あきこまです。長らく開きましてすみません。
翔子さんBirthday話はここで終わりです。
本当は4月10日に投稿しようと練ってたんですが、色々あって当初書き始めたのは全消ししましたはい。そしてできたのが先月の10話。
過去に何作か投稿してますが今回のは過去最長の7700字です。読みずらいかなと思ったんですけどもう一個作ると本線脱線しまくりんぐなので次話から本編行きます。
なんかね…友人に進められるアニメ見る度にその子との絡み書きたかったり、元々自分の見てるやつと絡ませたかったりで時間が追いつきません。
現状書き途中はプロセカ×八幡・ゆるキャン×八幡・虹ヶ咲×八幡などのラインナップが(結果的に全部八幡)ありますね。オリ主はプロセカと今構想ねってますがまぁね、はい私の国語力と言いますか足りないもんで全然かけてないです。
せめて今書いてる投稿済み作品だけは未だ未達成の完結まで駆け抜けたいです。
(と作者は思ってるけど結局自分の書いた作品はみんな大事なので投稿頻度は相変わらずです)
長々すみません、本編どうぞ。
side のどか
八幡と翔子ちゃんが二人で埼玉へ行き、ドナドナしてる頃(なによそれ)
自宅チームは佳境に入っていた。
「やばい……時間が圧倒的に足りない、何コレ」
久々のガッツリした料理に小町はてんてこ舞いになりかけていた。
しかし牧之原家母、朱美による絶妙なアシストにより線を超えそうで超えない小町。
「……」
「どしたの? お姉ちゃん」
「いや、私もあと何年かしたらあんな風にできるのかなぁって」
「……咲太と?」
「それ以外に誰がいるのよ」
「別に……」
「のどかは考えた事ない? 自分の仕事じゃなくプライベートな将来を」
「無い、と言えば嘘になるケド……」
「案外考えると楽しいわよ? ウチなんて特に、翔子ちゃんみたいな温かい家庭とは言えなかったし」
「そりゃまぁ……そうだけど」
「まぁそのうち考える事にはなるわよ」
誰ととは言わないけどね、なんて言葉を言ってお姉ちゃんは持ち場に戻って行った。
「将来……か」
独り言のように……実際独り言だけど呟いたその一言はあっという間にかき消されるほど今の比企谷家リビングは騒がしさでごった返していた。
「今は考える時じゃないわね」
そう自分に言い聞かせて、スマホに届いた通知の内容をみんなに知らせる。
「二人があと1時間程で帰ってくるわよ!」
「咲太、比企谷くんに楓ちゃんとの待ち合わせ場所教えてあげて」
「了解、麻衣さん携帯借りますよ」
「あんたはいい加減携帯買いなさいよ」
「壊れたヤツが復活するかもしれないだろ?」
「そんなこと言ってるうちはずっと無いわね……」
「もしかして小町って空気?」
side 八幡
結局イベントまで付き合わせてしまったが、なんかさっきから隣の人怖いんですよ。
前世はメデューサなのかなってくらい笑顔が怖い、俺の動きが封じられてしまう。
「なんかごめんね? 変なイベント付き合わせて」
「別に、気にしてませんよ?」
「めっちゃ気にしてる奴のセリフだよそれ……」
「まぁ強いて言うなら……」
「言うなら?」
「悔しいです」
「どういう事だよ……」
「いえ、些細な事なのですが……比企谷くんが笑うことなんて滅多にないじゃないですか」
「……よくご存知で」
「そんな君がですよ? イベント中は死んだ魚の目が嘘のように輝いてたじゃないですか」
「腐ってるだけだから、勝手に殺さないで? ……生きてるよね?」
「自分で言ったんだから自信持ってくださいよ……なのでなんか悔しいなぁって」
確かにイベント中はいつもより楽しんでたような気が……しないでもない。
「そんな訳で、君には罰ゲームです!」
「なんのだよ……ゲームなんてした覚えが」
「無いとは言わせません! 思い出してください、バッティングセンターでの会話を」
「どちらが打てるか勝負してみます?」
「あまり俺を見くびるなよ? 事キャッチャーフライに置いては負ける自信はない」
「せめて前に飛ばしてくださいよ……」
「打ってることには変わらないだろ」
「前に飛ばない打球は判定無しです!」
「えぇぇ……」
「あと負けたら罰ゲームですからねー」
「イッテナイヨ? ウン! イッテナイ! 」
「なんです?」
「すいませんめちゃくちゃ言ってましたね! ごめんなさいね?!」
「わかればいいんですよ、わかれば」
「なので」
直後、電車のつり革を掴んでた手では無い方の手が温かい感触に襲われた。
「……え?」
「海浜幕張の駅に着くまで……この状態です! 文句は言わせません」
言葉が出なかったと言えば嘘にならない……よな。実際俺は口を開けて放心状態に陥ったのだから。苦し紛れの一言は。
「……お好きにどーぞ」
我ながらなんとも情けない一言であった。
これがドア付近では無く、車内中ほどの座席前で行われているんだから当然周囲からの目線はあるわけで、目の前の老夫婦からは暖かい目で見られる挙句家族ずれの子供は指をこちらに指して親に「やめなさい!」の一言を貰ってた。なんかごめんね?
