GE2 OS・ブレイカー   作:黒槍

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絶賛高騰中のTF6や、DQMJ2Pや、VITAのクソゲーをやっていたら、もう十月じゃないですか。

ところで、次のアプデはいつなんですかね?




 1-3 刺の女と疑問

衝撃。

 

それに伴い、フライアから全ての明かりが消え失せる。

 

光源を失った内部は一瞬で闇色に染まり、次いで非常事態一色に染まった。

 

しかし、非常電源の稼動により、フライアで唯一の光源を得る事となった研究室だけは、例外とでも言うべき状況にあった。

 

その状況とは、複数人の足音が部屋の前で騒がしく騒ぐや否や、ノックもなしに中へと雪崩れ込んで来ていたのであった。

 

さすがのこれには、部屋の主がご機嫌斜めになるのも致し方ないという状況で、不躾な豚共を一瞥するような冷たい視線が迎えた。

 

「…何の御用件でしょう…?」

 

どうやら、部屋に入って来たのは家畜ではなく、人語を解する存在であると認識したようで、部屋の主は必要最低限の礼儀とばかりに用件を尋ねる。

 

「…フェンリル本部からの通達だ。今までご苦労だったが、君はもう用済みだ…だそうだ」

 

しかし、その返答は家畜以下の無礼極まりないものだった。

 

「…つまり私は、最初から貴方がたの手の平の上で踊らされていただけだと、そういう事でしょうか…?」

 

モーニング・ドレスに身を包み、ベールから金色の長髪と青い瞳を覗かせる、部屋の主である車椅子の女性は、特にそれを咎める様子もなく、ただ淡々と状況を分析する。

 

そんな女性を、黒を基調とした制服に身を包み、銃形態の神機の銃口を覗かせる、家畜以下の存在である神機使い達が、逃げ道を塞ぐように取り囲んだ。

 

それら神機使いの表情は、その女性よりも深いベールの奥に隠されており、傍から窺い知るという事は出来なかった。

 

すると、その輪に割って入るように、暗闇の中から恰幅のいい男が姿を現した。

 

その男は、如何にも将軍らしい口髭を蓄え、指でそれを弄びながら、優越感に満ち満ちた表情で、女性を見下ろす。

 

「わっはっはっ!人聞きの悪い物言いをする!踊らされていたのではない!貴様が勝手に踊っていただけの事だ!」

 

まさしく道化のようになと、男は湧き上がる笑いを抑える事が出来ないようで、必死に表情を整えた。

 

「…とはいえ、貴様のお陰で俺も甘い汁を啜れた事は、素直に感謝しているんだ。あとは、本部に神機兵を持ち帰りさえすれば、俺は莫大な報酬を得る事になる!…さて、その礼と言ってはなんだが、最後に貴様の死に顔でも拝んでやろう!!…やれい!」

 

男の指示を受け、一斉に銃口が女性に向けられる。

 

そんな男達を全く意に介した風もなく、モーニング・ドレスの女性は、冷たい視線を周囲に向けた。

 

「…そうですか…」

 

途端、空気を凍り付かせるような冷たい笑みが、女性の顔に張り付いた。

 

「…ふふ…うふふふふ…!うふふふふふふ…!!」

 

それを目の当たりにした男は、追い詰められた恐怖でとうとう頭がおかしくなったのかと、思わず口に出しそうになり、しかしそれは実行出来なかった。

 

何故なら、その直前に、突然背後の壁が吹き飛んだからだった。

 

「…とても面白いお話を聞かせて頂きましたわ…」

 

直後、夥しい数の駆動音が、軍靴のように響く。

 

「なっ!?何だっ!!?」

 

予想外の状況に男は勿論の事、神機使い達も狼狽する。

 

そんな男達を全く意に介した風もなく、暗闇の中で赤く光る二眼の群れが、その眼に静かな怒りを湛えて、主人に害を為す者達を見つめていた。

 

「…そのお礼と言ってはなんですが、貴方がたの死に顔でも拝んであげましょう…!」

 

「こ…この女ぁぁぁっっ!!!!!!」

 

暗闇の中から迫り来る群れの正体に気が付いた男は、口惜しげに顔を歪めると、その腹立たしさに激怒した。

 

そして、その腹立たしさのあまり懐から旧世代の拳銃を取り出すと、女性に向けて引き金を引く。

 

銃声が、響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あれ………また、寝てた…?」

 

今日はおかしな夢をよく見る日だと思いながら、そいつは瞼を擦り、ぼんやりと部屋を見渡した。

 

