ドラゴンボールZ・オルタナティブ~世界線c~   作:三軒過歩

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オリキャラのサウンとガウはどこにナメック要素があるんだと思った方もいるかもしれませんが、これは無印編の妄想でのみ存在したピッコロ大魔王が生み出したもう一人のオリキャラサウンガウから持ってきたからです。展開上二人のナメック星人が欲しかったのでサウンガウをサウンとガウに分けました。


(第三十一話)運命の賽

「す、凄すぎる…!あ、あまりにも…!」

 

もちろん実力に対しての発言でもあるが、クリリンは悪の気を利用して戦うスウの凄みに圧倒されていた。

 

「じゃ、じゃあ、ベジータを押してるの?」

 

「ええ、気の大きさでは完全にスウさんが上回りました。…今のうちに逃げましょう。」

 

「どうして?勝てるなら逃げなくてもいいじゃない。巻き込まれないように離れた方が良いかもしれないけど。」

 

「いえ、逃げるんです!今ならなんであんな強い口調で逃げろって言ったのか分かります。スウさんの思いを無駄にはできません。行きましょう!」

 

クリリンはそう言ってブルマを連れて逃げ始めた。

 

(悪の気に負けないで、スウさん!)

 

 

「調子に乗るなよ!」ゴン!

 

「うぐ…があっ!」ガスッ!

 

「チッ!」

 

ベジータの一撃を食らっておきながらその痛みを無視して殴りかかる。超接近戦、インファイトの殴り合いの様相を嫌ったか、ベジータは舌打ちと共に距離を取った。

 

「貴様のような下級民族が…この俺に勝てると思うな!」

 

距離を取ったベジータが気弾を連続で放つ。ライはそれを両腕ですべてはじいていった。

 

「今だ!」ガシッ!

 

気弾を目くらましに接近したベジータだったがそれを読まれていたのか、スウがベジータの膝蹴りを受け止めた。そのまま二人は取っ組み合う。

 

「フン!」ゴスッ!

 

両の手をお互いに封じた状況からベジータは強烈な頭突きを食らわせる。

 

「うぐっ…」

 

「はあああ!てりゃりゃりゃりゃりゃ!」

 

そうしてできた隙にベジータは今度こそ連続でエネルギー波をぶつけた。陽動でない気弾は一撃一撃が重い。スウは何とか両腕でガードしていたが耐えきれず吹っ飛ばされた。

 

「てこずらせやがって。」

 

気弾による土煙が舞い、それが晴れた時、スウは岩壁に背を預けながら座り込んでいた。そのスウには既にオーラが失せており素の気の大きさになっていた。

 

「ふぅー、ふぅー…ふふ、はははははは!」

 

少なくないダメージを負いながら、劣勢に立たされているであろうスウが笑いながら怪しく立ち上がる。

 

「フン。パワーアップはお終いか?きっちり地球人たちを逃がしやがって。だがこっちのドラゴンボールを探しに必ずやってくるはずだ。その時こそドラゴンボールを奪って見せる。」

 

ベジータの言葉など届いていなさそうなその虚ろな瞳はひどく濁っていた。

 

 

「!」

 

「最長老様どうかなさりましたか。」

 

「どうやら事態はかなり混迷を極めてきたようです。私の判断は正しかったのか、もはや私にも読めません。」

 

唯一生き残ったナメック星人たち、おおよそを把握できる心眼を持つ最長老でさえも読めないこの状況、もはやこのドラゴンボール争奪戦の行きつく先を誰も想像できない。

 

 

「ちくしょう、あの野郎、まさかあの状況で逃げやがるとはな。」

 

うつろな瞳で立ち上がったスウはあろうことかベジータにも劣らない技のキレをみせ、ベジータと互角の戦いを演じた。急に技のキレが増したスウに攻撃を食らい、動揺を落ち着けて反撃に転じようとしたときに既にスウは気弾を煙幕代わりにその場から姿を消していた。

 

「まあいい、俺がいる限りあいつは地球人たちと合流できない。それならどうとでもなる。」

 

 

「クリリンさん、ブルマさん!無事だったんですね。」

 

スウによって逃がされたクリリンとブルマは無事悟飯と合流しベジータやフリーザ軍から逃げるため、気を消して動いていた。

 

「ところでスウさんは…」

 

悟飯も気を探り、クリリンとスウがベジータと鉢合わせたことは知っていた。そこにザーボンー悟飯はザーボンという名前は知らずデンデの村を襲ったやつの側近という認識だがーがいたことも。

 

「スウさんは…俺たちを逃がすために一人残ったよ。」

 

「じゃあ助けに行かないと!」

 

「だめだ!俺たちが敵う相手じゃない。」

 

「でも…!」

 

「…悟飯、スウさんの気、感じただろ。もうスウさんは…。」

 

気を探ればおおよそのことは分かる。スウの気のベジータに匹敵する高まりを見せたスウの気は急に搔き消えていた。

 

