IS 〈インフィニット・ストラトス〉 蘇りし帝国の亡霊   作:トッキー

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 本文中の一夏との会話の中で、ブラスコヴィッツが話す箇所が片仮名になってますが、そこは日本語で話しているというつもりで書きましたので、誤りではありません。


 相変わらずのグダグダな内容…。


第八話 余韻

 生き残った数人のテロリストを拘束し、ブラスコヴィッツ達は倉庫から出てきた。そしてちょうどその時、ハルフォーフがISの操縦者らしき人物を抱え降りてきた。

 

 

 「さすが『シュヴァルツェ・ハーゼ』ですね!テロリストとはいえ、ISの操縦者を捕らえるとは!」

 「…いや、違う。正直、私は手も脚も出なかった…。軍人であるにも関わらずだ。あのまま戦っていたら、恐らく私は負けていた…」

 「では、そのパイロットはどうやって…?」

 

 

 キャロライン・シュナイダーからの祝辞を受けても、ハルフォーフの顔色は優れず、自分が敗北しかけていた事を隠さずに話した。そして更に衝撃ともいえる事実を口にしたのである。

 

 

 「このパイロットと戦っている時に、倉庫の方から謎のエネルギー波が観測されてな。そのすぐ後にこのパイロットにエネルギー波が触れたと同時に、ISが強制解除されたんだ。一体あれはなんだったんだ?誰か知っているか?」

 

 

 ハルフォーフの言葉を聴き、思わず彼等はブラスコヴィッツに眼をやった。

 もしハルフォーフの言葉通りなら、あのメダリオンから発せられたエネルギー波は、下手をするとISの台等による今までの軍事バランスを、また大きく変えるかもしれない代物だったからだ。

 

 

 「ブラスコヴィッツ殿、貴殿は何か知っているのか?」

 「ああ…いや、まぁ…」

 

 

 ブラスコヴィッツは正直に話すべきかどうか、戸惑っていた。話さないでいると不審に思われる、もし話してしまうと女性利権団体等からの刺客を心配しなければならなくなるからだ。人の口に戸は立てられないのだ。

 すると倉庫のすぐ側にいる、他の隊員達の所から幼い泣き声が聞こえてきた。彼等が見に行くと、そこには泣いている一人の男子、その姿を見てイラついている女子、それを見てどうすればいいのか戸惑っている隊員達の姿が見て取れた。

 ブラスコヴィッツは話を変える目的がてら、子供の方に近寄り、宥めるように言った。

 

 

 「イッタイ、ドウシタノ?」

 「ふぇっ!?」

 

 

 日本人らしき少年は周囲の人の言葉が分からず、不安で押しつぶされそうになっていた。しかしそんな中、突然日本語で話しかけられた為に、変な声を少年は上げてしまった。

 

 

 「日本語喋れるんですね」

 「仕事柄、色々とな。ダイジョブカイ?」

 「え、あ、ぅ、うん…」

 「コノヒトタチハ、オマワリサンダ。シンパイナイヨ」

 「う、うん…」

 

 

 するとどこからか可愛らしい音が聞こえてきた。その音の発生源は目の前の少年のお腹からであった。少年は顔を赤くし、お腹を隠すように腕を回していた。

 

 

 「あ、あうぅぅぅ……」

 「スマンナ、キヅカナクテ…誰か、何か持っていないか!」

 「車にある装備の中になら、少しなら甘味料が…」

 「お願い出来ますか?」

 「あ、ああ。分かった」

 

 

 隊員の一人が装備を取りにいき、すぐに戻ってきた。彼の手にはチョコレートバーがあった。それはすぐに封が開けられ、少年に手渡された。

 

 

 「ありがとう…ございます」

 「ドウイタシマシテ。ワタシノナマエハ、ブラスコヴィッツ。キミノナマエハ?」

 「い、一夏。織斑…一夏」

 

 

 その名前を聞いたブラスコヴィッツや他の隊員達は驚愕した。この少年の口から「織斑」という単語が出てくるとは思ってもいなかったからだ。

 「織斑」という名は、彼等が知っている限りでは一人の人間の存在しか思い浮かばなかった。そしてもし彼等の想像が正しければ、このテロリスト達はブリュンヒルデの弟を誘拐した事になる。

