ドラゴンボールZ・オルタナティブ~世界線c~   作:三軒過歩

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(第二十五話)非情な結末

「はいーーーー!」ガン!!

 

「うぐおっ?」

 

飛び上がったヤムチャはクリリンとピッコロと戦っているナッパの不意を突く形で攻撃に成功する。二人を相手にしてなお余裕があったナッパは普通に奇襲をかけただけでは対応できたであろう。不意打ちが成功したのはひとえに、ヤムチャがナッパの想像の上を行く速さで動いたからだ。狼牙風風拳、気の開放を覚えてからは上半身のみの不完全な技であったが、彼はライとの数年の修業、半年のピッコロとの修業と自己流の修業を経てその技を昇華させた。今の狼牙風風拳は強化の幅は大きく劣るものの原理自体は界王拳に近いものがある。彼はその技を独学で体得したのだ。

 

「気功砲だあ!」ピシュン!

 

ドゴオオン‼

 

ヤムチャの援護を受け、天津飯渾身の気功砲が炸裂した。 

 

 

気功砲の凄まじい威力に煙が舞う。しかし、煙が晴れて映ったサイヤ人の姿は地球人戦士たちをさらに絶望に落とすものだった。

 

「ふう。脅かしやがって。」

 

餃子の爆発では壊れなかった戦闘服は確かにボロボロになり相当の威力が与えられたことは分かるが、それでもサイヤ人にダメージを与えるには届かなかった。

 

「む、無念…」

 

技を撃った反動と今までのダメージが災いし、天津飯は息絶える。

 

「はっはっはっ、馬鹿め。おとなしく寝ていればいいものを、力付きて無駄死にしやがった。」

 

「俺は、俺は!無駄死にさせるためにこんなことをしたわけじゃない!!」

 

天津飯を殺された怒りからナッパに向かって行くヤムチャ。しかし、どんなに怒っていようとも、それで力関係は覆らない。そんなことができるのは選ばれた人間だけなのだ。ヤムチャは…

 

「フン!」ゴキッ!

 

選ばれない側だ。

 

ナッパが首筋に放った一撃で本来なってはならない音が響く。ヤムチャは一瞬にして白目をむき息絶えた。最初に集まった六人の内二番目に強い戦士がただの一撃で葬り去られたのだ。

 

「悪夢だ。こんなのってないぜ。俺たちはどうすればいいんだよ…」

 

「それじゃあ、あと三人か。さっさと片付けるとするかな。」

 

「あ、ああ、くそっぉおおおお!」

 

ナッパが凄い速度でクリリン達に向かってくる。そのあまりの戦力差にクリリンにピッコロ、悟飯の顔が絶望に染まり始める。彼らの顔が絶望に染まり切り、戦意喪失するのも時間の問題に見える、しかし、彼らの目から希望の灯が消えることはない。なぜなら、彼らには…いや地球には

 

「孫悟空がいるんですから。」

 

凄まじい速度でクリリンとナッパの間に入り、ナッパの拳を受け止め気合で吹き飛ばした。

 

「彼が戻ってくるまでこれ以上あなたたちの好きにはさせません。」

 

「ぬう?」

 

「ライ!?」

 

「貴様、もう生き返れないはずでは?」

 

「その話は生き残ったらクリリンにでも聞いてください。ちょっとごまかしてここにきてるんです。天使の輪があるでしょう?」

 

そう言うライの頭上には死者の証が存在を主張していた。

 

「すいません。遅くなりました。悟空はもっと遅くなりますけど、まあ何とかあと数時間もすれば来てくれるでしょう。それまでの辛抱です。全員でかかればなんとかなりそうですから頑張りましょう。」

 

そう言うライの言葉にベジータが感心を示す。

 

「ほう?その孫悟空というのはカカロットのことか?」

 

「ええ。ラディッツにやられたときの彼だと思ったら大間違いです。私よりもずっと強くなってあなたたちを倒しにきますよ。」

 

「ほう、そんな話があるんだとしたら見せてもらいたいもんだ。面白い。やつがくるまで待ってやろう。ただし三時間だけだ。」

 

