アンケートの回答の方ありがとうございます!見てみたいという意見が多かったため、今回はタイシンのifストーリーを描かせて頂きました!
結構甘くしてあるので、楽しんで頂けると嬉しいです!
それではどうぞ〜!
「んっ…」
私は窓から差し込んでくる日差しに眩しさをおぼえ目を覚ます。
寝起きで頭が回らないが、いつものように身体を反対側に向ける。
「…あれ?とれーなー?」
しかし待てどいつものように頭を撫でてもらったり、抱きしめてもらえない。うっすらと目を開いて確認すると、そこには愛しのトレーナーの姿はなく、残っていたのは抜け殻だけだった。
「あ…そっか…今日は朝から出張だっけ…」
そういえば昨日夕飯を食べている時にそんなことを話していた。少しずつ目が覚めてきたため状況の把握をしていく。いつもならば洗濯機に入れるはずの抜け殻、もとい寝巻きを私の隣に脱ぎ捨ててあったのかは、恐らく私が不安にならないようにするためだ。
ウマ娘の嗅覚は敏感なのは眠っていても同様で、トレーナーの匂いが突然無くなったことにより目覚めてしまうのを気遣ってのことだろう。
「…そろそろ起きなきゃ。」
遅刻しないためにも起きて準備を始めなければ。
…しかしその前にトレーナーの寝巻きへと手を伸ばし
「スゥ〜〜〜〜〜…」
肺いっぱいにトレーナーの匂いを満たしていく。いつもならば抱きしめてくれた時に行うのだが、今回は寝巻きに残った匂いで我慢しよう。
「…ふぅ。本当にそろそろ準備しなきゃ…」
私はベットから出てきて、身だしなみを整える。
あらかた身だしなみを整えリビングに戻った時に、テーブルに置かれたメモ紙の存在に気がついた。その内容は
『冷蔵庫の中にサンドイッチを入れておきました。食べやすいように1口サイズにしてあるのでちゃんと食べるように!』
と書かれていた。
筆跡が乱れているのは時間が無かったのだろう。
私が前日に今日の分は作らなくていいと言っておいたが、やはり心配になって急いで作ったに違いない。
冷蔵庫を確認すると、私の口の大きさに合わせて小さく作られたサンドイッチが置かれていた。
「ふふっ…作らなくてもいいって言ったのに…」
私は小さく悪態をつきながらも、小さく切られたサンドイッチを口に運ぶ。
悪態をついているものの、自分の時間を犠牲にしてまで朝食を作ってくれるほど自分の事を大切にしてくれていることが嬉しかった。
「ご馳走様。美味しかったよ。」
聞こえていないと分かっていても、しっかりとお礼を伝える。
全ての身だしなみを整え部屋を後にしようとした際にふとしたことに気がついた。
(そういえば…1人で学校行くのって久しぶりかも…)
トレーナーと同じ部屋で過ごすようになってからは毎日一緒に学校へと向かっていた。そのためこうして1人で学校へ向かうのはかれこれ3ヶ月ぶり位だろう。いつもより広い玄関に少し寂しさを覚える。
「…まぁだからなんだって話か。」
会えないのだって放課後までだ。それぐらいの時間で寂しくなるほど私は子供ではない。
靴のつま先を地面にぶつけて靴を慣らし、自分の手でドアを開ける
「じゃあ…行ってきます。」
誰もいないはずの部屋に向かって言葉を投げる。誰もいないはずなのだが、空いた窓から彼の声が風に乗って帰ってきた気がした。
私は子供じゃない。この程度で寂しがるようなことはない。
…そう思っていたんだ。
「…おはよ」
「おはよータイシン!って何でそんなに元気ないの!?病気!?」
「いや…別に…」
私がチケットに挨拶をすると、彼女はいつも通りに元気な挨拶を返してきた。しかし直ぐに私の異変に気づいたようで、また大声で声をかけてくる。
「確かにいつもよりも元気がないのは事実だ。本当に体調に問題はないのか?」
「本当に大丈夫だから…」
するとチケットの隣にいたハヤヒデも私を心配してきた。私はそれを適当に受け流し、自席に座り机に突っ伏す。
(言えるわけないでしょ…トレーナーと朝から会ってないから調子が上がらないなんて…)
自分の事を子供じゃないと思っていたけど…こんなことで調子が落ちるなんて思わなかった。
「早く帰ってきてよ…とれぇなぁ…」
誰にも聞こえないか細い声で呟いた言葉は、環境音に溶け込み消えていった。
