「あの地球人はやはり悪の気に取り込まれてしまったのですね。」
ネイルが最長老の家に戻ると最長老がそう言った。
「っ!」
「クリリンさん達の仲間で善良な気を持っていたのに!」
サウンとデンデが動揺するが意外にもガウは納得したような表情だった。
「ガウ、あなたは気づいていたのですね。」
「ええ、彼が悪の気を使った戦いをこの目で見ましたから。」
そうしてガウは続ける。
「彼の心の奥底には人、その中でも自分の同族以外に対するどうしようもないほど強烈な憎しみがくすぶっているようでした。おそらくそれが爆発してしまったのでしょう。」
「でも、スウさんは私達を救ってくれたではありませんか。」
サウンが納得できないとばかりに言う。
「おそらく私達には分からない感覚なのでしょう。過去を読み取りましたが、なかなか壮絶な人生でしたからね。」
同族しかいない、しかも全員が血のつながった家族である今のナメック星人に人種間の確執を理解するのは難しい。スウがその体質によりどんな差別を受けてきたのか。知ることしかできない。
「だからこそ、相当に驚きました。あのような目にあいながら、
そのようなことのできる方々だから、ドラゴンボールを託したのです、と最長老が締めた。
*
「間に合わなかったか…!」
「よう、久しぶりだな、ベジちゃん。」
ベジータがドラゴンボールを置いていたところまで最短距離で急いできたが間に合わず、ちょうどドラゴンボールの目の前でギニュー特戦隊に追いつかれてしまった。ギニュー特戦隊の面々が不敵に笑う。
「まさか、もうドラゴンボールが全部そろってるとはな。フリーザ様がお喜びになるぞ。」
ドラゴンボールがそろったタイミングでギニュー特戦隊にバレてしまい、三人の顔が焦りを帯びる。
「貴様等スカウターで人間は探れてもドラゴンボールは探せないだろう?」
しかしベジータはこの状況でも打開策を即座に考えた。
「こういうことだー!」
そう言って遠くに投げ捨てるがバータの超高速移動でボールを奪われる。クリリンが破壊しようとするとグルドの超能力で奪われる。
「何とか逃げられないのか…」
クリリンがベジータに言うがベジータははっきりと切って捨てる。
「逃げても無駄なのは分かっただろう。地球で俺に見せた底力を無駄と分かっても期待するぜ…!」
ギニュー特戦隊のギニューじゃんけんによりベジータをリクームが、クリリンと悟飯をグルドが相手することになる。
「おい、ちょっとこい。」
戦う相手が決まったところでベジータが悟飯とクリリンを呼ぶ。
「貴様が戦うグルドは戦闘力は低いが超能力を使う。油断するな。…ところでカカロットは本当に来ていないのか。むかつく野郎だがあいつが味方になれば少しはましだ。」
「来ていない。でもこっちに向かってる。」
宿敵と認める悟空を引き入れなければならないほど切迫した状況であることがベジータから伝わってきていた。
「スウさんがいてくれれば…!」
「そうだ、あの地球人もだ。あいつはいないのか、あいつがいれば勝率が少しはあがる。1%が2%になる程度だがな。」
「身をくらましたよ。気を隠して様子を伺ってるんだろうぜ。スウさんがまともならベジータがいるんだ、変身できたのに…!」
「ど、どうして?いつものスウさんなら助けに…」
「待て、今変身といったな。あいつはあのカカロットと一緒にいたやろうの血縁かなんかなんだな!」
「ああ、でもここには…」
「俺がお前たちと手を組んだように、この状況なら間違いなくスウとかいうやつもフリーザ達に不利のある行動をとるだろうぜ。一番厄介なんだからな。」
そう言うとベジータは掌にパワーボールを作り出す。
「む、ベジータちゃんのあれは…」
「はっ、尻尾もねえのに満月なんて作ってもどうしようもねえだろうよ。今から再生すんのかねえ。」
ベジータの作る人工太陽は作るのに大きく気を消耗する。それは破壊にも同様で作った時と同じ量の気弾をぶつけなければ人工月は破壊できない。しかし裏を返せばそうすることで破壊できるということ。特戦隊の脅威足りえない。
「せいぜい役に立ちやがれ!」
人工月はらんらんと輝き、その光はナメック星全土にも届こうかという存在感を放った。
*
(む!あれは…)
事態を気を隠して遠くから静観していたスウがベジータの作った人工月の存在に気づく。
(ベジータか、俺が変身して加勢することを狙ったのだろうが、残念だったな。俺がそんなことするわけねえだろ。一人だけ離れたとんでもない気。ドラゴンボールはそいつが持ってるんだろう?)
