ライ「いくら父さんといえどそのポジションは譲れません!」
悟空「まあいいじゃねえか、おらだって原作じゃあしばらくこの話に参加できねえんだからさ。」
ライ「魔人ブウ編で悟飯から主人公の座を人気で奪ったナチュラルボーン主人公は黙っててください!」
悟飯「何か関係ないところで僕に飛び火が…」
反省も後悔もないです。ええ。
「あああああああああああああああ!」
雷雨が降り注ぐ悪天候の中、青年が慟哭する。自分のことなどお構いなしに叫んで叫んで叫び続ける。
(俺は、あの時と同じ、また…!)
その青年は自分の強さに自信があった。決して最強にはなれなかったけれどそれでも自分は、自分もこの世界を守れるだけの力があると、そう思っていた。今ならみんなを守れるとそう信じていたかっただけなのかもしれない。
(もっと、もっと強く!もう決して、負けはしない!)
青年はさらなる高みへと足をかけた。
*
「それでは私は界王星に戻ります。」
あの世に帰り、占い婆と孫悟飯を送り届けたライは悟飯と占い婆に挨拶をしていた。
「達者で暮らせよ。悟飯、お前もな。」
「「もう死んでるんですけどね。」」
死者特有の冗談を言い合って三人は別れた。
*
「ようライ、元気そうで何よりだ。」
そう言われて振り返るとヤムチャ、天津飯、餃子、神様が一緒にいた。
「元気って言っても微妙なとこですけどね。そう言えば、皆さんは肉体を与えられているみたいですけど、これから界王星に行くんですか?」
「ああ、俺達も悟空や、ライの受けた修業を受けてみたいからな。餃子の肉体もここでは元通りなようだし。」
「なるほど、ということは神様も?」
「いや、わしは…」
「そいつは行かないだろうよ。」
「ピッコロ!まさかあなたも肉体を与えられていたとは。」
「そいつは本来肉体を与えられるような善人ではないのだが、神である私の半身であるから、わしに肉体を与えると、ピッコロにも肉体を与えられるのだ。生まれ変わってから、結果的にではあるが善行しか積んでいないという点もあるし…まあ天国に行かすよりは界王様のところで修業させた方があの世は安定するだろうしな。」
ピッコロの悪の気は彼が生まれ変わった時と比べると非常に少なくなっており、それは彼の血の色が魔族を示す赤色からナメック星人を示す紫色に代わっていたことからも明らかだ。しかもピッコロは生まれ変わってから打倒孫悟空、そして世界征服を目標に人里離れたところで修業をしていたので人を殺しておらず、悪人の気でありながら結果的に閻魔大王の裁定では天国行きになるのである。
「せっかくなんで行きましょうよ。いまや地球には強い戦士は多ければ多いほどいいじゃないですか。うまくいけば神様も生き返るんですから。何なら連れてきますよ?」
「むう…確かにここ数年で地球は何度も脅威にさらされているからな。私も修業を受けられるときに受けておくべきかもしれんのう。」
(何やら胸騒ぎもするしの。)
「じゃあ背負うので背中に乗ってください。」
「…いや自分で行く…。」
*
「なんでい、俺はちょっと手当てしただけで終わりなのかよ。」
「ははは。おめえは逃げてばっかりだったからな、最後は頑張ってたけど。」
「俺も悟飯も一週間くらい治るまでかかるらしいからなあ。」
クリリンも悟飯も骨折している。普通は一週間では治らない。この二人も常識の枠外にある人物なのだ。それは悟空も。
「おらなんて最初見てもらったときはもう普通に生活できるようになれればいい方だって言われたぞ。診断が終わるころには医者のおっちゃんがすげえ顔して二、三ヶ月もすれば完治するって言ってたけどな。」
「お前らうらやましいなあ。俺は怪我の具合は悟飯たちと変わらないのに全治二週間だってよ。」
スウの怪我の治り具合は常人よりも早いがその程度。しかし、スウも年齢を考えれば凄まじい。
*
「ただいま帰りました。」
占い婆と孫悟飯を無事に送り届けた後、ピッコロたちよりも一足先に再び界王の元に帰ってきた。
「無事に戻ってこれて嬉しいぞ。よくぞサイヤ人を退けた。死なんですんだこともな。」
「何言ってるんですか、私もう死んでるんですよ。もう死ねないじゃないですか。」
そう笑顔で言うライに対して界王は複雑な表情でいう。
「お主…知っとったのか?」
