ウマが合うからいつも一緒   作:あとん

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水着スペちゃん、マルゼンで100連爆死しました。

星3すらほとんど出なかったよ・・・・・・

ライスとかブルボンとか出てもよかったのに・・・・・・


ハルウララ、初陣!

 ハルウララが我がチームに加入して、一週間が経とうとしていた。彼女が入ったことでようやく規定である五人のウマ娘を揃えたチーム・アンタレスは学園から存続が許され、晴れて復活したのである。

だがここで終わりではない。

今まで俺の我が儘を許してくれた理事長とたづなさんのためにも、アンタレスをまた一流のチームに建て直す。それが俺の新しい目標の1つであった。

幸いにも俺のチームにいるウマ娘は、転校して間もないウララを除けば、それなりにレースで結果を残している娘ばかりだ。なので俺は新メンバーであるウララの練習に力を入れている。しかしウララは俺の予想してた以上に、個性的なウマ娘だった。

「ふぇええ~っ!」

 

中等部のグラウンドで両手を前に突き出し、必死で走っているのは件のウララである。この滅茶苦茶な走りが、彼女の走法であった。当然、こんな走り方では速く走ることなど無理な話である。

 俺はまず、ウララに基本的な走り方を教えた。だが彼女は最初こそちゃんと教えたフォームを守るのであるが、長く走らせていると最後は自然とこの走法に戻るのである。スタミナもあまりないため、長く走らせるとすぐにバテてしまう。

 さらに地方の高知トレセン出身ということもあって芝に慣れていないことも発覚。

 考えた末、彼女はダートで短距離中心のレースを走らせることに決めたのだった。

 

「よし、ひとまず休憩にしよう」

 

 ウララの併せウマ・・・・・・もとい指導役として走っていたオグリキャップがそう号令すると、ウララは緩やかにスピードを遅めていき、やがてそのまま地面に突っ伏してしまった。

 

「こひゅーこひゅー・・・・・・」

 

「そんなところで横になると汚れてしまうぞ」

 

「はい、ウララ先輩。これを飲んで息を整えてください」

 

「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・ありがとーダスカちゃん・・・・・・」

 

 息を切らしながら地面を転がるウララをオグリが肩を持って起こしてあげ、スカーレットがタオルとスポーツドリンクを渡していた。

 この小さな後輩を皆は可愛がっているようだった。

 オグリは地方である笠松トレセン出身で、ウララも地方高知トレセン出身という共通点。スカーレットは持ち前の面倒見の良さから、本来は先輩であるウララの世話を焼いていたのである。

 

「しかし・・・・・・よく転入試験受かったもんやな。ココ、確か結構厳しかったやろ」

 

 俺の横にいたタマがそう呟いた。

 確かに彼女の言うとおりこの中央トレセン学園は、全国からエリートが集まるだけあって、かなり難関な編入試験を設けている。だが、

 

「ウララは面接で一発合格したらしい。たづなさんに聞いたらそう返ってきた」

 

「・・・・・・まぁ、分かるわ。ウチだってあの笑顔見せられたら、合格印押す自信がある」

 

 俺とタマの視線の先には、満面の笑みを浮かべてスポドリを飲むウララの笑顔があった。

 彼女は本当に走ることを心から楽しんでいる。

 そのことが分かるから、こちらも応援したくなるのだ。そして俺は彼女を勧誘したトレーナーだ。その責任を・・・・・・ウララをレースで勝たせてあげないといけない責任がある。

 なんとしても彼女にレースで勝たせてあげたいと思うのだ。

 

「で、デビュー戦はもう考えとるんか?」

 

「・・・・・・来週のオープン戦を予定している」

 

「えらい急やな」

 

「チームでのレースも月末に予定しているからな。そのためにウララには一度、レースで勝って貰いたい」

 

 ウララは既に高知でメイクデビュー戦を行っているため、オープン戦から出れることになっている。

 しかし今まで出場したレースで彼女は一度も勝っていなかった。

 それでもレースを楽しめるのは素晴らしい事だが、やはり勝利経験も必要だ。

 

「それまでにやることは二つ」

 

 俺は指を二本立てた。

 

「走るフォームの矯正と、それから・・・・・・」

 

「あっ! トレーナー! おーいっ!」

 

 ウララがこちらに手を振ってきた。

 屈託の無い、満面の笑み。思わずこちらの頬も緩んでしまう。俺はそのまま、彼女の近くまで歩いて行った。

 

「大分、長く走れるようになってきたな」

 

「うんっ! 楽しい時間が増えて、ウララも嬉しいよっ!」

 