今いるスウの位置はちょうどベジータ達とフリーザ船の中間地点、まさしくギニューがそこを通りかかろうとしているところだった。
(だが感謝はしてやろう。そのおかげで俺はドラゴンボールを総どりできるんだからな。)
*
「ふーふーふんふふん」
鼻歌を歌いながらドラゴンボールでお手玉をしつつフリーザの元に向かう。
「おっと、危ない危ない、ちゃんとフリーザ様に届けなくてはな。」
「それはできない相談だな。」
「む、何者だ貴様。」
そう言ってスカウターの反応を見る。
「スカウターの反応にない。どういうことだ、この最新型のスカウターが故障したのか?」
「やはり気を消せばスカウターってやつでも人を探すことはできないようだな。フフフ、ハハハ。何もかもが俺のいい方向に進む!」
そう言って気を開放する。
「む、戦闘力54000か。まさかこんな強敵がいるとはな。ドラゴンボールを届けるのが俺でよかったぜ。ジース達なら下手すると負けてたからな。」
「この程度で驚くなよ。俺の力はまだまだこんなものじゃあない。」
そう言ってスウはピンク色のオーラを身にまとった。
「ほう、戦闘力がどんどん上昇していくな。70000、85000、ほう。まだ戦闘力が上がるか。」
「貴様の戦闘力を超えたぞ?これで貴様は終わりだ。」
「108000か。」
気を高め切ったスウが不敵な笑みを向ける。
「ふん、その余裕がいつまで続くかな…。フン!」ガシッ!
物凄い速度で拳を振るうがギニューは簡単につかむ。
「惜しいな、貴様ほどの実力ならフリーザ様に仕えればこの栄光あるギニュー特戦隊に入れるというのに。」
「なめるなあ!」
余裕の表情を崩さないギニューに向かって高速の連打を放つが攻撃が思うように当たらない。
(おかしい、こいつの気の大きさであればこんなに避けられるはずがない。)
「お前は戦闘力を感知できるんだろう。俺の戦闘力をもう一度探ってみてはどうかな。」
改めてギニューの気を感知したスウが戦慄する。
「お、お前も俺たちと同じ、気の大きさを変えられるのか…!」
「お前たちと違って感知はできないがね。さて余裕をなくしたのはお前の方だったようだが…フリーザ様をお待たせしたくないのでな、さっさと終わらせるぞ。」
「こなくそ!」
ギニューの隠していた実力により優劣が入れ替わる。
「てりゃりゃりゃりゃ、やあっおりゃあ!」ガガガガガ
「ふん!」ヒュイヒュイヒュイヒュイ、ズドン!
「おごお…くそっ!」
気功波を放つが無理やりの態勢で放った気弾、それを受けても大したダメージを受けていない様子だ。
「そお、れっ!」
ギニューによって地面に思いっきりたたきつけられる。戦闘力では絶望的な差ではないにしても、自信を折られてしまった精神的差は大きい。
「うぐぐ…うがああああ!」
しかしスウもやられっぱなしではいられない。連続で気功波を放った。
「なっ、くそっ…!」
相手が気圧されてる間に距離を取りなおす。
「はあ、はあ…まさか、この今の俺よりも強いやつがいたと、は…」
「あ、当たり前だ。全宇宙一のフリーザ様の率いる軍の最高戦力だぞ。貴様ごときがどうにかなる相手ではない。」
「ちきしょう!」
「このまま戦っても俺が負けることはないが…あまり時間をかけたくないのでな。すぐに終わらせてやろう。」
「すぐに終わらせるだと…!俺が、負けるかあ!」
上空で挑発するギニューの挑発に乗りそのまま突進していく。この場において力任せの突撃は意外と効果的だ。ギニューにボディチェンジが無ければ。
「チェンジ!」
ギニューのボディチェンジによりスウとギニューの体が入れ替わる。
「な、なにを…、どうして俺が目の前に…」
スウが動揺している隙をギニューは逃さない。
「もう少し戦闘力が高ければこのまま使ってやろうと思っていたが…こういう使い方もできるのだ!」
そう言うとギニューは入れ替わったスウの体を自傷する。
「な、なぜ俺が俺を傷つける…!いやまさか…!」
スウが気づくも時すでに遅い。
「チェンジ!」
「!コハッ」
ギニューは体を乗っ取り乗っ取った体に致命傷を与えたうえで、再び元の体に戻ったのだ。スウは吐血する。
「じゃあな。」ズン!
