英雄伝説 南斗の軌跡   作:61886

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南斗の軌跡 18話 ヨシュアよ!その目に明日を見たか!!

 

 

姉さん、僕は…

…僕は、もう……

 

「…ここは」

 

目を覚ますと見慣れない景色であった、確かカシウス・ブライトを襲撃し失敗して……そうだ!家に連れてかれてそこにはレイ・ブライトも!?

 

すると扉が空く音がし、カシウス・ブライトの息子であるレイ・ブライトが部屋に入ってきた。

 

 

「目を覚ましたか、…どうやら熱は下がったみたいだな」

 

「………」

 

「確かヨシュアと言ったな、俺はレイだ」

 

「…そうですか」

 

「聞きたい事がある、南斗聖拳使いの男を知らないか?」

 

「…知りません、知っていたとしても話しません」

 

 

「…そうか、ならいい」

 

部屋を出ようとすると

 

 

「待って下さい、なぜ追求しないのですか!?」

 

「…別に話したくなったら話せばいい、あとで朝食を持ってくる」

 

それだけ言い残し扉を閉めた。

 

「くっ、揃いも揃ってお人好しか!?」

 

まだ痛む足を叩いた。

 

◇◆◇◆

 

うなされていたが……大丈夫だろうか…

「…姉さん…か」

 

 

◇◆◇◆

 

今日はカシウス・ブライトは仕事に出かけ、妻であるレナ・ブライトは何処かに出かけたようだ。

 

しかし、娘であるエステルとレイに監視されるように、庭にある川まで連れてかれ釣りをすることになった。

 

「はあ〜、レイ兄この釣りざお軽くて使いやすいね!」

 

 

「そうか、喜んでもらえて何よりだ」

 

「………」

 

レーヴェ、今頃何をしているのだろうか…

 

◇◆◇◆

 

もしかしたらこの少年を追跡して来ると思っていたが、…どうやら来ないのか?

いや、それとも時期を見ているのか?

 

ヨシュアとエステルの護衛を兼ねて共にいるのだが、どうやら杞憂かもしれないな、まだ安心はできないのだが。

しばらくの間親父と相談し、俺と親父で交互に監視もと言い護衛する事にしたのだが、昨日からそれらしい動きもなく、ヨシュアは静かにしていた。

用無しと判断されたのか?

それならばそれに越したことはない、ヨシュアには悪いがそれならば普通に生活させられる事ができる。

 

「レイ兄!かかった!」

 

 

「ん、分かった」

 

願わくばこの時間が続くといい。

 

◇◆◇◆

 

ん〜なんか元気がないなヨシュア…

 

 

 

「…どうした?何か言いたそうな顔だが?」

 

 

「…別にありません、しいて言えばお人好しだと…」

 

 

「フッ、そうかもな」

 

「…………」

 

 

「とりあえず怪我が治るまでは嫌でもいてもらうぞ」

 

 

「…分かりました、一つだけ僕は何か言ってましたか?」

 

「…さあな」

 

「そう、ですか…」

 

「ねえ、ヨシュアも一緒に遊ぼうよ」

 

 

「………?」

 

「あ、でもヨシュアは足を怪我してるからまだ走れないかぁ…」

 

「…………」

 

「遊びたいなら一人かそこの人と遊べばいい、僕には近づかない方が良い、…ここもすぐに危険になるだろうから」

 

顔を反対に向けてエステルを拒絶した。

 

「へっ……」

 

「手当には感謝しているよ、世話になったね」

 

「…………駄目だよそんな顔しちゃ」

 

「ぇ………………」

 

予想外の答えが返ってきたようで、少々間抜けな声が出たようだ。

 

「元気がないときは好きな事をするのが一番だよ!…ちょっと待ってて!レイ兄ちょっと出かけてくるね!」

 

「…あまり遠くに行くなよ」

 

「うん!」

 

エステルは沢から離れ森の方へ向かって走って行った。

 

 

二人きりなり、おそらくヨシュアが考えてあるだろうと思う事を口にした

 

「…追手のことか?」

 

 

「!?………ここが見つかるまで2.3日だと思いますよ…」

 

「フッ、俺と親父を相手にできる程のか?」

 

 

「……………」

 

再び下を向き何か考えているように俯いた。

 

 

「ヨシュア〜!」

 

「ほらこれあげるから元気出しなさい!」

 

エステルはダンゴムシを差し出した。

 

「(………意味が分からない…)」

 

しかしヨシュアの表情は動く事はなかった。

 

「ね、かわいいでしょ?」

 

 

エステル…少し無理がないか…

 

 

「…いらないよ、それともう近寄るな」

 

明らかな拒絶だった、しかし

 

 

「むう、この虫は好きじゃなかったか」

 

エステルはダンゴムシを気に入らないだけだと解釈した。

 

「…いや、そうじゃなくて……」

 

「そうか、それならこれは!?オニヤンマ!」

 

掛けていたケースからエステルの顔位まであるトンボをだした。

 

「…だから、いらないって…」

 

 

「ならこれ、絶対これなら気に入るよ!、マルガオオトカゲ!」

 

しかしとうとう、目も合わせてくれなくなってしまった。

 

「…あのさ、僕は虫がどうこうって意味じゃなくて…」

 

「くうううう…………どんなのがいいの?」

 

「………虫はいらない」

 

 

「ガーン!!」

 

地面に手を付いて本気で落ち込んでしまったようだ、しかし再び立ち上がり

 

「…よし、待ってろ」

 

再び森の方へ向かって走って行った。

 

 

「なんなんだあの子は……虫が好きなのか?」

 

「励ましてやっているんだエステルらしく」

 

「…そうですか」

 

その後も何度か持ってきたが、心は動く事はなかった。

 

◇◆◇◆

 

その後釣りをしようと言い出し、再び釣りを再開し始め、ご飯を頑張って釣ると言い出した。

 

 

「むう、小さい、これはおとーさんのだな、あのふりょーオヤジどーせ遊び歩いてるんだし、当然よね!」

 

…不憫だな親父

 

「!えっ………」

 

ヨシュアは何か驚いたようだ、もしかして親父の事か?…基本的に家ではこうだぞ。

 

そんな事もあり、一日が過ぎようとしていた。

 

5日後

 

どうやら追手は来ないようか?杞憂ならそれに越したことはないのだが…ん、外を見てみるとヨシュアとエステルがじゃれあっているようだ、………まあ大丈夫か。

 

その晩玄関からヨシュアが親父と話しているところを目撃した、すると部屋に戻っていった。

 

…何をしたいか。

 

◇◆◇◆

 

 

二週間が経過しようとしていた、休みをわざわざ伸ばしてもらい撃退に備えたのだが、…どうやら大丈夫そうだな。

 

明後日俺も仕事に戻らなくてはならないのだが………

 

昨日はヨシュアと何処かに遊びに行き、今日はエステル一人で何処かに出かけたようであった。

 

部屋に戻るとヨシュアの姿はなく、代わりに手紙が置いてあった。

一言「お世話になりましたと」

 

あのバカ!?

 

俺はすぐさま家を飛び出し探しに森の方へ行ってみたが心配は必要なかった。

 

そこに居たのはエステルと微笑んでいたヨシュアがいた。

 

 

「………」

 

俺はそれを見て、部屋に置いてある手紙を破り捨て二人が帰って来るのを待っていた。

 

こうしてヨシュアは本当の意味で家族になった、エステルと言う太陽を見つけて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




原作では数週間ヨシュアは怪我をしていましたが、都合上二週間とさせて頂きました、すいません

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