ウマが合うからいつも一緒   作:あとん

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アニバーサリー記念でテンションが上がって書き上げました。

オグリキャップの話になります。

ゲームともシンデレラグレイとも違う世界観ですが、よろしくお願いします。

ちなみに今回はいつもと文章構成が違います。


オグリキャップ物語 1

 ――皆さん、グラスワンダーです。

 これからお話しますのは、私の先輩。つまりチーム・アンタレスのウマ娘・オグリキャップ先輩の話でございます。

 先輩が、今より少しだけ若い頃の話なんです。

 ご存じの方も多いでしょうが、オグリ先輩の人気は凄かったんですよ。

 芦毛の怪物なんて言われて、どこへ向かってもファンも方々が着いて回って、あっちを向けばキャー、こっちを向けばキャー。

 本当にスターだったんですよ。

 マルゼン先輩やタマ先輩も、オグリ先輩の人気には霞んでしまうんです。

 私もチームレースでよくご一緒しましたが、素晴らしい華で……先輩が表に立つだけで周りの人が皆、歓声を上げるのです。

 シンプルですけど、格好いい勝負服を身につけて……美しい芦毛の髪を靡かせて・・・・・・

 ああそういえば、オグりんなんて愛称もありましたね。女性のファンがよく使っていて、本人も満更では無いようでした。

 ・・・・・・え、いつ頃の話かですって?

 それはですね、我がチーム・アンタレスが五人揃って復活する、ずっと前の話なのです――

 

 ビルの建ち並ぶ首都の街並。

 皆が皆、何かに向かって進んでいる中、一人。とある喫茶店の前でじっと佇んでいる長身のウマ娘がいた。

 

「…………」

 

 美しい芦毛の髪を靡かせながら、帽子とサングラスで顔を隠した少女は、口から涎を流しながら硝子の向こうを見つめている。

 その視線の先にはパンケーキセット。

 小麦色の生地の上に真っ白なホイップクリームが大盛りで乗せられている。

 

「おい、何こんな所で突っ立っとんや」

 

 その少女の背中を力強く、小さな少女が叩いた。

 ずっとショーケースを眺めていた少女は、そこでふっと振り向いた。

 

「タマじゃないか。一体どうしたんだ、こんな場所で」

 

「それはこっちの台詞や。何こんな街のど真ん中で立ち止まっとんや」

 

「それは……、な」

 

「……上手そうなパンケーキやな。ちょうどええ。ウチ、小腹が空いたとこやったんや。オグリ、同室のよしみで付き合えや」

 

「っ……いいのか、タマ?」

 

「いいも何もウチが誘っとんや。ほら、さっそいくで。ウチはパンケーキ食べたいのは山々なんやけど……」

 

 そこまで言ってタマはオグリの顔を見上げた。

 

「ウチじゃ食い切れん。だからオグリ、余ったもんを食べてくれんか?」

 

「……本当か?」

 

「当たり前や! ほら、着いてき!」

 

 タマに背中を押され、オグリキャップは店の先に入っていった。

 まだ都会になれていない彼女にとっては、こういった洒落た場所はまだまだ慣れなかったのだ。

 席に座り、注文してから程なくしてパンケーキと紅茶のセットが運ばれてきた。

 

「わぁ……」

 

 オグリは顔を子供のように輝かせると、大きく口を開けると一口でパクリとクリームがたっぷり乗ったケーキを平らげた。

 

「ああ……美味しいな」

 

「全く、そんな食べたいなら、さっさと店に入ればよかったやろ」

 

「うん・・・・・・そう思ってはいるんだが・・・・・・」

 

「まだ都会に慣れんのか?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 オグリは追加のパンケーキを頬張りながらコクンと頷いた。

 

「あんなぁ・・・・・・今を煌めくスターウマ娘がそんな弱気なこと言ってどうすんねん。もっと堂々としぃや!」

 

「わかってはいるんだが・・・・・・ああ、美味しい」

 

「・・・・・・ほんまマイペースやなぁ・・・・・・」

 

 ハムスターのように頬をパンパンに膨らませながら、パンケーキを次々と平らげていくオグリにタマも苦笑しながら紅茶を啜る。

 

「・・・・・・そういえば、もう決まったんか?」

 

