今回は我らが同士アグネスデジタルのお話です!
1部自己解釈を含んでいるかもしれませんが…楽しんで頂けると嬉しいです!
それではどうぞ〜!
座学が終わった放課後のトレセン学園のターフの上はウマ娘たちで溢れかえる。その中には友達と練習し、お互いを高めあっていたり、ちょっとしたことで口論になり、勝負で決着をつけるいつもの二人が居たり、…何故か将棋をしていたりと、内容は様々あれど、この場にいる全員が今よりも早く走るために努力を積み重ねる。つまりこの時間帯のこの場はトレセン学園に通っている彼女たちが一番輝く場所なのだ。
そんなウマ娘たちが輝くターフの少し離れた場所に、何故かカメラを構えたウマ娘が一人…
「あぁっ!ターフを駆ける覇王様っ…!今日も眩しすぎます!」
「うひょおおおおお!ウオスカ尊い…いつも供給ありがとうございますぅ!」
ピンク色の髪を赤いリボンで前髪を結んでいる、一部のウマ娘たちからは挙動のおかしな子とも呼ばれる皆が認めるウマ娘オタクのアグネスデジタルである。
今日もこうしてターフで輝く彼女たちの姿を全力でカメラに収めて(決して練習の迷惑にならない位置から)いるのだ。…後ろから接近する存在には気づかず。
「今日はここでずっとウマ娘ちゃん達をカメラに収め『続けないで早くターフに来ようかデジたん?』ひょわぁぁあ!?」
全く予期せぬ方向から突然声をかけられたことによりアグネスデジタルの体がぴょんと跳ねた。そんな彼女に突然声をかけたのは彼女を担当しているトレーナーだった。
~アグネスデジタル視点~
私ことデジたんは手に持ったカメラを一度地面に置くと、トレーナーさんに対して抗議する
「とっトレーナーさん!後ろから忍び寄らないでくださいよぉ!」
「だってこうでもしないと気づかないじゃんデジたん」
始めは強気に攻めたものの、トレーナーさんの言い分を聞いて目を反らす。
私はウマ娘ちゃんのことになると途端に視野が狭くなる。どの位狭くなるかと言いますと…目の前から話しかけられたり、誰かが来ていても全く気付けないくらいには狭くなります。
(…いやウマ娘ちゃんを見ている視野は広いんですけれどっ!)
そんな私の姿を見たトレーナーさんは「まぁいいや」と言うと私に悪戯な笑みを浮かべてきた
「ああやって言ったけど、今日は元々練習する気はなくてね。この後買い出し行くから1時間後に駅前集合な〜」
「え!?ちょっと!?トレーナーさぁん!?行っちゃった…」
トレーナーさんは要件だけ伝えると小走りでトレーナー寮へと行ってしまった。そんなトレーナーさんの背中が見えなくなるまで眺めていると、ポケットに入れておいた携帯が振動した。
『あ、さっき撮った写真の中で健全かつエモい写真あったら送っておいて』
「oh......」
携帯の画面を確認し、手で顔を覆う。 そうだった。トレーナーさんも私ほどではないにしてもウマ娘ちゃんオタクだ。
(まぁ送るんですけど…)
私は手に持ったカメラの中からトレーナーさんの求めているであろう写真を整理しながら自分の部屋へと足を進める。しかし頭の中では別の事を考えていた。
(何故トレーナーさんは私を買い出しに誘ったのでしょう…いつもだったら『お前を連れて行くと普段の3倍は時間がかかる!』って言って連れいってくれませんし…)
それなのに何故今回は私と一緒なのでしょうか…?頭の中にパッと浮かぶものだと…
(普段より多くの物を買うから?…それは無い。トレーナーさんは計画的に買い出しをしていますし、そもそもトレーナー室に圧倒的に足りない物が存在しない。
ならば単純な荷物持ち…も無いですね。あの人自分以外の人に荷物持たせるの嫌いですし…そうなると…単純に一緒に出かけたい…?)
