ドラゴンボールZ・オルタナティブ~世界線c~   作:三軒過歩

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今回でサイヤ人編完結です。無印編完結の際は投稿を始める前から草稿があったので書けませんでしたが、今回は書けます。サイヤ人編を書ききれたのも読者様たちのおかげです。本当にありがとうございます。フリーザ編もよろしくお願いします。


(第二十七話)地球人戦士と超エリート

「こっちを見ろ!サイヤ人!」

 

そう言ってライはベジータの作った月を視界に入れる。ライに半分流れたスウの血が月を見たライを狼に変えていく。

 

「ぐうううう…!」

 

「何だ、貴様も変身型の人種だったか。だがその程度ではどうすることもできんぞ!」

 

大猿になると戦闘力は十倍、狼化は三倍。元の戦力差を加味すればどうしようもない差。しかしその三倍がライに光明となる。

 

「界王拳・4倍!!」

 

(これなら一撃で腕は砕けない!)

 

狼化したことにより人間の時よりも4倍が無理のない倍率になる。人間の姿の時と比較したライの戦闘力は十二倍にも及ぶ。

 

「はあああ!」

 

残った両足を使って攻撃をしていく。余裕で受け止められると思って掌で受け止めるが予想外の衝撃にうろたえる。ベジータ自身が思っているよりもずっとパワーボールはベジータの力を奪っていたのだ。

 

「なに?」

 

「やあっ!」ガンッ!

 

続けざまに攻撃するが今度は完璧に防がれた。

 

「調子に乗るなよ雑魚が!」

 

そう言うとベジータはライを叩き落とし両足を踏みつぶす。

 

「ぎゃああああああ!」

 

その叫ぶ姿をみて満足したのかベジータが悟空の元に向かった。

 

 

「きた!よしっ!」

 

ライが作った時間で元気を集めきった悟空だが、ベジータがライを倒して悟空のほうに向かってきていた。

 

「来る!いや、この距離なら!」

 

いける!と振りかぶるがここにきてベジータが気功波を放つ。大猿になってから一度も打ってこなかったために悟空の意識の外の攻撃となった。その一撃で元気が逃げてしまう。

 

「まさか、あんな攻撃をするなんて。」

 

「しぶといやろーだ。だがもう限界は近いらしいな。分かるぞ。」

 

そう言って倒れこんでいる悟空の足を踏みつぶす。

 

「これで貴様もあの地球人と一緒だな!次は心臓でも潰してやろう。いい加減うんざりしてきたところだ。死ねええ!」

 

まさに心臓を潰さんとしているとき悟空が最後の抵抗をする。残ったすべての気を使ってベジータの目をつぶしたのだ。ベジータは怒りに震え、悟空を握り潰そうとする。悟空の気はどんどんと小さくなっていく。

 

 

(動け!動け!ここで動かなければ悟空が死んでしまう!それに…)

 

体はぐちゃぐちゃで意識は朦朧としている中でライは気を感じ取る。悟空だけでなく誰かが増援に来たことを悟る。そしてその援軍ももはやどうにもならないことも。

 

「ごめんな、ライ。遅くなった。わが子に死線をくぐらせておいて自分だけ天界で高みの見物なんて許されないよな。当然だ。」

 

(そん…な、父さ…だめ…、殺さ…る…。)

 

ライの意識はそこで途絶える。

 

時は悟空が神殿に到着したころにさかのぼる。月が壊されて変身もできず、足手まといを宣告されたスウは天界で神様たちと一緒にサイヤ人が地球に到着してからずっと今か今かと悟空の到着を待っていた。

 

「来た!」

 

戦いが中断していた三時間が過ぎようとするころ、悟空が来たことを感知した神様は急いであの世に悟空を迎えに行く。

 

「じゃ、行ってくる。」

 

そういうと悟空はすごい速度でサイヤ人との戦いに出発していった。

 

「悟空がこの時間ってことは、ライ、間に合わない。」

 

悟空の出発を見送りポポがそう言うのを、スウはどことなく安心したような複雑な表情をした。

 

「私の寿命かとも思ったが、この分だと、ピッコロの死が私の死となるようだな。」

 

「では悟空はサイヤ人の戦いには間に合わないのですか。ここまで来たのに…!」

 

「ふむ。」

 

神様はそう言うと天界から下界の様子を伺う。

 

「!ど、どうしてライがサイヤ人と…」

 

ライは蛇の道を急いでいると思った神様はついその言葉をスウに聞こえるボリュームで言ってしまった。

 

「!!」

 

「待て、スウ!お前が言ってもどうしようもない!」

 

それを聞いたスウは神様の静止も聞かずに神殿を飛び降りた。

 

(実力が足りないなんてそんなの言い訳にならない!自分の子供が、ライが戦っているのに!)

