あとサブタイトルが思いつかない(泣)
できるだけ北斗の拳に近づきたいのですが…
二日目、カーテンから差し込み、眩しく光る朝日を浴び予定時間より早く起き園庭に出て、習慣である鍛錬を行うことにした。
日がよく差すなか園庭を見回すと、誰一人も居ないので、上半身裸になり、元の世界でよく履いていたような膝当てのついた青のズボン一枚になった。
…始めるか。
いつも通り型から入り、動きなどを確認していると視線を感じた、視線の先を見てみると、昨日から世話になっているサラが見惚れているような顔をしてそこにいた。
「サラか、どうした?」
サラは見惚れているような顔から元の顔になり。
「あっ、レイさん朝食の準備が出来ましたので部屋まで迎えに行ったのですがいなくて、探してみたらここにいまして、少し見学していました…とりあえず上着を着て下さい」
とりあえず上を着て部屋に戻り仕事着に着替える事にした。
使用人の食堂にいくとすでに人は少なく、カチャカチャと食器を片付けているメイドが数人目立つ程度であった。
案内され食事を取ろうとすると、目の前にサラが座った。
「?まだ取っていなかったのか?」
「はい、レイさんを探していましたので」
すまない事をしたな、わざわざ時間を潰してまで俺の面倒を見てもらって。
「…すまない、時間を取らせて」
レイは済まなそうに頭を下げた。
「いえ大丈夫ですよ、それに良い物も見れましたから、…なんというかああいうの鍛錬ですか?拳法かなにかの、なんというか…綺麗でした」
物珍しそうに見てはいたが、そこまで見惚れるようなものなのだろうか、ユダも美しいと言ってはいたが。
「…そうか」
「毎朝あんな事をしているのですか?」
「んっ、まあほぼ毎日だな」
サラは関心したように首を縦に振っていたが、思い出したように止めた。
「あっでも庭園で上半身裸になるのはやめて下さいね、女官長に怒られますからね」
「……分かった」
とりあえず食事を終えて食堂を後にし、部屋に戻り基本的な事を教えようと部屋に戻ることにした。
午前中に簡単なシーツの畳み方などを指導し、昼に入る前に園庭に出て休憩でもしないかと言われたので、二人で出ることにした。
太陽が丁度真上に来ていて、陽気な日差しが心地よく、春の暖かさを存分に楽しむ事ができる。
「んっーー風が気持ちがいいですね」
背を伸ばし風を受けながらレイの方向にサラは向いた。
しかしレイは全く違う方向を向いていた。
「どうかしましたか?」
首を傾げて聞いてみると
「いや、あそこにリシャールと…あの男達は誰だ?」
リシャール中佐?とあれは……フィリップさんとデュナン公爵!?
「…………………」
「…………………」
園庭の木陰がある椅子に太ったい男が豪快に笑いながら頷き、リシャールも微笑みながらそれに続き会話をしているなか、初老の黒服の男は終始不安そうな表情であった。
「フィリップさんとデュナン公爵!?」
「デュナン公爵?」
確か、王位継承順第1位に位置する次期国王候補の1人だったか、その男がなぜリシャールと会談を?
「レイさん、ここから離れましょう、私あの人のそばにはいたくありませんので」
サラはいつもの人懐こい顔から若干であるが嫌悪感を顔に出していた。
「…分かった」
離れようとすると少し遅かったようで、どうやらリシャールがこちらに気がついたようで、こちらに向かってきた。
「おや、レイ君じゃないか、どうしてここに?」
レイを見つけ友人に会ったような笑顔になり、こちらに向かってきた。
「…久しぶり……でもないか、リシャール」
「ああ、…それとこの前はお疲れ様」
少し表情を暗くしたが、すぐに元に戻り握手を求めてきた。
レイはとりあえず握手を受け取り、挨拶を交わした。
「それよりレイ君、なぜ君がここに?」
「…女王陛下の依頼?というか、姫の護衛兼任の執事になった、それで今は研修中だ」
リシャールは驚きながらも微笑み肩を叩いてきた。
「そうか、確かに君以上の護衛なんて中々いないだろうな、いいじゃないか、これから道は違うが共に国に尽くして行く同士として私は嬉しいよ」
満開の笑みになり叩くのをやめた…………しかし、その笑みには良くないものをレイは少し感じる事ができた。
「……そうか」
リシャールと話していると、離れた場所にいたはずのデュナンがこちらに向かってきた、呑んでいたのか少し顔が赤く足元が定まっていなかった。
「リシャールよ、一体この者は誰なんだ?一人は唯のメイドのようだが?」
続きながら黒服の執事?らしき老人も付いてきた。
「失礼閣下、私の友人のレイという者です、この度新しく姫殿下の執事に就任したとの事であります」
「ふむそうか、私は次期国王のデュナン公爵じゃ、光栄に思え中々私に名前を覚えてもらう機会などないぞ」
偉そうに笑いながら紹介してきた。
「私は閣下の教育係をしております、執事のフィリップと申します」
黒服のフィリップという執事は腰を低くして丁寧に挨拶をしてきた。
「それでは閣下、私はこのあとレイトン要塞に用事がありますので、失礼させて頂きます」
リシャールはそれだけ言い残し、園庭を後にした。
俺らも部屋に戻ろうとしようとすると、「まて」とデュナンに止められた。
「お前ではなく、そこのメイドよ……ふむ、あまり見ないが……うむ、その方名はなんと申す?」
「…サラと申します」
デュナンはなにか納得した表情になった、サラはレイの服を掴み、後ろに下がった。
「サラか、どうじゃお主、私の専属のメイドにならんか?それなら今夜にでも」
この豚、サラに夜伽をしろと!?
睨みつけ、威圧しようとすると
「殿下!?…白昼堂々と色欲に溺れるなど言語道断!言葉を慎んで下さい!!」
先ほどとはうって変わり憤怒とまではいかないが、表情を強張らせフィリップは叱咤した。
「ふんっ、冗談だ冗談、…行くぞフィリップ!」
不満そうな顔をしデュナンは後にした。
再び元の腰の低い姿に戻り、額に汗をかきながら、フィリップはこちらを向いて謝罪してきた。
「申し訳ございません、レイさんサラさん、閣下には私からよく言っておきますので」
元から低い腰がさらに低く感じる位まで低くなり、深く頭を下げた。
「遅いぞフィリップ!早く来んか!」
フィリップは再びデュナン下に歩き始めてこちらを後にした。
二人がいなくなり、この場はなんとも言えない空気になってしまった、気持ちの良い日差しすら鬱陶しく感じる位まで胸糞が悪い。
「……………」
あんな男が次期国王だと、……だとしたらこの国は終わりだな。
「行くぞ、サラ」
しかし、サラは服を掴んだまま離そうとはしなかった。
「ごめんレイさん……もう少しこのままで居させてください…」
目に涙を浮かべながら、サラは強くレイの服ではなく、腕にしがみ付いてきた。
…無理もないのか?俺はよく分からんが、年頃の娘に対しあんな風に言い寄られては。
…なぜサラがデュナンを毛嫌いしているのがよくわかった。
昼過ぎの風が心地よく吹く中、無言の二人を…サラの涙を流すように吹いてくれた。
「(…それにしても、あのリシャールの表情といい、少し聞こえたが…………クーデターがどうとか、……少し警戒しておくに越した事はないか)」
✳︎グランセルがグランセンになっていましたが、すいません素で間違えて覚えていました、修正しておきます。
レイの聴力ですが、ケンシロウが2km先のヒソヒソ話が聞こえる位なのでこれ位なら聴こえるだろうと思います。