今度は、部屋にはそいつ以外に誰もいないようで、それどころか縄や鞭も見当たらなかった。

 

どうやら、縛られてしばかれる事は、なかったようである。

 

二度目の睡眠を取り終え、すっかり徹夜の疲れを解消し切ったらしいそいつは、ベッドの上で大きく伸びをする。

 

「んん~………」

 

脱力。

 

次いで、何かを忘れているような気がしなくもないが、頭がうまく働かない事に気が付く。

 

となると、忘れているような気がする何かを思い出す事よりも、どうやってベッドの心地よさに抗えばいいのかが、そいつにとってのしばらくの課題になりそうだった。

 

取り合えず、当てもなくごろごろと転がってみたり、難なく枕に顔を埋めてみたりする。

 

苦しくない。

 

そこでふと、ナナの姿が頭に思い浮かんだ。

 

「…ナナには、無理かな…………………起きよ…」

 

反射的に自分の身体的特徴をナナと比較してしまった事で、精神衛生上よろしくないダメージを負ったそいつ(♀)は、不幸中の幸いとばかりにベッドの心地よさから解放される事に成功した。

 

そこには、そそそそういう作戦やったんや!とでも言いたげな、しょぼくれた胸囲…もとい、背中があった。

 

「…大丈夫、今度から夜更かし控えるし、配給は増えるし、定期的に運動するし、まだ成長期終わってないし…」

 

しかし、それ以上にしょぼくれているそいつのコンプレックス意識は、どういう事か前向きだった。

 

「…そもそも、今までずっと寝る間も惜しんで研究の手伝いしてたし、その間ずっと戦闘スタイル以外のスタイルに興味なかったし、ストレスがホルモンバランスに影響を与える事は昔から言われてる事だし、それもこれも全部アラガミの所為だし…」

 

そして、結論。

 

「つまり、九割九分五厘アラガミが悪い」

 

コンマ5%は統計学的に考えて誤差の範囲だからと、そいつは前向きに開き直り、ある事に気が付いた。

 

「…ん?それってつまり…色んな神機で戦う為に戦うつもりだったけど、自分をこんな貧相…ちゅ、中性的な体格になる原因を作ったアラガミに八つ当たり…ふ、復讐する為に戦っても、いいって事なんじゃ…」

 

それは、結局そいつは、私利私欲の為にしか戦わないという事だった。

 

平和の為とか、人類の未来の為とか、大切な人の為とか、そういった、大義名分を掲げる事をしないという事だった。

 

つまらない人間である。

 

平凡な人間である。

 

けれど、人間らしい人間である。

 

そういった、世界において然したる意味を持たないような事に気が付いたのだった。

 

そんな事を考えていると、徐々に頭の巡りが良くなって来ているような感覚に陥り、そいつは記憶の片隅に追いやられていた存在を思い出す事に成功した。

 

「…あ、ジュリウスの事忘れてた」

 

 

 

 

 

そいつがロビーへ足を運ぶと、見知らぬ神機使いと話をしている、ブラッドの隊員らしき人物を見付けた。

 

見知らぬ神機使いの方は、ウェーブでロングヘアーな強面の中年男性で、動きやすさを追求した軽装に身を包み、見るからに中堅な存在感を放っていた。

 

もう一方のブラッド隊員らしき人物は、明るい髪色にニット帽を被った若い少年で、対面している人物とは趣の異なる軽装さが、良い意味でも悪い意味でも若者らしい雰囲気を放っていた。

 

そんな対照的な二人ではあったが、どういう訳か会話は上々の弾み具合であり、見た目よりも会話好きであるらしい事が窺えた。

 

すると、どちらからともなくそいつに気が付いた様子で、会話を中断し手招きをする。

 

「おーい!ジュリウスが言ってた期待の新人って、アンタの事だろ?取り合えず、こっちに来てくれよ!」

 

ここまでされると、さすがに行かない訳にもいかず、そいつは二人のところまで移動する。

 

「話は聞かせてもらっている。あんた、配属されて二日目で実戦に行ってきたんだってな?ブラッドはエリート揃いとは聞いていたが、まさかここまでとは…!」

 

「それだけじゃないんだよ、ダミアンさん。コイツ、配属初日から射撃場に籠もってたらしいから!おかげで、昨日は俺ずっとロビーで会えるの待ってたのに、今の今まで顔合わせられなかったんだよ!」

 

「初日からバレットエディットに夢中だったって事か?!わっはっはっ!そりゃあいい!ロミオも災難だったなあ!」

 