「あの世でもこの世でも存在できなくなり消滅する…でしたかね。生まれ変わるなら記憶もなくなりますし、どうせ変わらないでしょう?」
呆気からんというライに界王は穏やかな顔で言った。
「お主はまだまだ強くなる、もう数年も修業したら大界王星に連れてってやることにしよう。あのサイヤ人など目じゃない戦士がたくさんおるぞ。」
「そんな戦士がいるなら占い婆に頼めば…」
「馬鹿もーん、死者に頼るなぞ何事か。本来、界王が贔屓にしてはいけないのじゃ。修業をつけることすら特別なのじゃぞ。」
そう言う発言には思いがこもっていない。おそらく建前なのだろう。
「いや、私も死人ですけど…」
「そもそも、そこで修業をしている者は何千年、何万という単位で修業しているのじゃ。地球に行ったら病原菌に侵されて死ぬ。地球人が当たり前に持っている免疫を死人はもっておらん。元地球人でも病原菌の種類は数百年もたてば変わるしな。」
「なるほど…死者の力は簡単には使えないということですか。」
がっかりとした表情でそう言うが、その顔は少しすっきりしていた。
*
「スウさんもクリリンさんも技が多彩ですよね。僕まだまだだなって思い知らされますよ。」
「いやあ、悟飯も相当なものだぞ。」
「なんせ、悟空の血を引いて、ピッコロに修業をつけてもらったわけだもんな。そりゃ強いはずだよ。」
宇宙船で暇な一ヶ月ほど、スウ、クリリン、悟飯は三人でイメトレに勤しんでいた。スウの怪我が治るまでの一週間でブルマは人が冬眠状態のようにできる長期睡眠装置を発明し、一人カプセルの中で眠っている。
「それにしても、スウさんのその発想力というか、即興の構築力は流石ですよね。戦い方がライっぽいですよ。まあ、親子だから当然か。」
「まあ、ライの最初の師匠は一応俺だからな。根幹の部分は俺と同じだし、戦い方は似る部分もあるんだろうな。最も、あいつはもう俺なんかよりずっと強いんだけど。」
話していると、ブルマが入っていたカプセルが一人でに開き、中からブルマが起きてきた。
「うーーん、あら?あなたたちはこのカプセル使わなかったの?せっかく人数分用意したのに。」
「あ!ブルマさん、おはようございます。」
「ブルマが起きてきたということはもうすぐ着くのか?」
「ええ、明日の午前中に着く予定ね。今から二十四時間後くらいよ。」
「じゃあ少し起きるの早かったんですね。」
「私は宇宙船の操縦があるでしょ。だから早く起きたのよ。君たちのはそれこそ明日の朝にセットしておいたのにさ。」
唇を尖らせてブルマはそう言った。
「「「ははは。じゃあ、帰りは是非それを使わせてもらいます。」」」
*
「あのさあ、ナメック星に酸素があるかどうか、そもそも人間にとっては猛毒なガスが充満してるかもしれないのに何の調査もしないで外に出るなんてどういう神経してるわけ!?」
「「「すいません…」」」
ナメック星に着いたそばから宇宙船を飛び出したスウ達はブルマからのお説教を受け、三人とも正座で縮こまっていた。
「この星は運よく、大気が地球とそっくりだったから大丈夫だったけど、もしこんなことが次もあったら…分かってるわね?」
「「「はい…」」」
年長者であるスウが縮こまってしまっているのだ。クリリンや悟飯が委縮するのも当然だろう。
「全くもう。ま、ドラゴンボールがあればいいけどさ。」
そう言ってドラゴンレーダーを起動させる。その画面には確かにドラゴンボールの反応が写っていた。
「やった、反応があるわ!」
「「やったやった、いやっほぅぅぅ!」」
ブルマの言葉にクリリンとスウが手を合わせて踊る。するとその時悟飯が何かを感じ取った。
「クリリンさん、スウさん、あっちに強い気が。」
「ほんとだ。」
「しかも強い気がたくさんあるな。」
「ど、どういうことだ。」
感じる気の大きさに数、何より質に三人に動揺が走る。
「何言ってるの、ナメック星人でしょ?神様やピッコロがあの強さなら本家のナメック星人が凄い強さだってなにも不思議じゃないわ。」
「だが…」
「ちょっと嫌な感じの気ですね。」
「大丈夫よ。本来ナメック星人は穏やかな種族だって界王様も言ってたじゃない。」
「…だ、だよな。そうだ。ナメック星人だろ。ビビることはないさ。さあ、少し休憩したらドラゴンボールを集めに行こう。」
スウがそう言って場をとりなした時、一同の目にとんでもないが写る。ナメック星にベジータが乗ってきたポットと同じものが降ってきていたのだ。