「そうかそうか」

 

その天真爛漫さに思わず子供にやるように頭を撫でてしまう。だがウララは嫌がるどころか、目を細めて気持ち良さそうに笑っていた。

 

「最初はゴール前でスタミナが切れることもあったが、今ではなんとか完走できるまでになった。スピードは元々それなりにあるし、これならレースに出れるだろう」

「あとはどう走るかですね。ウララ先輩の性格上、最初から逃げてゴールまで駆け抜けるのがよさそうですが……」

 

オグリとスカーレットはこの数日でウララの性格と脚質を理解したようだ。

 俺も大体同じ考えだったが、やはりスタミナと集中力を考えたら逃げの作戦は難しそうである。

 

「そうなると・・・・・・色々、ウララと話さないとな。よし、今日はここまで。一旦、部室に戻るぞ」

 

 部室に行くと聞いたオグリとウララの耳がぴょこんと、動いた。

 彼女達にとって練習を終えて部室に行くことは、俺かタマの料理を食べられる事だと思っている。

 瞳を輝かせながら練習の後片付けをする二人を見ながら、俺は戻ったらたこ焼きを焼いてあげようと思うのだった。

 

 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・

 

 そしてあっという間にオープン戦の日がやってきた。

 ジュニア級、ダート(1300m)左。

 本来なら一年生達が主に出走するレースであるが、ウララは今年転入してきたばかりなので、ここに参加することになった。

 

「みんな! 頑張ってくるね!」

 

「ウララ、気を付けるんだぞ」

 

「バ群に呑まれないようしてね。ウララちゃんはあまりパワーが無いから」

 

「ウララ先輩、ダートは足元が悪いので転ばないように気を付けてくださいね」

 

 まるで末っ子の妹を心配するようにオグリ・グラス・スカーレットが、ウララに声をかけていく。

 それをタマがまぁまぁと宥め、三人をウララから引き剥がしていった。

 もうすぐレースが始まる。

 ウララは自身が持参した勝負服を身に纏っていた。

 高知トレセンの時から着ているという、体操服だ。

 

「ウララ・・・・・・勝ち負けはともかく・・・・・・精一杯レースを楽しんでこいよ」

 

「うんっ! いってきまーすっ!」

 

 ウララは元気いっぱいそう言うと、張り切ってパドックの方へと進んでいった。

 その後ろ姿を見送ってから、俺たちも観覧席の方へと移動する。

 ゼッケンは7番。ラッキーセブンやなと笑うのは、タマだった。

 

「スカーレット、参加するウマ娘の中に知っている子はいるか?」

 

 今回のレースに参加するのはほとんど一年生だったので、俺は同じ一年生であるスカーレットに尋ねた。

 

「うーん、顔は知っているけど名前となると・・・・・・」

 

 スカーレットは考えながら何人かの名前を挙げていき、やがて一人のウマ娘の所で指をピタリと止めた。

 

「あの子、結構有名な子よ。ダートの模擬戦で何度も勝ってるって」

 

 スカーレットは芝がメインなので、あまり知らないようだったが確かに良い体つきをしている。

 ゼッケン3番・サイドボーガンか・・・・・・

 

「ワイルドな見た目のウマ娘だな」

 

「見かけ通りよ。色んな場所で騒ぎを起こしているって話」

 

 確かにそんな風に見える風貌だった。

 ウララは一緒に走る皆に笑顔で挨拶していたが、彼女はふんと鼻をならしただけである。

 だが、他のウマ娘たちの反応も、あまり芳しくなかった。

 それはこのレースというモノ自体が競争であるため、自分以外全員敵という関係なので、間違いではないのだが・・・・・・

 

「この嫌な雰囲気、懐かしいなぁ。ウチがトレーナーと出会う直前位の時、いつもこんな空気やった」

 

 元気いっぱい挨拶するウララの方を見て、忍び笑いを漏らすウマ娘達。明らかな嘲笑である。

 ウララは中央にやって来て、リギル以外にも様々なチームの選別レースに出走していたらしい。だが結果はどれもぶっちぎりのドベ。ただでさえ転入生ということもあってか、ウララは注目の的となった。

 

「明らかに小馬鹿にしとるで。まあ、ウララは鈍いから気づいてへんようやが」

 

「全く・・・・・・不快ですね」

 

「そう言うなグラス。それに逆にこれはチャンスやで。誰にもマークされんわけやからな」

 

「タマの言う通りだ。前ばかり見る者たちは、意外と足元は見えないモノだ。道ばたの小さな小石には」

 

