今何か聞こえたような?
「…ここは?」
気がつき、辺りを見回すと森の中にいた。
なぜだ!?俺は確か小屋の中で死んだはずでは?
それになんでこんなにも自然が溢れかえっているのだ!?核の炎に包まれ世界は地獄の荒野のようになりこんなにも樹々が溢れている場所など存在するはずがないのに。
…そして俺の身体がなぜこんなにも軽いのだ!?ラオウに秘孔心血愁を突かれ三日の命となって死んだはずが生きている…。さらに突かれる以前に戻ったように身体に激痛がなく軽い、先ほど傷まで無くなっている。
近くに小川があり自分の顔を確認すると、延命の為にトキに心霊台を突いてもらい白髪になった髪まで元の黒に戻っていた。
「…一体なぜ?」
頭が混乱しながら考えてもみたが、全く見当がつかなかった。
ここにいても仕方がないので近くに村や集落がないか探索することにした。
しばらく歩き続けたがどうやら深い森のなからしい、このご時世ここまで樹々が多く清らかな小川が流れ空気もうまい、こんな場所が存在するのはおかしすぎるが…考えてもわからん。
さらに進むと嗅ぎなれた匂いがしてきた、“何かが燃える匂いだ”、匂いがする方向に向かって行くと、大きな村があったのだが、“村全体が燃えていたのだ”!
「クッ野党か!」
今考えればおかしなことだらけだが、その時は何も考えず村に向かって走るだけだった。
◇◆◇◆
ロレント市
ロレントは戦火の炎に巻き込まれていた。
町の中心に位置する時計台の近くに2人の親子がいる。
母親は娘を抱きかかえ自分の家に避難していた。
「…おかあさん」
娘エステルは聞こえてくる爆撃や銃声そして、悲鳴などで恐怖し身体を震わせながら母親にしがみついていた。
「…大丈夫だよ、エステル」
母親も恐怖で震えそうになっていたが、娘を怖がらせてはいけないと思い必死に堪えていた。
すると、爆音が響き次の瞬間目の前の時計台が崩壊し瓦礫が二人を襲った。
「!!!」
母親は娘をさらに強く抱きしめ庇い、この子だけはと刹那に願った。
しかし、死を覚悟した瞬間に誰かに抱えられその場から飛んだのだ、恐る恐る目を開けると時計台から少し離れた場所まで移動していた。
そして目の前には黒髪の体格の良い一人の青年がいたのだ!
「あぁ…あなたは?」
「…怪我はないか?」
青年は心配そうに訪ねてきた。
「あっ!はい大丈夫で!?」
エステルは!?
「…おかあさん…、お兄ちゃんは誰?」
よかった本当に、それだけで涙が出てきた。
「…それより避難したらどうなんだ?安全な場所まで護衛しよう」
「あっ!はい…おねがします!」
この人は帝国兵でもなさそだろう、私はこの人案内しながら家まで避難することにしたのだが、多くの足音がし前から帝国兵が走ってこちらに向かい、囲まれてしまった。
「いたぞ!殺せ」
そういい銃を構えた。
「…なんだ貴様ら、野党にしては随分出来た格好じゃねえか、女子供ばかり狙う畜生ども」
「なんだ貴様、ロレント市民は皆殺しとの命令なのだ!貴様から殺してやる!」
「…なんだと」
一瞬レイの威圧にびびった兵士だが持ち直し銃を再度構えた。
「もういい、親子共々ころ「外道が」!?」
帝国兵は目の前の事が信じられなかった、目の前の男が腕を振るっただけで部隊長の首が飛んだのだ!
母親は娘に見せないように目を隠しながら自分を目をつむっていた。
帝国兵は恐怖で震えながらも動力銃を男に向けたが!?
「遅い!南斗水鳥拳奥義‼︎湖面遊!」
その場から移動し腕を振るい残りの帝国兵の首を刈った。
数秒後、すでに十人以上いた帝国兵で息をしているものはいなかった。
「おい、急ぐぞ」
「はっはい!」
すぐに母親は我に返って、自分達の家へと向かった。
亀更新になりますが、よろしくお願いします。