ウマ娘とトレーナーの甘い日常   作:2度漬けウインナー

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滅茶苦茶期間空いちゃってすみません!
今回はビワハヤヒデのお話です!
勝利の方程式を組んでレースを勝利するハヤヒデも、恋愛面はこんな感じ…?といった偏見で描かせて頂きました!

それではどうぞ!


恋の方程式に解は要らず

私は常に物事を論理的に進めていく。勉強でも、レースでもだ。

論理的に進めれば必ず解にたどり着く。だからこそ私はこの武器を手に妹であるナリタブライアンの圧倒的才能に立ち向かった。

 

このやり方で失敗した事なんてなかった。だからこそ何にでも通用すると思っていた。なのに…

 

 

 

「何故トレーナー君に対しては上手くいかないんだ…!?」

 

トレーナー君にだけは…通用しなかった…

 

私が彼に対する恋心を自覚したのは3ヶ月ほど前。初めは自分の実力を引き出してくれる人という認識しかなかったが、彼の走りではなく心を見ているその志に惹かれ、気づいたら彼の姿を目で追うようになり、自室ではトレーナーが今何をしているかが気になるようになった。

 

そして私は自分の気持ちを彼に伝え結ばれるために様々なデータを集め、完璧なプランを制作し、満を持して彼への「告白作戦」の実行した。

 

…と、これが既に3ヶ月も続いている。

 

例えばこんな昼下がり…

 

 

 

 

 

「突然すまない。トレーナー君は既に昼食をとっただろうか?」

 

「いやぁ?今仕事が終わったもんでね。今から食おうと思ってたとこだ。どっか一緒に食いいくかぁ?」

 

「いや…その…弁当を作ってきたのだが…食べてくれるか?」

 

そう言って彼に弁当箱を渡す。

これは私が1番初めに実行した「お弁当作戦」である。

書物曰く異性に弁当を渡すのは距離を縮めるのに最適であり、相手の胃袋を掴んでしまえば婚約まであっとゆう間である。

 

(今回の献立は彼の好きな鯖の味噌煮に加えて、彼の健康状態を考えた完璧な組み合わせ…これならトレーナー君も…!)

 

彼の様子を確認してみると、弁当の中身を確認すると、少し驚いた表情をしたが、私に対して「じゃあ頂くな」と一言断りをいれ、嬉しそうに食べ始めた。

食べている時の彼の表情はとても明るく、美味しそうに食べてくれていた。

 

「これ美味しいなぁ!?滅茶苦茶バランスよく作られてるし…!」

 

「そ…そうか!それならよかった…」

トレーナー君は美味しいと思ってくれたようだ…よかった。本当に…。朝4時から準備をして作ったかいがあったというものだ…

私が心の底から安堵していると、トレーナー君はとんでもない爆弾発言をしてきた。

 

「ほんと…毎日作って欲しいレベルだわ!」

 

「うぇ!?」

 

トレーナー君!?今『毎日作って欲しい』って…!?それはつまり『生涯一緒に居てくれ』って言っているのとほぼ同じであり、それ即ち結婚…!?

私の頭の中はパニック状態となり、顔はみるみる赤くなっていく。しかし彼のこの後の話を聞き逃さないために、耳はしっかりと彼の方へと向ける。

 

「それは…つまり…」

 

「おう!だってそうすれば俺の不健康な食生活も治るだろうしな!そうすれば練習メニューを練る時間も作れるし、ハヤヒデにとっても良い気分転換になるだろ!」

 

「…もちろん!これから…も?」

 

私は元からYESと答えるつもりだったので話をあまり聞かずノータイムで答えたが、トレーナー君が私に言った言葉は結婚をしようみたいな言葉ではなく、あくまで私が前から注意していた食生活の改善と、私の気分転換に良いからこれからも頼む。といった内容だった。

 

「あ!もちろん金は俺が持つ!作って貰うなら当然だからな!」

 

「…うん。…分かった。これからも用意しよう…」

 

「よっしゃー!やったぜ!」

 

私は彼から送られた言葉に肩を落とす。

トレーナー君はその姿を見てまた勘違いをしたようで、しっかりとお金は払うと話していたが、私の耳にはあまり届いていなかった。

 

 

 

「トレーナー君。今度の休みに予定はあるか?」

 