少し時は過ぎて昼休み。私の調子は先程よりも更に悪くなっていた。尻尾はダラりと力なく垂れ下がり、耳も同様にペタリと垂れてしまっている。
「…ねぇ、タイシン。本当に大丈夫?…私たちじゃ力になれないかな…?」
「そうだぞタイシン。私たちに出来ることなら何でもする。だから話してはくれないか?」
ハヤヒデたちが不安そうな表情を浮かべながら、心配そうに再度声をかけてきた。本当ならこんなこと言いたくなかったけど…これで少しでも会えるまでの時間が短くなるなら…
「…笑わない?」
「もちろん!」
「当然だ。」
2人は任せろと言わんばかりに頷いた。それを確認した私は2人を人が居ない屋上まで連れていき、私の調子が悪い理由を話した。
「…なるほど、通りで…」
「…笑わないの?」
「笑うはずがないだろう。むしろタイシンがそうやって思える相手が見つかって良かったと安堵しているよ。」
ハヤヒデは私を攻めることなく、むしろ安心したと言った通りに表情は緩んでいた。そしてチケットは何故か小刻みに震え出すと
「ゔえ゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙!寂゙じがっ゙だね゙ダイ゙ジン゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙!」
「ちょっ!くっつくな!」
チケットが泣きながら私の胸へと突っ込んできた。普段ならば躱していたけれど、今回は相談に乗ってもらったため、そのまま受け止めた。
その後2人は少し考え込む仕草をしたものの…
「しかし…流石にトレーナー君の出張の時間を変えることは私たちには難しいな…」
「ぐぬぬぬぬぬぅ〜!何か出来ること〜!」
「…そうだよね…とれぇなぁ…」
やはり解決策は浮かばなかった。そもそも私たちの力でトレーナーの帰る時間を操作などできるはずがないのだ。
私が落ち込んでいると、チケットが突然「あーーー!」と大きな声を上げた。
「タイシンタイシン!あれってトレーナーの車じゃない!?『どこっ!』うひゃあ!早いねタイシン!」
「…あった!」
確かにそこにあったのは私のトレーナーの車であり、その中からは私がずっと探し求めていた愛しのトレーナーが姿を表した。それを確認した瞬間私は気づいたらその場から駆け出していた。
「まて!タイシン!」
ハヤヒデが私を止めようとしているようだが、今の私は早く彼に
「トレーナーは出張届を出すために1度理事長室に行くはずだ!だから部屋に行くのではなく理事長室に行くべきだ!」
「ありがと!」
私はビワハヤヒデにお礼を言うと、彼女から得た情報を頼りに走る速度を早めた。早く心のバッテリーを満たすために。
〜トレーナー視点〜
「…はい。これが今回の出張での報告内容です。」
「感謝!長旅ご苦労だった!」
「本当にお疲れ様でした!予定よりも早い到着でしたが、問題などはございませんでしたか?」
「いえいえ!なにも問題はありませんでしたよ!」
俺は朝早くから出張で学外に出ていた。本来ならば夕方までかかるはずだったが話し合いがスムーズに進んだため早めに帰ることが出来たのだ。
「そう言えばトレーナーさん。タイシンさんには出会いましたか?彼女は寂しがり屋なので会いに行った方がいいのではないでしょうか?」
「そうですね。朝から出てしまってので今日はまだ顔を「ドドドドドドド」…ん?」
たづなさんから言われた通り少し前からタイシンはとても寂しがり屋になってしまったのでそろそろ会いに行こうと思っていると、外、つまり廊下の方から何かが物凄い勢いで走ってくる音が聞こえてきた。すると何故かたづなさんがスっと横にズレて、俺から離れていった。それから直ぐに「バンッ!」と派手な音を立てて理事長室の扉が開かれた。
「トレーナー!!!」
「…お?うぶぉえ!?」
開かれた扉からは先程丁度話をしていたナリタタイシンが勢いを殺さず飛び込んできた。当然そんな勢いで来られたら受け止められるはずも無く倒れ込み、背中を強打する。衝撃で自分でもビックリするような声が出たよ。
「トレーナーだ…グスッ…私が欲しかった感触だ…!」
「…えーと…たづなさん?」
「はい♪既に報告内容は確認したので戻って頂いて大丈夫ですよ〜」
