ドラゴンボールZ・オルタナティブ~世界線c~   作:三軒過歩

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(第二十三話)犠牲の上に

「ゴフッ…」

 

力が抜けた状態で避けられず確殺の一撃になるはずだった攻撃はライを貫いていた。

 

「ど、どして…」

 

ライの手にはしっぽが握られていて、その先はラディッツには続いていなかった。

 

「その気になればしっぽを自分で切ることができる。もちろん真の力を出せなくなるが、まあそのうち生えてくるだろう。」

 

ラディッツはライを盾にしてできた数瞬の隙に避けることに成功していた。

 

「ライっ!!!!」

 

「ちくしょおおおお!!」

 

ライがやられたのを見てヤムチャが突っ込んでいく。狼牙風風拳を使い全力で攻撃していくがこれをすべて躱される。

 

「はいはいはいはいはい!」

 

「雑魚が、圧倒的強さの前に怒りなど無意味だ!」ゴン!

 

そう言って首筋に強烈な一撃を撃ち込みヤムチャは吹っ飛ばされた。

 

「う、うう。」

 

「ヤムチャ!」

 

「チッ」

 

悟空が叫び、ピッコロは舌打ちを打つ。

 

「さあ次はお前だ!カカロット!」

 

ラディッツが悟空に攻撃を打ち込む。倒れこんだ悟空が立ち上がろうとする。

 

「フン!」

 

それを足で踏みつけにした。

 

「今度こそ殺してやるぞ。それ!」

 

「ぎゃああああああ!がああああ!」

 

ラディッツが悟空を痛めつけ苦しむ声があたりに響く。

 

「ご、悟空…」

 

「これではまたよけられてしまう…」

 

二人が言葉をこぼしたその時、破壊音が響く。孫悟飯が父のピンチに現れたのだ。瞳に涙をため、父親を痛めつける相手に際限のない怒りをぶつける。

 

「お父さんを、いぢめるなあああああ!」

 

凄まじい速度で放たれる頭突きは完全な不意打ちとなりラディッツの戦闘服にもひびを入れた。あまりのことにさっきまで苦しんでいた悟空の顔は驚愕に変わり、絶望に染まっていたピッコロ、ヤムチャまでもがぽかんとした顔をさらす。

 

「このガキ!感情と共に戦闘力が変化しやがるのか。」

 

「やめろ、悟飯に手をだすな!」

 

「冗談じゃない。あのガキはお前たちよりも戦闘力ははるかに上だ。今のうちに始末する。」

 

吹っ飛ばした悟飯に止めを刺そうと手を振り上げた時、悟空がラディッツを羽交い締めにする。

 

「ふ、ふっふっふっ、そう来るだろうと準備していたぞ。だがもう少し時間がかかる。あと少し、あと少しだ!」

 

「は、早く…」

 

「放せ!もう心を入れ替える。もう地球には来ない!」

 

ラディッツが命乞いを始める。

 

「ふん!」ゴン!

 

満身創痍のヤムチャがラディッツの鳩尾に一撃を加えた。

 

「ぐふッ」

 

「きさまを許すと思うか!俺は、俺達はお前を、許さない!」

 

そのダメージと悟飯の一撃でパワーが落ちたラディッツにピッコロは今度こそ必殺の一撃を浴びせた。悟空もろともに。

 

 

この世を去ったラディッツは不吉な予言を残した。そうした後に亀仙人たちがやってくる。

 

「悟空!悟空ってば。しっかりしろ。」

 

ピッコロから事情を聴いた亀仙人たちが悟空とライの周りに集まる。

 

「悟飯君は無事よ。気絶してるだけだわ。でも、ライはもう…」

 

「そっか、おらだけ生き返れちゃうのはずりいよな。ははは。」

 

「なに、いって…ですか。そ…なの、許さ…いです。クリりン…ちゃんと、ごく…を生き返…」

 

一発目の魔貫光殺砲を食らっていたライは悟空より先にこと切れた。

 

「死人に、気を、使われちまった。もう、あいつ、に、顔あがんねえや。」

 

「安心しろ悟空、すぐに生き返らせてやるから。それがライの望みでもあるんだから…さ。」

 

「ああ、ありが…と…。」

 

悟空もついに死に、すると急に悟空とライの死体が消え去った。

 

「神の仕業か。何を企んでいるんだか。」

 

ピッコロが忌々しそうにそう言って、再びターバンとマントを身に着けた。

 

