課題終わらないよ〜
それではどうぞ
俺は親父と別れ、一人共和国から王都まで戻ってきた。
王都グランセルから離れた深い森の中、明らかに人工的に出来た場所に大量の細い杭が打ち付けられており、その一つにレイは瞑想するかのように目を瞑り片足立ちしていた。
一時間立っても二時間立ってもまるで静寂に包まれた森と同化するかのように微動だにしなかった。
やがて大きな風が吹き、一枚の若葉がレイの上空に上るとの、目の前にまで飛び上がり、その刹那に見事に一枚の若葉が何枚にも刃物でしたかのようにスライスされていた、そして見事元の位置に戻ってきた。
「ふう、こんなところか」
俺はリベールに戻ってからただひたすら強くなることを目指していた、ケンのように。
街には食料を買いに行く程度で、ほとんどがこの自分で作った鍛錬場で一日を過ごしていた、どこまでも貪欲にひたすらケンシロウを目指して。
「…そろそろ腹が減ったな」
月を見ると真上迄来ていた筈が既に大分傾いていた。
…今日は何を食べるか。
火を焚き、肉を焼こうとすると、気配を感じた。
「誰だ!?」
夜行性の魔獣か?しかし、気配がした先を見ても漆黒の闇に包まれた森の木々しか見当たらない。
勘違いか?それとも魔獣が通りすぎただけか?…………違うな、これは人の気配だ。
「そこに居るのは分かっている、出てこい!」
しかし、相変わらず辺りは静寂に包まれていた。
?おかしい…いったい何だと…ッ!
既に気配が無く気のせいかと思っていると、一瞬にしてその気配が"俺の真後ろ"まで近付いていた。
「誰だ!?」
振り向くとそこには、逆立った髪を持つ、全身にマントを羽織った男がその場に存在していた。
それはまるで暗殺者…いや"死神"のように。
「………」
「誰だ貴様!」
後ろに飛び上がり一旦距離を取った。
男はその場から動かず、ただにやけていた。ただその場に存在するかのように立っていた。
「…これまでにここまで後ろを許した事はなかったな」
「…そうか、そいつは光栄だな」
やっと口を開いたと思ったら、この男…。
「まぁいい、それで何の用だ?」
「用か…なに、少し遊ぼうぜ」
男は導力銃を構え、こちらに狙いを定めた。
「フッ、銃ごときで俺を倒せると…ッ!?」
突如足に激痛が走った、見てみると足にに矢が刺さっていたのだ。
俺が気がつかずに既に罠を張っていたのか!?。
男はその隙を見逃さず、導力弾を連射してきたが、俺はかわしながら後ろに飛び上がり、一旦距離を取った。
「クッ、…少しはやるようだな」
激痛を堪え足に刺さっている矢を抜き取った。
「ほう…ならお代わりはどうかな?」
今度はなんだ?これ以上罠があるとは思えんが。
辺りを警戒しながら、対応を待ったがまるで来る気配が無い、ただ銃を構えているだけだ。
「逃げられんぞ」
「(導力弾を連射しているが、よけられない訳ではない!、この距離では此方が圧倒的に不利だ、ならば!)」
レイは導力弾の雨を避けながら相手の懐まで接近し、クロスレンジでの戦闘に持ち込もうとしたが
「(やはり銃使いゆえ接近戦は不得意か)」
自分の距離だと思い勝利を確信したのだが
「!?…グッ」
男の抜き手でレイの横腹を突き刺していた。
「お前、俺が唯の銃使いだと錯覚していたのか?、それなら間違えだぜ」
不覚だ、銃だけかと思っていたが、まさか拳法使いだとは、なんとかギリギリで気づき避けることができて致命傷を避けたが、抜き手は見事俺の腹を抉っていた…………それより、今のは"南斗聖拳"!?