致命傷に致命打、スウは倒れ地上に落ちて行った。
「さて、急ごう。フリーザ様がお待ちかねだ。」
*
「大体わかった。そうかスウが。」
「ああ、今も行方をくらましてる。」
「スウにもおめえたちにも無理させちまった見てえだ。遅れてすまねえな。後は任してくれ。」
そう言う悟空はギニュー特戦隊を次々に片づけて行った。
*
「とうとうここをかぎつけられたようです。もうすぐそこに。」
ネイルがそう言うと最長老も気を感じ取っていたのであろう、頷いた。
「デンデ、こちらへ。」
そう言って最長老はデンデの潜在パワーを引き出した。
「言ってあげなさい。デンデ。地球人たちはあなたを必要としています。急いでくださいね。」
「…ネイル、わしを同化させてくれないか。」
フリーザの魔の手が迫るこの状況でナメック星人が外敵を払うために自衛の最終手段として残していた一手、同化。ベースになったものの戦闘力を大幅に上げるナメック星人の秘技。
「やめなさい、ガウ、あなたとネイルでは戦闘力に差がありすぎる。今のままでは同化しても効果が薄い。」
元々一人だった二人が元に戻るとはわけが違う、同じナメック星人、しかも兄弟とはいえどもネイルとガウには隔絶した差があった。
「しかし…!」
「ガウさん、それならば私と同化してください。」
それでもなお言い募ろうとするガウに対しサウンがそう提案する。
「サウン、お前はまだ若い、死地に向かうのは少ない方が良い。」
「時間稼ぎが、必要なんでしょう?少しでも戦力はあった方が良い。私とガウさんが同化すればネイルさんのきっかけになれるはずです。」
その眼差しは真剣そのものだ。
「分かった。お前のその覚悟を尊重しよう。」
サウンがガウに手をかざすとガウの体が光り輝きその光が取り込まれるようにサウンに宿った。
「これで…ネイルさん、無理を承知でお願いします。地球人の願いが叶うまで粘ってください。」
「ああ、最期まで全力を尽くすと誓おう。」
ネイルがサウンに手をかざしネイルも同化を果たした。
「我が子たちに無理をさせてしまい、親として情けないですが、頼みましたよ、ネイル。」
「はい。」
*
フリーザが来た後、最長老の場所から少し離れて戦闘力を測る。
「戦闘力42000、43000…」
時間稼ぎとしてか、はたまた急激なパワーアップに体が慣れないのか、ゆっくりと戦闘力を高めていく。
「ほう、戦闘力が120000を超えましたね。まさか、ギニュー隊長の上をいくものがいるとは。しかもまだ…」
フリーザが言うようにさらに戦闘力が上がっていく。
「ああ、残念です。戦闘力200000を超えてしまうようですね。せっかくなので正確なところを測ってみたかったところですが、残念です。まあ、その様子では高くとも戦闘力250000前後といったところですかね。さあ、いつでもどうぞ。」
「はあああ!」
右手を手刀代わりに首筋に打ち込む。
「ふむ…戦闘力は210000といったところですか。せっかく首筋を空けておいたのですが、もっとしっかりとした攻撃を入れてほしいですね。ああ、参考までに私の戦闘力をお教えいたしましょう。…私の戦闘力は530000です。」
圧倒的な戦闘力は小細工でどうしようもないから圧倒的なのだ。それを体現するようにフリーザはネイルをなぶっていく。
ネイル21万
この後ネイルはピッコロと同化しますが、ピッコロは特別強化されたりはしません。同化はきっかけなのできっかけになれる最低限あればいいのです。
ちなみに最初の方でガウが言っていた同族とは、種族的にはヤムチャ、チャパ、ブルマなどの普通の人間のことを指し、同族以外は種族的には、ウーロンやプーアル、犬国王に加えて、スウの出身地にいた人狼族などの亜人(獣人)ことを指します。ガウはスウが狼化した姿を見ていませんのでそのように話しました。