「そう言えばこいつ、なんで孫君の位置が分かったのかしら。」

 

「そいつが身に着けている機械の力だ。どこにいるのか、どの程度の強さなのか、分かるらしい。」

 

ブルマがスカウターについてみてみるとピッコロは腕を生やし、そして悟飯を連れて行こうとした。

 

「待て!お前に任せて置けるか。お前に任せるくらいならば俺が鍛える。」

 

「貴様等孫悟空の仲間にガキを鍛え上げるなんてできるわけが無かろう。止めるなら貴様らを殺してでも連れて行く。」

 

そう言うと超能力なのか触らずして悟飯を浮かせて、自分の腕に抱えた。

 

「では一年後貴様等の家に行く。孫悟空には楽しみにしておけと伝えておくんだな。」

 

そう言って飛び立っていった。

 

「…俺はピッコロを追いかける。悟飯を殺させやしない。」

 

ヤムチャもそう言って飛び立った。

 

「ヤムチャ…」

 

ブルマの寂しそうな声だけが場に残った。

 

 

「「舞空術!」」

 

閻魔大王様のところで界王様のところまで行ってもよいと許可をもらったライと悟空は界王様のところへ向けて蛇の道を進みだした。

 

「悟空、先に行けるなら先に行ってくださいね。少しでも早く修業つけてもらえた方が良いですから。」

 

「そうか?じゃあ先に行くぜ。もう誰も死なせないためにな。」

 

そう言うと凄い速度で空を飛んでいった。

 

「もっとも意外と私の方が早いかもしれないですよ?」

 

取り残されたライがそう言葉を放つ。

 

 

「お父さんが生き返るならぼく、お父さんに修業をつけてもらいたいよぉ。」

 

「あいつは強いが師匠としてはてんでだめだ。甘すぎるからな。」

 

上着を脱いだ悟飯はピッコロに何をすべきか問う。

 

「修業って何すればいいの?」

 

「何もしないでおのれの力だけで生きろ。六ヶ月後に迎えに来る。そしたら修業をつけてやる。」

 

ご飯は、お風呂はベットは本やノートや鉛筆は…と聞いていく悟飯を尻目にピッコロは飛び立っていった。ピッコロが飛び立った後、ヤムチャがピッコロに追いつく。

 

「おい、ピッコロ!悟飯をどこにやった。」

 

「フン!ちょっと荒野に置いてきただけだ。あいつには精神的強くなってもらわなきゃならないのでな。何、心配するな。半年後生きていたら修業をつけてやるさ。」

 

「貴様!!」

 

「フン。そんなことより修業をつけるのはあのガキだけじゃないぞ。何のために半年空けたと思ってるんだ。」

 

「なに!?」

 

「貴様もこれから鍛えればそれなりの力になる。気の扱いは俺よりも優れているかもしれないが、絶対的な力が足りてない。それを鍛えてやる。半年も鍛えればそれなりになる。」

 

「そんなことより悟飯だ。あいつは無事なのか。」

 

「勝手に感じ取れ。気の扱いは俺よりも優れているんだろう?だが、あいつを助けに行くのは許さん。そんな余裕はないからな。俺を倒せたらその限りではないが。」

 

ヤムチャとピッコロの修業が始まる。

 

 

悟空とライが死んでから三ヶ月後

 

「100万キロって嘘だったんだろうなあ。」

 

ライは独り言ちながら飛んでいた。孫悟空は第二十二回天下一武道会の際わずか二日で地球を半周、つまり2万キロを走っている。理論上はその頃の悟空でも二ヶ月かからずつけるはずなのだ。その頃の悟空よりもずっと強いライはもっとはやくつけるはずであるのに既に三か月が過ぎていた。

 

「悟空よりも気の扱いを上手くできるはずだから舞空術を使い続けて悟空よりも短い距離でいけるはずなんだけれどなあ。」

 

ライの気を感じ取れる範囲は流石に数万キロも離れると感知することはできなくなる。悟空の気を感じ取れないほどの距離が悟空とライにはあった。

 

 

ところ戻って再び悟空とライが死んだ日の夜。崖の上に潜在パワーを使って登ってしまった悟飯にピッコロがこっそりとリンゴを二つ届けていた。

 

(あいついいとこあるじゃないか。)

 

