ドラゴンボールZ・オルタナティブ~世界線c~   作:三軒過歩

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(第十六話)チャパとライ

天下一武道会会場に一足早く着いて弟子やピッコロ大魔王打倒に尽力した仲間たちを待つ亀仙人とランチは仲間たちがなかなか現れないことに気をもんでいた。

 

「悟空達遅いのう。まさか今日という日を忘れたわけではないだろうな。」

 

「まさか、みんなこの日のために修業してきたんですよ。」

 

二人が心配しているとブルマたち一行も会場に到着した。

 

「おぉーい、ウーロン、プーアルこっちじゃこっち。」

 

「じいさん、久しぶりだね。」

 

「武天老師様もお元気そうで。」

 

久しぶりの再会を喜んでいるがなかなか肝心の選手が来ない。

 

「まあまだ時間はあるし、そのうち来るでしょ。」

 

ブルマたちは近況などを話しながら悟空達を待っていた。そこに、

 

「ブルマさん、亀仙人さんにみんなも、お久しぶりです。」

 

会場に着いたライが駆け寄ってきた。遅れてスウ、チャパも合流する。

 

「お、ライじゃないか、久しぶりだのう。」

 

いち早く気づいた亀仙人が反応するとみんなもどっと集まる。

 

「忘れてないかとちょっと心配したわよ。ヤムチャたちはまだ全然来る気配がないし、みんなももう少し余裕を持ってきて欲しいんだけどね。」

 

この三年間ブルマのところに一度も寄らずに修業をしていたヤムチャへの不満もあるのだろう。少し棘のある声音で話していく。

 

「ライ、俺とチャパは先にホテルをとっておく。ゆっくり仲間たちと話してくるといい。選手登録、忘れるなよ。」

 

気を利かせたのかスウとチャパはそう言って登録をしに行った。

 

「そういえばヤムチャたちは一緒じゃないの?少なくともヤムチャとは一緒にカリン搭で修業していたはずでしょ?」

 

なんだかんだでヤムチャが心配なのだろう。愚痴もそこそこにまだ来ていない仲間たちのことを聞く。

 

「すいません、私はカリン搭を二年ほど前に離れてまして、その後一年ほど天津飯さん達と修業、最後の一年を父さん達と修業していたので、詳しいことは何とも。」

 

「そっか…」

 

すこしがっかりした様子のブルマにライはすかさずフォローを入れる。

 

「でもほかの仲間たちもこちらに向かっているのは間違いないですよ。かなりの速度で向かってくる気が四つありますし、もう一つは…」

 

ライがそう言いかけたところで

 

「いやーーとってぇ!」

 

風船を気に引っ掛けてしまった少女がわめている声が聞こえる。

 

「大丈夫よ、私がとってあげるから。」

 

その様子を見てそう言ったはいいもののブルマの身長ではぎりぎり届かない。そうこうしているうちに長身の男が風船をとる。

 

「おっす。ほらブルマ。」

 

そう言って風船をブルマに手渡す。

 

「えっと、どうして私の名前を…?」

 

「久しぶり、身長結構伸びましたね。私も結構伸びたつもりでしたけど悟空には敵わないなあ。」

 

男が何か言うより先にライが男に向かって挨拶をし手を差し出す。

 

「「「ご、悟空?」」」

 

「おっす。ライ。おめえもみんなも元気そうだな。カリン様の修業全部終えたんだろ?大会で勝負するの楽しみにしてっぞ。」

 

他の仲間が驚いている間に悟空とライは握手をし、話を先に進めていた。

 

「クリリンやヤムチャ、天津飯たちはどこだ?もう受付済ませたのか?」

 

「彼らはまだです。ここに向かってきてはいるんですけどね。というか悟空も気で感じ取れませんか?」

 

「おらはあんまり広い範囲は相手の気を探れねえんだ。」

 

「ああ、そうなんですか。そう言えば悟空はカリン様の修業をすべてやったわけじゃないんですもんね。」

 

「ちょっと待ってよ。ライ、どうしてこいつが悟空だってわかるんだよ。俺まだ信じられない。」

 

「何言ってんだウーロン。当たり前だろ。おら悟空だぞ。」

 

悟空は自身の劇的な変化に頓着ないのかあきれたようにいった。

 

「あ、そっかこれ頭に巻いてるからわかんねえのか?とってやる。よく見てろよ。」

 

雨が小雨になったことをいいことに傘をたたみ巻物をとると悟空の特徴的な髪形が露わになる。

 

「ほ、ほんとに孫君だわ。ねえライ、どうして孫君って分かったの?」

 

