぶ場所
この学校には『廊下を走ってはいけません』というのもないのか?
「僕は弱いです、そして強くなる気はありません。あなたのアイデンティティーを貶す訳ではありませんが、学校は学ぶ場所です」
そう言っていると、吸血鬼っぽいコスプレのミナさんがやってきた
「まぁ、その通りね」
シュンさんは体が大きい
ミナさんはこの威圧を感じないのだろうか(多分殺気)
純粋に『凄いな~』と考える
◇ ◆ ◇
夕日は、どこで見ても変わらないものだろう
ここは田舎ではない
寮の窓から見た夕日はきれいだ
「川沿いに行くか…」
散歩するためだ
少し寒い
今は9月半ば、寒さが伝わって来る
「あれ、ミナさん!」
「あら!」
偶然、吸血鬼コスプレのミナさんと鉢合わせた
5時半頃、学校の始まる少し前の時間帯
「こんな所でどうしたのですか?」
当然の質問。別に聞いてはいけないことはないだろう
「ちょっと血を吸─コホン、散歩よ」
今、何をいいかけたのだろう
まぁ、いいか……
「奇遇ですね、僕もです」
それから話を続けた
意外と盛り上がった
一応、メアドの交換もした
田舎ではあまり使わなかった携帯(ガラケー)
ミナさんの感覚では、時代遅れらしい。知らんけど
少し、気になったことを聞く
「そういえば、何でみんなコスプレをしているのですか?」
多分趣味だろう
セイ先生、レイン君、メリーさんはしてないけど…
「コス…プレ……」
『そういえばここ人界だった』とでも言うような顔をするミナさん
「あっと…すみません」
罪を認める、これ大事
アホだ、プライバシーの損害だ!!
「じゃあ、やってみる?」
「?」
疑問符が上がる
直後、ミナさんの方から《赤い何か》が飛び、頸動脈を切った感覚がした
意識もついでに失った
ユーノ:「こんにちは、今回からお願いします。ユーノです」
ミナ:「ミナよ」
ユーノ:「一話目の最後がこれって、変ですね」
ミナ:「そうかしら?」
ユーノ:「めんどくさいので終わりますが、どうオチをつければいいのだろう…」
ミナ:「『俺達の戦いはこれからだ!!』とか?」
ユーノ:「まだ一話目ですよ!?」