ドラゴンボールZ・オルタナティブ~世界線c~   作:三軒過歩

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番外編です。投稿後一週間くらいは最新話に置いておきます。この話は本編ではないので一月一本には含めません。本編はもう少しお待ちください。


(第十五.五話)救世主の原点

「カリン様、ありがとうございました。」

 

「うむ。ここまでの武闘家によく成長した。残り二年は自分の好きなように鍛えるがよい。もし望むなら、神殿に行くことも構わんぞ。」

 

ピッコロ大魔王が死んでから一年、ライはカリン搭での修業を終わらせた。カリン様の勧めがあれば神に謁見する権利が得られる。ちょうど一年前の悟空のように。

 

「いえ、神様の修業は悟空も受けています。確かに今よりも強くなるのは間違いないでしょうけど、それをしたら絶対に悟空に追いつけません。」

 

「勿体ない気もするんだけどな。神様に修業をつけてもらえる機会なんてそうそうないぜ?」

 

きっぱりと断ったライに対して、同じくカリン搭にて修業を続けていたヤムチャがそう言う。

 

「でも、ヤムチャさんも同じ決断をするでしょう?」

 

「そりゃあまあな。同じことやってたんじゃ追い付けないのは間違いないし。」

 

勿体ないと言いつつもヤムチャも決断は同じだ。もっともヤムチャはカリン搭での修業がまだ終わっていないのだが。

 

「それじゃあ、私はこれで、自分の思うように修業します。」

 

「ああ、また二年後に会おうぜ。そしてその時の天下一武道会で優勝するのは俺だ!」

 

「私も負けませんから。」

 

「達者でな。」

 

「はい。」

 

そういってライはカリン搭から飛び降りた。

 

「さて、これからはお主一人に集中できるな。ビシバシ鍛えてやるから覚悟するんじゃな。」

 

「はい。ライは四年かかりましたけど、俺は半分です、二年であなたの修業を修めて見せます。」

 

 

ドドドドドドドドド

 

餃子の超能力によって大量の小石が宙を舞い、天津飯を襲う。

 

「ふっ、やっ…はぁっ!」

 

それを全て躱し、捌き、吹き飛ばした。

 

「お見事です、天津飯さん、それに餃子さんもお久しぶりです。」

 

カリン搭での修業を終えたライは気をたどって天津飯とライの元に向かっていた。

 

「ライ、久しぶり!元気そうでよかった!」

 

「一年振りか、だいぶ強くなったみたいだな。」

 

二人が嬉しそうに挨拶を返す。

 

「ええ、カリン搭での修業は終わらせたので、あなた達の戦い方を学び盗りにきました。」

 

「なるほどな、俺達としても修業相手が増えるのは願ったりだ。だがもちろん、お前との修業で俺もお前の戦いの技術を吸収して自分のものとするぞ?」

 

挑発するように言う天津飯にライは当然とばかりに頷いた。

 

「もちろんです。神様の修業に勝とうというんです、地上の武闘の英知を結集しなければならないでしょう?」

 

 

「はっ、たっほっはー、やっ!」

 

「甘いっ!」ガスッ!

 

「うぐっ…」

 

凄まじい連撃をいなされて反撃を食らう。

 

「そら、とどめだ。」

 

態勢が崩されたところに大ぶりの一撃が来る。さんざん疲弊をしてさらに態勢を崩されている以上避けきれない。

 

ピタ

 

「今回も俺の勝ちだな。」

 

拳が顔面の前で止まる。決着がついたことを確信してしりもちをついたスウに手を差し伸べるはミイラ君だ。

 

「完敗だ。だが、次は勝つ。」

 

ミイラ君の手を取り立ち上がる。

 

「はっはっは、お前に負けるのは俺が戦術を身に着ける前だけさ。」

 