 しかしそれだけでも大事なのだが、何故もう一人の人間は誰なのか、何故彼女を誘拐したのか。エレン・シュナイダーは、どこかで見たかもしれないもう一人の、人質だった少女に尋ねた。

 

 

 「もう、なんなのよ、あの子供は!せっかく私が慰めてあげようとしたのに!」

 「すみません、少し宜しいでしょうか?」

 「何よ!」

 「あの、もしかして貴方はドイツ首相の…」

 「…隠してしょうがないか。ええ、私はアリシア・ブリュッケハイム。ドイツ首相、グローム・ブリュッケハイムの実の娘よ」

 「やはり…。救助が遅くなり、大変申し訳ありませんでした。処罰は如何様にも…」

 「ああ、いいわよ。そんな堅っ苦しいの。私がモンドグロッソの会場で、護衛の目盗んであちこち歩きまわってたのが原因だし」

 「ですが…」

 「それもなし」

 「は?」

 「敬語よ敬語。それもなし!ほら、私って首相の娘でしょ。自分の周りって護衛か、媚びへつらうような奴ばっかりだったから…」

 「…………はぁ、分かったわ。これでいい?」

 「うん、バッチグー!」

 

 

 少し逡巡し、折れたエレン・シュナイダーの言葉に対し見せたドイツ首相の娘の表情は、歳相応の少女が見せるかのような、活発さを持つ表情であった。つい先程まで見せていた刺々しさは鳴りを潜めており、普段いかに彼女が抑圧された生活を送っていたかが分かった。

 

 そうして互いに肩の力を抜き、改めて事情を聞いてみるとお粗末に近い内容であった。

 なんと彼女は、自分の警護の目を盗み会場をうろついている時に、ブリュンヒルデの弟の誘拐現場を目撃してしまい、そのまま成り行きで共に誘拐されたというのだ。

しかし、テロリスト達の中にドイツ人がいたのか、アリシアの顔を見た途端、仲間達を罵倒し、彼女が何者かを事細やかに伝えたらしい。

 そうなると、彼等もどうすべきか手に余ってしまったのだ。一般人だったならば口封じするだけでよかったのだが、首相の娘となるとそうはいかない。

 そうこうしている内にあの倉庫に連れて来られ、そして突然銃撃戦が起こったというのだ。

 

 

 「ではあなたは、誘拐の巻き添えを食った訳ね」

 「ええ、それであなた達が来て解放されたの。でも一緒にいたあの子、大丈夫なの?私が話しかけても、怯えてずっと泣いてたし、怯え方が半端なかったんだけど」

 「会場から、いきなりこんな所に連れて来られたんだもの。怖がるのは仕方ないわ。あの子は今同僚が見てる…ああ、ちょうど来たわ」

 

 

 ブラスコヴィッツに連れられた一夏は、隠れるように彼の後ろ側にいた。そしてブラスコヴィッツはキャロライン・シュナイダーと話をした。

 

 

 「ミスター・ケヴィン。その子は大丈夫でしたか?」

 「ええ。医者に見せても、なんともないと太鼓判を貰いましたよ」

 「よかった。でもこの子の親は心配しているでしょうね」

 「それなんですが…ちょっと厄介な問題が」

 「どうしました?」

 

 急に声を潜めたブラスコヴィッツに、シュナイダーは眉を潜めたが、彼の話を窺ってみると、その内容は信じられないものであった。

 

 

 「どうもこの子は、あの<ブリュンヒルデ>の弟みたいなんです」

 「は!?あ、あの<ブリュンヒルデ>の!?」

 「ええ。でも彼等は何が目的でこの子を…」

 「恐らくテロリスト達は身代金か、もしくは別の何かと引き換えにこの子を誘拐したのではないでしょうか」

 「それも十分考えられますが、それ以外の理由を考えると…怨恨関係か?」

 「あり得ますね。ISを憎む人間は大勢います。直接本人にでなく、身内を襲うケースは昔から耳にします」

 「身内を襲って鬱憤を晴らす。だがこんな小さな子まで襲うとは。人間の風上にも置けんな…」

 

