キッ!
「フン、そんな技など俺が食らうか!」
ピッコロに投げ飛ばされたフリーザはすぐに態勢を立て直した。フリーザですらギリギリの距離ではあるが、躱しきれない距離ではない。すぐさまよけようとしたところで二つの気弾が襲い掛かる。
ピュン!ドカーン!
「まだハエが残ってたか!」
その一撃が、その激高が、フリーザから元気玉を避ける隙を、
「しまっ…」
元気玉がフリーザを押しつぶす。
*
「クリリンさん!」
何とか海から這い上がったクリリンの元に、運よく海に飲まれなかった悟飯がくる。
「無事だったみたいだな。良かった。」
「はい。」
二人がナメック星の変わり果てた姿を見回す。
「すっかり変わっちまったな。」
「お父さんは、ピッコロさんは、ライさんは…」
心配そうに三人の名前を言う。
「三人の気を感じない…」
「それは、俺たちが集中力を欠いているからだ。ピッコロが向かって行ったんだ、あいつらが死ぬもんか。」
自分に言い聞かせるようにもそう言ってあたりを見回すと、ひときわ大きく岩が露出した場所にピッコロが這い上がってきた。続いて悟空も自力で這い上がってくる。
「はあ、はあ、ううう…はっ」
息を切らしながらピッコロが右腕を引き上げるとそこにはライが掴まれていた。
「よかった、みんな無事だ!」
二人はふらふらと悟空たちの元に飛んでいった。
*
「よかった、全員、無事みたいで…」
「(一番まずかったのはお前だろうがな。)」
脳内に神様の声が響く。
「一番やばかった奴が何言ってやがる。俺がもう少し見つけるのが遅ければお前だけ死んでたんだぞ。」
「はは…感謝、してます。」
似たようなことを言う二人にライが一人笑いながらお礼を言った。
「悟飯、心配かけたな。」
悟空が悟飯の肩を借りて胡坐をかきながらそう言った。
「すごかったなあ。あの元気玉。」
クリリンが感心したように言った。
「宇宙のみんなの願いがこもってるんだ、そりゃそうさ。」
「僕、三人とも死んだんじゃないかと…」
「俺たちがそう簡単にくたばるものか。」
ピッコロがそう言うとクリリンが息をつき言った。
「これで胸張って地球に帰れる。俺もうできないかと思ってたんだ。」
「何が?」
「俺も、一度くらいしてみたかったんだよな、結婚。」
そう言うと一同に笑いが起こった。ライだけが寂しそうに深くうなずいていた。
*
「さて、行くか、おらの乗ってきた宇宙船なら一週間もしないで地球に帰れる。」
「ああッ!」
悟空がそう言った直後クリリンが何か不味いことでもあったのか、急に叫んだ。
「ブルマさん、すっかり忘れてた、でしょう?」
それにライが答えを与える。
「そう!迎えに行ってあげないと。というか、ライ、覚えてたんなら言ってくれよ。」
「いや、さっきからブルマさんがの話題が一度も出ないし、ブルマさんのことだから宇宙船にいるのかとも思ってたんですけど、その表情を見る限り、まだ違うところにいるんですかね。」
「急いで迎えに行かないと、ある意味じゃ、フリーザよりも怖いから。」
クリリンが焦ったように言うのを聞いて今度こそ全員の爆笑が起こった。
「体中が痛えんだからあんまり笑わすなよ、はっはっは。」
ひとしきり笑い、今度こそ動こうとして周りを見渡したピッコロがそう言った。
「改めてみると、ナメック星もひどいことになってしまった。だがこれで最長老様や他のナメック星人も安らかに眠れるだろう。」
「そう言えば、なぜかめちゃくちゃにパワーアップしてることもありますけど、なんか妙にこの星の事情に詳しくないですか?私と同じタイミングでナメック星にきたの…に。」
言葉尻が泣きそうなくらい震えて、小さくなった。それを見て悟空やクリリンもその方向を向く。
「流石の僕も今の攻撃では死ぬかと思ったよ。この、全宇宙最強の僕が、死にかけたんだ!」
そう言って人差し指から光線を放つ。
「「悟空!」」
最初にフリーザを見つけ、正気に戻ったライとこんな時でも冷静でいたピッコロが悟空を庇おうと動く。
「いぎっ…!」
ライが痛みに動きが止まりピッコロが悟空の代わりに肩口を貫かれた。
「ピッコロ!」
「ピッコロさん!」
悟飯がそう言ってピッコロの側で膝を落とし愕然と繰り返す。
「ピッコロさん…ピッコロさーーーーーん!」
「まだ、生きてます。でも…!」
ライがピッコロを見てそう言うが表情は絶望に染まっている。
「逃げろ、おめえたち。おらが最初に来たとこの近くに宇宙船がある。ブルマをつれてすぐにこの星を離れろ。」
「あ、ああ」
悟飯はまだ呆然としたままだ。
「悟飯しっかりしろ。さっさと行け!お前たちは邪魔だ。みんな揃って死にてえのか!!」
「急ぎましょう!」
ライが言って三人が何とかピッコロを抱えて舞空術で飛び始めようとしたとき、フリーザがクリリンに超能力をかける。
「貴様らを許すと思うか?一匹残らず生かしては返さんぞ!」
そう言ってクリリンを上空に飛ばし手のひらを握った。
「悟空ーーー!」
その叫び声と一緒にクリリンが爆散した。
プツン
「!」
それを見た悟空の頭の線が切れる音がライには聞こえた気がした。悟空の怒りに呼応するかのように悟空の周囲に稲妻が走る。髪の毛は金色に染まり始め、金と黒の髪が交錯する。
「うおおおおおおおおお!」
獣のような方向を上げ、ここに史上最強、伝説の超サイヤ人が降臨した。
「「あ、ああ」」
あまりのことに悟飯もライも動けないでいる。
「悟飯、ライ、ピッコロを連れてとっとと地球に帰れ、俺の理性が残っているうちにとっとと消えるんだ!」
「でも!」
「行くぞ悟飯!悟空の言う通りにするんだ!」
焦ったようなライに背中を押され悟飯は動き出す。
*
「何だあいつの変化は、サイヤ人は大猿にしか変わらないはず、どういうことだ!?」
フリーザは愕然としながらそう言った。
「いや、まずはあいつらだ、逃がしはしないぞ!」
そう言ってフリーザは手をライ達にかざす。
ピシュン!