ミイラ君とスウが初めて戦ったのはブルマのところにいたはずのライがいなくなり無事を確認するために占い婆に聞いたとき以来だ。その時は最初の二人はクリリンが前回の反省を生かし苦も無く撃破し、続くミイラ君とクリリンの戦いではクリリンが消耗させるも敗北、それをスウが撃破した。

 

「あの時はクリリンがお前をかなり消耗させてたからな。それが無ければお前には勝てなかったよ。」

 

それを証明するかのようにあれからほぼ毎日ミイラ君と組み手をしているが最初のこ頃は何度か勝てていたが今はほとんど勝てていない。力だけで言えば倍近くの差がある。ある種当然の結果だ。

 

「いや、あの時の俺なら全快だったとしても勝てなかっただろうさ。お前を舐めていたからな。」

 

「言ってくれる。」

 

スウが最初に戦った時、ミイラ君には戦術という物が無かった。ただの喧嘩野郎、パワーだけあるチンピラと変わらなかった。だからこそうまく攻撃をいなし、場外に叩き落すことができたのだ。

 

「だが今はお前を高く評価している。戦術の重要性を教えてくれたからこそ、俺はさらに強くなれた。お前に負けないほどにな。」

 

「余計なことをしてしまったかな。次ババ様の五人抜きする人たちがかわいそうだぜ。」

 

「それを言うなら俺よりもアックマンだろ。チャパとの組み手で相当強くなってるからな。」

 

「はは、違いない。」

 

チャパとアックマンは悪魔の便所で戦いをしている。スウとミイラ君とのレベルよりも一つ抜けたレベルの戦いが展開されているのだ。

 

「そう言えば、俺が占い婆様のチャレンジをやった時はこっちの人数に合わせて四人抜きだったが、本来は五人抜きなんだろ?ここに戦士は四人しかいないが、五人目の戦士は普段はここにいないのか?」

 

組み手が一段落着いたところで、しばらく気になっていたことを聞く。ここに占い婆の占い目当てでやってくる人はそれなりにいる。ミイラ君を突破できた組はいないが、ここ一年間ずっと五人戦士がそろうことはなかった。

 

「五人目の戦士な。少し前は俺とアックマンの間の戦士がいたんだが、そいつは地獄の番人としての仕事が決まってな。ここをはなれて地獄で番人をやってるだろうさ。それからは四人しかいないんだが、まあ俺に勝ったのは孫悟空だけだったし、その時は孫悟飯っつう戦士が一日限定で復活してたからまあ、四人しかいないが五人抜きを名乗ってるわけだな。」

 

「なるほどな、じゃあ次そう言うやつらが来たら俺を三人目の戦士にしてくれよ。」

 

「それじゃあ俺の意味がなくなっちまうだろう」

 

永遠に近い時を生きるミイラ君にとって少し前は数百年単位の話なのだが、それにを指摘する者はいない。

 

 

「舞空術、使えるようになったな。鶴仙流の戦い方もうまく取り入れられている。」

 

天津飯達とライが修業を始めてから一年間がたった。ライは気の扱いについて教え、天津飯からは舞空術を始めとする鶴仙流の技術を取り入れた戦い方をできるようになっていた。

 

「どどん波とか気功砲とかの気功波の類がまだうまく打てないんですけどね。」

 

「どどん波はともかく気功砲は禁呪のようなものだからな。マスターされたら困る。寿命が縮むぞ?そんな技、平和になった世の中で会得する必要はない。」

 

「まあそうですけど、気弾は遠距離攻撃として有用ですから使えないのはかなり不利ですし。」

 

「それは工夫次第でどうとでもなるだろう。武舞台は限られた空間だからな。最もそれは気功波を会得しなくていいことにはならないが。」

 

空中を飛び回るライに対して釘を刺すように天津飯が言う。

 

「まあ、気功波の習得はこれから父さん達と修業する中で身に付けます。それでは一年後に。」

 

天津飯達の修業を終えたライはさらなる高みを目指し、次なる修業場に行く。

 

「次の天下一武道会では僕も負けないぞ!」

 