「確かに見た目では難しいですけど匂いで分かるんですよ。私、これでも人狼ですから。」

 

「そういえば前々回の天下一武道会の時狼になってたような…」

 

「そうですそうです。気づけば月が復活していましたから正直かなり嬉しいです。」

 

「月な。神様が復活させてたぞ。なんかバランスがどうとか言ってたな。」

 

「なるほどのう。神様が。ん、それで悟空よ。しっぽは生えておらんがどうなったんじゃ?」

 

月が復活したことを聞いて大猿を警戒し悟空に聞いた。

 

「なんかしんねえけど、あっても邪魔なだけだろうって言われて生えないようにしてもらった。おら別にどっちでもよかったんだけどな。」

 

((((ほっ。))))

 

「そうだそうだ、そんなことより受付済ませねえと。ちょっと行ってくる。」

 

「ああ私も行きます。」

 

悟空に続いてライも向かって行った。

 

「神様の修業ってやっぱり大変でしたか?」

 

受付で並んでいる間に悟空と神様の修業について話をする。

 

「まあな。でも亀仙人のじっちゃんの修業と似てるとこも結構あったな。そういうのはやりやすかった。」

 

「へぇ。やっぱり武術の神は伊達じゃないってことですかね。じゃあやけに重い腕輪も修業の一環だったり?」

 

先ほど握手をした際に感じた違和感から探ってみたのだろう。

 

「え、ああ。おめえと同じでな。いろいろ負荷がかかる服になってるんだ。」

 

「あれ、気づいてたんですか。」

 

ライもカリン搭の修業を終え両手両足だけでなく、至る所に負荷がかかる服装にしている。

 

「気づいたついでに聞くんですけど…」

 

他の人に気取られないように声を落とす。

 

「ピッコロ大魔王、死んでないですよね。近くにきてるの気づいてます?」

 

「…そいつはピッコロ大魔王生まれ変わりだな。近くにきてるのは気づいてる。神様の修業ももとはそいつのためだ。でもみんなには秘密な。大会どころじゃなくなっちゃう。」

 

「相変わらずですね。まあピッコロ大魔王の生まれ変わりなら下手に刺激するのも得策とは限らないですし大会で勝負してくれるならその方が被害は少なくて済みそうですからとりあえず静観しときます。」

 

「サンキュー。」

 

気を感知する技術、特に近くにいる相手に限るなら二人とも最高峰の技術を身に着けている。その二人が静かに波乱の武闘会を予期していた。 

 

 

「もう受付時間ほとんどないですけど本当に間に合うんですかね。僕ちょっと見てきます。」

 

受付終了間際になり心配になったプーアルが様子を見に行った。

 

「こっちに向かってはいるんですけど、ぎりぎりですね。」

 

「大丈夫だ、きっと間に合う。」

 

受付時間がもう終わるという間際ライ達の周りに突風が吹く。

 

「来た!」

 

ぎりぎりで全員集まり無事天下一武道会出場となった。

 

 

「ご、悟空か…!」

 

クリリンと悟空が感動の再会をしている最中ライはヤムチャや天津飯たちと話をする。

 

「久しぶりですね。皆さん」

 

「ああ、二年振りかな。俺もカリン搭の修業を全部終わらせられたぜ。」

 

「ほんとですか!流石ヤムチャさん。」

 

「ああ、だがそれだけじゃないぞ。この大会のためにカリン搭の修業のあとさらなる修業を一年こなした。今大会ばかりは誰に当たっても勝って優勝するさ。」

 

カリン搭の修業をすべて終わらせるのにライは四年かかっている。それを半分の二年で終わらせたとあってはそれ相応の自信もつくだろう。

 

「それは聞き捨てならないな。」

 

「天津飯さんも餃子さんも一年前の時点で相当強くなってましたからね。」

 

「もちろんあの頃よりもさらに強くなってる。おれも餃子もな。」

 

「うん!」

 

「最後に手合わせしたのは一年以上は前ですからね。大会が楽しみです。でも、勝つのは私です。」

 

「お互いに大会では全力で戦おう。」

 

「「もちろん。」」

 

天津飯の言葉にライ達も気合を入れなおした。

 

「そうだ…伝えなければならないことがあります。貴方たち三人だけに。」

 

急に声を潜めたライに三人が真剣な表情になる。

 

「必要なら場所を変えるがここでいいのか?」

 

「聞かれたくない部分はすぐに済みます。…ピッコロ大魔王の遺した魔族がこの島に来ています。目的はおそらく悟空。」

 

「「「なっ!」」」

 