そして私が今日行ったのはお出かけ作戦であった。

相手との距離を自然に埋められる上に、相手の趣味やお気に入りの場所を知ることが出来る大きなチャンスがある。

…私にとって本当に嬉しいことはトレーナー君と一緒の時間を休日にも取れるということなのだが…

 

「ないよー。仕事も終わってるし、ハヤヒデのおかげでデータ整理も残ってないからな。いつも助かってるよ。」

 

「っ///そうか…うん…ふふっ!」

 

何故トレーナー君はそうやって私が欲しい言葉を平気で恥ずかしがらずに言えるのだろうか。そんな彼の自分の思っていることを真っ直ぐに言える神経を少しだけ妬む。

けれど彼からの感謝の言葉を貰っただけで顔が熱くなってしまったり、心の底から幸せな気分になってしまう私はだいぶ彼色に染まってしまているのだろう。

 

「休日に出掛けるねぇ…なんかデートみたいだな!」

 

「でっデート!?それは…その///」

 

彼は無邪気な笑顔をこちらに向けてくる。

彼にとってはただのからかいの一環なのだろうが、私の思考を狂わせるのには充分であった。

 

(デート!?確かに私はあくまでトレーナー君と出掛けたくて…でもゆくゆくはデートにしたいということは事実であって…でもでもまだそれは…)

 

「…お?ハヤヒデ?どうした顔赤くして…え?ショートした?」

 

「デートではない!これはっ…その…そう!買い出しだ!トレーナー君には買い出しを手伝って欲しいんだ!」

 

この時の私は大きな過ちを犯した。思考がショートしていて冷静な判断ができなかったのと、恥ずかしさのあまり突然黙り込んでしまったため、早く何か話さなければという焦りが私の頭を駆け巡り、結果思っていたことと正反対の発言をしてしまった。

やってしまったと気づいたころにはもう遅い。トレーナー君はいつものようにケラケラと笑いながら

 

「冗談だって冗談!荷物持ちな!任せとけって!」

 

「…よろしく頼む。」

 

「おう!ってハヤヒデ?なんか怒ってね?」

 

元はと言えば私が焦って口走ったのが原因なのだが、こうもはっきりと女性として見られていないことを告げられたことに不満と、自身の発言に対する苛立ちを感じその場を後にする。

 

「ちょっとハヤヒデさん!?どこ行くの!?え!?俺また怒らせたの!?」

 

後ろからトレーナー君の慌てて困惑した声が聞こえたが 、私は足を止めず、ある場所へと足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はどうすればいいんだブライアン〜…」

 

「何でいつもここに来るんだ姉貴…」

 

私はここ最近アプローチに失敗すると、ブライアンの部屋に向かって話を、もとい泣き言を聞いてもらっている。

初めは嫌がっていたブライアンだが、少し前からあまり嫌がらなくなり、むしろ茶菓子などを用意し、本腰を入れて話を聞いてくれるようになった。

彼女が私の悩みを真剣に聞いてくれるのはとても嬉しい。強いて言うことがあるとすれば

 

「まぁアイツ滅茶苦茶鈍いからなぁ…けど俺あいつよりも知能レベル低いんだよなぁ…」

 

「気にするな。貴方には貴方のいい所がある。私はそんな君が好きなんだが?」

 

「…本当に仲がいいな、2人とも…」

 

恋愛相談をしている目の前でイチャイチャされるのは少し辞めて欲しいとは思う…。しかし私は聞いてもらっている側であり、むしろ最近になっては何も感じなくなっているあたり、私ももう慣れてしまったのだろう。

 

「私は必死に彼にアプローチをしているのに…魅力がないのか?私は恋愛の才能でさえもブライアンに負けるのか…?」

 

「いやそうはならないだろう…本当に追い込まれてるな姉貴…」

 

追い詰められすぎて意味不明なことを口走り始めた私に対して困惑の視線をおくるブライアン。姉をそんな目で見るな!と言いたかったが、そんな元気はなかった。

 

「そもそも姉貴はアプローチが遠回しすぎるんだ。兄貴はそんなことに気づくタイプじゃないだろう。」

 

「それは…」

 

