おでかけシスターはこの話で終わりと言ったな。
あれは、嘘だ。
えーすみません、この1話で終わりませんでしたあきこまです。
というわけでおでかけシスターもう1話続きます。お付き合いください。
「忘れ物ないか?」
「大丈夫、全部持った」
「なら平気だな」
「それじゃあ、行ってきます!」
花楓が家を出た後に咲太は、コーヒーを一杯飲んで固定電話の受話器を取った。
「もしもし麻衣さん? おはようございます」
「おはよう咲太。花楓ちゃんは出た?」
「ついさっき、結局最後まで何処に行くかは教えてくれませんでしたけど」
「ハチくんはまだ出てないから千葉寄りの何処かなのかしら……とりあえずコッチはのどかが追跡予定よ」
「こっちも、僕が追跡予定です」
「でも、咲太まだ家に居るじゃない」
「そこは抜かりなく、国見に駅で張ってもらってます」
「それは僕じゃなくて"僕達"でしょ? そんな事に国見くんを使うんじゃないの……」
「双葉だと顔が割れてるので配慮した結果なんですけど?」
「双葉さんも巻き込んでるなんて……」
「元々僕と国見と双葉は買い物行く予定でしたから、麻衣さんにも伝えてあるよね?」
「それがどうやったらあの二人を巻き込んで買い物という名のお出かけになるのよ」
「双葉は普通に買い物に誘いました、国見は事情話したら了承してくれました」
「経緯を聞いてるんじゃないの……もう、なら現地で合流でもする?」
「最初は別々でも良いですか? 国見を混じえて双葉の服を選んであげたいので」
「ふーん」
「? どうしました?」
「彼女に服を選んでくれないのに友達には選ぶんだ」
「麻衣さん僕が選ばなくても買う必要無いくらい持ってるじゃん……」
「彼氏に選んでもらうのって結構夢なんだけどなぁ……咲太はそういうの無いもんな……」
「別機会で選ばせて頂きます今回は許してください!」
「そういう事にしといてあげる。 双葉さんと連絡とりあえば良いのよね?」
「お願いします、では後ほど」
麻衣さんとの電話が終わり、受話器を置くと直ぐに電話が鳴り響く。相手は国見だ。
「昔は花楓、電話の音にビビってたっけ……そんな花楓が男の子をお出かけに誘うまでになったか……理由は知らないけど成長だよね」
謎の感慨深さを感じながら受話器を取った。
「はい、梓川です」
「咲太か? おはようさん」
「おはよう国見、順調か?」
「まあ感度は良好って感じか」
「電話の回線の話をしてるんじゃないぞー」
「冗談だよ、妹ちゃん改札入ったからバレないように追ってけばいいんだよな?」
「あぁ、連絡は随時双葉に頼む」
「しっかしお出かけ一つでここまでするんだから、咲太のシスコンも中々だよな」
「くれぐれもバレるなよ? 最悪見失っても怪しまれるなよ?」
「妹の身を案ずるか男の子とのデートを心配するかどっちなんだよ……というか前者だとするなら俺に尾行させる許可を出すな」
「正論すぎて何も言えないな」
「とりあえず双葉と合流して早めについてこいよ。俺もう電車乗るからな?」
「せっかくの非番に頼み聞いてくれてサンキュ」
「咲太の服選ぶのも楽しみだけど、双葉の服選びも楽しみだよな!」
「それ、間違っても上里の前で言うなよ? 僕達が恨まれるんだからな?」
「わかってるって、うまくやっとく」
じゃあなーといつもの調子で電話を切る国見。僕も準備をしなきゃなぁ。
なんて考えてたら双葉が準備を終えてに来てくれたのか呼び鈴が鳴ったので急いで出る事にした。
さて、花楓のおでかけは一体どこになるやら……楽しみだ。
仕事が無い日にしては少し早く起きただろうか。咲太から来た電話も終わり、洗顔や化粧等のルーティーンをこなして台所に着く。もはや咲太の家で慣れてしまってるのか人の家で料理をする事に抵抗が一切無い。
「そういえばハチくんに台所の許可貰ってないなぁ」
あの子の事だから何も気にせず「どうぞ」の一言で終わるかもしれないけど、後で謝っておかなくちゃね。
花楓ちゃんがもう出てる以上ハチくんがいつ出るかなんて分からない。もしかしたらリビングに降りてこないだけで着替え等の準備は終わってるのかもしれない。朝食が作り終わったら様子を見に行ってみようかしら? ……それよりも自分から追跡を名乗り出たのどかの方が気になるのだけどそっちを先にしようと心の中で決める。
朝食を作り終えた。花楓ちゃんが気に入ってくれてるらしいスクランブルエッグをメインに、ロースハム・食パンを焼いた物などありきたりなメニュー。
質素ながらしっかりとした朝食を作ってる今の私にささやかながら幸せを感じでいるのは、将来自分が咲太と添い遂げる未来に対しての事なのかはまだ分からない。
「咲太の目の前で「ハチくんの家でこんな事感じてたの」とか言って伝えてみたらちょっとは拗ねるかしら?」
新たに彼氏をいじるネタを見つけた末、ご飯もできたのでハチくん(より先にのどか)の様子を見る為に上の階へ向かう。
……思ったのだけど、のどか達がハチくんの部屋で寝てるのだから彼はここのソファを使うと言っていなかっただろうか?
