英雄伝説 南斗の軌跡   作:61886

30 / 34
どーもー、この前友人とバーベキューしていて酔っ払って川で転び足の指にひびが入った作者です。


✳︎作者は20を超えています。


それではどうぞ!


南斗の軌跡 22話 不穏な足音が聞こえる!レイよお前はどうする!!

 

 

辺り一面が夕焼けに染まった頃、ロレント上空から一つの定期船が降りてきた。

 

 

乗り場から観光を終えただろう家族連れ、契約を取れて一安心している商人、様々な人々がいる中レイの姿を確認することができた。

 

 

 

「ふう、変わらないな…ここは」

 

 

四年間休暇を貰う度にロレントに帰省し、同じ道を歩き家まで帰っているのだが、多少の変わり用はあるものの殆ど変わりなく時間が緩やかに過ぎ、古き良き街並みが目に映る。

 

 

「…しかし」

 

 

街は変わらずとも、人々は変わっていくものであろうか、

 

ギルドの受付嬢はアイナという女になり、子供の人数が気持ち増えた気がする。

 

 

そんな事を考える辺りレイ自身も年をとったのだろう、この世界に来て九年 年齢は既に28を迎えていた。

 

 

 

九年前、突如世紀末の世界で命を燃やし、この世界に来て最初に訪れた街ロレントこそ…今や故郷になりつつあると、想像出来ただろうか?

…通い慣れた空港から自宅へ向かう道をその事を考えながら、歩く足取りはいささか軽かった。

 

 

◇◆◇◆

 

 

しばらく森の中を進むと家が見えてきた、この九年間レイ自信が家族になり、ヨシュアという弟が出来ても、家自身は変わりなく暖かく家族を迎えてくれる…そんな感じが身に沁みる。

 

「ただいま…」

 

 

「あら!レイ、おかえりなさい…」

 

 

母さんは変わらずに、俺の帰りを笑顔で迎えてくれた。

 

「エステルとヨシュアは?」

 

 

「二人なら今頃シェラちゃんにたっぷりと扱かれていると思うわよ」

 

ふふふと笑いながらも夕食の準備をしながら答えてくれた。

 

「あっ、レイ 今日シェラちゃんとアイナさんが家に来るって、もしレイに会ったらよろしくだって!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なに!?

 

 

あの二人か………今日は休める気がせんな。

 

 

「分かった…」

 

 

その言葉を聞いただけでレイの体に重圧が一気にのしかかってきた。

 

 

3年前、シェラとは過去にイザコザはあったものの和解し、呑むまでの仲になったものの……あいつには勝てる気がせん、そして酒癖の悪さ……呑む事自体が拷問だ、さらにシェラの比ではないアイナまで………憂鬱だ。

 

 

 

あの二人に飲み比べで勝てる者など……存在するのだろうか?

 

 

少し時間が経つと玄関が勢い良く飽き、エステルとヨシュアの姿が目に入ってきた。

 

 

「たっだいま〜、お母さんお腹減った…………レイ兄!!おっかえり〜」

 

「ただいま母さん、それとレイ兄さん、今日帰ってきたのですね」

 

この数年間でヨシュアも大分落ち着き、笑顔を見せるようになるまでに表情が豊かになり、俺を兄と慕ってくれている。

 

 

「いや、俺も今帰って来た所だ……エステル、シェラとアイナは?」

 

「ん!、なんでも今日レイ兄が帰って来るって父さんから聞いて買い出しに行ってから来るって!」

 

 

 

買い出しに…か、まずいな

 

 

 

嫌な予感しかせん

 

 

 

 

その後手に持ちきれない程のボトルを笑顔で持ってきて、ひたすら空いた俺のグラスに酒を注ぎ、ヨシュアに絡み笑顔で呑むのを催促するし、抱きつくなどの姿は………………まさに悪魔だな。

 

 

 

 

「ほ〜らレイ、グラス空いてるわよ♡」

 

 

 

「…勘弁してくれ、これ何杯目だ」

 

 

 

「あっ、シェラ私もお願い!」

 

 

「ほら、アイナみたいなか弱い女の子が次のボトルに行こうとしてるのに、あんたそれでも男?」

 

 

 

…訂正だ、悪魔よりも悪魔らしい。

 

 

そして親父、まさか逃げたか?