本当に情けない事にあれから俺、いや俺達は何一つ会話をすること無く海浜幕張に着いた。
「……着いたな」
「着きましたねぇ」
??? 牧之原さん??? 着きましたよね?
「さぁ、帰りましょうか!」
頬や耳など顔のあちこちを真っ赤にさせながら俺の手を引っ張り帰路に着く。
海浜幕張の駅までじゃないんですかねぇ……。
「翔子ちゃん?」
「「!?」」
話しかけてきた少女は小町の髪よりよっぽど明るめで、顔の横から下に垂れている髪先には飾りが左右に付いている世間一般的にいう可愛い分類に入る女の子だ。
「花楓ちゃん!? 久しぶり! ……なんだけどどうして千葉に?」
「麻衣さんが翔子ちゃん家にお邪魔してるから、私もお呼ばれしたの」
「嘘!? 私何も聞かされてないよ!?」
「内緒にしててって口止めされちゃって、ごめんね?」
あぁ、そう言えば待ち合わせ指定場所は「海浜幕張駅、改札口前」だったか。
遡ること電車に乗る直前。
「私、お手洗いに行ってきますね?」
「おう、この辺にいる」
そんな測ったかのようなタイミングでかかってくる電話。相手は桜島麻衣と表示されていた。
いやーしかし、暇つぶし機能付き目覚まし時計と思っていた俺の携帯がこんなに活躍する日が来るとはなぁ……と感慨にふけながら電話に出た。
「……もしもし?」
「もしもし、麻衣さんの彼氏の梓川咲太と申します……イデッ」
……なんか電話口から、「比企谷くん相手に変なマウント取らない!」とか言われてるけど平気? この人。
「ごめんごめん、今翔子ちゃんは?」
「あー、席を外してます……初めまして、比企谷八幡です。本日はお世話になります」
「初めまして、お堅い挨拶は後で会った時にでもしようか。手短に話すよ
本当は僕が君たち二人を駅で待ってる予定だったんだけど、急遽変更してもいいかな?」
「あ、はいそれは勿論平気です」
「ありがとう。後任には僕の妹の花楓を待たせる事にしてるから、僕は麻衣さんと先に君の家で準備に回る事になったよ」
「あ、正直助かります。男手が牧之原パパだけだったので」
「感謝は後で麻衣さんによろしく、それじゃあまた後で!」
しかし、その妹さんの顔を一切知らない俺はどうしようか……。
なんて事を考えていたが花楓さんが見かけたら話しかけると言う事だったのか……よかった。
後に桜島さんより「良く会えたね? 咲太ったら待ち合わせ場所しか伝えてなかったから……」という言葉を聞き偶然という名の奇跡に感謝したという。
「一緒に居るのが……初めまして、梓川花楓と申します」
「ご丁寧にどうも、比企谷八幡です」
「あ、花楓でいいですよ? 兄と混ざると思うしなんなら私達同い歳ですから」
「いやでも」
「お願いしますね?」
「……」
周囲の女性達の圧が強すぎて怖い。
花楓にニヤニヤされながら
「お二人はそこまで進んだ関係?」
なんてつっこまれた時、秒で手を引っ込めてた牧之原さんを見て俺は「あ、単に忘れてただけなのね?」と思ったが気にしない。
自宅まで帰って来た俺達、通常なら牧之原とはここでサヨナラのはずなのだが。
「あれ? 麻衣さん家にいるんですよね?」
そんな問いを花楓さんに投げかけている牧之原さん。花楓さんはこちらを見ながら問いかけてきている。まぁ……ここまで来たらもう言ってもいいか。
「牧之原、今日は色々振り回して悪かったな」
「いや、振り回すも何も……元はと言えば私の寝坊から始まった事ですし……むしろ謝るのは私の方で……」
「あぁ……あれな、俺達の仕業だ」
「……はい?」
「正確にはお前の両親の仕業……と言った所か。俺が訪れた時は既にその状況だったし」
「何故そのような……私本気で焦ったんですからね?」
「それに関しては俺も予定外だ、両親に文句言え」
「あのね、翔子ちゃん。今日は何の日かわかる?」
「今日ですか? 4月の10日ですから……あ」
「麻衣さんや私がお呼ばれして来てるのもそれが理由……かな?」
「え、でも家真っ暗ですよ?」