ヤムチャとピッコロは二人で修業をし、ヤムチャはピッコロに修業の中で気の扱い方を教え、逆にピッコロはヤムチャに肉体の強化、素早さの上げ方を教えていた。しかしずっと修業をしているわけではなく、睡眠や休憩は挟んでいる。その合間を見て悟飯の様子をピッコロが見に来たのだ。

 

(これでだめならお前はそこまでだ。)

 

そして悟飯の元を離れようとしたその時、ちょうどトイレに起きた悟飯の目に満月が写る。

 

「ぐ、ぐぐぐぐ」

 

満月を見た彼はどんどんと大猿になっていった。その破壊力は凄まじく、サイヤ人の本来の性格が表出されたようにひたすらに暴れていく。

 

「おい!ピッコロ!あいつ大猿になっちまいやがった。月を壊せば元に戻る。さっさと破壊するぞ!」

 

「月!?」

 

「尻尾切ってもいいが、今のあいつに近づいて攻撃を食らったらただでは済まない。そっちが安全だ。」

 

そうヤムチャが言い終わるが早いか、ピッコロは気功波で月を破壊した。変身が解けた悟飯はそのまま気絶する。

 

「サイヤ人が来るならどっちにしろ壊しておいて損はないな。ついでに尻尾もとっておくか。」

 

「いや、月が壊れれば別にもう問題ないだろ。」

 

「何を言っている。サイヤ人は尻尾が弱点なんだぞ。弱点を克服する修業に費やす時間もない。そもそもあのサイヤ人が克服できてない時点で治せないもんなんだろ。」

 

「それも、そうか。仕方ない。」

 

そう言って悟飯から尻尾をとる。この時のヤムチャに八年前の記憶が呼び起されていればサイヤ人たちの戦いは少し違ったものになったかもしれない。

 

「ついでに服と刀くらいは用意してやるか。」

 

そして悟飯に指をかざすと服と刀が出てくる。

 

「げぇっ!魔の文字なんて入れるなよ。」

 

「フン。文句があるなら全裸で過ごさすぞ。」

 

「…ごめんなさい。」

 

半年間はそうやって過ぎて行った。

 

 

「そろそろ四ヶ月か。あとひと月くらいの内にはつかないと修業どころじゃなさそうだけど…ん?この気は!」

 

蛇の道を進み始めて早四ヶ月。ついにライは悟空に追いつくことに成功する。悟空はというとかなり疲れたのか、蛇の道を歩いて進んでいた。

 

「悟空!」

 

「ん?ライか。まさか追い付かれちまうとはなあ。」

 

「気の扱いがうまいと舞空術をまるで地面を歩くかの如く使うことができるのです。」

 

もちろん速度によって使う体力は変わるが、たとえ歩くような速度であってもまっすぐ進めれば相当時間の短縮になる。

 

「げえっ。ずるいぞライ。じゃあおめえまっすぐ進んできたのか。」

 

「ええ。ヤムチャさんとの修業の賜物です。それじゃあお先に失礼!」

 

ずっと悟空が蛇の道を道なりに歩いていくのに対してライはまっすぐに距離を飛んでいく。悟空より短い距離を進みライは悟空を追い越して行った。そしてついにライは蛇の道を踏破する。踏破にかかった期間は五ヶ月と一週間!

 

 

「やっと着いた。界王様は…上か」

 

何とか蛇の道を完走したライは気を三つほど頭上に感じ取り界王星に行った。

 

「ふぐっ」ドン!

 

(は?重っ!)

 

界王星に着くもあまりの重力に地面にたたきつけられる。あまりのことに呆然としていると声がかかる。

 

「お前何しに来たんだ?大丈夫か?」

 

「え、ああ、すいません。」

 

何とか起き上がり挨拶を済ませる。

 

「私は地球という星からやってきました、ライという者です。地球に降り注ぐサイヤ人の脅威を払うためこれから界王様に修業をつけていただきたく参りました。」

 

「なるほどのう。わしに修業をつけてほしいわけじゃな。」

 

「ええ、是非お願いします。」

 

「まあええじゃろう。サイヤ人から母星を守るために戦うなら悪いやつではないだろう。ではまず…そこのバブルス君を捕まえるのじゃ。この星の重力に慣れろ。地球の十倍じゃ。」

 

こうして界王様とライの修業が一足早く始まった。




私の思惑ひとつで死んでしまうなんてこの世界の住民の命は軽い。だから展開上ご都合主義的に殺さないように意識していました。ですがサイヤ人でない以上界王拳がないとこの後詰むのです。許してください。
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