 

 犯人達に怒りの言葉を口にした時、彼のズボンの裾が引かれるのを感じた。見てみると、一夏が不安そうな目で彼等を見ていた。ブラスコヴィッツは、一夏の目線の高さに合わせて、聞いた。

 

 

 「ドウシタノ?」

 「ちふゆ姉は…?ちふゆ姉はどこにいるの…?」

 「エ…?」

 「なんで、ちふゆ姉はいないの…?俺、嫌われたの…?」

 「どういう事だ…?」

 「<ブリュンヒルデ>は確か、今日のモンドグロッソの決勝戦に参加すると聞いていますが…」

 「まさか大会の方を優先しているのか?身内の危機に!?」

 「…もしかしてそれが狙いなんじゃ」

 「どういう事で…まさか」

 「多分、そのまさかだと思います。彼女を決勝戦に出させない為じゃないでしょうか?どのような形であれ、世界最強の<ブリュンヒルデ>を下せるんですから」

 「バカさ加減もそこまでいくと、呆れるしかないな…」

 「全く」

 「ねぇ、ちふゆ姉はどこ…?俺、いい子にしてたよ…?」

 「オチツイテ…チョットマッテ。どうした?一体何があった!」

 

 

 涙目になりつつある一夏を宥めながら、ブラスコヴィッツは無線で流れてくる情報に耳を疑った。なんとモンドグロッソ会場が襲撃されたというのだ。

 錯綜していたが、聞き取れた内容によると死傷者は多数おり、襲撃者は自爆。<ブリュンヒルデ>の織斑千冬が、警備の為に配備された戦闘機の護衛を受け、こちらに急行しているとの事だった。

 

 

 「<ブリュンヒルデ>がすぐに来なかった理由が分かった。モンドグロッソの会場が襲撃を受けたらしい」

 「襲撃を!?会場の人達は大丈夫なんでしょうか!?」

 「<ブリュンヒルデ>が食い止めたらしい。本当に足止め程度だったらしいが…」

 「どういう…?」

 「直接的に襲撃者に痛手を与えたのは、戦車砲による攻撃だったらしい。驚いたもんだ。世界最強とされるISでも歯が立たなかったものを、『役立たず』の筈の戦車が打ち破ったんだから」

 「ねぇ、ちふゆ姉はどこ…?ねぇ…。ねぇ!」

 「おっと…ダイジョブ、イマ、キミヲムカエニ、コッチムカッテル。チョット、カイジョウデタイヘンナコトガアッテネ」

 「なんで、なんでちふゆ姉は、すぐに来てくれなかったの?俺、邪魔だったの…?俺なんか、やっぱりいない方がいいの…?」

 「…イチカ、ヨクキイテ。キミノネエサンハ、タブンスグニ、ココニキタカッタンダトオモウ」

 「じゃあなんでいないの!?やっぱり俺なんか…!」

 「サイゴマデキイテ。キミノネエサンハ、ミウチヲダイジニスル、ホコリタカイニンゲンダロウ。デモ、モシ…モシソノネエサンガ、ホカノヒトヲミステテマデ、キミノトコロニキタラ、キミハドウオモウ?」

 「それは…」

 「イチカ。ホカノヒトヲミステテマデ、キミハネエサンニキテモライタイカイ?」

 「…………」

 「ホカノクルシンデイルヒトヲ、ムシシテデモキテホシイカイ?」

 「…そんなの、やだ。すぐ来てくれるのは嬉しいけど、やっぱり他の人を、見捨ててまで来ても、そんなの全然嬉しくない…!」

 「…タブン、キミノネエサンモ、クルシカッタンジャナイカナ?」

 「…え?」

 「スグニキミノトコロニイキタイケド、カイジョウノヒトタチヲ、ミステルナンテデキナイ。サッキ、セントウキカラムセンデキイタンダガ、キミノネエサンハ、ナキソウナヒョウジョウダッタラシイ」

