ドラゴンボールZ・オルタナティブ~世界線c~   作:三軒過歩

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(第十七話)三年間の成果

「私の負けだな。いい試合をありがとう。本選出場、そして優勝、期待しているよ。」

 

観客の歓声に応えるのもそこそこに競技館に戻っていったライに後から戻ってきたチャパが声をかける。そのチャパの表情はライが今まで見たことがないほど晴れやかだった。

 

「正直、あんな勝負は納得できないんです。正々堂々と言いながら決め手はブラフ、いえ、本当はブラフですら…」

 

対称的にライの顔は曇っている。

 

「はっはっは、私程度完膚なきまで叩き潰しての完全勝利でないと認められないとでもいうのかな。」

 

「ちがっ」

 

そこまで言ってライは言いよどむ。

 

「ブラフだったらまだよかったんです。とっさに体が動いてしまった、ただそれだけの結果でチャパさんにありもしない気功波の対応をさせてしまったんです。そのうえその隙に付け込むような形で…」

 

万全に警戒した中、それでも警戒の上をいかれただけであればライはここまで負い目を感じなかっただろう。前回大会の負け方や、一緒に組手をした感覚から、他のことに気をとられなければ勝てる相手だと慢心があったことがライに負い目を感じさせていた。

 

(油断しなければ勝てるなんて、どこまで浅はかだったんだろうか。チャパさんは全力で私の対策をしてその結果完全に私の不意を突いたのに、私は慢心した挙句にあんな卑怯な勝ち方をしてしまうなんて…)

 

「良いんだ。どんな勝ち方だってライの実力だ。ライが気功波を撃ててもおかしくないと私は思わせられた、一緒に修業した成果だ。私は直前の一週間でライに勝とうとしたがライはそれまでの一年で私に勝とうとした。それだけの話だよ。()()()()()()()()()()であるからって気にすることはない、立派な勝利だ」

 

「ありがとうございます、チャパさん。」

 

「スウ選手の勝利です!」ワァーー!

 

ライがお礼を言うとちょうど第四ブロック後半のスウが出ていた試合の決着がついたようだった。

 

「頑張ってきなさい。後悔しているならそれを繰り返さないことだ。本選出場、期待してるよ。もちろん優勝もね。」

 

「はい!」

 

そう言って武舞台に行こうとして競技館を出る間際、ライがチャパに声をかける。

 

「チャパさん!大会が終わったら引退する前にもう一度私と勝負してください!」

 

そう言って武舞台に向かうライの顔は吹っ切れたものになっていた。

 

 

「続いての試合は、予選第四ブロック前半の決勝戦です。先ほどチャパ選手との激戦を制したライ選手と、ノーマークから予選決勝まで這い上がってきたシェン選手です!」

 

「どうもどうも」

 

「…」

 

武舞台に上がってたライとシェンはアナウンサーの合図を待つ。

 

(あのヤジロベーさんを倒してしまうほどの実力者だ。ただの頭突きだったら不意を打たれたってやられたりしないはずだからこの人も相当強いはず、きっと私やチャパさんくらいには。)

 

「それでは始めてください‼」ドーーーン

 

「よろしくお願いします。シェンさん。」

 

そう言って構えをとるとシェンは意外そうな顔で構えをとった。

 

「一分の油断も慢心もない構え、相当な達人とお見受けしますが、今の私に最初から全力で向かってくるものがいるとは思いませんでした。」

 

「…あなたが先の試合で何気なく倒した人はただの達人程度では万が一にも勝つことのできないほどの実力者です。そんなあなたを相手に油断などしません。」

 

(チャパさんと戦う前なら油断してたでしょうけど。)

 

「では、いつでもどうぞ。」

 

そう言うとシェンがまとう雰囲気が変わる。

 

「言われずとも!」

 

そう言うとライはシェンに向かって攻撃を仕掛けに行く。

 

「はあああ!やっ!えい!はっ!」

 

バッ!ガン!ドン!

 

拳を三発そして蹴りを二発放つ。すべてを巧みに防がれる。

 

「無駄がないように研がれた素晴らしい動きですね。しかし…」

 

バン!

 

「ぐっ」

 

シェンがライの攻撃の隙を縫うように反撃を撃ち込む。

 

「速さが足りません。もう少し攻撃から攻撃を流れるようにつなげるのです。」

 

(それなら…!)

 

攻撃を防がれ反撃まで食らったライは残像拳を使ってフェイントをかけていく。残像とワンテンポ遅らせて攻撃を仕掛けるが全くシェンの動きは鈍らない。

 

「完成度が高く、目で相手を見ている者には効果的でしょうが…私には通用しませんよ。」

 

残像をシェンの周囲に増やしていっても結果は変わらない。 

 

 

「あのシェンとかいう人、あれほどの残像にも全く対処が鈍ってない。どうなってんだよ。」

 

「おそらく、ライの気を読んで対処しているのだろう。視覚に頼らず感知しているんだ。」

 

「いや、いくら気で相手の動きを読んでいるからといってあれほど視覚的に邪魔があれば少しは効果があるはずだ。少なくとも俺なら動きが鈍る。」

 

クリリン、天津飯、ヤムチャの中で唯一気を探れるヤムチャがそう言った。気を探れる武闘家は相手の動きを視覚と気配で探る。どっちも使用する以上片方が使い物にならなくなれば多少なりとも効果がある。

 

「そんな驚くことじゃねえだろ。おらたちは相手の気を探れなくてもそんなに動きは鈍らねえじゃねえか。」

 

悟空が何でもないことのように言った。

 

「つまり、年季の差ということか?」

 