「ホント、その通りだよ!あっはっはっ!」

 

随分と会話に興が乗っているようで、二人は笑い合いながら話を続ける。

 

どうやら、今の二人にとってそいつは、会話の肴程度の認識であるらしかった。

 

どこか釈然としないものを感じながら、そいつは徐々に二人から距離を置き、フェードアウトする事にする。

 

そして、いざステルスフィールドを展開しようとした刹那、カウンターの方から視線を感じる事に気が付いた。

 

展開できない訳である。

 

折角ロビーまで来たのに、これで部屋に戻るのも味気ないと思い、そいつは視線の主を見上げる。

 

目が合った。

 

ショートの金髪に緑の瞳が彩られた、フランス人形のように端整な顔立ちをした女性が、そいつを見つめていた。

 

袖のない黒のベストに、丈が超ミニのワンピースという着こなしは、ナナとは違う方向性の露出を目指しているのかと思ってしまう程、際どい格好だった。

 

「…何か?」

 

すると、何か言いたそうにしているそいつの意を汲んだのか、女性は発言を促す。

 

「…その、際どい格好の人がいると、目のやり場に困りますよね…」

 

その気遣いに甘えたそいつがそう言うと、チラリズムを追求しつつも見えそうで見えない極限を探求するミエリズムを、自ら実行するミエリストである筈のオペレーター・フランは、目を伏せて赤面した。

 

「…し、仕様ですので、あまり見ないで下さい…!」

 

そして、カウンターに隠れていてそいつには見えていないにも関わらず、フランは脇を締めて両手でワンピースの裾を押さえていた。

 

どうやら、この際どい格好はフランの趣味という訳ではないらしく、フライアのオペレーターの制服という事らしい。

 

これは、歴としたセクハラなのではなかろうか。

 

しかし、そうするとナナは生粋の露出癖持ちであり、よく訓練されたチラリストである可能性が浮上してくる事になる。

 

よく訓練されたチラリストは、羞恥に頬を染めるどころか、お腹や指先などを冷やしてしまう事もないのだと言う。

 

野生児か。

 

「…と、ところで…!」

 

そんな事を考えながらターミナルの方へ吸い寄せられていると、フランから声を掛けられる。

 

「こほん…失礼ですが、貴女の名前を教えて頂けますか?」

 

たかが名前一つと軽んじていたが、これは面倒だなと、そいつは思った。

 

 

 

 

 

「ジル…というのはどうだろう?短くて呼びやすく、親しみやすくて覚えやすい…ニックネームとして必要な要素を全て満たしていると、俺は思うんだが…」

 

随分と満足感に溢れた表情で、ジュリウスは見掛けに依らず少し残念な事を言う。

 

まるで、命名辞典から一生懸命に選定してきたかのようである。

 

「ジル、か……いいね」

 

そんな事は露知らず、洋館とハンドガンが似合いそうだなあと、郊外の森と第一世代の神機に思いを馳せたそいつは、ジルという名前をすんなり受け入れた。

 

「ふっ…そうか。君が気に入ってくれるかどうかが少し不安だったが、杞憂で何よりだ。これからよろしく頼む、ジル」

 

「こちらこそ、よろしくジュリウス」

 

そして、二人はしっかりと握手を交わすのだった。

 

直後。

 

「…っ??!!」

 

激しい頭痛が、ジルを襲った。

 

その激痛の程度を言い表すとするならば、ジルの脳裏に明滅する光と朦朧としたイメージを焼き付ける程であり、ともすれば、外部から直接脳内に信号を送り付けられているような、言い知れない恐怖と気持ち悪さとを感じさせるものだった。

 

それは、ジルにとって数分もの時間を過ごしたように感じさせたが、現実には数秒程度の出来事でしかなく、立ち眩みか何かであったかのように治まってしまった。

 

「ど、どうした?大丈夫か?」

 

動揺しているジュリウスの声が、ジルには少し騒々しく聞こえた。

 

「だ…大丈夫……多分、貧血だと…思うから…」

 

そう言えばまだ食事を摂っていなかったなどと思いながら、ジルはいつの間にかその場に蹲っている事に気が付いた。

 

ジュリウスが動揺する訳である。

 

「そ、そうか…立てるか?」

 

「あ、アイムオーケー…」

 

まだ意識が混濁しているようで、ジュリウスが肩を貸してくれている事には気付かず、ジルはよく分からない事を口走った。

 

そのまま、ベンチの上に寝かされる。

 