指をさしながら自分の家には誰もおらんやろこら、とでも言わんばかりの勢いである。
「よーく見ろよ。お前の目には確かに自分の家の車があるだろ」
「まさか違うだろうと思って言いませんでしたけど……あれの事です?」
牧之原が指を指すのは自分家の隣の家の駐車場に止まってる車を指す。
「そう、あれだ」
そう言いながら俺と楓はその家の玄関まで行く。
「え、ちょ、二人とも他所の家に勝手に入るのは……」
「表札、見てみ?」
「表札……? ですか。 比企谷……え?」
「あぁ、俺の家だ」
とんでもない顔をしている。
とても人様に向けられる顔ではない。約一名ケーキの入った箱を揺らしながら大爆笑しているがそんな事は気にしない。……いややっぱ気にする、崩れちゃうからダメ。
「と、言う訳で入れよ。入って廊下進んだ所の左がリビングだ。そこに桜島さんがいるから」
とんでもない顔をしている牧之原が復活し、俺が開けている玄関の戸から走って入って行く。玄関を開けたその先で待ち受けていた光景は。
「誰も……いない?」
「いや、部屋の明かりつけろよお前……」
「翔子ちゃん……こんなに抜けてたっけ?」
部屋に入った牧之原を後から追いかけた二人、俺は半ば呆れながら部屋の電気を付けた。
パンパパパパパ──ーン!
「「「「「翔子ちゃん! お誕生日おめでとー! (ございまーす!)」」」」」
お出迎えしたクラッカー隊は牧之原両親、桜島さん、小町、豊浜、あと喋ってないけど謎のうさぎである。
「へ?」
「悪いなぁ翔子、朝から1つ仕掛けさせてもらったよ」
「もっとも、私達もこんなに豪華になるなんて思ってなかったけどね」
「お、お父さん! お母さんも!」
「まさか私達が仕掛ける前から計画してるとは思ってなかったから、乗らせて貰ったわ」
「比企谷くんが? これを?」
「正確には8割以上豊浜のお陰ではあるがな、俺お前の誕生日今日知ったし」
「ですよね? 言ってませんよね?」
「でもまさか、比企谷くんがこんな事をできるなんて……友達いないのに」
すげぇデジャブ食らってる気がする。
「全部小町の為に覚えた技能だよ……発揮した事ないけど」
「その小町さん……と言う方は」
「桜島さんと豊浜に挟まれているのがそうだ。初対面だったな」
「紹介頂きました! 初めまして! 比企谷小町です! 兄がいつもお世話になってます」
「比企谷くん……そのぉ」
「いいよよく言われるから、遠慮なく言え」
「似てませんね……目とか性格とか」
「目は余計だおい……なんでもいいけど、主役は椅子に座れ」
そう言いながら豪華な料理が並んでるテーブルの前にある椅子に座らせる。
「これ全部みんなが?」
「料理に関しては小町を筆頭に、結果的に桜島さんとお前のお母さんにも手伝って貰った」
「もう、比企谷くんってばー遠慮せずお義母さんって呼んでくれていいのにー」
「……小っ恥ずかしいので遠慮させて頂きます」
「つれないなぁ」
何だこの母親小悪魔か? いや悪魔か? 朝会った時とは別人なのは何故……。
「飾りは豊浜とお父さん、そしてこのサンタだ」
「僕の事はお義父さんと「そのくだりもうやったので!」……手厳しいね」
何だこの両親……小町と随分打ち解けてるみたいだけど恐ろしいなぁ。
「……さっきから気になってたんですがそこのうさぎさんは?」
「あぁ……これな」
牧之原が指を指したのはいつの間にか楓からケーキの入った箱を渡されていたうさぎである。紛うことなきうさぎである。
……待て、咲太という人は写真でしか見た事ないけどあんな丸くないでしょ。
「小町ちゃん? ちょっと」
「?」
「なんでうさぎあんなにクオリティ高いの? 体型全然違うじゃん」
「あーあれね……どかちゃんがマネージャーさんに頼んで持ってきてもらったんだけど……現場仕様のやつだから思いのほかクオリティ高いやつ来ちゃって……」
「もはやモデルスーツだろあれ……」
とりあえず……ケーキにロウソク点けるか……。
「じゃあ、うさぎさんに用意してもらうか」
「一体何を……」