「ん、何がだ?」

 

「チームとトレーナーや。まだ決めて無いんやろ?」 

 

 もぐもぐ、ごっくん。残っていたパンケーキを飲み込むとオグリはああ・・・・・・といった感じで頷いた。

 

「興味なしかいな。言っとくけどな、ホントはどっかのチームに入るか専属のトレーナーがおらんとレースに出れんのやぞ! 今、オグリがレースに出走出来てんのは編入生の特別ルールだからやで?」

 

「そうなのか・・・・・・」

 

「あーもう、お前はホンマに・・・・・・ちょっと前もダービー出れんかったばっかりやろ!」

 

 ダービー。その単語を聞いた。オグリは耳をしゅんと下げた。

 

「日本ダービー、出たかったな・・・・・・」

 

「クラシック登録しとらんかったんやししゃーない。むしろあんだけ世間が動いたんやから、凄いもんや」

 

 空になったカップを置くとタマはオグリの方を真っ直ぐ見て言った。

 

「やけど、トレーナーを見つけんかったらクラシックどころか、中央のレースに一つも出れんくなる。はよ見つけた方がいいで。学園は待ってくれん。それに、勧誘はいっぱい来とんやろ?」

 

「ああ・・・・・・それはありがたいことなのだが・・・・・・」

 

「だが?」

 

「これと思える人がいないんだ。誘ってくれる皆には悪いと思うのだが・・・・・・」

 

「・・・・・・まあしゃーない。トレーナーってヤツは、ウマ娘にとって一生の問題やからな。妥協したらアカン。慎重に決めんとな。でも急いだ方がええで」

 

「ああ・・・・・・そういえばタマのトレーナーはいい人だな」

 

「っ・・・・・・」

 

「色んなトレーナーの人達に会ってきたが、タマのトレーナーは何というか・・・・・・他と違う気がするんだ」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「なぁ、タマ。良かったら同じチームで・・・・・・」

 

「アカン! それはアカン!」

 

 突然声を荒らげて立ち上がったタマに、オグリは目をまん丸にして

 

「あ、いや・・・・・・オグリのことが嫌って訳やないで。トレーナーもきっとオグリが入るのは喜んでくれると思う」

 

「それなら・・・・・・」

 

「でも駄目なんや。今のウチのチームじゃ駄目なんや。オグリほどのスターが・・・・・・」

 

 そこまで言ったタマは頭をガリガリと掻きむしって、どっかりと腰を座席に戻したのだった。

 

 ――当時、若きタマ先輩は仲の良いオグリ先輩をチームに誘うか誘わないかでとても悩んでいたそうです。

 この年といえばURAファイナルズとアオハル杯が完全に一般市民にも定着し、後の第二次ウマ娘ブームが始まった時代でもありました。

 クラシック級だけでも皐月賞に勝ったヤエノムテキ先輩に日本ダービーを制したサクラチヨノオー先輩。函館記念で未だに破られぬレコードを持つディクタストライカ先輩に、菊花賞に優勝し後にオグリ先輩やイナリ先輩と共に讃えられるスーパークリーク先輩・・・・・・と粒ぞろい。

 まさにトレセン学園の黄金時代の始まりであった訳です。

 その中でも一際、光り輝いていたのがこのオグリキャップ先輩と、1年早くデビューしたタマモクロス先輩だったのは間違いないでしょう。

 何せ二人とも走らないと言われてきた芦毛で地方出身という共通点。

 しかしそれ以外は真逆の真逆。小柄なタマ先輩と比べ、背の高く健康的な肢体のオグリ先輩。少食のタマ先輩に対し、健啖家のオグリ先輩。性格も元気で騒がしいタマ先輩に、マイペースで口数の少ないオグリ先輩。

 似ているようで何もかも違うこの二人が重賞を勝ち続けるのですから、注目されないわけがありません。

 しかもこの二人が後に同じチームになり、何度も重賞で激突するなんて誰も知るよしは無かったわけです――




グラスの語りは某ドラマのパク・・・・・・オマージュです。

時系列がおかしいのは申し訳ありません・・・・・・

今後、展開について

  • 基本的にコメディで、時々シリアス
  • 基本的にシリアスで、時々コメディ
  • シリアスは無い方がいい
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