悟空とライがキングキャッスルに向かっている地上から悲鳴のような声が聞こえた。
「!筋斗雲止まってくれ。」
悟空が急に筋斗雲に指示を出した。
「どうしたんですか、もう天津飯さんは戦いを始めてます。寄り道をしている暇はないはずです。」
ライが急に筋斗雲を止めた悟空に苦言を呈する。
「すまねえ、ライ。多分おらの知ってるやつがピンチなんだ。おらそいつを見捨てることはできねえ。」
悟空はそう言って地上に降りようとする。その姿を見てライは苦虫を嚙み潰したような顔をして悟空に言った。
「その選択の結果、天津飯さんが死ぬとしてもその子を助けに行くんですか?」
ライの厳しい質問にも悟空に迷いはない。それを見てライはしぶしぶ言った。
「…私をキングキャッスルまで投げ飛ばしてください。私だけでも先に行って天津飯さんと時間稼ぎます。仙豆、全部使ってしまっても恨まないでくださいね。」
その発言を聞いた悟空の顔がみるみる喜色に染まっていく。
「ありがとうライ!…それじゃあ行くぜ‼」
「え、はや、ちょっとおおおおおお!!」
いきなり吹っ飛ばされたライは絶叫をお供に吹っ飛んでいく。
*
「魔封波をこの私にかけ損ねたことで死ぬのを少しばかり先延ばしにできたようだな。さあドラム、やつの心臓を握りつぶして止めを刺せ。」
魔封波を放ったことで天津飯は倒れこむ。
「ち、ちくしょう、無念…」
まさにドラムに手を下されようとしたとき、叫び声と一緒にライが突っ込んできた。
「天津飯、少し下がってえええ!」
魔封波を打った満身創痍の体に鞭を打って10センチほどだろうか、天津飯は急なことに驚いている魔族達に先んじて行動した。ライにとってその距離は果たして十分な距離足りえたのだろうか、しかし、少なくとも天津飯は攻撃を受けずに衝撃だけを受け取るに抑えることができた。
ドゴオオン!!!
「ぐ、ぎやアアアア」
隕石よろしく降ってきたライは勢いそのままにドラムの肩を蹴りこんだようだった。ドラムの悲鳴が遅れて響く。
「ただ力任せに投げたら私だってただでは済まないのに…」
土煙の中からライが姿を現す。天津飯が土煙の中見た足は本来ありえない方向に曲がっているようだったが、すでに正常な向きに治っていた。
「どうして来てしまったんだ。逃げろライ!こいつらはとんでもなく強い。」
片腕をつぶしたとはいえ、それでも全快の自分自分以上の強さはあると天津飯は実感している。さらにピッコロ大魔王は魔族を生み出すこともできる。敗北は決定的といって良かった。
「またこの私に逆らおうという愚か者が現れたか。貴様ら如き、私が相手をするまでもないと思っていたのだが、ここまでわらわら出てくるとさすがにうっとおしいな。仕方ない。この私自ら愚か者に制裁を加えてやろう。」
ライはそんなピッコロ大魔王の言葉を聞こえていないかのように天津飯に駆け寄った。
「悟空がくるまでの辛抱です。これ食べて時間稼ぎに付き合って下さい。」
そう言って仙豆を渡す。それを食べた天津飯は効果に多少驚きながらもすぐに戦闘態勢をとった。
「悟空は生きていたのか!いや、しかしこの短期間で悟空がこいつらを倒せるほどになるとは思えないが大丈夫なのか?」
天津飯の顔が一瞬喜色に染まるがすぐに疑問を呈する。
「大丈夫です。悟空がくれば必ず勝てます。だから、二人で彼らを食い止めましょう。」
「何を話しているか知らんが作戦会議はそれで済んだかな。魔封波も一対一でなければ大して脅威でもない。貴様らが私に勝つなど不可能だ。」
しびれを切らしたかのようにピッコロ大魔王がドラムと共に構えをとって戦闘が開始された。
「八肢拳!」
「四妖拳!」
二人とも時間を稼ぐことに徹した動きをとる。八手拳を脚にも応用させた技で速度を上げて翻弄を試みる。
「ドラム、お前は三つ目の方を狙え。私は新しく来た方を狙う。」
既にライや天津飯が動き出しているにも関わらず悠長にドラムに指示を出した。
「やあああ!」
ライはピッコロ大魔王にめがけて拳を振るった。八肢拳を使ったライの速度はドラムを凌駕する速度を誇る。しかしそれでもピッコロ大魔王は簡単にその拳を受け止めた。
「パワーはともかくスピードは大したものだな。速さだけではドラムよりも早いだろう。まあ私にはその自慢の速度も児戯に過ぎないが…なっ!」
ピッコロ大魔王はつかんだライの拳を握りつぶさんと強く抑える。
「ぐううああぁぁぁああっ‼」
握りつぶされる痛みに耐えながら残った左拳を放つ。しかしそれもたやすく掴まれた。
「貴様のような身の程をわきまえない奴を見せしめに殺すのも国王の職務だろう。」
「くっ…」
握りつぶされる痛みにも慣れてしまったのかもう叫びだすことはせず表情を歪めるに留めていたがどうすることもできないままでいた。
「ライ!!くそっ」
天津飯がライの援護に入ろうとするもドラムとの戦力差は拮抗しているため助けには入ることができない。
「ふははよそ見する余裕なんてあるのかなあ!」
ドラムは片腕が使えなくても天津飯を倒せるほどの力を有していた。天津飯がライを気にしていることに対してドラムは天津飯を倒すことにのみ意識を集中している。この意識の差は大きかった。
「俺が、いつまでも助けられてばかりでいると思うな!」
しかし天津飯も天下一武道会優勝者としての意地を見せる。飛び上がって狙いをピッコロ大魔王に定めた。
「おかしな封印術は無駄だといっただろう!」
ドラムも飛び上がって追撃を仕掛けようとした。それを待っていたかのように天津飯は魔封波の構えから気功砲の構えと変えて、ドラムへと構え直す。
「気功砲だあ!」ピシュン!