そんな牧之原さんの言葉を遮るように手に持っていた箱からケーキを展開し、ロウソクを準備するうさぎさん……のはずなんだが。
「だろうな……」
思いのほかクオリティが高すぎた為、指が使えないのである。結局麻衣さんが手伝う始末で……グダグダだなコレ。
「ですからそのうさぎさんは一体……」
「桜島さん、ケーキ展開終わったらバラしてやってください……」
「あははは……わかったわ」
モデルスーツ所か、もはや着ぐるみのような見た目のうさぎから人間を取りだした桜島さん。その人間と言うのがもちろんこの場に姿を出してなかった一人。本来の予定ではここでうさぎの着ぐるみではなく生身の状態でケーキを持って登場する予定だった。
「……咲太……さん?」
「久しぶりだね、翔子ちゃん。会うの遅くなっちゃったね」
あまりの嬉しさに咲太さんに飛びついた牧之原は嬉し泣きをし、桜島さんと咲太さんの二人に撫でられながらまだ泣いている。
「これがあんたの見たかった光景?」
「まさか、こんな突発の誕生日パーティーであそこまで喜んでくれるとは想像もしてねえよ。しかも本当なら俺とお前、そして小町の三人でやる予定だったし。こればっかしはツテのあったお前のお陰だ」
「ふんっ。もっと私に感謝しても……え?」
言葉を遮る形になったが頭を撫でる俺、と楓の二人。
「……ありがとな」
「ありがとうね、のどかちゃん。私も翔子ちゃんに久々に会えてよかったよ」
「……や、やめてよ照れるから!!」
豊浜をしばらく二人で撫で回し、顔真っ赤にして部屋を飛び出すまでいじった俺達はその後牧之原の所へ。
「どうだった? 翔子ちゃん、この誕生会は?」
「とても、思い出に残りました。まさか咲太さんに麻衣さん、花楓ちゃんまで来てくれるなんて……そもそも私からしたらこの誕生会自体が驚きなんですがね」
「元々、私と咲太も翔子ちゃんの誕生日に何かしたいなぁなんて話してたんだけど、だからといってアポ無しで行く訳にもなぁと思いながら気づけば千葉の方まで遊びに来てたのよ」
「そこに舞い降りた都合のいいこの話、豊浜から聞いた時はビックリしたよ。翔子ちゃんの事だから新天地の友達作りは困らないと思ってたけどまさかその友達が麻衣さんや豊浜と既に繋がってて今日こんな計画を突発で建てたってんだから」
「私は完全に別件で秋葉原の方まで来て、用事終わる直前にお兄ちゃんからもし来れそうならって事で聞いて。ケーキは梓川の名前で予約してたから私が行っても平気だったしね」
「「「比企谷くん、ありがとう!」」」
「いや、俺の方こそ御礼をさせてください。こんな突発企画がこんなに成功するなんて思ってもなく、おかげで規模も大きくできましたし」
「本当は国見くんと双葉さんも来れれば文句なしで終わったんだけどね」
「国見はともかく、双葉に関しては結構ショック受けてましたよ。「私も……会いたかったのに……」って……何故か僕が睨まれる始末……」
「今度は御二方も一緒だと良いですね」
「二人とも翔子ちゃんに会いたがってたから今度は連れてくるよ」
久々にみんなでの話を楽しみたい頃だと思い、俺はステルスヒッキーを駆使してこの場からフェードアウトした。
会場であるリビングからの賑やかな声はしっかりと2階にある俺の部屋まで届いている。
万年ぼっちの俺が、妹だけでなく周囲の人の力を借りて……友人と言える中になった人の為にここまでするなんて今までの俺が想像どころかこの結果を見たらなんと言うだろうか、よく分からないけど変な顔をしそうだ。
「疲れちまった、慣れないことをするべきでは無い」
そう独り言を呟いた俺は、思いの他いい顔をしていたらしく手にした携帯の画面に反射した自分の顔は、目が腐りながらも口角は上がっていた。
口角の上がった顔を笑いながらみた後部屋の扉がノックされる。
「お兄ちゃん、入るよ」
「おう小町、今日は色々ありがとな」
「お兄ちゃん、それは言わない約束でしょ?」
二人で笑い合う。こんな時間も少し懐かしく感じる……そんな事ない?
