機動戦士ガンダムSEED RAVEN   作:shuda

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PHASE:-297 薄い塩味

しばらく沈黙してアスランは、スーツの内ポケットに手を入れた

 

メイリン(また……仕事の連絡かな…………)

 

こういうこともよくあることだった

二人で居てもアスランに連絡が入り、突然一人にされる

映画館、遊園地、買い物中、もちろんメイリンもオーブ軍に所属しているわけだから、二人で急いで軍へ向かうこともあったが、メイリンとアスランでは立場も職務内容も違う

アスランだけが緊急で、軍に行かなければならないことはよくあった

 

アスラン「すまない、これしか用意出来なかった」

 

アスランが内ポケットから取り出したのは、携帯端末ではなく、小さなジュエリーボックスだった

 

アスランが蓋を開けると、中には指輪が入っていた

 

アスラン「こんな俺の隣で、ずっと笑顔で居てくれるのは君しかいない、俺なんかでは不服かもしれないが…………俺と結婚してくれないか」

 

花束も用意していない、プレゼントも用意しているように見えない、あげく仕事の連絡が来た

そう思っていたメイリンは、目を丸くして驚いた

 

メイリン「!?………………!!」

 

メイリンは指輪を受け取らず、アスランに背を向けた

 

アスラン「……そうか、ダメだな、やはり俺は」

 

しばらく黙っていたメイリンだったが、アスランに背を向けたまま、波音にかき消されそう小さな声で言った

 

メイリン「…………一つ…………条件があります」

 

アスラン「?……条件?」

 

メイリン「はい…………もう、私に謝らないでください」

 

アスラン「……それは…………もう謝るようなことをするなと言うことか?…………」

 

メイリン「違います!……家族なんだったら……謝る必要なんてないです…………」

 

アスラン「!!……そうか、そうだな……わかった、すまない」

 

メイリン「ほら!!そうやってすぐに謝る!」

 

アスラン「!!あっああ、すま……わかった」

 

メイリン「そもそもアスランさんが謝る必要なんてずっとないんですよ!!…………二人でザフトを抜けた時も!私が着いて行ったんです!……今日だって!…………アスランさん遅れてくるって思ってましたもん!!……なのに!いつも!いつも!すまない!すまない!って!……私はちゃんとわかっててアスランさんの側に居たんですよ!?ずっと!」

 

背を向けたままのメイリンの声は震えていた、後ろから見えるその小さな肩も…………小さく……小さく震えていた……

 

アスランは、その小さな肩を後ろから

そっと抱き寄せた

 

アスラン「ああ…………ありがとう……」

 

メイリン「……ホン……トにっ……そうっ……なんですっ……から……」

 

涙を流すメイリンを、アスランは強く抱き締めた

 

メイリン「良かった…………ちゃんと……誕生日プレゼント……あったんだ……」

 

アスラン「ありがとう」

 

そう言ってアスランはメイリンの手に指輪をはめた

 

メイリン「アスランさんが謝らない限り、私はずっとアスランさんを笑顔で迎えます」

 

涙でぐちゃぐちゃになったままで、メイリンは満面の笑顔をアスランに向けた

 

海岸沿いの潮風なのか

 

アスランの唇は、薄い塩味に濡れていた

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