「あれは…サイヤ人が地球に来るときに乗ってきたポッドだ。」
「あの気は間違いなくベジータとかいうやつだろ。」
「どうする?もう駄目よ。サイヤ人が来ているなら地球に帰るしかないわよね!?」
半ば願望。サイヤ人に関わりたくないという思いは根深い。
「…俺は残るぞ。サイヤ人にドラゴンボールを渡したらそれこそ地球は終わりだ。あいつが不老不死になって地球に来るんだからな。」
「僕も残ります。」
「俺もです。頭数は少しでも多いほうがいい。ブルマさんはこのことを地球に連絡してすぐに帰ってください。」
「でも!」
「大丈夫、こっちにはレーダーがあるし、気も消せますから一つでも手に入れられれば最悪の展開は回避できます。」
「分かったわ。地球に帰ったら孫君連れてすぐに迎えに来るから。往復で二ヶ月ちょっとだけど…待っててね。」
「二ヶ月…」
「大丈夫!二ヶ月なんてあっという間よ。たったの六十日!千四百四十時間!八万六千四百分!五百十八万四千秒!ね!」
不安そうに言う悟飯を安心させようとブルマは大げさに明るくそう言った。
*
「そう!だから孫君にそう伝えて!頼んだわよ!」
ブルマが電話をしているころサイヤ人が乗ってきたポッドがまたナメック星にやってきた。
「これは、人生で一番長い二ヶ月になりそうだな…」
スウの言葉が重くのしかかる。状況は悪化していく。
「こうしちゃいられないわね。じゃあ私は地球に帰るから、ドラゴンボールは頼んだわ。頑張ってね。」
努めて明るく言うブルマが宇宙船に入ろうとするころ、悟飯が何者かが接近していることに気づく。
「誰か来ます!」
「ええっ!」
「ナメック星人さ。きっとな。」
そう言いながらもスウは気の方向に向けて構えをとる。気を消してはいるが、すぐに動けるようにしているのだ。そしてその気の主が姿を現す。
「ナメック星人じゃないわ。」
「これは向こうにあるたくさんの気もナメック星人じゃないかもな。」
宇宙人、フリーザの兵士たちは、舞空術を使って接近してきた。三人が相手の出方を伺っている中、フリーザ兵の一人が手持ちの光線銃を宇宙船に放つ。
「まずっ!」バシッ!
ギリギリのところでスウがはじく。
「危なかった。ナイススウさん!」
ブルマがスウに向かって親指を立てているころにはもうクリリンと悟飯が動き出していた。
「なかなかやるじゃねえか。ん、あのチビ達はどこに…」ガン
「オベッ!」ドン!
ドッボーーン!
フリーザ兵たちは二人して湖に落ちた。
「「イェーイ!」」
「いや、正しいよ?正しいのだけどね?」
さっくりと敵を殺した悟飯に対してなんとなくやるせない気でスウは見つめた。そう、殺したというある種の油断に辛うじて生き残ったフリーザ兵の一人が湖から顔を出し光線銃を放った。
「貴様等一人だけでも…!」
「危ない!」
誰が一番弱いのか、スカウターで測れなくとも目算でブルマに放つ。この場においてそれは最適解だった。
ガスッ!
スウが何とかはじくが、はじかれた先には宇宙船がある。宇宙船の外装の脆い窓にぶつかり窓が割れてしまった。
「波あああ!」
クリリンがそいつに気功波を放ち、今度こそフリーザ兵は絶命した。
「う、宇宙船が…」
悟飯がそう言うのを聞いてブルマたちが途方に暮れる。
「もうちょっと余裕があればはじく方向も調整できたんだが、すまない、直せないのか?」
「無理に決まってんでしょ。ここにはまともな機材もないのよ。いくらあたしが天才でも、地球の技術を二歩も三歩もずっと先行く技術を何とかするならここじゃとても無理よ。」
「それは…そうか。まあ、とりあえずこの場所を移動しよう。」
「そうですよ、さっきの奴のもっと強い仲間が来ちゃうかもしれませんから。」
「そうですよ。宇宙船だってナメック星人が直してくれますよ。さあ、行きましょう。」
「楽観的でいいわね。あんたたち」
ひとまず四人は移動する。
スウ1800
死闘を経て三倍にパワーアップ、ベジータ戦では変身して戦ってたので変身なしで一ヶ月前の実力を出せるようになりました。スウだけ怪我の治りが遅いのは、こいつ置いてけばフリーザ編でライが出るまで書かなくてええやんって思ってた頃の名残です。せっかくなのでブルマが長期睡眠カプセルを作りました。この一週間の遅れはフリーザ達も一週間準備に戸惑ったってことでお願いします。