 

 

「こいつは驚いた。カカロットのガキじゃないか。父親の最期を見に来たのか。よく見て置くんだな。」

 

ベジータは悟飯と会話しながらも冷静に周りの気配を読みクリリンの気円斬を躱す。

 

(近づくこともできないほど凄まじい気だ。でも…)

 

「よし、行くか。」

 

覚悟を決めたスウは凄まじい気に圧倒されながらもベジータに特攻する。

 

「はあああああ!」

 

「うっとおしい!」ガン!

 

「うぐっ…」

 

「次から次へと湧いてきやがって、そんな雄たけびを上げてもどうにもならん!」

 

勝ち誇ったようにベジータは言うが、スウの狙いは尻尾を切るのではなく気を散らすための一撃を放つこと。できるだけ目立って本命に託す。すぐにはねのけられダメージにもならないその一撃はしかし、ベジータの気をそらすことには成功する。彼のその信頼の一撃は動く気のなかった男を突き動かす。

 

スパン!

 

 

「あとは知らにゃーっと」

 

そう独り言ちて岩陰まで隠れるヤジロベー。しかしその一撃は値千金だ。

 

「き・さ・ま・ら~!!」

 

怒りに震えながら、クリリンに悟飯、そしてスウを睨む。

 

「望み通りぶっ殺してやろう。ゴミどもめぇ!」

 

そう言うと目の前にいた悟飯を急襲し腹に一撃を加える。悶える悟飯にもう一発かまし、援護に加わったクリリンとスウをも蹴り飛ばした。

 

「順番が変わっちまったかな。」

 

そう言って悟飯の胸倉をつかみ頭突きをかます。

 

「下級戦士のゴミでも血だけは赤いらしいな。」

 

そう吐き捨ててベジータは悟飯を悟空のところに放る。

 

「せめて父親の隣で死なせてやろう。俺は優しいんだ。」

 

 

(あいつも相当弱ってきてる、でもこっちはもっと…)

 

一瞬で吹き飛ばされたスウは己の無力を嘆く。もう少し力があれば、あるいはここにいるのが自分ではなく、ピッコロやヤムチャだったなら、結果は全く違っていただろうに、と。弱腰になるスウの視界の片隅にライの姿が入る。

 

(ライなら、こんな状況でも向かって行っただろうな、俺の子だからと俺を過大評価してさ…!)

 

スウは奮い立つ。

 

 

「お前を、倒す!」

 

その宣言を聞き、スウもボロボロの体に鞭打って悟飯の援護に向かった。実の子を逃がさないなど普通はありえない。例え敗北が人類皆殺しを意味するとしても。だからこそ、悟空がこの状況下でも勝算があることを察した。

 

「援護する!」

 

そういってベジータに対して攻撃を仕掛けていく。怒りに震えて力を引き出す悟飯と変身によって力を引き出すスウの二人で何とか時間稼ぎができるくらいだ。

 

(クリリンが来てくれれば…!)

 

そうスウが考えるがそれはできないことをスウは知っている。クリリンはサイヤ人を倒すための切り札となる技を悟空から託されているに違いないのだから。

 

(何とか隙を作る!)

 

悟飯にはまだ戦術面でスウに劣る。ピッコロから修業を受けたとはいえまだ五歳。悟飯がベジータとがむしゃらに戦い、スウはそのベジータの後ろをとるように戦う。

 

「見えてるぞ!」バン

 

「くそっ」

 

しかし後ろを取ろうにもなかなか素直に取らせてくれない。それどころか、しっかりと反撃をかましてくる。こちらが一回攻撃を当てるのに向こうは悟飯とライ合わせて三回は攻撃を与えてくる。時間稼ぎ程度しかできない実力差があるため当然ではあるがだんだんと劣勢の様相を呈してきた。

 

「魔閃光!」

 

「フン!最後のあがきか?」シュン!

