駐車場には、旧式のオープンタイプ、黒く染められたアスラーダが停まっている
アスランはかなり気に入っているのであろう、いまだにアスラーダを愛用していた
ゲート警備兵「これはザラ准将、お疲れ様です、休暇ですか?」
アスラン「お疲れ様、ああ今日の午後からな」
ゲート警備兵「……?午後って、もう18時ですよ!?」
アスラン「わかってる、だから急いでるんだ、開けてくれ」
ゲート警備兵「!わかりました」
少しアクセルを吹かし気味にアスランはゲートから飛び出した
ゲート警備兵「もうちょっとクライン准将みたいに、緩くやればいいのに…………」
真面目だが、現場重視で、いい加減なキラ
同じく真面目で、管理重視、細かいアスラン
同じ准将としての階級に立つ二人だったが、兵達の印象はまったく違うものだった
基本的に現場に立つことが多かったキラは、やはり現場の兵と関わる機会も多く、その性格からも兵からは好かれていた
だが、同じ准将でもあまり関わることのないアスランは、兵の目には大きく違って見えていた
大戦終結直後、ムウという人付き合いのプロのような人が、オーブ軍に居たということも、アスランの兵達からの印象に影響を与えていた
アスラン「……マズイな……」
久しぶりの休暇でアスランは、メイリンと夕食の約束をしていた
約束の時間は18時…………
警備兵が『もう18時ですよ』と言った時、すでに数分過ぎていた
しかも、わざわざアスランが無理して今日の仕事を午前中までにして、午後からを休暇にしたのには訳があった
今日は6月12日
そう
メイリンの誕生日だ
これまでアスランがメイリンの誕生日に、休暇を取るなんてことは一度もなかったが、今回はアスランから言い出したことで、メイリンは一昨日から休暇に入っていた
オーブ市街、一際大きなホテルの駐車場にアスランは車を入れた
それなりのホテルのレストランを予約している
当然ドレスコードもあるレストランだった
アスランはシンと話す前、軍のロッカーに放置していた、ヨレヨレのスーツに着替えてはいた
まあ……一応ドレスコードはクリアしている
ホテルにロビーに向かうと、すでに待ち合わせしていたメイリンの姿は無い
急いでレストランに向かってみる
???「ご予約のお客様ですか?」
ヨレヨレのスーツを着たアスランを、不信そうに見ながらレストランの店員が声をかけてきた
アスラン「あっ!はい!18時に予約したアスラン・ザラです」
店員は自身の腕時計を確認して、すでに19時前であることは言わずに話を進めた
店員「ザラ様ですね……すでにお連れ様が中でお待ちです、こちらへどうぞ」
アスランはメイリンに予約しているレストランを伝えてはいた
アスラン・ザラという男性名での予約であったが、メイリンがアスランの名前を出したことで、気を遣い中へと案内したのだろう
席へ案内されると、メイリンはいつもよりも着飾って、何もオーダーせずに座っていた
アスラン「…………遅れて、すまない」
メイリン「いえ、大丈夫ですよ」
こういったことは初めてではなかった
悪い言い方をすれば、いつでも仕事を優先してきたアスランは、遅刻することや、約束を反古にすることは何度もあった
しかしこんな日にまで、残務処理に時間を取られて、1時間も遅れたアスランを、メイリンはいつもの笑顔で迎えてくれた
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