 周りの悪意など全く気にせず・・・・・・気づいてないウララは笑顔でパドックへと入っていく。

 もうすぐレースが始まろうとしていた。

 

 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・

 

『さあ、各ウマ娘ゲートに入って体勢を整えました。やはり注目は3番、サイドボーガン。チーム未所属ですが、非常に良い仕上がりですね』

 

『いい感じに気合いが乗っていますね』

 

『トップスピード・瞬発力ともに、いいモノを持っていますね』

 

 アナウンサーが出走するウマ娘達の名前を並べて紹介していく。

 

『・・・・・・ゼッケン番号7番、ハルウララです。高知トレセンから転入してきた、三年生です』

 

『チーム・アンタレス所属。頑張って欲しいですね』

 

 解説もアナウンサーもあまりウララに期待していないようだった。だがその方が好都合だ。

 下手にマークされないし、勝ったときに度肝を抜いてやれる。

 

『さあスタートです! 各ウマ娘一斉にスタートを切りました! サイドボーガン、好調な駆け出し!』

 

『非常にいいスタートですね。流石です』

 

『先頭はサイドボーガン。その後ろに・・・・・・』 

 

 飛び出した12人のウマ娘。

 先頭に一人飛び出したサイドボーガンとそれを追うように続くバ群。ウララは中団、6番手あたりか。

 やがてバ群が三つに分かれ始める。

 逃げ切ろうとするウマ娘とそれに追従し先行するウマ娘。少し下がって真ん中で先行するウマ娘を差そうとするウマ娘達。後方でスタミナを温存する追込勢。

 ウララは所謂、差しのグループのところを走っていた。

 オープン戦とはいえ、ほとんどが一年生。レース慣れしていないウマ娘も多く、後続の中には接触したり、バ群に埋もれて上手く身動きが取れない娘も多くいた。

 

「トレーナー、ウララ先輩の作戦は差しですか?」

 

「・・・・・・ああ、そういうことになるかな。尤も、今のウララに作戦を理解出来るかは分からない」

 

「それ大丈夫なの?」

 

「ああ、ウララならやれるさ」

 

 走り方の矯正は上手くいっている。俺がやらなければならないことの一つだった。

 そしてもう一つ――

 

「ウララ、レースは好きか?」

 

「うんっ! 大好きだよ!」

 

「そうかぁ・・・・・・どんな所が好きなんだ?」

 

「えっとねー、皆で一緒にスタートして、ばびゅーんって走って! ゴールして・・・・・・とにかく、楽しいっ!」

 

「なるほどなぁ・・・・・・じゃあウララはいっぱいレースで走りたいんだな?」

 

「うん!」

 

「よしよし。だけどレースってのは毎日出来るものじゃ無いんだ」

 

「ええ、そうなの?」

 

「ああ。だけど、一度のレースで二度楽しめる方法ならあるぞ」

 

「ええーっ!? なになに? どんなこと?」

 

「それはな・・・・・・」

 

 ――俺がそこまで思いだしていた時、実況の大きな声がレース場に鳴り響いた。

 

『さあ、最終コーナーに差し掛かった! 先頭は依然としてサイドボーガン! 軽快に飛ばす圧巻の走りだ! さぁ第四コーナーをカーブして――』

 

「ちょ、ちょっとこのままじゃボーガンが逃げ切っちゃうんじゃないの?」

 

 スカーレットが不安そうに尋ねた。

 だが俺はウララとの練習を思いだし、現状上手くいっていることを確信する。

 

  ――ウララ、レースはスタートを切らなきゃ始まらない。スタートする時は好きか?

 

 ――うん! 大好きだよ!

 

 ――そうか、じゃあスタートする場所を二つにしよう。そうすれば二回、スタートが楽しめるぞ。

 

 ――二つ? どういうこと?

 

 ――まず最初のスタート。そしてもう一つ、一気に駆け出す場所を作るんだ。そうだなぁ・・・・・・場所は最終コーナを過ぎた直線。そこまでパワーを貯めて一気に駆けるんだ。そうすれば、一度で二度レースが楽しめるぞ。

 

 ――おお~っ! 凄い! それならレースを二倍楽しめるね!