「何とか逃げ切っただけかもしれないじゃないですか!スウさんはベジータにも匹敵するくらいの気でしたしそっちの可能性の方が!」

 

「…そう、だな。そうだよな。スウがそう簡単にやられるわけないよな。でも悟飯、スウさんと合流しようとすると気を高めなければならない。そうすればベジータに見つかっちまうよ。ひとまず見つかりにくい場所を探そう。そしたら最長老様のところに行こうぜ。そうすれば悟飯もパワーアップできるし、スウさんとは悟飯を最長老さんのとこに連れて行こうって話をしてた。無事ならスウさんもそこを目指すはずだ。」

 

今日から数日、事態はひとまず停滞する。

 

 

(ドラゴンボールはクリリン達が二つ、ベジータが五つ。ベジータも今の俺なら勝てなくはないが…)

 

クリリンと悟飯は気を消して最長老の元に向かっている。スウには見つけようもなく、ベジータは気を完全には消せていないが戦えばクリリン達は願いを叶えることを諦めて時間切れまで隠れられる可能性が高くなるため得策ではない。ベジータとの戦えばすっかり変質してしまった気をクリリン達に感じ取られてしまうからだ。

 

(ベジータは俺にも勝てると油断しているはず…俺がクリリン達と戦えばベジータはきっと俺のところまで来るだろう。となれば…俺も最長老のとこを目指そう。あのナメック星人の強さは気がかりだが、クリリン達からドラゴンボールを奪えれば形勢は一気に俺に傾く。ふふふ、ドラゴンボールを使い、願いを叶えるのはこの俺だ!)

 

 

「もう四日近くなりますけど、まだ遠いんですか?」

 

気を悟られない程度まで抑えての最長老の元へ行く行軍はクリリンがデンデといった一回目の何倍もの時間がかかっていた。

 

「ああ、この分だと、あと一日か二日くらいはかかるだろうな。くそっ!最長老さん死んじまうぜ!」

 

顔をしかめるクリリンをみて悟飯の顔も暗くなる。

 

「思い切ってペースを上げてみるか。きっとベジータともかなり距離があるはずだ。きっとベジータも気づかねえさ。」

 

「そうですよね。」

 

「よし!全速力で飛ばそう。そうすればあと一時間もあれば着く。少しでも早くパワーアップしてもらうことが先決だ。スウさんが大丈夫ならスウさんも最長老さんのとこに向かってるはずだしな。スウさんとパワーアップした悟飯と俺ならベジータにも勝てるさ。もうすぐ悟空も来るはずだしな。」

 

「はい!」

 

 

(もう四日か。フリーザのやろうがスカウターをナメック星に届けさせてるはずだがあと二、三日、下手すれば明日にもスカウターが届いてしまうだろう。そうなる前に地球人どもからドラゴンボールを奪いたいところではあるが…この四日仕掛けてこないとはな。向こうが時間切れを意識していなければフリーザの一人勝ちになりかねん。あと一日だ。それまでに動きが無ければこちらから動こう。何、ドラゴンボールは五つあるこれを使えばいかようにもできるだろう。)

 

時間がないということをこの三勢力は理解していた。ただ、それでも悠長だったと言わざるを得ない。ギニュー特戦隊は、()()やってくるのだから。

 

 

((!))

 

「「捉えた!」」

 

別々の場所しかし、その言葉は同時。スウとベジータはクリリンが全速力で飛ばす気をとらえたのだ。

 

「ずいぶん遠くにいたな。てっきりこの周辺で機会をうかがっていると思ったのだが。」

 

「予想通り、最長老のところに向かっていたな。ベジータも動き出し始めた。この分だとちょうど最長老のところで鉢合わせるはず。クリリン達とあのナメック星人とベジータで潰しあってもらうか。フハハ、俺のいい方向に事が進む!」

 

 

「見えた、あの岩山の上にあるのが最長老さんの家だ。」

 

「あれですか。よく今まで見つかりませんでしたね。」

 

悟飯が最長老の家を見てそう告げる。フリーザ兵たちがスカウターがない状況でもドラゴンボール集めようとしていればこの数日で確実に見つかっていたであろう。

 

「誰か来る!」

 

クリリンが後方からものすごい速度で迫る気を捉えた。

 

「ベジータだ。ちきしょう、最長老さんのとこにスウさんの気は感じない、きっとあい…」

 

「いえ、クリリンさん、ベジータのさらに後ろからも気を感じます。これがスウさんじゃないですか?」

 

「…よし!悟飯!お前は先に最長老さんのとこで強くしてもらってこい。ここは俺が時間を稼ぐ。」

 

「はい!」

 

(スウさん、この気は、そう言うことですね。)

 

 

「ほう、凄まじい潜在能力をお持ちだ。それだけに惜しい、体がもう少し成長していれば誰にも負けない力を引き出せたでしょうに。」

 

「そ、それじゃあ僕の力は引き出せないのですか!?」

 

「いえ、もちろん引き出せますが、体が耐えられる範囲でしか引き出せないのです。このままでは…いえ、できる限りのことは致しましょう。」

 