「俺も負ける気はない。」

 

その宣戦布告を背にライは占い婆の館に向かう。

 

 

ところ変わって南の都の酒場。そこには二人のお調子者がいた。

 

「あんた、ミスターサタンじゃねえか、サタンの城の強豪たちをたちまちのしちまったっつう。」

 

酒を飲んで軽快に話をしている二人に声をかけるのは格闘技好きの男だ。

 

「む?この俺を知っているのか、ガーハッハッ、そうかそうか、まあ私も全世界格闘技チャンピオンにだからな。南の都ともなれば知っている人もいるか。」

 

「そうだろうそうだろう、サタンの城と言えば知る人ぞ知る有名な格闘道場だからな。アフロヘア―のイケてる武闘派集団とは、俺たちのことだあああ!」

 

「ナンバーワー--ン!」

 

機嫌をよくしたサタンとその師範は二人で盛り上がり乾杯をして酒をあおる。その道場ではもちろん高い実力ではあるがこの道場が有名なのはそれだけではない。この道場に入門する人間は全員がアフロヘアーになることが義務付けられる。その話題性もあってこの男も知っていたのだ。

 

「あはは、今回は南の都の大会の遠征かい?実は俺はその大会を見に来たんだよ。頑張ってくれな。」

 

「それは運がいい、このミスターサタンと師範の二人で今まで見たことのない高次元な決勝戦を見せてやるから、楽しみにしておくんだな。」

 

そう言ってガハハと二人笑い、再び乾杯して酒をあおる。話しかけてきた男は既に席に戻っていた。

 

「それにしても気分がいいな。この道場がここまで有名になっているとは。それもこれも、この道場に現れた新生、ミスターサタンのおかげだ。」

 

「よせやい師範。この大会、そして一年後の天下一武道会と優勝してもっとサタンの城を有名にするんだからな。」

 

「ああ、これからもサタンの城を背負って頑張っていこう!」

 

「もちろんだ、このミスターサタンに、任せなさい!」

 

再びナンバーワンと叫び二人ではしゃいでいると酒場の奥で一人飲んでいた辮髪の男がやってくる。

 

「何だ、お前も私のファンかな。悪いがサインはかわい子ちゃんか、アフロヘア―のナイスガイだけと決めているんだ。そんなだっさい髪の奴にはできないな」

 

ガハハと笑うサタンを辮髪の男、桃白白は何も言わず座っているサタンと師範を見下ろす。

 

「まあ、そう悲観することもないさ。君もアフロになってこの私の道場の門下生となるといい。私の道場は実力派ぞろいだが…」

 

グサッ!

 

「さっきからピーピーうるさいかったんだ。これで静かになったな。」

 

「あれぇ…」

 

「「「うわああああああ!」」」

 

一瞬静寂が酒場を包みはじけるような叫び声が酒場を満たす。桃白白が師範の心臓を隠し刀で貫いたのだ。刺した場所から血が噴き出す。

 

「お、おまえ、自分が何をしたのか分かっているのか…?」

 

サタンが後ずさりながら愕然とそうこぼす。

 

「貴様もこの私が誰か分かっていないようだな。宇宙一の殺し屋桃白白様だぞ。本来お前如き武器や手足を使うまでもないんだ。」

 

剣を引き抜きだが、と続ける。

 

「貴様は格闘技最強の世界チャンピオンとか言ってたな。上には上がいるものだということを教えてやろう。殺しの技は使わん。格闘術だけで殺してやる。」

 

「こ、この野郎おおお!」

 

サタンが猛然と飛び掛かる。

 

「サタンパーンチ!」

 

「デーモンスマッシュ!」

 

「チャンピオンハンマー!」

 

ドン、ガン、バシッ!

