エアグルーヴはトレーナーに対して厳しい態度をとっていますが、それはトレーナーを思っているからこそであり、きつい口調で当たってしまった事を後で後悔して一人反省会を行っていそう…という圧倒的自己解釈で描かせていただきましたので、一応注意です。
今回は比較的甘さ控えめなお話になっている…はずです!もしかしたら描いてるうちに普通に甘くなっているかも…
前置きはこれぐらいにして…どうぞお読みください!
「だから何故貴様はそうなのだ!」
ある日の生徒会室。そこからもう聞きなれたであろう怒声が廊下にまで響き渡った。
「いやほんとゴメンて!今回はまじで忙しかったから遅れたんだって!」
「貴様毎回そう言っているであろう!前回もそう言って遅れてきたではないか!」
怒声のぬしであり、彼女が怒っている原因である男は彼女のトレーナーである。彼はトレーナーの腕は確かなのだが、彼は朝にめっぽう弱く、朝早くに行われる予定には必ずと言っていいほど遅れてくるのだ。
「いや今回はマジ!今回は!あの、えーっと…あれだ…そう!信号に引っ掛かりまくった結果遅れただけ!予定時間の2時間前ぐらいから起きてたから俺!」
「ほう…ならば何故貴様の髪はそんなにも乱れているのだろうな…?」
彼女は彼に対してそう質問する。彼の髪を見てみると、手入れする暇もなかったのだろう。様々な方向にはねてしまっている。
「…てへぺろっ☆」
「…そもそも寮を使っているから信号で止まることなどありえないだろう!もっとマシな嘘をつけ貴様ぁ!」
「痛ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
そしてとうとう限界がきたのだろう。トレーナーの脹脛に向かって足を振りぬく。流石にウマ娘の力で全力で蹴った場合は大けがでは済まなくなってしまうため、多少の手加減はしているものの、痛いことに変わりはない。蹴りを食らったトレーナーは足を抑えて床で転がりまわっていた。
「…夫婦喧嘩は終わったか?」
「なっ…!夫婦喧嘩などではない!何故そうなるのだブライアン!」
彼女たちの喧嘩を夫婦喧嘩と表して彼女をからかうブライアンことナリタブライアンは、ソファに腰掛けエアグルーヴの顔が赤くなっていくのを楽しそうに眺めている。
「ふふふ…私はもう少し見ていたいのだがね、時間は限られてるしそろそろ始めようか。」
「しっ、失礼しました!ほら、貴様も早く立て!」
「分かってる。分かってるけどマジで痛い…」
もはや恒例となった喧嘩を終え、一度気を引き締めると、そのまま話し合いを始めるのであった。
「では、今後はこのような方針でいこうと思う。」
「構わん。」
「はい。了解しました。」
「了解しました。では俺は他に仕事があるので失礼しますね~」
「あぁ。忙しい中悪かったね。」
話し合いが終わると、トレーナーは急いでいるのかすぐに生徒会室を後にする。
「…全く。申し訳ございません会長。あいつはどうしても時間を守るのが苦手なようで…」
「構わないさ。彼は多忙の身だ。遅れてしまうことは仕方のないことさ」
「ですが…」
朝の生徒会室での件について会長に謝罪をすると、彼女は大して気にしていない様子だった。それどころか彼のことを擁護してくれている。会長は本当に素晴らしいお方だと感動していると、話し合いは終わったため教室に向かうのだろうナリタブライアンが去り際に一言
「他者の関係に首を突っ込む気はないが、愛想を尽かされても知らんぞ。」
と、言い残して生徒会室を後にした。
「何を言うかブライアン!そんなことは…行ってしまったか…」
あいつが私に愛想を尽かすなど、あるはずがないであろう。もう三年にも及ぶ付き合いなのだ。何を今更…
…本当に?
「今は特に問題ないと思うが、もし君のトレーナーが今の関係を良く思っていなかったら、いつかは本当に嫌われてしまうかもしれないぞ?」
「っ!それは…」
もっともな意見だった。実際今の関係が良好だと思っているのは私個人であり、トレーナーの意見ではない。私は突然不安になり、何も言えなくなってしまった。
「君も少しはトレーナーの自室に行ってみるといいと思うぞ?自分の知らない一面を見られるはずだ。」
そう言うと私に外出許可証を私に渡してくれた。
「本日の夜。そうだな…21時ぐらいがちょうどいいだろう。」
そして会長は立ち上がると、生徒会室を後にしようとする。
「会長。何処へ向かうのですか?」
「私か?私はこれからトレーナーに甘…今日のトレーニングについての話をしようと思ってね。彼の自室に向おうとしているんだよ。」
今日は特に仕事もないから、エアグルーヴも戻りなさいと言うと、そのまま生徒会室を後にした。
…すごくご機嫌な様子だったな。口元がにやけており、しっぽに関しては左右に激しく揺れていた。
最近の会長の調子は以前と比べても明らかに良くなっている。これもトレーナーとの関係が良いことが深く関係しているのだろうか?私も、あんな風になれるのだろうか?