そうだ。それが彼の唯一の欠点なのだ。

私のトレーナー君は全国トップクラスの大学を首席で卒業するほどの頭脳を持ち、ウマ娘の体調変化、得意な走法、苦手な走法を瞬時に見抜く観察眼を持つ。

これだけを聞いたらただの完璧人間。こんな人に欠点など無いと思うだろう。

しかし…彼は言葉では語らない。俗に言う感覚派の人間なのだ。以前座学を教えて貰った時なんて「これをここにドゥン!って突っ込んで、ズバババってやってあげれば答えがバンよ!」と意味不明なことを言われた。

そんな彼がこんな遠回しなアプローチに気づくわけもないのだ。分かってるのだけど…

 

「やっぱり真正面から言うのは恥ずかしい…///」

 

「「乙女だなアンタ(姉貴)。」」

 

流石に真正面からは恥ずかし過ぎる!最近なんかトレーナー君に3秒ほど見つめられるだけで顔が赤くなってしまうというのに、愛を伝えるなんて…!無理だ!だからこそ私は論理的に詰めようと!

 

「姉貴の気持ちは分からんでもないが、いつか取られてしまうかもしれんぞ。」

 

「まぁ…そうだなぁ。あいつ普通に顔良いしな。」

 

「それはダメだ!トレーナー君は私のものだ!」

 

それだけは許されない。彼の隣に立つのは私だけだ!

私は勢いよく立ち上がる。するとブライアンは顎でドアを指した。

 

「そこまで意思が硬いならさっさと告白してこい。私は早くコイツとイチャイチャしたいんだ。」

 

「それは…すまなかった!色々と助かった!行ってくる!」

 

「頑張れ〜」

 

私は彼女の言葉を胸に刻み、トレーナー君のいる部屋へと急いだ。先程まで心にあった蟠りは、いつの間にか消えており、今なら自分の気持ちを伝えられる気がした。

 

 

 

 

「すまないトレーナー君!大切な話があるのだが!」

 

「あっ!はい!大丈夫でございます!」

 

トレーナー室のドアをノックする。中から聞こえて来るのは愛しきトレーナー君の声。しかし今の彼は先程のことを気にしているのか、普段なら絶対に有り得ないような口調で話しかけてくる。

 

「ハヤヒデさん?話って言うのはなんですかね…?出来れは俺の私生活に支障が出ない程度で済ませ欲しいんですが…」

 

トレーナー君は私が勢いよく部屋に入ってきたせいか、怒られると思っているようで少し顔が強ばっている。

しかし私が伝えるべきことは彼に対する怒りなんかでは無い。もう逃げない。ここで、ちゃんと伝えるんだ。

 

「その…だねっ!私が伝えに来たのは君が想像しているような事じゃないんだ…。私は、君のことが…」

 

私は彼の顔をハッキリと見つめ、用意していた言葉を紡ごうとする。しかし紡ぐはずの言葉は喉の奥で詰まり、空いた口からは空気だけか漏れていった。

 

「君…の…ことが…えっと…私はっ…!」

 

(私はまた逃げるのか!?ブライアン達に鼓舞して貰ったのに…何で!)

 

彼女達からの鼓舞を受けたというのにこの様。自分の情けなさに嫌気が差し、涙のせいで視界が揺らいだ。

私が自己嫌悪で泣き出しそうになったその時、トレーナー君は私の姿を見て小さくため息をついた。

 

「…ったく。1人で勝手に抱え込むんじゃねぇよこの頭でっかち。ツラ貸せ」

 

「っ!私は頭でっかちなんかじゃ、んむっ!?」

 

トレーナー君は私に対して頭でっかちと言ってきた。その言葉に対して反論しようとしたが、その前に彼は私の胸ぐらを掴んで無理やり口付けをした。ロマンチックの欠けらも無い。しかしその味はとても甘美なものであった。

 

「…ふぅ。つまりお前は俺が好きって認識で間違ってないんだな?」

 

「…ぷはっ!トレーナー君!?突然何を…!?そもそも私は…す…好きなんt」

 

「はいかYESで答えな。俺がまどろっこしいのが嫌いなのは知ってるはずだろ?」

 

そう言って彼は私の顔を見るために顎をクイッと上げて悪戯な笑みを向けてくる。彼のこうやって自分の本能で行動できる所が愛おしく、そしてとても羨ましかった。

気づいたら私の喉のつかえは無くなっていた。今度こそ私はそのまま自分の本人をトレーナー君に告げる

 

「…私はっ!き…君のことが…好き…だ。だから…付き合って…欲しい…」

 