 

 ――ああ、その名も・・・・・・

 

「いけぇーっ、ウララ! ワクワク、よーい・・・・・・ドンだ!」

 

 俺が叫ぶのと同時に最終コーナーを回ったウララが、一気に駆け出した。

 狙うは内側。小柄な彼女にはインを突く方が合っているだろう。

 

「いっくよぉーっ!」

 

 ウララは叫ぶと地鳴りと共に一気にサイドボーガンに迫る。

 後続が詰まり、差しの中でも動き出しそびれたウマ娘がいる中で一人、ウララはバ群を抜け出して前へ、前へと進んでいく。

 

『おーっと、ここで抜けてきたのは・・・・・・7番、ハルウララだ!』

 

 実況からウララの名があがり、スタンドからどよめきが走る。

 最初から歯牙にもかけられていなかった彼女が、一気に前に抜け出したのだから、驚くのも無理は無いだろう。

 

「何っ!?」

 

 それは一人旅を満喫していたボーガンも同じようだったようだ。

 背後から迫る小さな影に目を見開き、歯を食いしばる。

 

『ハルウララがもの凄い脚で迫る迫る! 逃げ切れるかサイドボーガン! だが徐々に差は縮まってくるぞ!』

 

「なめるな! こんなチビに負けるかよ! こんなオープン戦で・・・・・・負けるわけにはいかねえんだよっ!」

 

 ボーガンは負けじと更に速度を上げる。凄まじい末脚で、最後の直線を一気に駆け抜けていく。

 だがウララも負けてはいない。序盤、スタミナをキープしていた分、どんどん速度を増していった。

 

『内側から地を這うように突っ込んでくるのはハルウララだ! 残りのウマ娘はいまいち、伸びない! サイドボーガンとハルウララの一騎打ちか~っ!』

 

「と、トレーナー、ウララ先輩は・・・・・・」

 

「作戦は上手くいっている・・・・・・後は」

 

「根性やな」

 

 タマはそう言ってスーッと大きく息を吸った。

 

「ウララーっ! 頑張れーっ!」

 

「私達が着いているぞ!」

 

 タマが叫び、オグリが追従する。

 

「ウララちゃん! そのまま一気ですよ!」

 

「ウララ先輩! ぶっちぎって下さい!」

 

 グラスとスカーレットも拳を握って叫ぶ。

 そうだ。ウララの素のポテンシャルは高い。だがそれは相手も同じこと。後はどれだけ勝ちたいかという気概の勝負だ。

 

『さあ最後の直線だ! サイドボーガンが粘るか、ハルウララが差しきるか! 一年生として絶対に勝ちが欲しいサイドボーガン! 先輩として勝ちは譲れないハルウララ! 勝つのはどちらだ!」

 

 アナウンサーが叫ぶ中、二つの影は一気にゴールへ駆けていく。

 ウララは俺の指示通りに走ってくれた。

 フォームを崩さず、スタミナを貯めてここぞで爆発させてくれた。

 後は勝つだけだ。これで勝てなかったら、責任は俺にある。

 だがウララなら勝てる。そんな確信があった。

 

「ウララ! 見せてやれ! お前の、本当の力を!」

 

 うん、わかった。そんな風にウララが笑った気がした。

 差はどんどん迫り、遂に二人は並んだ。

 

『しかし先頭はサイドボーガンだ! サイドボーガンが・・・・・・いや、うああああああっ! ハルウララだああああああっ!』

 

 絶叫と共に、スタンドから悲鳴に似た歓声が上がる。

 タマとオグリが雄叫びを上げ、グラスとスカーレットが抱き合って叫んだ。

 俺も思わず拳を握ってガッツポーズを決める。

 

『ハルウララ今、一着でゴール! 高知から芽吹いた桜が今、中央で開花ーっ! 遅咲きの桜吹雪がこのトレセン学園に舞いました!』

 

 最後まで走りきったウララはそのままゆっくりと速度を落とし、そして満面の笑みを浮かべて両手を挙げた。

 

『なんと! トレセン学園ジュニア級1300mダートを制したのは・・・・・・チーム・アンタレス! ハルウララーっ!』

 

「ふぁあああ・・・・・・やったーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

 

 ウララの喚起に満ちあふれた声がレース場に響き渡る。

 嬉しそうだ。本当に嬉しそうだな。

 そりゃそうだ。初勝利だもんな。

 そんなことを考えていると、いつの間にか体が自然に動いていた。

 俺も、タマも、オグリも。グラスもスカーレットも一気にウララに駆け寄っていく。

 小さな桜色の彼女に皆が殺到し、抱きつき、撫で回した。

 

 アンタレス復活の前哨戦。

 それは今、ウララの初勝利という最高の形で始まったのだった。




シリアスなレースは書かないって言いましたが、今回のはセーフでしょうか・・・・・・
あと、サイドボーガンはオリジナルです。
やられ役なので…

今後、展開について

  • 基本的にコメディで、時々シリアス
  • 基本的にシリアスで、時々コメディ
  • シリアスは無い方がいい
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