 

「もう一つ!それ!」

 

不利を悟った悟飯は魔閃光を連続で放つ。一発でも当たれば形勢が傾くだろうがベジータ相手にそれは通用しない。

 

「そんなもん当たるか!」

 

そう言ってこの隙にと攻撃してきたスウを掴み悟飯が放った魔閃光に向かって投げ飛ばす。

 

「うわっ!」

 

ギリギリのところで体をひねって躱すが、それをみた悟飯は気功波を迂闊に放てなくなる。

 

「フハハハハハ!貴様らはくだらんものが好きだからなあ!」

 

逆に今度はベジータが気弾を連続で放ってくる。二人に向かって放つために数が分散されるはずだがそんなことはお構いなしの量だ。

 

「くそっ!うぐぐぐぐぐ…」

 

「うわっ!わわわわわわ!」

 

近くにいたスウに連続で押し寄せる。スウも流石に避けられないと悟り、両腕で必死にガードをしているがそれでも押されていく。悟飯は何とかバックステップで避けるが長くはもたず攻撃を食らってしまった。

 

「フハハハハハ!よく見ておくがいい、カカロット!貴様の愚かな息子の最期だあ!」

 

未だスウに気弾を放ちながら、悟飯に向かって突撃していく。スウは援護に行けず、悟空も動けない。

 

 

「とらえた!」

 

「馬鹿やろー!とっとと撃っちまえ!」

 

クリリンがベジータの悪の気をとらえたころ、ヤジロベーのヤジによってベジータが元気玉を勘付く。

 

「当たれー!」

 

そう叫ぶのは本当は当たらないと分かっているから…なのかもしれない。ベジータは間一髪のところでジャンプして躱す。そしてその先には悟飯がいる。

 

 

(不味い。このままじゃ死んじまう!)

 

元気玉をよけるのに意識を割いたため、ベジータの気弾の嵐が止んだスウが見たのは悟飯に元気玉が当たろうとしているところだった。そこに悟空のテレパシーが入る。

 

「(跳ね返せ!悟飯。そいつは味方だ。悪の気がねえもんなら跳ね返せるはずだ!)」

 

そのテレパシーをスウも聞く。その次のスウの行動は早い。

 

(神烈光線!)ビッ!

 

神様が修業をつけてくれた気を扱う技を彼はなかなか習得できなかった。変な癖が彼についていたのかもしれない。一緒に天界で修業した天津飯、餃子、クリリンは既に気功波をおのれの流派で扱っていたし、ヤジロベーも気を使って相手を感知する技術には本人の性格もあってか誰よりも早く習得した。半年間天津飯たちよりも多く修業をした彼が、神様から習った技。それは見た目にはどどん波と同じ。貫通力のある術で、ただし連射性はない。でもこの技は当たった周囲に裂傷を刻み込む。どどん波よりも習得が難しい、言ってみればスウ自慢の技。それを、当てるためではなく、ベジータの動きを阻害するように使う。

 

「あのゴミ!」

 

その光線に気を取られ悟飯が元気玉を跳ね返し、それが自分に向かってきていることに気づかない。

 

 

「ライ、ライ。」

 

誰かに呼び掛けられる声を聴いてライは目を覚ます。

 

「よかった。死んじまったかと焦ったぜ。」

 

「と、父さん。そっか、サイヤ人は倒せたんですね。」

 

「ああ、悟空が作った元気玉?だったかをクリリン達が何とかあいつにあてれたんだ。これで地球は救われたよ。悟空も悟飯も誰も死んでない。」

 

「それは、安心、しました。これで、心置きなく、帰れます。」

 

ズドン!

 

そう言った直後ベジータが落ちてくる。

 

「「「「「!」」」」」

 

隠れていたヤジロベーを除く、近くにいた全員が一斉にベジータを見る。

 

「いや、大丈夫だ、死んでるよ。」

 

そう言ってベジータの方にクリリンが向かって行った。

 

「とんでもないやつだったけど、墓ぐらい作ってやるか。」

 

「貴様らの墓をか?」

 

「「「!」」」

 

「いいっ!」

 

「ずいぶんひどい目にあわせてくれたな。今のは俺も死ぬかと思ったぜ。」

 

そう言って起き上がる。あまりのことにクリリンは全く動けず、悟飯も全く援護に行けない。悟空やライに至ってはそもそも動ける状態でなかった。

 

「ちくしょう!」

 

唯一動けるスウがベジータに向かって行く。

 

「だが、ごみを片付けるくらいの力は残っているぜ。」

 

そう言うとクリリンの首筋に一閃、重い一撃を加える。吹き飛ばされたクリリンは倒れこみ、激しくせき込んだ。その咳は赤い。

 

「貴様もだ!」

 

スウをも蹴り飛ばし、六人の中心まで行く。

 