こうしてピッコロたちの寿命が延びた。

 

 

「チッ、貴様に期待した俺が情けないぜ。」

 

三時間思わぬ時間が空いたが、その雰囲気は決して良いものではなかった。

 

「無理もないよ、初めての実践がこれじゃあな。」

 

「そうですよ。逃げ出さずにこの場にいるだけでも評価されるべきです。」

 

クリリンとライがフォローを入れるが悟飯の顔は暗い。

 

「すいません、少し席を外します。」

 

そんな中ライはどこかに行こうとする。

 

「へ?どこに行くんだ?」

 

「ヤムチャさんや天津飯さんに手を合わせておこうかと思いまして、餃子さんは…」

 

「自爆してばらばらになっちまったよ。」

 

「気が急に大きくなったと思ったら、また急に消えちゃったからそうではないかと思いましたけど、自爆でしたか。じゃあ天津飯さんも…。」

 

「ああ、天津飯も気功砲を撃って死んでしまった。」

 

「それは…すいません。私がもう少し早く来れていれば。」

 

「お前のせいじゃない。悪いのはあいつらサイヤ人でライに落ち度はないさ。」

 

あの世からこの世に来るとき、体は一度死人のそれから生者のそれに変わる。死者と生者では勝手が違う、慣れるまでそこまで時間はかからないが、それが悟空が地球に来てから自分より遅いはずの筋斗雲を使った理由であり、一日半で半分蛇の道を進めるライが占い婆の館からここに来るまで時間がかかった理由である。

 

「そ、そう言えばライ。お前も界王様とかいうえらい人の元で修業したんだろ?どんな修業だったんだ?」

 

「精神統一に、気のコントロール、でも一番大きかったのは体の使い方ですね。一から教え込まれました。」

 

「なるほど、精神統一ね。」

 

そう言うとクリリンは合点のいった顔になる。クリリンだけでなく、近くにいたピッコロも納得したようだ。仲間を殺されていながら、今のライはその怒りを内にとどめ、一目には穏やかなように見える。しかしその実、ただ激情を表に出すよりも凄味のある迫力があった。そして三時間がたってしまう。

 

 

「さあて、結局臆病者のカカロットは来なかったな。」

 

(私が蛇の道の半分にかかった時間からして、三時間あればなんとかなると思ったが、甘かったようですね。)

 

「少なくともあの片方は全員でかかれば互角以上にやりあえます。悟空がくるまで持ちこたえましょう。」

 

仲間たちの士気を上げようとライがそう言う。

 

「お前たち、俺に策がある。」

 

ピッコロがそう言う。四人は少しでも勝利への細い糸をたどる戦いを始める。

 

 

「行くぞ!」

 

クリリンがそう叫んでナッパに突っ込んでいく。そしてナッパの攻撃範囲に入る直前に気功波を地面に向かって放ち飛び上がる。普通の戦いにおいて奇天烈な動きとなりナッパは思わずクリリンを見上げる。

 

(今!)

 

見上げた瞬間にライが高速で移動してナッパの背をとり、尻尾を掴んだ。

 

「ぬ、貴様!」

 

「ピッコロ!悟飯!」

 

ライが叫ぶとご飯とピッコロが突っ込んでくる。二人の同時攻撃を食らえば流石にダメージは避けられない。

 

「馬鹿め!」ゴン!

 

「うっ…ぐうう、な、ぜ?」

 

ナッパからの強烈な一撃を受け倒れこむ。

 

「そんなあ!」

 

「へへへへ、残念だったな。せっかくの助っ人も、このざまだ。お前たちの中で一番強いんじゃなかったのか?」

 

「「くそっ!」」

 

再びピッコロとクリリンが攻めていく。しかし今回は三時間前と違う。悟飯も攻撃に参加したのだ。

 

「三人がかりの攻撃でも、お前ら三人じゃあ、な。」

 

ナッパが軽々と攻撃を捌いていく。

 

「おら、よっ!」ゴン!バン、ガッ!