天津飯が理由に思い至ったのかそう言うとクリリン、ヤムチャもどうしてか理解したようだ。

 

「そ、そうか。シェンは気で相手を探る技術も息をするくらい自然に行えるからあの量の残像にも動きが鈍らないのか。」

 

「もちろん目で追う技術もそれくらい自然に行える…」

 

「でもそれじゃあ、ライはこのままだとヤバイだろ。効果のない技を出し続けるなんて体力の浪費だ。」

 

「そりゃあそうだろうけど、何も考えなしに動いてるようには思えねえ。ライは気を探れんだし、残像拳の効果が薄いのは分かってるだろ。」 

 

 

「何体増やしても結果は変わりませんよ。」

 

「…まさかここまで的確に攻撃を受けられるとは。」

 

残像の数は増えシェンの周りを囲むように舞台の上に残像が増えていた。残像に紛れてライの声が響く。

 

「視覚だけに頼っている種族がこういう攻め方ばかりをしてしまうのは仕方のないことではありますが、引き際も大切ではないですかな。」

 

「冗談でしょう。」

 

(仕込みは終わった。この一手で決める!)

 

「!」

 

ライが行動を起こした瞬間シェンが一瞬固まる。そして次の瞬間には増える一方だった残像が減り始めた。 

 

 

「「!」」

 

「ライの奴残像拳はあきらめたみたいだな。」

 

「無理もないだろう。あの量を対処されたなら次の策でいかなければならないからな。」

 

減り始める残像を見たクリリンと天津飯が言うがそれをヤムチャが遮った。

 

「いや、そうでもなさそうだ。」

 

「ああ、今なら残像が効果的だぞ。」 

 

 

(気を感知できなくなりましたね。あの武道家、気を探れないとばかり思ってましたが…なるほどこれなら残像が効果的です。)

 

気を集中させて迎撃態勢を維持しながらライの動きを目で探り始める。

 

(しかし、気を静めている間は残像が残るほどの速さでは動けない、私を攻撃できる距離にある残像は限られている。その方向を意識すれば、充分に対処は可能ですよ。)

 

気を感知できなくなってもシェンの余裕は崩れなかった。しかしその余裕は数瞬後に崩れる。

 

バン!

 

「なっ」

 

シェンの真上から両肩に向かって縦の回転を利用した両足の蹴りが炸裂する。

 

「はっ!」

 

踵落としを決めたライは態勢の崩れたシェンに全力の右拳を撃ち込んだ。

 

ダン!

 

拳を食らったシェンは武舞台の端に向けて飛ばされるが即座に態勢を立て直しライに突っ込んでいく。

 

(速い!)

 

ガン、ダッ!

 

即座に防戦しようと動いたライに二段構えの攻撃を撃ち込んだ。攻撃の余波でライがたたらを踏んで武舞台の際に追い込まれる。踏みとどまったライの胸にシェンの両手がかざされる。その両手の先には球形の光の玉ができていた。

 

「完全に不意を突かれました、お見事です。」

 

バアアアアアー、ドン!

 

そう言ってシェンはライに向かって気功波を撃ち込み場外に落とした。

 

「ライ選手場外!よって勝者、シェン選手~」

 

アナウンサーの宣言によって第四ブロック前半の本選出場者が決まった。

 

 

「ライさんでしたかな。凄まじいまでに練り上げられた武技、あなたの武闘家としての才覚はかなりのものです。このまま修業を続ければいずれは私を超えることもできるでしょう。応援していますよ。」

 

試合が終わりシェンがライに話しかけてくる。

 

「何十年先の話ですか。貴方と私には確かな実力差があります。気の感知技術も戦況を判断する力も私よりはるか上、最後だってわざわざ気功波を見せてくださって、余裕あったじゃないですか。」

 

悔しさからかついつい憎まれ口をたたくがシェンは軽く受け流した。

 

「いえいえ、確かに手加減をしていないといえば嘘になりますが、最後の二連撃は全力でしたよ。気功波だってあなたが習得したがっているようでしたので撃ちましたが、あの時に抵抗されていたら試合の決着はまだまだついていなかったでしょう。」

 

「あんな完璧に詰まらされて抵抗なんてするわけないですよ。…ありがとうございました。優勝目指して頑張ってください。」

 

「…ええ。もちろんですとも。」

 

 

「なあ、悟空、ライとシェンさんとの試合、最後どうしてシェンさんは攻撃を食らったんだ?気を探れるんなら不意打ちは効かないはずだろ?」

 

試合が終わり、最後の一閃についてクリリンが悟空に問う。

 

「ああ、ライの奴な、気を消していたんだ。だから不意打ちが決まったんだ。」

 

「なるほどな。気を消して強い攻撃が打てなかったり早く動けなかったりしても気を消す直前に跳べば落下の力を使って気を消したまま攻撃できるってことか。」

 

「そういうことだろうな。ライの奴とも戦ってみたかったんだけんど、相手が悪かったな。まあ、大会が終わったらいっちょ手合わせ頼んでみるかな。」

 

ライの戦いには悟空達にも影響を与えたようだ。




番外編を書きたいです。スウの妻の話とか21回天下一武道会でスウがあっさりとライが修業に出るのをスルーしたのかとか、チャパがなんで21回天下一武道会に出たのかとか。悟空がさっくりとかめはめ波をライに打ったのかとか。タンバリンが殺した武闘家の数についてとか…くらいですかね。今明かせるのは。番外編書きたいんです。でもそれ以上に本編を書きたいんです。一話冒頭の話を書きたいですしほかにも驚かせられるようなことも実はあったりなかったり。それを見た時の反応が気になったりして。書きたいです。ええ。
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