動揺は一瞬。すぐに平静を装う。

 

「大会に出場するようなのでとりあえず悟空も私も大会までは静観します。もちろん大会中余力を残せとは言いませんが、頭には入れておいてください。なすすべもなく死ぬなんてことのないように。」

 

「「「分かった。」」」

 

(あとはチャパさんと父さんにもこの話を通しておかないとな。)

 

嘘ではないが正確な真実でもない。しかし、ありのままを伝えれば大会どころではなくなってしまうだろう。ライの精いっぱいの気づかいである。

 

 

「ただいまより予選の組み合わせ抽選を行います。」

 

「(いいか餃子、仲間たちが予選で当たらないようにするんだ。そしてあの魔族もだ。様子を見ておきたい。)」

 

餃子が超能力で細工を施しているとライが急に念話を使って二人の会話に割り込んできた。ライは天津飯達の元で過ごした中で天津飯と餃子で念話を習得していた。

 

「(餃子さん、私とチャパさんを四ブロック前半になるようにそして第四ブロックの後半に父さんとあの魔族が決勝戦で当たるようにできますか。)」

 

「(え、でも…)」

 

急な申し出に餃子と天津飯が困惑する。

 

「(普通の参加者でははっきり言って実力が足りません。実力なんて見れませんよ。)」

 

「(ならば俺が…!)」

 

天津飯が申し出ようとするがそれを遮るようにライがいる。

 

「(策があるんです。ここは私達に任せてください。)」

 

結局餃子はライの言う通りにし、自分たちを第三ブロックまでにし、ライ達を第四ブロックにした。 

 

 

「22番決勝進出!」

 

悟空、天津飯、クリリン、ヤムチャが決勝進出を決め、餃子を倒した桃白白、匿名希望と称した女武闘家も決勝進出をはたし、残りは第四ブロックだけになった。

 

「68番の勝利です。」

 

(人数が少ないのは厄介だったけど、思ったより時間は稼げてますね。このままいけば…)

 

そう考えていると運営スタッフから声がかかった。

 

「62番の…ライさんと、65番のチャパさん折り入ってお願いがあるのですが…」

 

 

「さて、会場にお越しの皆様、これより、一部の予選試合を武舞台で行っていただきます。本大会は出場者の数では前回大会に劣るもののその実力は前回より優れた武道家が大勢集まり、一戦一戦が是非会場にお越しの皆様にもご覧に入れたい試合となっております。その中でも前回大会予選で一番の盛り上がりを見せた選手の戦いが今大会も実現しました。是非武舞台までお越しいただき、その武技をご覧になってください‼」

 

他の試合はすでに決着がついているというのに第四ブロックだけやけに時間がかかっている。それもそのはず、ライ達ができるだけ一つの試合に時間がかかるようにしている。そのため残りの第四ブロックの試合を本会場で行い、お茶を濁すことにしたのだ。

 

「それでは前々回大会ベスト4のライ選手対前々回前回と本選出場を果たした、チャパ選手の予選試合を開始します。」

 

(戦いの引き延ばしだけでなく、騒動を起こすのもかなり効果的でしたし、ヤジロベーさんには今度何かおごってあげないと。)

 

第四ブロック前半の番号に偶然なったヤジロベーはライの近くにいたことから見つかり、協力を頼まれていた。

 

(でもヤジロベーさん負けてしまったし、時間稼ぎはここが正念場だ。日が暮れるまで時間を稼いでやる!!)

 

ライが意気込んでいるとチャパが話しかけてきた。

 

「君を相手に余計なこと(時間稼ぎ)は考えない。全力で正々堂々戦おう。それが一番いいはずだ。」

 

「っ!ええ、今回こそ勝ちます。余計なこと(ピッコロ大魔王)に気をとられず、正々堂々全力で!」

 

「それでは始めてください!」

 

アナウンサーの宣言で予選で最も長い戦いが始まる。

 

 

「二人とも全く動かないな。」

 

「ああ、お互いに隙を探っているんだろうがこの展開だと素人目にはただ止まってるだけにしか見えないのが惜しいな。」

 

残る試合はこのブロックのみになっている。前回予選で最も激しい戦いだった二人の戦いだけに決勝進出を果たした選手だけでなく参加者全員が舞台の周りで観戦していた。

 

「ふっ!」

 

観衆の目線に耐えきれなくなったか、ライが動く。

 

「はっ!」

 

ライの右拳をチャパは左腕でガードし右足で蹴りを放つ。

 

「くっ」

 

それをライは左脚で防ぐ。一撃ごとに攻守が入れ替わり、戦いは白熱していく。隙が無いのに攻め始めた戦いはお互いに削りあいになる。

 

ドン!ドン!ガン!

