IS 〈インフィニット・ストラトス〉 蘇りし帝国の亡霊 作:トッキー
『この世界は可笑しい』正にその一言に尽きる。
あの残骸に戻った私はまずそう感じた。
街の女達は「男は奴隷」と言わんばかりの態度。そんな奴等にひたすら媚び諂う男達。
正直言って、吐き気を催すものを感じる。
しかしそんな不快感と同時に、私は何時の間にか笑っていたらしかった。残骸の中の割れた鏡に目をやると、まるで裂けんばかりに口端が釣り上がっているのが目に入った。
もしこの歪な世界を壊したら、この世界は一体どうなるというのだろう?男は?女は?そして…「IS」という存在は?
それに驕り高ぶっている者共は?
そして、もしこの狂った世界に「第三帝国」という一手を打ったら、一体どうなるのか?
狂っている…?
そんな事は百も承知だ。第一次大戦で毒ガスを作った時も!
Waffen-SS(武装親衛隊)に入った時も!!
そして…アイゼンシュタットで素晴らしい兵士達を「生み出した」時も、それはハッキリと自覚していた事だ
そんな事を考えて私は更に笑みを深くし、朽ちたとしても変わる事がない、我々の全てが始まった場所…ウルフェンシュタイン城へと足を向けた。
その城の地下は、本来は城主の緊急避難用の部屋やワインセラー、それに牢獄等がある筈の所に、様々な実験器具や装置、何かの機械が所狭と並んでいた。
城自体は朽ち果てているように見えたが、幸いにして飛行船が城に直撃しても城の研究施設は何も影響なく、その主人が長らく居なくなっていても稼働し続けていた。
当たり前である。
この城の研究施設は、それこそ「トールボーイ」や「グランドスラム」が百発以上直撃しても、何ら影響はないように設計されているのだ。
そして、そのエネルギー源はあの「ブラック・サンパワー」だ。原油や石炭等とは比較にならない、無尽蔵の素晴らしい代物だ。
そしてその利用方法は、我々の手によって十分利用可能の域にまで達している。
しかし現代のあの街の様々な機械を目にすると、どうしてもエネルギーを精製する為に必要なそれ等の機材が時代遅れであるという感は拭えない。
だがそれでも今は構わない。
下手に新しい機械を投入したら、どのような結果になるか等見当もつかないからだ。
やはり、今の所は使い慣れた機材で行うのが懸命だろう。
それにしても…我々の時代では試作段階程度しかなかった代物が、この世界では当たり前のように広まっている。
医薬品や、生活必需品…石油の代用品等もそうだ。
そして何より目を引いたのは……「クローン技術」。
これを使えば、優秀な人材を幾らでも生み出す事が可能だ。
今は亡き総統閣下が成し遂げられなかった、世界統一も決して夢でない
我々ナチスが指揮する第三帝国の下で、世界は永遠の繁栄を築き、そして平伏す事になる。
「フフフフフフフフフフフフフフフフフフ…フフフハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ……………!!!!!!」
笑いが止まらなかった。新たな力によって兵士達を「生まれ変わらせた」時も楽しかったが、これからの事を考えると自身の心が高ぶるのを抑える事等出来なかった。
いや、したくなかった。
この気持ちの、この感情の高ぶりの、なんと心地良いものか!!!!
そして一人の男が、朽ち果てた城の地下で、全世界に響くかのように宣言した。
「私はこれで第三帝国を再興し、そしてこの狂った世界に対し、再び宣戦を布告してやる!!!!フフフハハハ…アハハハハハハハハハハハハハハハハハ、アーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ……………!!!!!!」