「いやいやっ!ないないない!デジたんにそんなイベントは起きるはずがありませんっ!」
自分で勝手に想像した結論で顔を赤らめてしまい、誰がいる訳でもないのに言い訳を並べる。誰も居ないことは分かっていたが、こうでもしないと気持ちが落ち着かなかった。
「そうです!トレーナーさんはただいつもみたいに私とウマ娘ちゃんについて語りたいだけ…買い出しと言うのはウマ娘ちゃんグッズの買い出しでしょう!」
そんな事を考えていたらいつの間にか自室の前まで着いていた。ここから準備するのに20分もかからないだろうし、何も問題ないはないだろう。
(…けれど、一応…い ち お う!髪型などは…確認しましょうか…)
元々はただ服を着替えて軽く髪を梳くだけの20分で終わるような準備が、結局準備を終えて部屋を出たのは40分後、何故ただのトレーナーとの買い出しにこんなにも準備をしたのか、何故こんなに心が踊るのかは、目的地に到着しても理解が出来なかった。
「…なぁデジたん」
「はいはい〜なんですかトレーナーさん?」
「何か…怒ってね?」
「いえいえ〜」
私たちが今少し大きな荷物を持って出てきたのはホームセンター。結局トレーナーさんが私を呼んだ理由は…
『トレーナー室にコルクボードを設置したいんだけど、どの大きさが良いかとかよくわかんないから…デジたん確か部屋にあるでしょ?』
…らしい。要約すると、コルクボードを一緒に選んでくれ。と言うことだろう。
いや、別に怒ってはいないですよ?別に「本当にそれだけの為に呼んだの?」とか、「私が悩んでた40分を返せ」とか、「少しぐらい服装とか髪型褒めろ」なんて…これっぽっちも思ってませんよ?
「何かよく分かんねぇけど…あ、デジたんってなんでリボン付けてるん?」
トレーナーさんは私が怒っている(怒ってない)理由は分からないようで、話の話題を無理やり変えてきた。
「そうですねぇ…これが私のトレードマーク…だからですかねぇ?だって可愛いじゃないですかリボン」
そう言いながら自分リボンを少し弄る。学校のウマ娘ちゃん達も私の事をリボンで認識してると思いますし…あ、けれどちゃんとレースの時は目立たないようにこの赤いやつはつけないですけれどね。
「まぁ可愛いよな、リボン。デジたんの可愛さを引き立ててる」
「可愛っ!?」
何でこの人平気でそんなこと言えるんですか!?タラシなんですか!?
トレーナーさんの言葉にらしくもなく顔を赤らめてしまい、急いで顔を逸らす。
「お?どしたんデジたん?」
「いやっ///えぇっとぉ…///あ!あんな所に推しのグッズがぁ〜!」
「ちょっと!?少ししたら戻ってきてね〜!」
私は自分の顔を見られないように、たまたま見つけたウマ娘ちゃんグッズの元へと向かう、もとい逃げ出した。
「むむぅ…どうしたのですか今日の私は…」
ウマ娘ちゃんグッズを選びながら、今日の自分の行動を思い返す。
トレーナーさんが出かけると言っただけで同様し、普段ならそんなに時間をかけない身だしなみを気にかけたり、そんなに時間をかけたのに触れて貰えなくてムッとしたり、赤らめた顔を見られたくなくて逃げ出したり…
「…考えても仕方ないですし、戻りますか」
トレーナーさんを待たせる訳にはいかないので、何個か手に持ったグッズをレジに持っていった。
先程まで考えていたことの結論はよく分からない。
と言うよりかは有耶無耶にした。よく分からないけれど…知ってはいけない気がした。
「すみません〜!おまたせしま…し…た…」
「あ!デジたんいい所に!こいつひっぺがしてくれない!?」
「え〜いいじゃん〜久々にあったんだしさ〜?」
私が急いで戻った先に広がっていたのは、トレーナーさんが私が知らない女性に抱きつかれている様子だった。
トレーナーさんは私の姿を見ると一瞬驚いたように目を見開き、その後手をばたつかせて助けを求めている…気がした。正直よく見ていないから分からなかった。
けれどあの光景を見ていると胸が締め付けられて…苦しかった。
「あ…あはは!いやぁトレーナーさんも隅に置けませんなぁ!デジたんインスピレーションが湧いてきましたぁ!トレーナーさんお先に失礼しまーす!」
「ちょっと!?待ってくれデジタル!」
私はこの頭の中にあるインスピレーションを形にするために、トレーナーさんに一言かけるとそのまま寮へと走り出した。トレーナーさんが何か言っていた気もしたけれど、私はとにかくいち早くその場から立ち去りたかったから…聞かなかったことにした。
(…あの抱きつき方…このシーンで使えますね!)
