…………………
「このおれの怒りだ!!」
ケンシロウの拳がジャギの顔面に突き刺さり、後ろに突き飛ばされ壁であったもの、柱であったものごとジャギは叩きつけられ最後のカウントダウンが始まろうとしていた。
「あと数秒で貴様の肉体は地上から消え失せる…終わりだ!!」
「終わりだと バカめぇ〜 これが貴様の地獄行きの旅のはじまりだあ!!」
徐々に体の崩壊が始まろうとしていた、そして
ボゴオッ!!
唯の肉塊に変わり果てた姿のみがこの世に残る事となってしまった。
◇◆◇◆
…………俺はいつ、ドコで間違えた……。アンナ…………親父………
………親父、あんたの思い通りになってるぜ、………ケンシロウは………大層感激だろ………
因果応報………よくできた言葉である。
最愛の女を亡くし、仇を取ったが虚しくも無意味で終わってしまい、そして伝承者の資格を義理の弟に奪われ返り討ちに遭い顔に酷い、いや醜い傷を負わされた、
性格は捻じ曲がり、その後はただひたすら弟を憎み弟の名前を名乗り考え付く限りの悪事を働いてきたものであったのだが、現実は残酷にもその弟により存在をこの世から消されてしまった。
彼もまた世紀末の時代の被害者なのかも知れない。
しかし、………因果応報であった。
だが!!
………ん、死んだはずだが…………何故意識が…………
そうか………ここが地獄か…………
目を開けて地獄の光景でも拝んで見ようと見てみると、あたり一面が木々で覆われている森の様な光景が目に飛び込み、地獄とはかけ離れているような景色であった。
「ん?地獄ってのはこんなにもぬるいとこなのか?」
第一印象は戦争前の世界での北斗の寺院の裏の森に近いような、景色であった。
「……いや、違うな………しかし」
とりあえず自分自身の五体を確認して見ることにした、ケンシロウにより肉塊に変わり果てた姿は跡形もなく、元の姿に戻っており何より顔のボルトすら一切なくなっており醜く腫れた姿は跡形も無くなっており、元のケンシロウにやられる前の姿に戻っていた。
「…一体どうなってやがる………」
地獄ではない事が分かり、とりあえず辺り周辺を探索し歩いていると、開けた場所に出ることが出来た、見渡しのいい場所で遠くまで見渡す事が出来、辺りを見渡すと近くに村があることが確認できたが、行くのは無理そうだ。
その村は既に野盗らしき団体により制圧されており、逃げゆく人々は次々と殺されていった。
「あん………何だぁ、あの野盗共は?何処の勢力だ?」
「(拳王軍か?聖帝軍か?いや……そもそもまずここは俺のいた世界なのか?)」
その事を考えていると、二人の女子供が村から出て避難していると思われる所が見えた。
「ん、………逃げられんのか?………どうでもいいが、それより、…………何故俺もあんな事して楽しかったんだ?」
客観的に見てみるとこんなにも違うものなのか?自分は更に救い様のない悪事を行ってきたものだが………
っと、どうやら逃げ切れなかったようだな、野盗に回り込まれてら。
幾分か死んだせいで憑き物が落ちているのか?
女はガキを抱え走り逃げていたが、とうとう追いつかれたようで…いやありゃ待ち伏せ臭えな、真っ青になってふるえてら、ガキは……よくわかんね〜な。
おっと男が女にのしかかって……………
おい、嫌なもん思い出させやがって。
アンナの最後の姿が、瞬時に脳内にフラッシュバックされてきた。
ただ、次の瞬間にガキの放った銃弾が男の体を撃ち抜いたが、逆上した男は持ってきた刃物でガキを殺そうとしたようだが、女が庇い刃物は女を突き刺さようであった。
そこから一瞬記憶が無くなり、気がつくとその男が目の前に現れてきた。
◇◆◇◆
………くそ!ちくしょう…いてー、殺してやる…殺してやる!このガキ!!
女を犯そうとしたがガキに邪魔されて、撃たれたせいで糞いてえ!
「…殺してやる、覚悟しろよ……ん?」
ガサガサと藪を進む音がし、振り向くと奇抜な棘の鎧を着た男がそこに突っ立っていた。
「てめぇ、なんだ?」
「おい、てめえ嫌なもん思い出させやがってやがって……」
なんだこいつ?村の生き残りか?……まあいいこいつも殺してやる!
「まあいいてめ「北斗千手殺!」」
そこから男の意識は無くなった。
…………
「クソッ、…胸糞ワリィ」
すると体力の足音が聞こえてきたが、こいつの仲間か?
黒装束の数人の男共がジャギを囲うようにして銃を構えて現れた。
「貴様!何者だ!?」
「あんっ?」
マスクのせいで表情は分からないが、おおよそ仲間がやられて相当苛立っているようだな…まぁイイ。
「答えろ!貴様「おいお前ら、…俺の名を言ってみろ!」…はあ?」
「(おおよそ頭がトチ狂った馬鹿なのだろう、気にすることなどない!?)」
「しるか、貴様らなんぞ!!」
一人の男がそう言うと、棘の鎧を着た男は不気味に笑い
「そうかお前ぇら死にたいのか…」
腰を落とし、手のひらを相手に向けて手を前に突き出し、構えた!
「北斗羅漢撃!」
猟兵達は構えの意味は分からなかったのだが、何かを察して銃を構えたのだが………全てが遅かった。
「速い突きがかわせるかーっ!」
体ごと相手に向かい目にも止まらない突きで、幾らか丈夫に鍛えてある猟兵とはいえ、次々と命は消えていった。
「俺の名は……ジャギ様だ……ッてもう聞こえてねえか…」
真っ赤な血に染まりジャギは不敵に笑った。
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