 

「うぐぅ!」

 

「「グハッ」」

 

強烈な一撃が入りピッコロが倒れこみ悟飯とクリリンは吹っ飛ばされた。

 

「おっと、まだ死ぬなよ。お前にはドラゴンボールのことをしゃべってもらわなきゃならんからな。さて…」

 

「ううう…」

 

「ナメック星人と面倒なガキが眠っている間に孫悟空の息子を倒すとするかな。」

 

「させるかぁ!」

 

悟飯に向かって行こうとするナッパの脇からクリリンが蹴りを入れて吹っ飛ばす。すぐに態勢を立て直し、反撃をしようとするナッパの攻撃を、クリリンは長年の経験だけで躱して見せた。

 

「とっておきを見せてやる!気円斬‼」

 

気円斬を撃ち込むが、ベジータの一声により躱される。顔に傷をつけられたナッパは怒りに震え、気功波をクリリン放つ。クリリンは避けるが気功波の爆発だけでクリリンは致命傷を食らってしまった。何とか止めを刺される前にピッコロが意識を取り戻し攻撃をして防ぐ。そして彼らは気づく。凄まじい力がこっちに向かってきているのを。孫悟空の気を。

 

「ようやく戻ってきやがったか。あのヤロー待たせやがって。」

 

「悟空だ、悟空が来てくれたんだ。」

 

「お父さん。早く来てぇ!」

 

気絶してしまっているライを除く全員が悟空の到着があとわずかであると知り歓喜する。そしてその事実は悟飯を奮い立たせる。

 

「ピッコロさん逃げて!お父さんがくるまで何とか食い止めるよ!」

 

「貴様一人で食い止めるなど、無理に決まってるだろ。」

 

「でも、ピッコロさんが死んじゃったらドラゴンボールが…!」

 

「このガキィ!生意気なぁ!」

 

そう言って飛び込んでくるナッパを悟飯はその勢いを逆手にとって蹴り返した。しかし、ナッパには大したダメージでなく、怒りに狂ったナッパは特大威力の気功波を悟飯に放った。

 

「いかん!」

 

今にもその攻撃を食らわんとしている悟飯をみてピッコロにこの半年間の修業の日々が走馬灯のようにめぐる。自分を畏怖の対象でなく、尊敬のまなざしを向けてくれた彼にとって唯一の存在。そんな変えのきかないただ一人の子が今まさに死のうとしている。それをピッコロは許容できなかった。

 

 

ライが意識を取り戻した時すべては取り返しのつかないことになっていた、ピッコロはナッパの気功波を浴びて死にかけていた。その後悟飯も怒りの魔閃光を放つもナッパには通用せず倒れこむ。クリリンもナッパにやられたのだろう、ボロボロで地に付している。体が思うように動かず、カリン様からもらったもう一粒を食べたのは

 

「ぐちゃぐちゃにつぶされた息子を見たカカロットの顔が楽しみだぜ。」

 

そう言ってナッパが足を振り下す寸前であった。

 

(界王拳!)ガッ!

 

体を深紅のオーラで包みこみ赤い閃光がナッパに向かって行った。

 

「貴様が許せない。でもそれ以上に私の慢心が許せない。体への負担やもう一人のサイヤ人なんて二の次にするべきだったのに、そんなことを考えてしまったせいで私は大切なものを失ってしまった。」

 

ライはナッパの足蹴を防ぎ悟飯を抱える。

 

「何を!貴様!」

 

ナッパの攻撃を悟飯を抱えてない左腕で防ぎ、蹴りでナッパを吹き飛ばす。

 

「悟飯、ごめんね。恩師をみすみす殺させてしまって。許してとは言わないけれど、せめて仇はとるよ。」

 

「おら達二人でな。」

 

そう言うライの後ろには孫悟空が到着していた。




ライ5000
ライがナッパに気絶させられた時間が原作のピッコロより長いのはナッパが原作でピッコロに攻撃するのとは違い殺すつもりでやってるからです。1.3倍の範疇なんで善戦できるはずでしたが…不意を食らえばこんなもんでしょう。
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