私しか居ない寮の部屋、灯りは付けずに太陽の光だけが部屋を照らしていた。
(ならばこのキャラは…あの人をモチーフにしましょう!)
トレーナーさんのお陰で筆が進む。少し行き詰まってしまった原稿がトレーナーさん達のお陰でスルスルと進んでいく。
(でゅふふ〜…トレーナーさんにはしっかりとお礼をしなくては〜…)
「帰ったよデジタル君〜聞いてくれよ〜今日モルモット君が…」
ルームメイトが帰っていたにも関わらず、一心不乱に透明なインクで原稿を凄まじい勢いで染め上げる。このままの勢いで…!「デジタル君?」完成まで…?
デジタルさんが私の両頬を優しく挟んで原稿から顔を上げさせる。
「たきおんさん…?」
「何で…泣いているんだい…?」
デジタルさんの綺麗な瞳に映る私は、泣いていた。
「あれ…なんでわたし…泣いて…?」
「ゆっくりでいい。少しずつ話してくれたまえ」
話す…?何を…?別に話すことなんて
「ただトレーナーさんと一緒に出かけて…私が離れてた時にトレーナーさんが彼女さんと一緒にいただけですよ〜…」
そう。それだけ、私には何も関係のないこと…
「デジタル君、ここに居るのは私と君だけだ。だから…」
それだけ…それだけのはずなのに…
「もう、我慢しなくていいんだよ」
「…たきおんさぁん!」
タキオンさんの言葉を聞いた瞬間、私の中の何かが壊れた音がした。
私は感情に任せてタキオンさんの胸に飛び込み、そのまま抱きついた。
「あの人の何が良かったんですか!?身長だって私とそんなに変わりません!服装だって私の方が可愛かったじゃないですか!」
「そうだねぇ…君の今日の服装、凄く気合いが入っていて可愛らしいじゃないか」
1度壊れてしまったストッパーはすぐには直らない。私の口からはボロボロと秘めた想いが吐き出された。そんな私を抱きしめて、タキオンさんは相づちをうちながら背中を優しくポンポンと叩いてくれた。
「そうですよ!トレーナーさんの為に時間をかけて!喜んで貰って、褒めて貰いたくて…可愛いって言って欲しくて!私は…私だって…!」
嗚呼、そうか。失って初めて気がついた。
あんなに長くいたのに、近くに居たのに分からなかった。
いや、長く居すぎたから、近すぎたから分からなかった。
「トレーナーさんのことが…好きだったのにっ…!」
私はトレーナーさんに対する恋心を、最悪のタイミングで自覚しました。
「しかし不可解だねぇ…彼が彼女を作るはずが…」
「タキオンさん…?」
あれから少しの間タキオンさんの胸を借りて涙を流し、収まったので顔を離すとタキオンさんがブツブツと何かを言いながら携帯をいじり出して…
「あっはっはっは!なるほどなるほど!これは興味深いねぇ!」
「何が…興味深いんですか…?」
その後突然大きな声で笑いだした。このタイミングで笑われると少しムッとしてしまうけれど、さっきの御恩があるので顔には出さないようにした。
「あぁいや、気を悪くしてしまったのだったらすまないねぇ…けれどまぁ詳しい話は彼から聞いてくれたまえ」
そう言って扉を開けると…そこに居たのは私が1番会いたくない人物、トレーナーさんだった。
「私はこれからモルモット君に用があるから暫くは戻らないよ、まぁなんだ?ごゆっくり」
「えっ、タキオンさん!?」
