ドラゴンボールZ・オルタナティブ~世界線c~   作:三軒過歩

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(第十八話)スウとライとチャパの秘策

「いよいよですね。」

 

「ああ、この試合のためにわざわざ私たちは予選でぶつかったのだからな。」

 

「続きまして、予選最終試合、第四ブロック後半の決勝戦です!本日は激闘に次ぐ激闘で日も暮れてまいりました。本選は翌日とし、今日最後の試合となります!!」

 

アナウンサーがそう宣告するとライとチャパは競技館の方から武舞台の見えるところに向かって行った。

 

「本日最後の試合となりますのは、ここまで圧倒的な実力差で勝ち上がってきた、今大会初出場のマジュニア選手と、前回、前々回と本選出場を果たしたスウ選手です!それでは、始めてください!」ドーーーン

 

「はあああ!」

 

コングがなると同時にスウがマジュニアめがけて向かって行く。スウの実力ではマジュニアの隙を見出せないと判断しての速攻である。

 

ガン、バッ、グッ…ダン!

 

それでも簡単に防がれ、逆に反撃を食らってしまう。

 

「ぐっ…」

 

「雑魚め。お前のような奴ではどうやっても俺には勝てない。さっきの奴等の仲間のようだったから少しばかり期待していたんだがな。さっさと決めさせてもらうぞ。」

そう言うとマジュニアはスウを攻撃しようとする態勢をとる。

 

「それは悪いことをしたな。俺も様子を見たかったんだが、やられてしまっては元も子もないからな。」

 

マジュニアの変化を感じ取ったのかスウがサングラスを外した。今夜は満月でも何でもないただの月を目に入れる。素の実力に劣るスウがチャパから一目置かれ続ける、ライから尊敬され続ける理由がそこにある。

 

「フン。変身型の人間か。その変化が見た目以上であるといいんだがな。」

 

馬鹿にしたように言うマジュニアに対しスウは全力をもって接近し攻撃を仕掛けて行った。

 

「はあああああああ!」

 

スウが相手に踏み込みながら攻撃を撃ち込んでいくことに対応するように、マジュニアは相手との距離をとるように攻撃に対処していく。近づこうとするスウと遠ざかろうとするマジュニアは縦横無尽に武舞台を駆け回る。

 

「チッ、しつこいやつだ。」

 

執拗に追い回すスウの攻勢を受けマジュニアは飛び上がって距離をとりカウンターを狙う。

 

「逃がさん!」

 

スウもすぐさま飛び上がって攻撃を仕掛けようとするが空中で待ち伏せていたマジュニアに蹴りをもらってしまう。

 

「なに?」

 

マジュニアの強烈な蹴りを食らったスウは吹っ飛ばされることなくその一撃を受け切ってお返しとばかりに蹴りを放った。仕切り直しを狙ったかマジュニアはそのまま飛ばされてスウと距離をとる。

 

 

「ライの親父さんって普通の狼人(おおかみびと)じゃなかったんだな。」

 

スウがマジュニアと戦う姿を見てヤムチャがライにそうこぼす。

 

「ええ、月さえあればいつでも狼の姿に変身できる人狼です。あの姿の父さんは私やチャパさんより強いですよ。」

 

「そうみたいだな。感じ取れる気の大きさが一気に増えた。でもこれだけ強くなれるならライが変身すればやつにも勝てるんじゃないのか?」

 

そう言ってヤムチャはマジュニアを指す。

 

「私が変身すると急に膨れ上がったパワーを使いこなせなくなって武術を使えなくなります。満月を見ないと変身できないので狼の姿での修業は現実的ではありませんし、一ヶ月も何もしなければ得た感覚を思い起こすだけで一日が終わってしまいますからね。速さと力、そして体力は大幅にアップしているので単純な動きなら変身した方がいいんですけど…そんなに万能じゃないんです。」

 

「いくら力があっても武術の心得のある者には敵わないということと似たようなことか。」

 

「そういうことです。ついでですけど、狼の姿でできる技はスケールダウンするだけで人の姿でも扱えるみたいです。手加減とおんなじ感じなんだとか。まあとにかく頻繁に変身できないと使えない事実上父さんだけの技です。」

 

 

「まさかここまでやるとは思わなかったぞ。雑魚といったことは訂正しなければならないようだな。お詫びに少しだけ見せてやろう。この俺の実力をな。」

 

「そう来なくっちゃ。でもお前が本気を出しても簡単にはやられるつもりはない。」

 

「フフフ。そう言ってられるのも今の内さ。」

 

マジュニアはそう言うとすぐに全力で攻撃を始めた。

 

「いいっ!?」

 

先ほどスウの攻撃を対処していた時よりまたさらに早い速度で肉薄して両手両足を的確使って多角的な攻撃をしてくる。手数の多さにスウは防戦一方に追い込まれた。攻撃を受けていられる時間も長くはもたずスウは攻撃を受けて吹っ飛ばされてしまう。

 

ドン!