 

サタン渾身の三連撃を桃白白はよけようともしない。

 

「…お前、こんな程度で世界チャンピオンを名乗っていたのか?」

 

「何だと!このわたしの渾身の一撃がこんな程度だとお!」

 

サタンの頭に血が上り突撃する。その姿には格闘術の片鱗すら見えない。ただ怒りに任せた動きだ。

 

「本当の殴打とはどういう物か見せてやろう。」

 

ドンッッ!!

 

「うぐっ!」

 

ガンッッ!!

 

「おげっ!」

 

バシッィィ!!

 

「あ、があ…あれ?」

 

最後の一撃にうめき声を反射で上げてしまったがその実攻撃は届いていない。受け止めたものがいるからだ。

 

「俗世から離れた生活をしていても、こういう場面は胸糞悪くなる。」

 

「お前、何者だ?」

 

桃白白が聞く。相手を知りたいと思うほどに目の前の相手の実力は高く、立った一撃受け止められただけだが、その動きには鶴仙流の片鱗を感じ取れた。

 

「誰だっていいでしょう。貴方、それほどの実力を持ちながら用途は殺人ですか。」

 

「この俺は宇宙一の殺し屋だ。この技術を殺しに使って何が悪い。」

 

「この二人はターゲットではないでしょう。」

 

既に息絶えた師範と震えて縮こまっているサタンを見ながら言う。

 

「私を馬鹿にした。それだけで死に値する。」

 

「その力は相手を傷つけるものじゃない。」

 

「見解の相違というやつだ。私の機嫌を損ねた貴様を殺してもいいのだが…」

 

ヒュッ!

 

パシッ!

 

「弱い者いじめをするのは良くないと思うのですけど。」

 

サタンに向けられた隠し武器の仕込み針をつまんで阻止する。

 

(殺しの手も効かない、それも自分以外に向けられた殺しの手が。)

 

()姿()のライを見て撤退を選択する。

 

「お前の実力が分からないほど愚かではない。」

 

「待て!」

 

逃げ出すと見せかけて柱をもいで攻撃する。それは攻撃に見せた逃走の一手。気功波でサタンをこうげきして足止めも忘れない。柱飛び移り飛んで逃げた。

 

「ありがとう、ありがとう助かったよ!」

 

舌打ちを打つライに涙と鼻水で顔をグシャグシャにしたサタンが抱きついてくる。

 

「いえ、無事でよかったです。」

 

ピッコロ大魔王という巨悪が死んでも殺し屋なんていうくそみたいな人間は存在する。あの戦いは決して世界のためみたいな大義があったわけでもないが、それでも何のために自分や悟空が戦ったのか、そう思うときもないわけではない。

 

まあでも。

 

「感謝されるのは気分がいいものですからね。」

 

 

「本当にありがとう。俺はサタン。オレンジシティに住んでいるんだ。近くに来た時には是非寄ってくれ。いつでも歓迎する。」

 

その日泣きついてくるサタンをなだめすかした頃には日も開けようかという頃だった。

 

「ええ、いろんなところで武者修行しているので近くに来たら是非立ち寄ります。」

 

基本的に人がいいんだろう。狼姿の自分を見ても差別なく接してくれる。助ける価値のある人だったと確信できた。師範を助けられなかった悲しみも一晩で流しきってくれただろうか。

 

「お、お前、既にとんでもない強さなのにまだ上を目指しているのか?」

 

「武の道に終わりはありません。私より強い人はいます。それでは。」

 

そう言うと舞空術を使って飛んでいった。

 

「あいつとんでもない実力者だ。俺なんか、運が良かっただけだったんだろうなあ。」

 

サタンはこの出会いによって奮起する。




人の見た目を馬鹿にする行為はクソです。つまりサタンと師範はクソ行為をしたことになりますが、彼はこの時点でサイボーグです。なんかよく分からん見た目なのにそれがコンプレックスだろうと触れないでいていたのは二人のやさしさ故の行為で、彼等二人は本当に辮髪よりアフロの方が良いと思っての純粋なアドバイス、悪気はなかったという風にとらえてくれればうれしいです。
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