そのままタキオンさんはトレーナーさんに何か耳打ちをすると、部屋から出ていってしまった。
「その…デジタル…」
「…聞いてたんですよね、初めから」
「…ごめん」
さっきタキオンさんが笑った理由はこれでしょうね、
私は自傷気味にカラカラと笑った
「無様でしょう?気付かぬうちに意識してて、気づいた時には失恋していた負け犬です。笑ってくれて結構ですよ?」
「違うっ!違うんだよデジタル…!あいつは…」
そんな私の肩をガッと掴んたトレーナーさんの顔をは全く笑ってなんかいなくて、むしろ…とても苦しそうだった
「あいつは…俺の姉貴なんだよ…」
「…はい?」
「顔つきが似てないからよく誤解されるけど…しっかり血の繋がってる兄弟なんだよ…あんなの彼女なんかじゃないんだ!」
トレーナーさんは苦しそうな表情のまま、私の目を見て訴えかけてくる。
「俺が愛しているのはデジタルだけだ!俺がこんなに必死になれるのも、失いたくなくて辛くなるのも、こんな感情になるのは君に対してだけなんだ!だから…」
捲し立てるように私に対して愛を恥ずかしげもなく言葉をかける。けれど声の大きさはどんどん小さくなっていき、最後にポツリと
「信じてくれ…」
そう言い残してそっぽを向いた。
肩が揺れている、恐らくは…泣いているのだろう。
なるほど…辛かったのは私だけではなかったんですね…
「トレーナーさん」
「うぐっ…」
私はトレーナーさんの顔を無理やり私の方へと向かせる。そして彼の唇に優しく口付けをした
「…もう二度と、離しませんから…」
「…うん…絶対に離さないよ…」
そうしてもう一度、さっきよりも長く、そして深く口付けを交わし、ギュッと抱きついた。
普段は主役にはなろうとはしない。そんなことをして他のウマ娘ちゃんたちの視線を奪いたくないから。けれど…
今だけ、この時間だけは…私が主役だ。
「あぁっ…ドウオペ尊いっ…!これで今日も生きていける…!」
あれから私たちはお付き合いを始めさせて頂いたのですが…結局私がすることは変わりません。こうやって少し離れた場所からウマ娘ちゃん達を観察し、カメラに収めること…これがデジたんの生きがいですからね!
「デジたん〜そろそろ練習始めよっか〜」
「むむっ!もうそんな時間ですか…では名残惜しいですが…」
トレーナーさんも変わらない。こうやって私を呼びに来て、練習に連れて行く。
けれど強いて変わった所というのでしたら…
「お隣失礼しま〜す!」
「どうぞどうぞ〜」
練習するためにターフに向かう時、トレーナー室に向かう時は必ずトレーナーさんの腕に抱きついて移動するようになりました。こうすれば…彼は私のものだ!と伝わると思ったので。
このせいで少し目立つようにはなってしまうのですけれど…
「…えへへっ」
昔より、少し主役になってもいいって、思うようになったんです。
如何でしたでしょうか?
デジたんは同士としての距離感のせいで、恋心をなかなか自覚出来なそうという考えの元描かせて頂きました!
楽しんで頂けたなら嬉しいです!
そしてリクエストもありがとうございます〜!現在作成を進めていますので、楽しみに待って頂けたらと思います…!
それでは次回で会いましょう〜!
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