「六人がかりとはいえ、ごみどもにこれでは俺様のプライドが傷ついたぜ。貴様等次から次へと湧いてきやがって、このゴミ虫どもめが!」

 

そう言って体を広げて爆発波を起こした。唯一避けられうる体力を残した悟飯も驚愕から動けず、隙を見て攻撃しようと接近していたヤジロベーも吹っ飛ばされ、他四人はなすすべなく爆発波にやられてしまう。

 

「我ながら情けない威力だぜ。六匹ともまだ生きてやがる。」

 

六人ともまともに動けるような状態ではないが辛うじて六人とも生きていた。自分の思う以上のダメージに翻弄されながら、何とか一番近くにいた悟飯から殺そうと悟飯の元に行ったベジータは悟飯の尻尾に気づく。

 

「このガキ、尻尾が再生していやがる…!」

 

その尻尾を握りしめベジータは自分が作った月の存在を思い出す。

 

「変身でもされたら厄介だ。早く尻尾を取らないと。」

 

そう言って尻尾に気を取られた彼は後ろにいる刺客の存在に気づかない。自己中心的で臆病者な彼は、仲間の、そして地球のピンチにない勇気を振り絞る。

 

「うらあああああ!」ズン!

 

鈍い音を立てて、ベジータの背中に切り傷を入れ込む。その攻撃でベジータは倒れた。

 

「はあ、はあ…へ、へへへ、うははははは!やったぜ、どうだ、おみゃあなんかこのヤジロベー様に勝てるわけないでしょ!…へ?」

 

しかしベジータはまたも立ち上がりヤジロベーに向かって行く、ヤジロベーは剣を振り回すがヤジロベーが無意識に少しづつ下がっているためベジータに当たらない。そのうちに剣を落としてしまう。だが、悟空がその隙に悟飯を大猿にさせた。

 

「悟飯が大猿に!一か八かの賭けだ。」

 

「悟飯、頼みます…!」

 

しかしその願いむなしく、悟飯は好きに暴れまわる。だが、急に悟飯の動きが止まった。悟空が悟飯に呼び掛けたのだ。

 

「「サイヤ人だ!サイヤ人をやれ!」」

 

動きが止まったこれ幸いとクリリンとライがそう呼びかける。その呼びかけに応じるように悟飯の目つきが変わり、サイヤ人を攻撃し始める。

 

「そうだよ。悟飯は半分地球人なんだぜ。」

 

執拗にベジータを追い回すが何たるタフネス。ベジータは悟飯から逃げ回り、尻尾を切り落とす。しかしそれ以上は体力が持たず、人の姿に戻っていく悟飯に押しつぶされた。そうまでしてようやく、ベジータは撤退を決断する。

 

「こ、この俺が、まさか引き返すことになるとは。」

 

宇宙船を呼びそのわずかな距離を這って進むベジータをライが追いかける。

 

「こ、ここまでやっ…たんだから…止めを…!」

 

もはや四肢の骨は砕け、這うようにベジータに近づいていく。その最中、ヤジロベーの刀を口で嚙み取り、必死に這っていく。そこにそれを遮る人影が一つ。

 

 

「人殺しなんてお前がやらなくていいんだよ。そう言うのは年長者の役目だ。」

 

ライの前に立ち、フラフラになりながらもライから剣をとったのはスウだ。

 

ベジータが宇宙船に乗り込もうとしているころ、スウはベジータに追いつく。

 

「殺されたみんなの仇だ。」

 

刀を逆手に持ってベジータに向ける。狙いは首筋。いや、今のベジータではどこに当たろうとも致命傷で死に至るだろう。無言でベジータを見つめる。その瞳には感情がない。

 

「(待ってくれ!)」

 

刀がベジータに刺さる直前悟空の声がスウの胸の内に響く。

 

「悟空!どうしてそんなことを言うんだ。」

 

「(すまねえな。スウ、そいつを行かせてやってくれ。)」

 

「こいつを今見逃せば必ずもう一度やってくる。次も撃退できるかなんて分からない!それを、こいつを見逃すことが何を意味するか分かっているのか!!」

 

「(それは…よく分かってる、あいつのとんでもねえ強さもだ。)」

 

「じゃあ…」

 

「(でも、おら、そいつが死にそうになっているのをみて、思っちまったんだ。()()()()()()って、おらもサイヤ人なんだな。強いやつ見ると心が躍っちゃう。)」

 

そのあんまりなセリフにスウは、そしてテレパシーを聞いていたライとクリリンも目を見開く。心が躍るという悟空、こんな風に感じることを悔やんでるようでもある声音。

 

