サラに休日は空けとけと言われ、再び俺は門の前に立っていた。
今日はユリアが一日中付きっ切りでクローゼの面倒を見ることになり、俺とサラは休暇を貰い、サラと待ち合わせしているのだが……………如何せん遅い。
「(ん、来たか………横にいるのは誰だ?)」
横にはエステルと同い年だろうと思われる少女がいた。
「ごめんねレイ遅くなって、この子迎えに行ってたら遅くなっちゃって、てへ!」
サラは満面の笑みで自分が可愛いと思うポーズを取った。
その姿はまさしく………いややめよう、これで同い年…か。
「………………」
…何も言う事はない、そんな視線を送り空を眺めた、………今日はいい天気だ。
「待って!レイ!!分かった分かったから!!」
……一体何を分かったのだろう、しかしながら横にいる少女はまるで可愛いものを見た時のサラのようにうっとりしていた。
「あ〜可愛いよ〜サラちゃん、お持ち帰りしたい!」
…………なんと言うか…憂鬱だ。
サラに紹介してもらったが、この娘が話によく出てきたアネラスと言う弟子みたいな娘で、文字通りサラの影響で"可愛い物には目がない"とのことであった。
「そうか、俺はレイだ…」
「あっ!はいよろしくお願いします」
元気良く明るく天真爛漫という言葉が良く似合う、そんな印象であった。
なんでもボースに住んでいるのだが、家族で旅行するついでに仲の良いサラと一緒に街を周りたいと言う事で両親に許しを貰い夕方まで遊ぶ事になったそうだ。
元々面識があり、迎えに行くついでに挨拶を済ませてから来たため、遅くなったそうだ。
…ならしかたあるまい
「それでアネラスちゃん最初に何処に行きたい?」
「可愛い物が売ってある所に連れてって!」
……俺いらなくないか?
仕方なくついて行きサラご用達のエーデル百貨店のぬいぐるみ広場に行くことになり、再び俺はなんとも言えない状況に置かれる事になった。
「可愛いよ〜サラちゃんこっちのクマさんどう?」
「むむ!中々お目が高いですな〜、しかし!このウサギさんの可愛さは殺人級ですぞ!」
「あ〜♡」
…サラ、お前どうした?キャラ変わり過ぎだろ……いやそれが素か、それと周りの視線が……
想像してほしい、可愛いぬいぐるみが置かれている売り場で180cmを超え100kgもある、かつて大悪党のツラとも呼ばれた事もある男が柱に寄っ掛かり腕を組んで立っているのだ、結論誰も怖くて近づけなく売り場には二人の楽しそうな少女と一人の大男のみとなっており、遠目からヒソヒソと怖いだとか話す声がレイの心を蝕んでいた。
……そんなに怖いか…俺
サラとアネラスは満足そうに会計を済ませてようやくこの場から立ち去る事が出来そうだと思っていたが、移動し今度は小物を見に行くと言い出した。
…………どの世界でも女の買い物は長いな
ようやく買い物を終え、エーデル百貨店を出て、近くにあるサラと以前行ったアイスクリームが売ってある売店まで行き、レイは三人分のアイスを買い近くのベンチに腰掛ける事になった。
「ありがとうレイ〜!」
「あっ、ありがとうございますレイさん、頂きます!」
アイスを食べながら二人は戦利品を自慢し終え、話の矛先が俺とサラにに向けられた。
「そういえばサラちゃん、レイさんって彼氏なの?」
「ぶっ!?」
「なっ!?………それは「違うよ!アネラスちゃん!」…」
食い気味にサラが否定するとアネラスは首を傾げて
「え〜でもサラちゃんがレイさんの事を話しているt「違うから!ち が う!」そっ、そう…」
不満そうな顔になり
「まあ、そう言う事にしておくよ〜」
サラの顔は真っ赤になり効果音がつくものなら(ぷしゅ〜)とも着いていそうな状態になっていた。
日が傾き始めた頃、サラがようやく収まりこの場を離れようとすると、下品な男が前に現れた、この前居酒屋で会ったチンピラのリーダーのようだ。
「ようやく見つけたぜ〜色男君よ、この前は世話になったな!全裸になって巡回していた兵士に見つかってえらい目に合ったんだ、この落とし前どう付けてくれるんだ!」
威嚇するように懐からナイフを取り出した。
サラは前の事もあり、そこまで怯えていなかったが、アネラスは怯えてレイの服を掴んで後ろに隠れるように下がった。
「…お前バカなのか?こんな所でナイフなんか取り出して…すぐに兵士が来るぞ、それにこの前も同じ状況で突っかかり跪いたと言うのに…」
「黙れ!!外野はどうでもいいからてめーだけは殺してやる!!」
周りはいきなりチンピラが刃物を出したと言う事もあり、蜂の巣をつついたように逃げて行った。
「死ねー!!」
「フッ、ならばもう一度」
手にナイフを持ち走って向かって来た男に対し、レイは唯腕を振るった、すると今度はナイフや衣服だけでは無く髪迄も綺麗に切り刻まれ、すぐさま跪き蹴りを食らわせると、「なっ!?なぜ………」とだけ言い残し目の前で気を失ってしまい、そこには見るも無残な姿変わり果てていた。
「俺の動きは人間では捕らえる事は出来ん!覚えておけ!!」
その後兵士に男を突き出し礼を受け、アネラスをホテルまで送ることにした。
アネラスは先ほどからレイの手を握り歩いていた。
無理も無いか…
「すまない…巻き込んでしまって…」
「いえ!大丈夫です……確かに少し怖かったですけどレイさんが倒してくれましたし…それにかっこよかったです!」
「…そうか、すまない」
移動しながら会話していたのだが、トラウマにならなそうで何よりだ。
ホテルに着くと、アネラスの両親に感謝され別れ去ろうと、こちらに向かい
「サラちゃん遅いと私が奪っちゃうからね〜」
大声で俺達の方へ向かい叫んだ。
「なっ!バカ!!」
再びサラはうつむき顔を真っ赤にした。
「いっ、行こうレイ///」
「…あっ、ああ」
二人はその場を後にした。
◇◆◇◆
その後ボースに帰ったアネラスは
「お爺ちゃん!剣を教えて!!」
「なっなんじゃアネラスや!?」
祖父であるユン・カーファイに剣術の指導をお願いしていた。
「(私もレイさんのように強くなりたい!そしていつか…)」
またまたフラグを立てましたねこの旗男!
でもエステル達が16の頃にはレイは………考えるのを辞めましょう。