 「え、それって…」

 「オソラク、スグニコレナイコトガ、クルシカッタンダロウネ。スグニキタカッタンダロウ」

 「そっかぁ。よかったぁ…」

 

 

 自分が捨てられたのではないと思っていた一夏は、目の前の男性の言葉を聞き、安心して顔を綻ばせた。

 そして複数のブースターの音が聞こえ、3機の戦闘機――F35だ――が彼等の真上を通り過ぎていった。

 

 そのすぐ後に、目の前にISを纏った黒髪の女性―――織斑千冬が降りてきた。

 ISを解除したその姿は、世の男性を全て虜にせんばかりのプロポーションだったが、特殊部隊員や元軍人のブラスコヴィッツは、今の彼女の姿にどこか違和感を覚えていた。

 

 

 「一夏!」

 「ちふゆ姉!」

 「一夏、よかった…。一夏…」

 「あの、すみませんが…」

 

 

 ブラスコヴィッツは意を決するかのように千冬に話しかけた。だが千冬は、彼や特殊部隊の面々を見た瞬間、敵意を丸出しにしてきたのである。

 

 

 「誰だ、お前達は!!」

 「我々は警察の者です。事情を、お聞きしたいのですが…」

 「うるさい、それ以上近づくな!一夏は、一夏は私は守るんだ!!」

 「我々は味方だ!だから落ち着いて」

 「黙れ!!」

 

 

 激昂した千冬は、一夏を抱きかかえたままISを――片手だけだが――突如起動させた。それを見た全ての人間に緊張が走った。特殊部隊やエレン・シュナイダーは銃を構え、一夏はそれを見て再び涙目になっていた。だがブラスコヴィッツは、逆に瞬間的に構えた銃を降ろした。

 そして銃を地面に置き、手を挙げながらゆっくりと千冬に近づいていった。

 

 「ミ、ミスター・ケヴィン?!」

 「全員銃を下ろしてほしい。今の状態じゃ、彼女を刺激するだけだ」

 「で、ですが…」

 「全員、銃を下げろ!…大丈夫だ。我々は、危害を加えたりしない」

 「うるさい!それ以上来るな!!」

 

 

 千冬が叫んでも歩みを止めず、ISの刀の切っ先が自分の体に触れるか触れないかまで近づいていった。そしてブラスコヴィッツは、その刀が震えている事に気付き、恐らく彼女は本当の戦いを知らない事や、会場での襲撃が今の彼女をこのような行動に走らせているのではと推測していた。

 

  一方で千冬は、刀を認識しながらも、銃を捨て近づいてきた目の前の男性の姿に対し、思わず一歩後ろに下がっていった。

 そして男性が刀の目の前まで来た時、先程会場で死を見た彼女に、再び恐怖が襲ってきたのである。もし自分がこの刀を動かしたならば、男性は?もし傷つけたりしたら、一夏はどうなる?そんな様々な感情が彼女の中で蠢き始めた。そうして足元が崩れ始めるのを感じた時、愛しい存在が声を上げ、彼女を現実に戻していった。

 

 

 「ちふゆ姉ぇ、やめて!」

 「い、一夏…」

 「この人達は、俺を助けてくれたんだよ!なんでそんな事するの!?」

 「わ、私はお前の為に…」

 「そんな事されても全然嬉しくないよ!お願いだから、もうこんな事やめてよぉ…」

 「………………すまなかったな、怖い思いをさせて。もう大丈夫だ。ごめんな?」

 「…もう、大丈夫か?」

 

 

 弟の涙交じりの言葉に冷静さを取り戻したのか、彼女は刀を降ろし、待機状態に戻した。そして弟に謝罪し、次いでブラスコヴィッツに向き直り、頭を下げたのである。

 

 

 「あなたも、無礼な振る舞いをしてしまい、申し訳なかった」

 「あぁ、気にしないで下さい。………多分、誰でもああなる。私もそうでしたから」

 「あなた、も…?」

 「…会場が襲撃されたのは、知っています。そこで何があったのかも。…ですが、あなたはその事を忘れてはいけないと思います」

 「…っあなたに言われなくても分かってます!だがあなたに何が分かるというんだ!何も知らないのに、分かった口を利くな!!さっきまで目の前にいたのに、いきなりいなくなったんだ!動かなくなったんだぞ!いきなり……!」