「これは南斗聖拳!?…いったい何者だ!…………いや言ったところで口を割らないか、ならば!」
…確かに向こうの世界から俺が来たように、他の奴が来てもおかしくはない、…しかし今の南斗聖拳は…シンに似ていた、いや間違いなくシンの南斗孤鷲拳だ!?…まぁ言い、口を割らせればいいだけだ。
「南斗水鳥拳奥義!朱雀展翔!!」
「(傷が痛み、普段よりスピードは落ちるが、これはよけられまい)」
鋼鉄も切り裂く一撃が男の体を切り裂く筈だが
「!?」
男は俺の両手を抑え受け止めていた。
「…スロー過ぎてあくびが出るぜ」
しかも動かないだと!?距離を取るために離れようとするが、握られた手のクラッチが全く離れる気配が無い、この男俺より体は小さい筈が!?、いくら俺が力を入れても全く動かない。
「なんだ、離して欲しいのか?そら」
男は俺の掴んでいた手ごと強引に俺ごと後ろの木に叩き付けようとしたが
「クッ、」
木に衝突を避け、足で木の側面に着地したが、相手は見逃さず導力弾を打ち込んできた。
だが!
「ほう、今のも躱すか」
なんとか躱す事が出来たが、相手は気にも留めていないようだった。
「(正直やばいな、相手はここまでの達人で、長距離も短距離もどっちでも行ける、こっちは場所が狭く使える技が限られている)」
広く開けた場所なら何とかはなるが、ここは深い森の中、移動するにも相手は許してくれんだろう…「グッ!?」
突如目眩がし、俺は膝から落ちた。
「チッ、やっと毒が回ってきたか、普通の奴なら速攻効くんだがな」
やられた、恐らく最初の矢に毒を塗ってあったのだろう、それにこの出血量、致命傷ではないが浅くはない、…まずいな
しかしすると、足音が聞こえてきた。
「おい!お前たち何をやっている!」
どうやら軍の兵士が音を聞いて来たらしい。
「ッチ、命拾いしたな」
それだけ言い残し、男は再び闇の中へと消えていった。
「おい待て!…いや、それよりこっちが先か…!!酷な、とりあえず止血をして…………と、よし、待っていろ今応援を呼ぶから」
兵士はそう言い残し応援を呼ぶために来た道を戻って行った。
「……………」
俺はそこから記憶が無い、どうやらここで気を失ったようだ。
◇◆◇◆
更に深い森の中、先ほど男が煙草に火を付けて一服していた。
「…ふう、………いるんだろ、レーヴェ」
すると銀の髪をした青年が音も無く現れた。
「…いつから気がついていたのですか?」
「最初からだ、お粗末な気配の殺し方だな」
「…すいません、やはりあなたのようにはまだいかないです」
「ふっ、当然だ」
満足そうに煙草をふかし、男はそういった。
一方銀髪の青年は納得いかない表情であった。
「なんだ不満そうだなレーヴェ?」
「当たり前です…なぜ生かしておくんですか?俺は始末してくれと頼んだのですが…」
「仕方ねえだろ、邪魔がはいったんだからよ」
「あなたならあの兵士ごと、いえ、あの兵士が応援を呼びに行って一人になった時でも、出来た筈ですが」
男は煙草を吸い終わり、地面に捨てて火を足で消した。
「おいおいおい、感動的な再会だぜ、せっかく異国いや異世界か、南斗と北斗の出来なんだぜ、少しくらい同情心が湧いたん…分かったそう睨むな」
銀髪の青年が鋭く眼光を光らせると、男はバツが悪そうに話した。
「はあ…ッチ、…まだまだ伸び代がありそうだから、楽しみじゃねえか、それに殺そうと思えばいつでも殺すことができるだろうしな、だから生かした…これでいいか?」
青年は渋々ではあるが大きく溜め息をつき、納得したようである。
「はあ…そうですか……分かりました」
「なに心配するな、"勝てばいいんだ"たとえどんな手を使ってもな、勝つだけなら簡単だ」
「…分かりました、しかしあなたも大分変わりましたね…
"ジャギさん"」
まさかのジャギ様でした、(これ以上北斗キャラはこの作品には出ません)
なぜレーヴェが敬語なのか?とは色々ありますが、この先でその話も出して行きます!