「ここで、少し体を休めていろ。何か冷たいものを持ってくる」

 

「…あーうー…」

 

ジュリウスに何か言葉を掛けようとするが、言葉に出来ない。

 

今のジルは、まるでゾンビのようである。

 

「ま…マップ缶で…よろしく…」

 

そして、案外図々しい奴である。

 

「ま、マップ?…わ、分かった…!」

 

そんな図々しいお願いを、嫌な顔一つせずに聞いてくれるジュリウスは、きっととても良い人なのだろう。

 

薄れゆく意識の中で、ジルはそう思った。

 

 

 

 

 

マップ缶とは、ウィー・ファン・ナウ社が製造と販売を牛耳っている清涼飲料水の一つで、スニーキング・ミッションに勤しむ傭兵から、戦場を駆け回るゴッドイーターまで、幅広い人気を誇っている炭酸飲料なのである。

 

その独特な色使いのパッケージは、「このわざとらしいメロン味」という宣伝文句で一世を風靡した会社が製造している炭酸飲料とよく似ており、しばしば間違えられる事もあるとかないとか。

 

ちなみに余談ではあるが、マップ缶をひっくり返すと違う文字列になってしまい、それをネタにしてデュー缶とも呼ばれる。

 

「んぐ、んぐ…っぷはぁ!」

 

という、無駄な話まで入ったマップ缶を呷ったジルは、先程までの倦怠感など忘れてしまったかのように上機嫌になっていた。

 

カフェインの影響である。

 

「ふっ…もう大丈夫そうだな…」

 

その様子を見て、ジュリウスは良い仕事をしたと安堵していた。

 

しかし、その安堵も束の間に過ぎなかった事に、ジュリウスは気付く事になる。

 

「よーし!マップ缶も飲んだし、ミッション行こう!今回はジュリウスの真似してロングとアサルトで、装甲はシールドに決めた!」

 

「!?」

 

「確か、前回のミッションで出て来たオウガテイルの素材で、ロングもアサルトもシールドさえも作れた筈!テンション上がるわー!!」

 

「じ、ジル?」

 

「ゴーゴーゴー!!!」

 

「ま、待ってくれ!まだ安静にした方が…!」

 

そう、ミッションに出撃した今となって。

 

「………はぁ…」

 

初めて目にするジュリウスが溜め息を吐く姿に、ロミオは不思議そうに尋ねた。

 

「?どうしたんだよジュリウス、溜め息なんか吐いてさ」

 

「…俺とした事が…油断して、勢いに飲まれるとは…」

 

しかし、ジュリウスはそんなロミオの疑問には答えずに、左手で顔の半分を翳らせながら独り言をぶつぶつと呟く。

 

その姿は、仕事で思いも寄らないミスをしてしまった自己嫌悪で落ち込むリーマンのようだった。

 

「…なぁ、ナナ。ジュリウス、何かあった?」

 

それが、ロミオにとって酷く関心を誘うものだったらしく、ロミオから一歩遅れて歩いてきていたナナに声を掛けさせた。

 

「ロミオ先輩…その、ミストがね…かくかくしかじかで…」

 

「かくかくしかじかって何だよ…ってか、ミス・とがめって誰?」

 

が、上手く意思疎通できなかった。

 

「えっとね~…あの、アラガミ相手にちぇりお!ってやってる人」

 

「…ナナ、あれちぇりおじゃなくて、チェスト」

 

甲虫の足を削いでロボットの足を足してアラガミにしたようなフォルムのアラガミを、テンション高めで斬り続けている奴を指差して、ナナとロミオは話を続ける。

 

「…で、その人がね、神機で戦うのが好きで、無理矢理連れて来たんじゃないかな~って…」

 

「そういう事かぁ…どういう事だよ」

 

一応戦場にいるにも関わらず、二人は呑気にそんな事を言っていた。

 

すると、そんな二人を見(?)兼ねたのか、フランから無線が入った。

 

「…余裕そうですね?次はもっと難しい任務でも大丈夫でしょうか?」

 

「「ごめんなさい!大丈夫じゃないです!」」

 

刺々しさが多分に含まれたフランの声は、実際以上に怒っているように聞こえ、二人は直ぐに会話を止めてアラガミの群れに突撃していった。

 

「…はぁ……本当にエリート揃い…なんでしょうか…?」

 

不安そうなフランの声は、誰の耳にも届く事はなかった。




サブタイが思い付かなくなって来たので、そのうち変えます。

ところで、レイジバーストは来年の二月だそうです。

ちょっと早過ぎませんかね…?

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