 

 ブラスコヴィッツの言葉を下手な慰めを受け取ったのか、千冬は涙を流しつつも激高しかけた。それを見ていた周囲の者はなんとか止めようとしたが、ブラスコヴィッツが言葉を続け、千冬や周囲の隊員達の熱気等はすぐに影を潜めた。

 

 

「…私も、多くの部下や戦友を目の前で失った…。さっきまで生きてたのに、いきなり爆発と共に、この世界から消えたんだ。彼等が残したものといえば、壊れた小銃や小さな肉片、後は…ドッグタグだけだった」

 

 

 ブラスコヴィッツの言葉を耳にした彼等は、彼が如何に数多くの激戦地を生き残ったのかと同時に、目の前にいる戦争の英雄は、数多くの戦友の死を目にしてきた事を悟った。

 そして彼は、千冬の目をまっすぐ見て言葉を繋げた。

 

 

 「あなたが今日見てきた事は、あなたにとってすぐに忘れたいものだろう。でも、あの会場で亡くなった人の最後を、忘れないでほしい。そうなると、死んだ人達の人生すらも、否定する事になってしまう」

 「で、でも…」

 

 

 彼の言葉を聞き、言葉を紡ごうと言い淀み、俯いていた千冬は、頭に何かの感触を感じた。ふと頭を上げると、ブラスコヴィッツの手が彼女の頭を撫でていた。

 

 

「大丈夫だ…大丈夫」

 

 

 我が子を安心させるかのような、そんな表情を浮かべる彼の顔とその言葉に、千冬はそれまで我慢してきた事が耐えられなくなっていた。彼女はブラスコヴィッツに後ろを向いてくれるよう頼み、そして――――彼の背中で泣いていた。

 今まで溜め込んだものを吐き出すように、時折彼の背中を叩きながら、声を上げて泣いていたのである。

 彼等の周囲の人間は何も言えなかった。それはそうだろう。聞いた話によると、それまで両親がおらず、自分の弟と友人姉妹しか頼れる者しかいなかったのである。そのような世界中の人間が狙っているような中での誘拐や、会場での襲撃は、今の彼女にとって心に大きな傷を生みかねない状況だった。

 

 慰めてくれる人間が弟や親友以外いなかった。それが彼女の鋭い雰囲気を作り出していたのかも知れない。

 

 弟や親友でない、別の誰かが言わなければならなかったのだ。そして背中を貸してくれている彼の言葉が、彼女を<ブリュンヒルデ>でなく「織斑千冬」に戻していったのである。

 

 

 しばらくして泣き止んだ彼女は、落ち着いて我に返ったのか、年相応の表情を浮かべながら、顔を赤らめ慌てていた。それを見た周囲の者は全員、微笑ましい表情を浮かべていた。

 

 

 「す、すみません!お恥ずかしい所をお見せしてしまい…」

 「ははは、お構いなく。<ブリュンヒルデ>の泣き顔が見れるなら、こんな背中で良ければいつでもお貸ししますよ」

 「もうや、やめて下さい!ミスター…」

 「ブラスコヴィッツ」

 「え?」

 「まだ自己紹介していませんでしたね。私の名はケヴィン・J・ブラスコヴィッツです。ケヴィンで構いません。親しい者は皆そう呼びます」

 「…私の名はご存知かもしれませんが、改めて自己紹介させてください。ミスター・ケヴィン、私は織斑千冬、この子は弟の一夏です」

 「お兄ちゃん、ありがとう!」

 「コチラコソ」

 「ちぃぃぃぃぃぃぃちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんん!!!!」

 

 

 

 一夏の屈託のない笑顔を見て、ブラスコヴィッツが笑顔で応じたその時、どこからか轟音ともに、何処かの小説に出てきそうな服装をしたウサギ耳の女性が彼等に突撃した。

 

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