ドゴオオン‼
すさまじい轟音が響くが天津飯は間髪入れず二発目を、そして止めに三発目を放った。
「はぁ!」ピシュン!
ドゴオオン‼
「はぁ!」ピシュン!
ドゴオオン‼
今の天津飯の実力では乱発できる技ではなかった。数発放つだけでも限界であるその技をドラムを倒すために限界ぎりぎりまで放つ。そして天津飯はさらに四発目を打った。四発目はピッコロ大魔王を狙う。狙いの先には拳を握りつぶさんとしているピッコロ大魔王と拳を握りつぶされんとしているライがいた。
「はぁ!」ピシュン!
ドゴオオン‼
「ほう、味方もろとも攻撃しようとはなかなかお主にも悪人としての見どころがあったのかもしれんな。」
とっさに両腕で気功砲を防いだのだろろう。あれだけの攻撃を食らったわりにほとんどダメージを受けていなかった。
「お、俺の最大術を食らって平気でいやがるとは。お前の手下を倒した技だったというのにな。」
「貴様と私では雲泥の差があるのだ。その程度の攻撃で俺に傷をつけることはできん。貴様を助けに来てくれた奴もさぞ無念だろうなあ。さっきの奴に詰られる姿が目に浮かぶ。」
「…な、何か勘違いしているような。お、俺が気功砲を打ったのは、そうすれば助けられる、と、踏んだからだ。」
気功砲を打った反動だろう。息も絶え絶えにそういうと舞空術を維持できず落ちて行った。
「何だと?」
ピッコロ大魔王があたりを見渡すが、そこには確かにライの姿はなかった。
「遅いじゃないですか。悟空。」
「生きていてくれてよかったぞ。あとはおらに任せてくれ。必ず勝って見せる。だからその手少しだけ我慢してくれ。」
悟空はそう言うと天津飯のところまでライを運ぶ。
「ライ仙豆余ったか?」
「…一粒だけです。」
「じゃあ天津飯に食わせてやってくれ。このままだと戦いの余波で死にかねねえ。その腕はおらがあいつを倒したらすぐにカリン様のところに連れてってやるか少しだけ我慢してくれねえか。」
「それは構いませんが…勝てますよね。」
ライの見立てでは悟空とピッコロ大魔王は拮抗している。負ける可能性も十分にあった。
「心配すんな。おらのわがまま聞いてもらったんだ。絶対勝ってやる。」
その心配を払拭するように悟空は力強くそう言い切った。
「こいつは驚いた。確かに息の根を止めたはずだったんだが。」
ピッコロ大魔王が意外そうに言い放った。
「おら運がいいんだ。」
「しかし残念だったな。私はドラゴンボールを集めて若返りに成功した。これがどういうことか分かるか。貴様をコテンパンにした奴がさらに圧倒的な力を身に着けたということだ。」
「おらもおめえを倒せるくらいまで強くなった。」
ひるむことなく悟空はピッコロ大魔王に言い放つ。
「倒す?このピッコロ大魔王を倒すだと?馬鹿を言え。私にはお前の冗談を聞いているほど暇じゃないのだよ。西の都が私を待っている。五秒だ。五秒で蹴りをつけてやる。お前のような奴は死なんと分からんようだからな。」
そう言うと悟空の首筋めがけて手刀を放つ。
ドン!
しかし悟空はその手刀を難なく受け止めそのまま後ろに投げ飛ばした。ピッコロ大魔王は建物に激突し建物が崩れさる。
「こ奴…!」
ダメージを追った様子もなくビルから飛び出したピッコロ大魔王に悟空は言う。
「もう五秒たったぞ。」
「なっ!…なるほど、よっぽど死に急ぎたいようだな。お望み通り殺してやろう。」
ピッコロ大魔王はそう言うと気を集中し全力で悟空を殺そうと攻撃を始めた。
*
ドン!ドン!ドン!