とすると彼どこへ?
答えより先にのどかの心配が勝ったのでハチくんの部屋に行く事に。
コンコンコンとノックする。
「のどか? 卯月ちゃん? 入るわよ?」
開けた先で私が見た光景は、八割驚きで二割ちょっとだけ期待した展開で二割の方を引き当てた様だ。
「えーっと……ハチくん?」
「……切られる覚悟はできてます」
「そんな事するわけないでしょ、事情を聞いても?」
「夜中お手洗いに起きたあとどうやら寝ぼけてた様で……そのまま自分の部屋に向かい躊躇いもなくベッドに入った様ですはい」
「で? 今の状況は?」
「……言わなきゃダメですか?」
「言ったらのどか達には黙っててあげるわ」
「……両手に花です」
「今日誰と出かけるんだっけ?」
「……花楓です」
「今は?」
「広川さんにガッツリ掴まれてます……」
「ふーん」
面白がってる半分ではあるけど、どうにも私の知り合いの男達はその辺どうなのよ。
花楓ちゃんがハチくんをどう思ってるかなんて知らないしこの際どうでもいいけど。
あなた今から花楓ちゃんと会うってのにその前に君の事を少なくとも気になってる相手が違う女の子挟んで隣で添い寝してるって何? ……どんどんこの子は咲太に見えてきたわ……。
「のどかに言ったら逆に私が怒られそうねこれ」
「……とりあえずこの俺をホールドしてる腕どうにかするの手伝って貰えませんか? このままだと花楓との待ち合わせに間に合わなくなるって……」
「交換条件よ」
「……なんでしょうか?」
「毎年みんなで夏場には海に行くのよ、関東じゃなく少し遠くの」
「みんなって?」
「私・咲太・国見くん・双葉さん・古賀さん・のどか・翔子ちゃん・花楓ちゃん・卯月ちゃん、それから」
「多い! 多いって、何人か知らない人居るし……」
「全然問題ないわよ、その会にハチくんも来る事。それから」
「えぇ1つじゃないんですか……?」
「文句があるならそのままでいいわね。花楓ちゃんなんて言うかなぁ」
「……どうぞ」
咲太程では無いけど彼はかなり弄りがいがある。私もいつの間にか彼の独特な沼にハマってるのかもしれない。
私は笑顔で宣告する。
今から行く所、私に教えて?
ハチくんの心底嫌そうな顔を見て私は、ゾクゾクする自分を抑えつつ笑顔で接する。
30分が経って、準備を終えたハチくんは出発した。玄関で見送ったら凄い苦虫を噛み潰したような顔で「……行ってきます」と言ってその場を去って行く。
私は全身が身震いを起こして言い知れぬ快感になにかに目覚めたのかなぁと感じつつ、本来数分と経たずに追跡するはずだった人物の所へ向かう。
卯月ちゃん共々未だにハチくんが普段使ってるベッドで寝ているのどかを起こす。
「のどか、いい加減起きなさい」
「起きてるよ、おはようお姉ちゃん」
「ハチくんもう出発したわよ?」
「知ってる、と言うかお姉ちゃんがここで楽しそうに八幡をいじめてた所から知ってる」
「起きてたのなら参加してくれれば良かったのに」
「頭テンパってたの、なんで八幡がここに居るのかとか、お姉ちゃんがやばいものに目覚めたかもーとか」
「別に私は目覚めてなんて、それにハチくんのベットよ? ここ」
「嘘、顔に出てる。あとそれ言葉にしないで意識するから!」
「……咲太とは別ベクトルね」
「はぁ……お姉ちゃんだけは無いと思ってたんだけどなぁ」
「私だって、さっきまでなんとも感じてなかったわよ。でも咲太以上に弄りがいがあるから楽しいだけ」
「……だといいケド、行き先わかったんでしょ?」
「そうね、のどかは卯月ちゃん起こしたらご飯食べちゃって。二人が準備終えたら出発よ」
「はぁーい、づっきー起きて!」
のどかが卯月ちゃんを起こす声を背にリビングに戻る。
「ハチくんが弟だったらなぁ……」
自分の発言にびっくりしつつも、二人分の朝食の配膳にかかる。
深く考えてないだろうが、自分が咲太と結婚して仮にその後八幡が花楓とくっつく未来があろうものなら弟になると言うことに本人は気づいていないのだ。
麻衣さん作の朝食を頂きながら、根掘り葉掘り色々聞かれた気がするがもう色々諦めていたので喋っていた。見送る際すっごく笑顔で「行ってらっしゃい、ハチくん」なんて笑顔で言っていた。そしてその裏で顔が「後で見に行くわね」なんて語っている気がして怖かった。ほんとに来ないよね?