悟飯も最長老に力を引き出してもらうが、その力はクリリンよりも少し上回る程度、スウにさえ及ばないパワーアップであった。

 

「幼子にこのようなことを言うのは酷ですが、死線をくぐればあなたの体は急激に成長します。頭の片隅にとどめておいてください。」

 

 

「お前たちの持ってるドラゴンボールを渡してもらうぞ、面倒なことをしやがって。」

 

「そ、それはできないな。お前にドラゴンボールを渡したら地球はお終いだ。」

 

「すぐにしゃべらせてやる。」

 

気をたぎらせながらじりじりとクリリンに迫っていくがベジータが悟飯が向かった岩山にも気があることを感じ取る。

 

「ドラゴンボールを隠したのはあの岩山か?」

 

「ち、ちがっ」

 

ベジータが岩山に向かっていくと、ネイルが家から出てきた。

 

「帰れ。」

 

「ふん、死にたいらしいな。」

 

一触即発の状況だがベジータが中にいる悟飯の気を感じ取る。

 

「む?この気はカカロットか、やっぱりこの星に来ていやがったなな。今日こそ決着をつけてやる!」

 

しかし出てきたのは悟飯である。

 

「貴様はカカロットのガキだと?どういうことだ。どうして戦闘力が大きく上がったんだ。貴様一体中で何を…いやそんなことはどうでもいいか、この俺にはまだ遠く及ばないのだからな。軽くひねってやろう。」

 

(スウさん、早く!)

 

悟飯がそう祈るがスウは来ない。近くまで来たらまた気を消して潜んだ。削り合わせるためだ。そこでサウンから最長老が凄まじいパワーがこの星に向かっていると感じたと聞く。

 

「この気は五つ…まさか!」

 

ベジータが怒りの様相で悟飯につかみかかる。

 

「貴様、早くドラゴンボールを俺に渡すんだ。」

 

「そんなこと…」

 

「約束してやる俺がその力を手に入れても貴様等には手を出さん!」

 

「だまされるもんか、そんな事したら…」

 

クリリンがあくまでも抵抗の意思を見せるがさらにベジータが言い募る。

 

「よく聞けよ、これから来るギニュー特戦隊ってやつは今の俺、いやそれ以上の化け物だ。そんな奴が五人もいるんだ。最新のスカウターをつかってすぐに俺たちを見つけ殺しにやってくるぞ。」

 

ネイルからも邪悪なパワーが五つ来ているとお墨付きを受け、やむなくドラゴンボールをベジータの言う通りする。

 

 

「叶えられる願いは三つか。いいことを聞いたな。だが…」

 

崖下で話を聞いたスウもまたギニュー特戦隊のことを聞いてどうすべきか判断がつかないでいた。

 

(この気の持ち主がくるとなればドラゴンボールは奪われる。フリーザだったか、から出し抜けるとも思えない。それでもドラゴンボールを奪うのであれば…)

 

「よう、ネイルさん。」

 

「なんだ。先ほどから下で潜んでいたようだが。まさかここまで変わり果ててしまうとはな。」

 

「これが本来の俺だってことだ。そんなことより、ドラゴンボールについてまだ隠してることがあるだろ。」

 

情報、フリーザを出し抜く唯一の策。スウは地球のドラゴンボールと同じく合言葉があるであろうことを確信していた。それが地球のそれと違うことも。

 

「何のことだ?」

 

「例えば、願い方。地球にいたナメック星人は固有の言語を持っていたぜ?まだ隠していること、あるだろ。」

 

「…そんなものはない。ドラゴンボールを七つそろえれば願いは叶う。」

 

「ふん。ならばいい。どのみち俺はお前には勝てない。」

 

「あまり時間もない。最長老様の命を受けた。あの者たちを助けに向かう。」

 

「それはできない。お前にはここで最長老を守ってもらう。」

 

「何だと。」

 

「ドラゴンボールは奪われる。だがフリーザ達は願いを叶えられない。だから叶え方を聞きに間違いなくここに来る。そこを出し抜く。お前がいれば時間稼ぎができる。奪いやすくなるということだ。」

 

(時間稼ぎで潰されればこのナメック星人を拷問でもなんでも使って願いの叶え方を聞き出せる。)

 

「俺が行かなければほぼ間違いなく仲間が死ぬぞ。」

 

「これは予測だが、お前が行っても結果は変わらない。だったら残った方が良いだろう?」

 

悪魔の囁き、ネイルが求めていたものを的確に突いていく。

 

「そのささやきに乗ろう。」

 

(私がその親玉につぶされるのを待っているのだろうな。うまくいくとも思えないが。)




スウが悪の気に飲まれるかどうかは信じてもらえないかもしれませんがサイコロで決めました。スウの運命はこれでどう変わるのか。それと、スウが怪しく立ち上がった後ベジータに劣らない動きができたのは単純に精神汚染されて思考がクリアになったからです。
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