拳と拳、脚と脚、すさまじい技と技が周囲の空気を揺らしものすごい轟音が響く。
「すさまじい戦いだ。さっきまでの俺達の戦いなんてまるで児戯だぜ。見えるかライ?」
「正直早すぎます。目で追うのがやっとですよ。」
「全くだ。だが悟空のほうが少しばかり優勢のようだぞ。」
第三の目を持つ天津飯はライよりも二人の戦いを見れていた。だからこそ悟空の攻撃の方が多くピッコロ大魔王に入っていると知ることができたのだ。
「…いえ、確かにそうかもしれませんが、二人ともまだ全力で戦ってないはずです。お互いにそこまでのダメージではないでしょう。」
ライは天津飯ほど戦いを追えているわけではないが、気の動きも使って戦いを見ていた。悟空が全力でないこともピッコロ大魔王が余力を残していることも気で感じ取っていた。
*
「…これは驚いた。前にあった時とは別人のようにパワーアップしている。お前がこの私を倒せると思ってしまうのも無理はないのかもしれんな。だが、俺はまだ本気を出していない。俺が本気を出した時がお前の最後だ。」
お互いに距離をとり仕切り直している最中、ピッコロ大魔王がライの予測を的中させる言葉をこぼす。
「だがフルパワーで戦ってしまうと寿命が縮む。だから使いたくなかったのだが、お前を一瞬で殺してやるには使うしかないようだな。」
「おらもだ。おらもまだ全力を出しちゃいねえ。いきなりのパワーアップで力を持て余していたけどもう十分に使いこなせる。」
その悟空の言をピッコロ大魔王は一笑に付す。
「これ以上の急激な成長をしていたらお前の体が悲鳴を上げて死んでいただろう。馬鹿な冗談はよすんだな。」
そう言ってフルパワーを出すべく気を充溢させていった。
「確かに死んじまうかと思ったぞ。でも生きてる。お前を倒すまでおらは死なねえ。」
全開の実力を開放した二人が再び激突した。
*
「…追えてますか?私は気の動きはなんとなく感じられてますが、目ではもう無理です。」
「第三の目の力もあって大雑把な動きは分かるがどっちが押しているのか全く分からない。正直ここにいてもただの足手まといだろうな。」
「ええ、少しばかり距離をとりましょう。」
二人が実力の差に愕然としながら距離をとっていると悟空が吹っ飛ばされていた。
ドゴオオン!
地面に大きなクレータができる。
「「!!」」
「私を倒せるものなどこの世に存在するはずがない。ふふ、はーはっはっはっ。」
「万事休すか。」
勝利を確信し笑いだすピッコロ大魔王に天津飯は青ざめた顔でそうこぼし臨戦態勢をとるがライは表情を変えずにいる。するとクレーターから悟空の声が聞こえてきた。
「かーめーはーめー、波ああああ!」
その技は通用せんと両手を構えるピッコロ大魔王の裏をかきかめはめ波を曲・げ・る・。
「ぐわああ」
背中に攻撃を受け前に倒れこむピッコロ大魔王を前にしても悟空は油断しない。
「立て。今のはただの脅しだ。大したダメージじゃねえだろ。この戦いはどっちかがバラバラになるまでは終わらねえ。」
「無論、貴様だ!」
三度悟空とピッコロ大魔王が激突する。二人はほぼ互角の戦いを演じるがフルパワーに大きな負荷がかかるピッコロ大魔王が徐々に押され始める。激しい肉弾戦の末二人の息が上がり二人が一度距離をとる。
「いいぞ、悟空が押してる。このままいけば…」
悟空がピッコロ大魔王に接近し小柄な体躯からくる素早さとそれに見合わぬすさまじいパワーでピッコロ大魔王をタワーに蹴り飛ばしタワーが崩れ去る。追撃をしようと再び接近しようととびかかったところでピッコロ大魔王がががれきを投げる。
「はっ」
悟空はそれを両腕で防ぐがその隙にピッコロは魔光線を放った。
「ぐあああ。いってええ!」
「ふははは。片足をつぶしたぞ。これで素早い動きはできまい。」
「片足さえあれば十分だ!」
悟空はそう宣言し、如意棒を使って重い一撃をピッコロ大魔王に食らわせた。
「へっへえ、どんなもんだい!」
片足をつぶされてなお抵抗しきる悟空はピッコロ大魔王の逆鱗に触れてしまう。
「おのれえ、許さん、許さんぞ!はあああああ!」
「まずい!あいつにすさまじい気が集まってるぞ!!」
ピッコロ大魔王がエネルギーを溜め指から魔光線を連続で放つ。悟空もかめはめ波である程度相殺するが足の痛みもありうまいことかめはめ波を連続で出せず悟空は大きなダメージを受け如意棒をはじかれる。
「これで、終わりだあ!」
「いけない!!」
「いかん!!」
天津飯とライはピッコロ大魔王が渾身の爆力魔波を放つ前に悟空を逃がそうと悟空の元へ飛び込もうとするが少し距離をとっていたのが仇となったか無情にも超威力の爆力魔波が放たれた。
ドラム(片腕負傷~通常)180~210
ライ180
ライは超神水騒ぎで天津飯と並びました。何とか天津飯がドラムと戦える範囲に負傷させてやったぜ。ライがピッコロ大魔王と戦えるかといわれると…まあ根性で頑張ってもらいましょう。ピッコロが見せしめもかねて手を抜いていたと考えてもよいでしょうし。