たづなさんにヘルプを求めると、ニコリと笑い、優しい目線を向けながらも退出許可を出してくれた。今はその優しさに甘えて退出させて貰うとしよう。
「…寂しかった。」
「ごめんな。一応早く上がっては来たんだが…」
現在俺は自室にてタイシンのご機嫌直しをおこなっている。実際ならば放課後の授業が残っているため、このようなことをするのは宜しくないのだが、タイシンが俺から離れる気配が全くなかったのと、タイシンのことを考えて特別に午後の授業を免除してくれた。
「私だってこんなになるなんて思わなかったんだもん…こんなに寂しくなるなんて…」
そう言って顔をグリグリと胸に擦り寄せて来る。その姿はさながらマーキングをし直しているようだった。昔ならば考えられないその姿が愛おしく、優しく髪を梳いてあげる。
そう言えば…
「あ、朝ごはんは食べてくれたか?冷蔵庫の中に…」
「作り置きでしょ?…美味しかった」
「ならよかった。」
ちゃんと食べてくれたようで安心した。彼女は少食だから簡単に食べれるサンドイッチにしてみたが、気に入って頂けたようだ。
するとタイシンは胸に擦り付けていた顔を上げ、ポツリと呟いた。その表情は少し不安そうだった。
「…あのさ、私って…迷惑になってない?」
「え?なんで?なるわけないじゃん」
なぜ突然そんなことを言い出したのかよく分からないが、全く思っていないため直ぐに否定する。すると、「だって…」と続けた。
「今回もそうだったけど…最近トレーナーと一緒にいない時間が寂しくて…少し長い時間離れちゃうと…こうやって…」
そう言って抱きしめる力を少し強める。
なるほど、少し前までは態度がツンツンしていたので、こうやってくっついたりすることが迷惑になっているのだた思っているのだろう。
「タイシン。顔上げて」
「…何…?んっ…」
俺はこちらを向いたタイシンの唇にキスをする。タイシンは少し驚いてはいるものの、素直に受け入れてくれた。
「タイシンは少し前まではこうやって触れ合うことが出来なかったからさ、むしろ嬉しいんだ。迷惑になんて思うはずがない。だからさ…もっと我儘を言ってもいいんだよ。」
「…うん。ありがと。」
彼女は安心したようにニコリと笑うと、俺の体を引っ張り、そのままコロンと2人でソファに寝転がった。
「…じゃあさ。1つ、お願いしてもいいかな…?」
「おう。ドンと来い」
すると少し恥ずかしそうに頬を赤らめ
「今日は練習休みたい…今日触れ合えなかったぶん…抱きしめて欲しい…愛して欲しい…」
そう言って今度は自分から口付けをしてきた。
昔の彼女からは絶対に想像出来ないその姿に嬉しさと、ちょっとした感動を覚え、唇は外さず、彼女を抱きしめる力を強めた。
〜タイシン視点〜
トレーナーに包み込まれる。そして私の心が満たされていく。先程まであんなに不安で寂しかったはずなのに、今は暖かくてとても幸せな気分になっている。
ただ抱きしめられただけなのに、キスをしているだけなのに…
あの時から私は変わった。今までのようにトレーナーには照れ隠しでキツい口調を使わず、正直な気持ちを伝えるようにした。スキンシップだって前に比べたら格段に増えた。
こんな姿、昔の私が見たら気絶してしまうだろう。けれど、昔に戻りたいとは思わない。いや、思えないの方が適切なんだろう。
今の私はバッテリーのようなものだ。エネルギーが無ければ動けない。だから…
「ふふっ…大好きだよ。トレーナー…」
心のバッテリーをトレーナーの温もりで満たさなければ、動くことなんて出来ないのだから。
如何でしたでしょうか?
前回のお話からかなり関係が進展しているナリタタイシンのお話でした!寂しがり屋なのは…完全なイメージです!
そして待って下さった皆様本当に申し訳ありません。そして今回も閲覧して下さりありがとうございます!
コメントもとても嬉しいです!しっかりと返信させていただきます!
遅れた理由でもあるのですが、もしかしたら違うシリーズを同時進行で作るかも…です!
それではまた次回もよろしくお願いします!
このウマ娘のifstoryが見てみたい!
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