「随分青春してるじゃん?」
「うっせ、ほっとけ」
「でも、友達の為にここまでしてるお兄ちゃん、結構かっこよかったよ」
「ちょっと似合わない気もするがな」
「ちょっと所じゃなく普通に似合わないかな」
「ちょっと? 小町ちゃん? 今日は辛辣な言葉無しよ?」
冗談だよ、なんて言いながらいい笑顔だこいつ。本心だなこの野郎。
「小町、そろそろ戻るよ? これを機に色んなお姉さん達と仲良くなるんだから」
そう言って、小町は部屋から出ていく。
「既に仲良くなってじゃねぇか」
その言葉は誰に届くでもなく、部屋にこだまする事も無かった。
思いのほか身体的疲労の他精神的疲労がでかいらしく、布団に座っていたこともあり寝そうになっていた。そんな折、部屋の扉がこっそり開く音がした。眠気を振り切り薄目を開くとそこに居たのは、本日の主役様だ。
「いいのかよ、主役がこんな所に居て」
「私の代わりに今は小町さんが皆さんと話しています。その辺は似ていないんですね」
「むしろ似なくて良かったよ。俺なんかと同じになるのは可哀そすぎるさ」
「また自己卑下ですか? 全く……はあ」
「別にいいだろ、誰にも迷惑はかけちゃいねえ」
「私の誕生日をここまで盛大に祝った人が何を言いますかねぇ」
「あれは周りの人の力であって俺の力では」
「その力を貸した人は誰に協力したんです? あなたでしょ? 其れは紛うことなき事実です」
目をつり目気味にしながら捲し立ててきた彼女の目が、いつもの優しい目付きに戻った。それを確認した俺は恥ずかしてなってしまい背中を向けてしまった。
その直後、ふわりとした感触に合わせてフレグランスの香りが俺を包んだ。
「お、おまっ! 何をッ!」
「比企谷くんは頑張ってくれました。私の為にここまで……ありがとう」
頭を撫でられながら、耳元に囁かれるような言葉を受け、世間一般的に言うあすなろ抱きという三段重ねを食らわしてきた本日の主役様に俺はされるがままだった。
「ハグって、人に安らぎを与えてくれるんですよね」
「それは……ストレス云々の話だろ。別に俺は……」
「いいえ、今日1日今までしないような事だらけだった君は無意識にストレスを抱えてしまってるはずです」
疲労を感じてる事はバレバレらしいが、そんな事を態々主役に言うなんて野暮な事をするはずもない。
「私が頂いた今日という1日は、とても大きかった。ハグ位でしか返せないのが少々申し訳ありませんね」
そこで彼女はようやく離れた、とてもじゃないけどあれ以上されてると俺の心臓が持たない所だったのでとても助かる。
「改めて、今日はありがとう比企谷くん。一生忘れませんよ、今日という日を」
月の光が入ってきている俺の部屋で、その光を浴びながらお礼を言う彼女を俺は直視することができなかった。
先に戻ってますね、という言葉と共に主役は下の階に降りていった。
しばらくして、眠気も治まった俺はリビングへ戻った。初対面である梓川兄妹と改めて挨拶をしたり、桜島さんと豊浜が密かに考えていたレクを行ったりと日付が変わる前まで宴は続いた。
桜島さんと咲太さんは俺の部屋に、俺と小町は小町の部屋に、そして牧之原と豊浜、花楓の三人は牧之原の部屋にそれぞれ今日は泊まることにした。
その夜、積もる話もあったからか牧之原の部屋からは賑やかな声が朝まで聞こえて案の定夜更かしが実行されており、やってきた日曜日の朝は全然起きなかったという。なんなら朝から寝始めたまである。
次回はこの翌日の日曜日からスタートです。
よろしくお願いします。