 

拳と拳、脚と脚が衝突するすさまじい衝撃音が響く。大会前の最後の一年一緒に修業した彼らにはお互いの戦い方がよくわかる。手合わせの数も相当数を行っていた。しかし、練習と本番とでは気迫が違う。

 

「やっ!」

 

バン!

 

チャパの経験からくるいぶし銀な攻撃が光ってライに一撃を加える。態勢を立て直そうと一度ライはジャンプして距離をとった。

 

「むう」

 

追撃はせず地上で迎撃態勢をとるチャパにライは壁を蹴って一気に接近する。

 

「はああ!」

 

ダン!

 

急接近を予測していたのだろう、チャパは防御をしたが、威力は想像以上だったか、ライは防御の上から無理やりダメージを与え後ろに飛ばす。

 

「一週間前にも手合わせしてるのにあの時とはなかなか違った戦い方ですね。すごくやりにくいです。」

 

距離をとって仕切り直しといったところでライがチャパに話しかける。

 

「そうでもしないと勝てない相手だからな。ライこそたった一週間で攻撃の鋭さが増しているように思える。流石だよ。」

 

「その引き出しの多さは是非早くものにしたいとこです、ねっ!」

 

再びライはチャパに向かって行く。

 

「こればっかりは経験の差だよ。」

 

それを迎え撃つチャパ。戦いは長引く。

 

 

「なかなか決着がつかないな。見どころのある試合だから退屈はしないけど。」

 

戦いを見ながらクリリンと悟空が話をしている。

 

「これが予選なのもったいねえよなあ。本選でやったらいいと思うんだけんど上手くいかねえもんだ。」

 

「確かにな。そういえば俺達、ライと一回も戦ってないよな。」

 

「ん、そういえばそうだな。相当な実力者なのに前回は本選にも出れなかったからな。」

 

「正直三年前は実力的に負けてそうだったから、今回は直接やって勝ちたかったんだけどなあ。まあチャパ王にもだけど。」

 

「二人とも強えかんな。どっちにしても本選で勝負すんのが楽しみだ。」

 

 

「「はあ、はあ」」

 

壮絶な削りあいの末二人とも限界が近づき、同時に決着の時も近づいていた。

 

「はっ!」

 

最後の一合となることを予感しているのか、残る力の全力をもってチャパがライに向かって行った。

 

ガン!

 

「ぐっ…」

 

チャパの強力な蹴りを左腕で受け止め切り、素早く右拳を放つ。チャパも右手でそれを受け止めたが間髪入れず左足で蹴りを放つ。左腕で受け止められる。しかしその瞬間ライの口元が緩んだ。チャパは片足と両腕を使っていたからだ。

 

(舞空術‼)

 

ライは舞空術を使って右足で蹴りを放つ。両手両足を使って防げない蹴りはこの状況下においては必殺の蹴りだ。

 

ガッ!

 

「え…」

 

しかし、チャパが左足でライの蹴りを受け止めていた。チャパも舞空術を使っていたのだ。あまりのことに動揺し、隙が生まれる。一度距離を置こうと後ろに跳躍するが隙を繕いきれない。チャパは追撃をしようと飛び上がってくる。

 

(まずい‼)

 

跳躍により上をとられたライは右手をチャパに向け気を片手に表出する。淡い気の光が右手を覆い切る。

 

(お願い、上手くいって!)

 

ライは今まで気功波の類を打ったことはない。カリン搭で気の扱いについて修業し、体の内において自身の気を扱うことにおいては完璧に使いこなせるようになった一方、気に指向性を持たせることはできていなかった。つまり気功波が放てない。この土壇場においてもそれは変わらない。

 

バッ!

 

しかし発光を見たチャパは舞空術を使って無理やり回避行動をとる。

 

「っ!」

 

バン!

 

そうしてできた隙をついてライはチャパを場外に吹き飛ばす。威力がわずか足りなかったか、チャパは

 

ぎりぎりのところで場外を背にとどまった。止めを刺そうとチャパに蹴りを撃ち込もうと舞空術を使って加速し肉薄していく。

 

「参った!」

 

まさに蹴りが撃ち込まれようという直前チャパが降参を宣言し、ライの勝利が決まった。




ライ250
チャパ225
戦闘描写がないので明かしませんが、天津飯と餃子、そしてヤムチャも強化されてます。インフレにクリリンだけ取り残された感じです。ライとの関わりが薄いとそうなりがち。この世界線の不遇枠はクリリンですね。
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