親父がいれば被害がこんなにもないはずだが…

 

 

過去、ラオウと対峙し戦った時ですらここまでの酷い疲労感は感じなかっただろう…

 

 

…意味は違うが。

 

 

しばらく付き合い吞んでいると満足したようで、「まあ勘弁してあげるわ」といいお開きになり、二人とも居間に横になり、いつの間にか眠ってしまっていた。

 

 

「…静かにしていれば二人ともいい女なのだがな」

 

 

そっと、寝ている二人に掛け布団を掛けて外の空気を吸いに部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…バカ」

 

 

そっとシェラザードは寝返りレイが出て行った反対側を向き直した。

 

 

◇◆◇◆

 

 

「ふう…久しぶりに今日は酔い潰れなかったな」

 

 

今までに何度か酔いつぶれ、幾度となく気がつくと朝を迎えていたことか、

 

「ん!」

 

 

足音が街へと向かう道からして来たと思い振り向くと、親父が帰って来たようだ。

 

 

 

「おう、レイか」

 

 

「親父、まさか俺を生贄に使ったか?」

 

 

「!」

 

 

レイの一言で親父の目が泳ぎ、少し動揺し始めた。

 

 

「さ、さてな…それよりレイ!お前はすぐにここを出発するのか?」

 

 

 

…話をすり替えるの下手すぎだ。

まあいいか

 

 

「ああ、少ししたらまた旅に出る」

 

 

「ふむ…レイ、少し待って貰えないだろうか?」

 

 

「…どういう事だ?」

 

 

先ほど迄とは違い、親父の顔は真剣そのものであり、何か事情があるのだろうか…

 

 

「うむ…実はな、このところ各地 それも軍絡みで不穏な動きが見られるのだが、そして前にお前が言っていたリシャールの言動…もしかすると、いや間違いなくこのリベールを揺るがす大きな事件が起こる、その時に私は他国にいていないかもしれん」

 

 

「ふむ…」

 

 

確かに親父程の遊撃士だ、他国に数日程滞在するなど、頻繁にある事だからな。

 

 

「その時に、もしリベールを脅かす何かが起こるとしたら…もしエステル ヨシュア レナが…」

 

 

「…………」

 

 

「だから頼む!その時に、私と共に守ってくれ…レイ、お前の母を、兄妹を…いや私達の家族を」

 

 

頭を下げて必死に説得してきた。

 

無理も無い、一度親父は失い掛けているのだ。

 

 

 

答えは決まった。

 

 

「頭を上げてくれ親父、分かった」

 

 

 

「そうか!…頼んだ」

 

 

しかし、それまで何をしているか…

 

 

「それでだレイよ一つ頼みがあるのだが」

 

 

◇◆◇◆

 

翌朝エステルとヨシュアはいつもどうり指定された時間にギルド迄行きドアを元気良く開けた。

 

 

 

「おっはよーシェラ姉!アイナさん!」

 

 

「エステル強いよ、おはようございますシェラ姉さんアイナさん」

 

 

すると目の前にはいつもどうりシェラとアイナの姿が見えたのだが、何時もはいないレイの姿まで確認できた。

 

「あれ?レイ兄どうしたの?」

 

「…実は今日からシェラと親父は仕事でしばらく離れるそうでな、代わりに俺が鍛えてやってくれと親父から言われてな」

 

 

昨日の夜、親父からしばらくの間二人を鍛えてくれと、遊撃士の『協力員』という立場で二人を鍛える事になった。

 

 

「えっ!?レイ兄が…な〜んだ、それなら家で言ってくれればいいのに〜」

 

 

「まあ、きにするな」

 

 

 

そしてこの期間で、出来るだけこれからに備え、二人を強くしたいという思いもある。

 

 

 

「ふふふ、でもいっつもシェラ姉のスパルタな訓練に着いて行ってるからね〜、レイ兄着いて行けるの〜?」

 

 

 

「……………」

 

 

 

…訂正だ、こいつらに井の中の蛙と言う事も教えてやるか。

 

 

 

「あの鬼教官のシェラ姉に敵わないまでも鍛えてねレイ兄」

 

 

ヨシュアとシェラは俺の纏う何かを察したようでエステルを止めに掛かろうとするものの足が動かないようで、冷や汗をかきながらただただ佇んでいた。

 

 

 

「…いいだろう、望みを叶えてやろう」

 

 

察したようで、シェラはただ手を合わせて聞こえないように、「御愁傷様」と言っていた。

 

 

…さてなにから始めるか。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

一ヶ月後、仕事から帰ってきたシェラザードに泣きながら「シェラ姉って本当に優しかったんだね」とシェラザードのありがたさをよく知ったエステルとヨシュアの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 




「レイ…あなた何をしたの?」


「ん、なに俺が過去に受けていた鍛錬をしてやっただけさ、

あ〜

大体俺が12歳位の時のな」


「…あの二人とあんたと一緒にしないでよ」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。