「当然だろ、ばーか。」

 

そう言ってトレーナー君は抱きしめる力を強め、今度は優しく口付けをしてくれる。心の底から温まり、肺いっぱいに彼の匂いに満たされていく。これからの関係性などについて話合いたいところだが、今はこの幸せを感じる事に集中しようとした。

 

 

 

 

…トレーナー君の一言を聞くまでは。

 

 

 

「うし。じゃあ結婚するか。」

 

「…なぁ///!?突然何を言い出すんだトレーナー君///!?」

 

トレーナー君から放たれた衝撃的な一言で甘い雰囲気は一瞬にして吹き飛んだ。私の顔はみるみる赤く染め、声を上げる。しかし彼はその姿を見ると、ハッと鼻で笑う。

 

「別にいいだろ?両想いなんだし、早くて越したことはねぇし、他の連中と違って俺たちはもう心で繋がってんだ。離れるなんてゴメンだね。」

 

「それは///…そうだ。その通りだ///」

 

私たちはもう3年以上も苦楽を共にしてきた。様々な障害に立ち向かい。喜びを分かちあってきた。だからこそお互いへの理解なんて出来ているのだ。

私は真正面からそんなことを言われたため目を逸らす。するとそのタイミングでトレーナー君は私のことを抱きしめることを辞めて、首と足の方へと腕を移動させ…そのまま私を抱き抱えた。

 

「よっし許可降りたな!今日の練習中止!俺の部屋で将来について語るぞー!!」

 

「ちょっと!?トレーナー君!?色々待ってくれ!頭の処理が…!それよりもこれで人前に出るのは流石に恥ずかしい///!」

 

一応声は掛けてみたものの、こうなったトレーナー君が止まるはずもなく、そのまま私を抱き抱えながら部屋へと早歩きで向かっていった。

初めは恥ずかしいから辞めて欲しいと思ったが、彼を狙っていた娘達に見せつけてやろうと思い、彼の胸へと顔を埋め、大人しく運ばれることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数年後〜

 

「まさか本当に卒業してから直ぐに結婚するとは…」

 

現在私はウエディングドレスを纏っている。そして目の前にはタキシードに身を包んだトレーナー君。もとい旦那様の姿

 

「当然だろ?てかそもそもハヤヒデも喜んでたじゃねぇか」

 

「それは…当然だ。好きな人と結婚出来るんだ。嬉しくないわけないだろう…」

 

結婚出来ることは私も凄く嬉しい。けれど…まさか卒業式の翌日に結婚式を開くことになるとは思わなかっただけだ。

すると突然トレーナー君は私の頬へと手を当てる

 

「ハヤヒデ。幸せか?」

 

「…あぁ。とても」

 

まだ少し早いが、私たちは軽い口付けを交わした。

 

初めは論理的に進め、彼の心を魅了しようと思っていたが、上手くいくはずがないのは当然だ。そもそも恋に答えなんて存在しないからだ。つまり私はずっと解の存在しない問題を解こうとしていたのだ。

 

 

けれど、彼となら、一緒にならば答えを作れるかもしれない。だからこそ彼と過ごす時間を一分一秒を大切にしていこう。

私はこれからの彼との人生構成を考え、心を踊らせる。

 

 

 

今は答えを出せなくても、いつか、きっと。君と一緒にこの方程式の解を見つけよう。




如何でしたでしょうか?
遅れちゃってすみません!リクエストして頂いた子のお話を描いていたのですが、1週間かけても上手く纏まらなかったので、一時的に断念しました…必ず描きますので、もう少しお待ちして頂けると嬉しいです…!
次回はタイシン、ハヤヒデが来たので…?
直ぐに仕上げるので、少々お待ちください!
それでは〜!

このウマ娘のifstoryが見てみたい!

  • トウカイテイオー、メジロマックイーン
  • サイレンススズカ、シンボリルドルフ
  • オグリキャップ、エアグルーヴ
  • スペシャルウィーク、ゴールドシップ
  • アグネスタキオン、ミホノブルボン
  • サクラバクシンオー、ライスシャワー
  • ナリタブライアン、テイエムオペラオー
  • マンハッタンカフェ、ナイスネイチャ
  • タマモクロス、セイウンスカイ
  • サトノダイヤモンド、キタサンブラック
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