「こいつは、ヤムチャに天津飯、餃子を殺した。神様もだ。それを、お前はそれを分かっているのか!」

 

「(間違ってるのは分かってる!でも…!頼む、おらにあいつと一人で戦うチャンスを…くれ…!)」

 

その魂の叫びにも構えた剣が震えることはない。スウは既に覚悟を決めてきた。人を殺す覚悟を。そこにライが加わる。

 

「父さん…悟空のいうことを聞いてあげて…くれませんか。」

 

「お、お前まで何を言ってるんだ!?」

 

流石に動揺したか、ライの方を向きそう言い放つ。

 

「この地球があるのも悟空のおかげです。…悟空にはわがままを言う資格がある…のでしょう。それに…」

 

不本意であることは伝わってくるが、ライはそれ以外にも理由があるようだ。だがそれを口に出す前にスウが言う。

 

「分かった。分かったよ。お前ら二人がそう言うならもういいさ。次にこいつが来たとき後悔だけはすんなよ。」

 

悔しそうにそう言ってスウは剣を放り投げた。そして彼らはサイヤ人襲撃を退けたのだ。

 

 

「すいません。私のわがままに、付き合ってもらって。」

 

帰りの飛行機の中、ライが申し訳なさそうに仲間たちに言う。

 

「せっかくの一日をこの日に選んでくれたんだ。これくらい許されるさ。まあ、悟空には少し辛いかもしれないけど…」

 

「そうだ…ぞ。おめえが来てくれなきゃみんな死んでたんだ。病院に行くのが一日やそこら遅れたっておら死なねえしよ。あと一ヶ月もすれば仙豆ができるらしいしさ。それにライだってボロボロじゃねえか。」

 

「私はあの世に戻れば怪我がなかったことになりますから。」

 

彼らが向かう先は占い婆の館。少しでも長く仲間たちといるために、彼らはそこで一晩明かした。そして帰る時が訪れる。

 

 

「もう二十四時間か。」

 

悟空達は朝方先に病院に行き、スウとライだけが占い婆の館にいた。

 

「父さん、ごめんなさい…親不孝で、先に死んでしまって…私は父さんの自慢の子に…」

 

「そういう湿っぽいのはなしにしようって言っただろ。あの時、初めての武闘会の前に、お前を一人前と認めた。その結果がこれなら上出来、流石俺の子。」

 

涙を流すライとは対照的にスウの顔は晴れやかに見える。

 

「まあルミには怒られるだろうけど…死んだら会えるのか?」

 

「それは…私や悟空みたいに肉体を与えられた一部の例外を除けば、死者は天国に行くと魂だけの存在となって、意思の疎通は可能ですけど…もう母さんは生まれ変わってるはずですからその魂ももう…」

 

少しためらうがライは界王から聞いた真実を伝える。

 

「そっか、それは残念だな。」

 

「ただ穏やかに日々を過ごすみたいです。魂が別の器に移るまで。」

 

魂が別の器に移ると生き返れなくなる。個人差はあるが大体一年程度で生まれ変わるものが大多数だ。神龍の一年という期限の理由の一つがこれだ。

 

「じゃあ俺が死んだらライには会えるのか。」

 

「父さんは死んでしまっても望めば肉体を与えられるはずです。地球を救った英雄の一人ですから。」

 

「いや、そう言うのは良いんだ。俺は、天寿を全うしたらそれで終わりでいいのさ。ルミに会えるならそれもよかったんだけどな?」

 

「父さんらしいですね。私は、もう少し界王様の元で修業します。悟空に負けっぱなしは悔しいので。」

 

そう悔しそうにするライの顔には少しばかり笑顔になっていた。

 

「それじゃあ父さん!お元気で!死んだらまた会いましょう!生まれ変わる前に会いに行きますから。最もナメック星でうまくいけばそれが一番ですけど。」

 

「俺もうまくいくことを願ってるよ。」

 

こうして彼ら親子はお別れをした。彼らはそう遠くない未来に再び再会できる。ただし最悪の形で。




大猿化後ベジータ3000
元気玉後ベジータ1000
スウ600
前も言ったような気がしますが、戦闘力という指標を作った鳥山先生は天才だと思います。でもそれはそれとしてドラゴンボールにおいてこの時の戦闘力がどうこうというのは無粋だとも思ってます。だからこういうのも無粋なんでしょう。それでも考えずにはいられない私の性分が恨めしい。
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