「…確かめなければな。」
私はトレーナーの気持ちを確認するべく、部屋に赴こうと固く決心するのであった。…別に会長の様子を見て羨ましいとか、そんなことを思ったわけではない。決してそんなわけがない。
…ただ、少し、ほんの少しだけ、私も彼とそんな関係になってみたい。甘えてみたいと思っただけの話だ。
→その日の夜
「…ついたな。」
私は現在トレーナーの自室の前にいる。
(…本当に入っても良いのだろうか?私が居ては迷惑にならないだろうか?いや待て、そもそもどうやって部屋の中に入ればよいのだ!?)
いざ扉の前に立つと、緊張して思考が上手くまとまらない。インターホンを押すかどうか頭を悩ませていると、あることに気づく
「鍵が、開いている?」
そう。そもそも扉に鍵がかかっておらず、戸を引けば簡単に開いた。
あやつ、こんなところまで雑なのだろうか?
「お邪魔するぞ…?」
私はそのまま中へと入ってゆく。初めて入るトレーナーの部屋は意外にもきれいに整頓されており、彼の匂いと、珈琲の香りがした。
そのまま奥へ歩を進めるとそこにトレーナーはいた。いたのだが、その環境に息を飲んだ。
床には大量の紙が散乱しており、かろうじて足の踏み場があるといった状態だった。そして机の上にはいつも使っているパソコンと、女性物の化粧品、簡易的に食べることが出来る栄養食品や、まだ淹れてから時間があまり経っていないのだろう。まだ少し熱を持った珈琲。そして床に散らばった紙と同じものだと考えられる書類。その真ん中でトレーナーが突っ伏して眠っていた。
他の部屋とは比べ物にならない部屋の惨状に息を吞む。何があったのか、彼を起こして問いただそうと思ったが、すぐにその気は失せてしまった。
「どうして…」
トレーナーの顔である。恐らくここ最近まともな睡眠をとっていないのだろう。彼の目の下にはひどい隈ができており、先程見つけた化粧品はこの隈を隠すために使っていたのだろう。そして床に散らばっている紙を一枚拾う、そこには私のトレーニングメニューが記されていた。しかし途中で文字がぐしゃぐしゃにされており、紙には強い力がかけられたのだろうか、端の方がよれてしまっていた。
そして極めつけはパソコンに移っていた。トレーナーの日記である
『やってしまった。今日は朝から生徒会での会議があったというのに寝てしまったが為に遅れてしまった。私がこれでは彼女の株が下がってしまう。彼女も非常に怒っていた。このままでは見限られてしまう。もっと努力をしなくては。』
それを見た瞬間私は血の気が引いていくのを感じた。
「トレーナー…まさか…」
わたしはあまり良くない事と分かっていたものの、トレーナーの日記の記録を遡っていった。
『エアグルーヴというウマ娘と契約を結ぶことが出来た!彼女を後悔させないためにも頑張らなければ』
『今日はエアグルーヴの初めてのレースだった。彼女は2着と圧倒的な差をつけて1着をもぎ取った。俺ももっと頑張らなければ』
『今回もレースがあった。結果はもちろん1着。トレーナーである私が置いて置いてかれないように必死である。これからは彼女のトレーニングについて深く考える必要がありそうだ。』
『今日は朝から用事があったのにも関わらず遅れてしまった。原因は間違いなく睡眠時間の減少だろう。しかし彼女のトレーニングを考える時間は減らすわけにはいかない。徹夜も視野にいれておこう』
『今日のレースもやはり1着。しかし彼女は今までしていたスキンシップを嫌がっていた。私は嫌われてしまったのだろうか?』
「違う…そんなつもりは…」
私はこの辺りから彼に対してトレーナーに向けている物とは少し違う感情を向けるようになっていた。そのため今までは平気だった頭を撫でる行為やハイタッチなど、彼の体が触れる行為が恥ずかしく、拒絶してしまった。
私は恐らく、この頃から彼のことが、異性の男性として好きだったのだろう。
『今日の朝の生徒会の集まりにも遅れてしまった。これでは彼女の力になれない。駄目だ駄目だ駄目だ駄目だダメだダメだダメだ…』
『今回のレースも1着だった。
俺は本当に必要なのだろうか?』
「っ!!」
私はその言葉を目にした時、心がギュッと締め付けられた。
君が必要じゃない訳がないだろう!私は君がいなければ…もう…っ!