 

「うっ」

 

ギリギリのところでスウは踏みとどまった。

 

(この速度で攻撃をしても急所だけは確実に守っていた。これほどの人間が孫悟空以外にもいたとはな。どうやら孫悟空を殺し世界を支配した後も強者の芽を摘み取りにいかなければならないらしい。)

 

バン!

 

絶対的優位であるという慢心がマジュニアに少しばかりの油断を招いた。その意識の隙をついてスウが拳を撃ち込む。

 

「戦いの最中に思索にふけるのは相手に対して失礼だろう。」

 

攻撃をクリーンヒットさせ得意げにスウが言う。

 

「…貴様が雑魚ではないのは事実だが、俺の実力からすれば取るに足らん相手であることに変わりはない。注意を払うに値する実力をつけてから言うべきだな。」

 

攻撃を食らったにもかかわらず平然とそう言ってのけたマジュニアは腹に入れられた拳を強く掴みとる。

 

「いっつ!!」

 

「それじゃあお返しだ。」

 

ドン!!!

 

「ウグゥ…」

 

拳を掴まれて動けないスウに容赦ないマジュニアの一撃が入った。

 

パッ、バタン!

 

「ス、スウ選手ダウン!1、2…9、10!スウ選手起き上がれず!マジュニア選手の勝利です。」

 

そのままスウが立ち上がることなく決着がついた。

 

 

「父さん、お疲れさまでした。」

 

決着がつき意識を失っていたスウは競技館の長椅子に寝かされていた。

 

「…ああ、すまないなもう少し粘るつもりだったんだが。」

 

「いえ、役に立ったって言ってましたよ。特にクリリンさん。彼、一回戦で戦うことになったみたいです。」

 

「…だといいんだけどな。」

 

「それにしてもスウとライの戦いを見ていて、マジュニアとシェンの戦いかたがやけに似ているような気がしたんだが。」

 

二人の戦いを見ていたチャパが言う。

 

「それは私も感じました。同じ流派…なわけないですし、でも偶然にしては似すぎてますよね。」

 

「不思議なこともあるもんだな。実力もライ以上なのに今まで聞いたこともない武闘家。ピッコロ大魔王の武闘家狩りだって返り討ちにしてただろうに。」

 

「まあ、悪意のあるものではなさそうだからそんなに心配することもないだろう。今心配すべきはマジュニアと名乗るピッコロ大魔王の遺産の方だ。」

 

「明日から本選ですしクリリンさん達には頑張ってもらわないとですね。」

 

ライがそう言って締めくくり三人は予約してあるホテルに向かった。

 

 

「会場の皆様おはようございます。二日目の本日は前日の激しい予選会を切り抜けた八人の武闘家による本選が開始されます。予選の一部を見た皆様もお察しのように前回大会の決勝戦レベルの戦いが一回戦から繰り広げられるでしょう。」ワァアアア!

 

大会は今までにない盛り上がりを見せている。

 

「ライ!こっちこっち!」

 

「ブルマさん!また最前列をとれたんですね。何かすいません。結構早くから場所取りしてるんでしょうに。」

 

ライ達ははブルマに合流し、最前列でブルマたちと共に観戦する。

 

「え、ああ、いいのよいいのよ、ライ達は予選で頑張ったじゃない。」

 

「?そう言ってもらえるとありがたいです。」

 

ばつの悪そうな顔したブルマたちに少しきょとんとしながらも一回戦の開始を見守った。

 

 

「お嫁にもらってくれるって!!」

 

一回戦は危なげなく天津飯が桃白白に勝利し、続いて二回戦の匿名希望もといチチと悟空の戦いの最中会場を騒然とさせる爆弾が投下される。

 

「「「「「「「えーーーー!」」」」」」」

 

「「お、お嫁!?」」

 

ブルマや亀仙人にライ達が驚愕に顔を染め、クリリンとヤムチャが愕然と言葉をこぼす。

 

「へ、お嫁?」

 

悟空もぽかんとしながらそう言った。

 

「フン、いまごろやっと思い出しただか。」

 

チチが不機嫌そうに吐き捨てるも悟空はいまだぴんと来ていないようだった。

 

「クリリン、お嫁ってなんだ?」

 

スッテーーン!