ギリギリどころか全然余裕で集合時間に着くので色々と麻衣さんには頭が上がらなくなってきているが、これはいつかお返し等しないとダメっぽいなぁ気持ち的に。
花楓が指定した集合場所は千葉駅、丁度神奈川は大船駅から総武快速に直通して千葉行きの電車があるからそれに乗ると事前に聞いていた。
目的地の最寄り駅である袖ヶ浦駅へ向かう為にはここから8駅進まないと行けない。
ホームで待ってると急に目の前が真っ暗になった。
別に熱中症になった訳では無い、気分が悪くなった訳でもない。ただ視界を塞がれているのだ。
「だーれだ?」
こんな事をする相手が一人しか思いつかないのは、その相手と待ち合わせをしてるだけだからであって、俺は当人がこんなイタズラをする事に少し驚いている。
どうでもいいんだけど、あなたが俺に目隠しをする事によって控えめながらもきっちり主張のある2つの山が俺の背中に当たるんですよ……身長差バンザイ。
「…花楓か?」
「うん、正解! おはよう八幡くん」
「おはようさん、早かったな」
「少し早く出ちゃったから。今日はありがとう。せっかくの休みに付き合わせちゃってごめんね?」
「言葉、間違えてるぞ」
「?」
「謝られる事よりお礼を言われた方がいい時だってある、今がそうだ。花楓は何も悪いことしたわけじゃないしな」
目を見開いて、ぱちくりぱちくりと瞬きをする花楓。俺なんか変な事言った?
「……なんだよ」
「いや、翔子ちゃんみたいな事言うなぁと思って」
「だとしたら脳内にあいつが現れたのかもな」
「むぅ、今日は翔子ちゃんものどかちゃんも名前出し禁止!」
「自分から振ったようなもんだろ今の流れ……」
花楓は思いのほか、感情をかなり全面的に出すらしい。今だって「私不機嫌です!」を全面的に押し出して頬を膨らましてる。
「まぁまぁ拗ねるな花楓、できる限り努力はするからさ」
と俺は頬をぐにぐにとこねくり回す。
「お兄ちゃんと同じやり方……偶然?」
「いや、花楓拗ねた時マニュアルに書いてあった」
「お兄ちゃん今度殴り飛ばそうかなぁ……」
本当に、会話の節々から見かける花楓の一面で今まで花楓という人を咲太さんの妹としか見てなくって、同級生の梓川花楓さんとして見ていなかったんだなぁと思い知らされた、俺は彼女の事を何も知らない。
「じゃ、行くか、電車来たし」
「うん! 今日はよろしく」
やってきた君津行きの車内に乗り込み、のんびり8駅を過ごす事とした。
千葉にまで着いたはいいが、妹ちゃんは既に男の子と合流している。
途中咲太と合流した双葉から連絡があってどうやら追跡はもうしなくていいらしい。
と言うのも桜島先輩がどうにかそこにいる男の子から聞き出したそうだ。……それができるなら最初からして貰えると俺がここにいなくて済んだようなと思うがたまに一人で電車に乗って遠出するのも悪くなかったのでそこはノーコメで。
二人が電車に乗ったのを見送り、30分が経った。見慣れた二人組がこちらに近づいてくる。
「おせぇよ」
「国見が早すぎんの」
「追跡しろって言ったの咲太だろ? 双葉、久しぶり!」
「うん、久しぶりだね」
梓川咲太と双葉理央の二人、高校からの付き合いだけどこの二人と居る時間はとても心地がいい……なんて
「沙希に言ったら何言われんだろうなぁ……」
いつだったか、三人で花火大会に行った日は確か喧嘩してた時だった。
仲直りしてからその話になってまた喧嘩になりかけた……。「咲太と双葉と行った」なんて言った俺も愚かだったのかなぁ。でも嘘言う訳にもいかないしあってるだろう。
「役目終えたから、後は純粋にお前達の服選びに全力尽くして良いんだよな?」
「国見が今日一の笑顔を……」
「梓川……後で恨むからね?」
結局三人で目的地に着いた時にはそんな話を忘れ、買い物を楽しみ始めたとさ。
「涼子さんごめん、また付き合わせちゃて」
「今回は送迎だけですからね? 私は自分の買い物楽しみますからね?」
マネージャーの涼子さんはもう5.6年の付き合いになる。私のわがままを極力面倒と思いつつ受け入れてくれる姉のような存在だ。
涼子さんの運転する車で私・のどか・そしてオフだからと付いてきた卯月ちゃんの三人、計四人がとある場所へ向かう。
「せっかくだからみんなで服を選び合いましょうか? 涼子さんも含めて」
「私も?!」
「あ、いいね! あの二人が見つからなかった時のサブターゲットだね?!」
「のどか、今なら卯月ちゃん沈めていいわよ」
「おっけー」
「へ? また私間違えてる?」
まずはあの二人を見つける所からかしらね?
少なくとも予定してる登場人物がいるには居るけどいつ入れてやろうかというところが難しい。 ヒントは「パンツ?アイドル?なんの話?」です。
今回もありがとうございました!次回こそおでシス終わらせます。