気付かぬうちに力が入ってしまいキーボードを強く押してしまった。その音に気づいたトレーナーも目を覚ます。
「やっべぇ!今何時だ!俺は何時寝て…いた…」
そして私と目が合った。トレーナーは一瞬驚いたようか顔をすると、直ぐにいつものふざけた態度をとりだした。
「おぅおぅどうしたエアグルーヴ?副会長様がこんな時間にトレーナーの部屋にいてもいいのか〜?」
「君の、日記を見た。」
「あっ…そうか。見たのか…」
そうするとトレーナーは黙り込んでしまう。こんな姿は見られたくなかったのだろう。
「…どうして、ここまでになるまで黙っていた?」
私はトレーナーの頬に手を当て、親指で隈がついている部分を撫でる。
「ここまで深い隈が出来るなど、普通に生活をいるなら起き得ないはずだ。」
「…俺はエアグルーヴと違って才能がある訳では無い。このままエアグルーヴだけ実力を上げていって、俺では無いトレーナーの元へ行ってしまうかもと考えたら不安になってしまって…」
なんだ。
「そんなことを考えていたのか。」
「そんなことって…お前なぁ!」
トレーナーは私たちの関係が関わってくる大事なことを軽く流されたと思ったのか、怒りの視線を向けてきた。
「いいや、そんなことだ。なぜなら私は貴様の元を離れる気なんてさらさらないからだ。」
そう。離れる気なんて全くない。だからくだらないことなのだ。
「何故、言いきれるんだ?」
「私が貴方のことが好きだからだ。」
そう言ってトレーナーの顔を引っ張り、自分の唇を重ねた。こういうのは勢いが大事なのだろう。ブライアンがそんなことを言っていた気がする
「!?!?」
「私がお前のスキンシップを拒み始めたのは、貴方を異性の男性として意識してしまったから。まぁ…なんだ、恥ずかしかったのだ。」
私は顔をほんのりと赤くし、本心を伝えた。
「私たちに足りなかったのは、お互いの気持ちの共有だ。これからは、2人で、助け合っていこう。だからもう、1人で抱え込まないでくれ。私はどんな貴方も愛する自信がある。」
「エアグルーヴ…ありがとな…」
この日、私とトレーナーは本当の意味でお互いを深く知ることが出来た。これからはどんな困難も、2人で超えてゆける。そう思えた。
→その後の日常
「ほら、起きろトレーナー。もう朝だぞ?」
あれ以来私は朝はトレーナーの部屋で朝ごはんを作りトレーナーを起こす。これが私の日課となった。こうすればトレーナーが夜更かしをしたとしても私が起こしてやれる。トレーナーも私が来ることを分かっているからこそ、安心して眠ることが出来る。まさに一石二鳥だ。…後、私がトレーナーの寝顔を眺めることが出来るため、一石三鳥が正しいのだが。
「んぅっ…おはよう。エアグルーヴ」
「ああ。おはよう。貴方」
そして軽く口付けをする。これもお互いの気持ちを共有出来たからこそ、生まれた習慣だ。彼が完全に起きたことを確認すると、朝食の準備を始める。
「あぁそういえば、トレーナーの部屋に彩りが少なかったから、花を飾っておいたぞ。」
「あらら、そんなことまでしてくれてたのか。何だか申し訳ないな。」
「気にするな。私の気持ちを表現したかっただけさ。」
そうだ。これは私の気持ちを伝えたまで、だから礼なんていらない。ただこの気持ちを理解したその時に、この気持ちへの返事をくれればそれでいいのだ。
私が新しく飾った花の種類は赤いバラとベコニア、そしてサボテン。そしてちょうど窓から見える菩提樹。これらの花言葉は、
熱烈な愛、愛の告白、枯れない愛。そして、結婚。彼のことだから、花言葉には直ぐに気づくだろう
菩提樹が花を咲かせるのは夏。だから、そこまでにはちゃんと、答えを出してくれよ。私の愛しいトレーナー。
…いかがだったでしょうか?最近何故かお話の中にシリアス?パートのようなものを挟んでしまって文字量が伸びてしまう謎の状態に…誤字があったらすみません…
なので次回はとにかく甘いお話を作るので、一応注意です!
そしていつの間にか評価バーが赤くなっていました!本当にありがとうございます!嬉しすぎてやばいです!(語彙力崩壊)
また、いつもの事ながらこの作品を閲覧、お気に入り、コメントありがとうございます!本当に励みになってます!リクエストの方も全然大丈夫なので、どんどん送ってください!
次回はとある日本総大将の甘いお話を現在描いていますので、もしかしたら今日(正確には明日)の深夜に投稿してるかも…?楽しみに待って頂けると嬉しいです!
それではっ!
このウマ娘のifstoryが見てみたい!
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