 

「ば、ばか、お嫁にもらうってのはな結婚するってことだよ。」

 

「夫婦になって一緒に暮らすってことだ。」

 

クリリンの説明に補足してヤムチャが説明を足す。

 

「一緒に暮らす⁉おめえと?おらそんな約束したか?」

 

お嫁にもらうという意味をようやく理解した悟空は驚愕もそのままにチチに言葉を続ける。

 

「いったい誰なんだ。頼むから教えてくれ。」

 

悟空がいまだに自分のことを思い出してくれていない事実に怒りを露わにチチが言う。

 

「フン、しょうがない、教えてやるだよ。ただし…おらとの勝負に勝ったらだ!」

 

「ほんとか、良かったあ。おら名前も知らない奴と一緒に住むことになるかと思ったぞ。」

 

不敵に笑うチチがそういうもそれを聞いた悟空は顔を喜色に染めて言った。

 

「もう勝った気でいるだか。甘えぞ!おらがそう簡単にやられると思ったら大間違いだべ。」

 

 

「なんだ悟空まだ分からねえのかよ。」

 

「あんたはあの人が誰だかわかるっていうの?」

 

得意げに言うウーロンにブルマがキョトンとした顔で聞いた。

 

「鈍感だなあお前たち。ブルマもプーアルも武天老師のじっちゃんも会ってんだぜ。まあ悟空の変化にも気づかなかったし、仕方ないなのかもな。」

 

「悪かったわね。ウーロンだって孫君には気づいてなかったじゃない。」

 

「いや、悟空があんなに変わったんだからわかってもおかしくねえだろって話だよ。」

 

そう言うウーロンにライが聞く。

 

「じゃ、じゃあ私は会ってないんですか。その人には。」

 

「ん、そうだな。この中だとライ達とランチさん、それにクリリンは会ってないかな。」

 

「…道理で。匂いにも覚えがないわけです。」

 

なぜか苦虫を嚙み潰したような顔でライがそう言った。

 

 

ヒュゴ―――!ダン!

 

ライが覚えがないといった直後、チチが悟空の拳の衝撃波で一撃のもとにチチを場外に吹き飛ばした。

 

「痛ってぇぇ。」

 

場外に飛ばされて倒れこんだチチは起き上がり、壁にぶつかった後頭部を抑えながら座り込む。

 

「おい、大丈夫か。」

 

悟空が声をかけた後もしばらく痛がっていたが流石は予選突破した実力者だけのことはあり、やがて武舞台に戻る。

 

「流石だべ。ここまで強くなってるとは思わなかっただ。やっぱりおらが旦那にと決めた男だけあるだよ。」

 

毒気を抜いた声音で話すチチに悟空がもう一度質問しなおす。

 

「それで、結局おめえの名前はなんだ?」

 

「…まだ分かんねえだか。おら牛魔王の娘のチチだよ。」

 

頭をさすりながらあきれたようにチチがそう言った。

 

「チチ?!」

 

悟空の顔がお嫁にもらうという意味を知った時と同じくらい表情を驚愕に染める。

 

「チチってあのチチか。あのフライパン山にいたあの…?」

 

コクリ

 

「ああ!思い出した、思い出したぞーー!!言った、おら確かに嫁にもらうって言ったぞ。」

 

チチがうなずいてから少し思案し、自分がチチとあった日のことを思い返したのだろう。

 

「やあっと思い出しただか。」

 

少し怒ったような顔でチチが言う。

 

「そぉっかぁ。おらってば嫁って食い物のことだとばっかし思ってた。」

 

しみじみと悟空が言うと呆気にとられたような顔でチチが言う。

 

「ええっ!食い物?…んだらあの約束は…」

 

素っ頓狂な声を出した後、約束が果たされないのではないかと瞳を潤ませて悟空を見上げる。

 

「でも、まいっか。約束したもんな。じゃあ、結婚すっか。」

 

持ち前の軽さを発揮し、一瞬思案した後悟空はチチに向かってそう言った。その答えを聞いたチチの顔が喜色に染まっていく。

 

「んだ!」

 

頬を染め周りにハートが浮き出るように見えるほどのチチを祝福するアナウンサーを始めとした観客たちの声が会場内に響いた。 

 

 

「さ、先を越された。まさかこんなに唐突に結婚なんて…。」

 

悟空が驚いている最中、観客席では以外にもライが傷ついていた。

 

「あら、意外ね、ライは結婚とか焦っているようなタイプには見えなかったけど。そもそもまだ焦るような年齢じゃないでしょ。」

 

「…人の基準からすればその通りですけど、人狼の基準からするともう適齢期です。人狼同士に限るなら十二で結婚も珍しくないですよ。」

 

「そんなに焦らなくてもいいんじゃないか。お前は俺と母さんのハーフなんだし、人狼と事情が同じわけじゃない。そもそも結婚は相手との巡り合わせ。」

 

「…まあそうですけど。」

 

スウのフォローも動揺を完全に消し去れずなんとなしに苦い顔をした。




スウ90
スウ未だに100以下で弱そうに思うかもしれませんが伸びはチャパと同じく三年前の1.5倍です。狼化でほぼ毎晩三倍になれるんで見かけ以上に強いです。この方。
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