「いい加減にしろ、この屑野郎。罪もねえ者を次から次へと殺しやがって。クリリンまで…!」
フリーザの手を握り潰さんとするほどの力で握りしめる。
「うぐぐぐぐ…なぜ貴様にこんな力が。ま、まさか…!」
何とか振りほどいて距離を取る。
*
「お父さん、僕分かったよ。ベジータの言ってたことは本当だったんだ。お父さんはなれたんだ。超サイヤ人に…!」
「ええ、伝説は本当だった。誰も比肩できない最強の戦士です。」
*
「では僕はブルマさんを迎えに行ってきます。」
悟空の乗ってきた宇宙船に着いた悟飯はライをその場に残しブルマを迎えに行く。
「(ライよ、ミスターポポと連絡を取りたい、しばらく変わってもらうぞ。)」
悟飯が出発してすぐ脳内に神様の声が響く。
「(分かりました。)」
神様はミスターポポに集めたドラゴンボールを使うように指示する。
「(ベジータ達サイヤ人に殺された者たちを生き返らせてもらうように願ってくれ。)」
ミスターポポにそう念話をするとライの声が割って入る。
「(待ってください神様。ピッコロが死ぬかもしれないのでヤムチャさん達を生き返らせておきたいのは分かりますが、ここはフリーザ一味に殺された人を生き返らせるにすべきです。)」
「(それはどういう意図があるんだ?確かにヤムチャたちは肉体を持つから一年という枷はないが…)」
「(これは願望が混じった予測ですが、きっとその願いで最長老様が少しだけ生き返るはずです。そうすればナメック星のドラゴンボールはまだ一つ願いが残っている。それを使えばみんながこの星を脱出できる。問題は、最長老さんとどうやって連絡を取るかですが…)」
「この体では最長老様のところに行くにも時間が掛かりすぎるか。」
神がライの体を軽く動かしてそう言ったところでライと神様の心に声が響く。
「(その役目は私がやろう。)」
「「((界王様!))」」
「(お主らは常識的な判断ができると思っとたのにわしの忠告を無視してフリーザと戦いおって。)」
「「((申し訳ありません。))」」
「(まあ、結果的には何とかなりそうじゃからな。戻ってきたら本格的にお説教をしてやる、地球の神よ、お前も一緒にな。)」
「(ええっ!?わ、分かりました界王様。)」
神様がたじろぐも状況は進んでいく。ミスターポポが願いを叶えたのだ。
「(気がやたらと感じられるようになりましたね。うまくいったみたいです。空が暗くなりましたし、最長老さんも…!)」
「(ナメック星の最長老よ聞こえるか、私は北銀河の界王だ。これからいうことをよく聞いてほしい。)」
声がライ達にも聞こえる。
「(ナメック星はすぐにも消滅するかもしれん。今すぐ神龍にフリーザを除くすべての者たちを地球に送ってくれと願ってくれ。)」
「(まて!それじゃだめだ。フリーザとこの俺を除くすべての者たちに変えてくれ!)」
悟空が割り込んでくる。
「(悟空らしいといえばらしいですね。さっさと決着をつけて、生きて地球で会いましょう!)」
ライが激励を界王を通して伝えると、体が白く光り次に瞬間には見知った景色が広がっていた。
*
(ピッコロに悟飯、ブルマさんに他のナメック星人、あとはベジータもか。)
周りを見回しているとデンデがピッコロを治しているのが目に入る。
「「「「さ、最長老様!」」」」
そこまで見たところで最長老を心配したナメック星人たちの声が響いた。
「皆の者、私が寿命で召されるのも近い。だがその前に今我々に起こったことは伝えておこう。」
そう言って最長老は地球のドラゴンボールで生き返ったこと、ナメック星のドラゴンボールで地球という星に飛ばされたことを語った。
「し、しかしツーノ長老の村の者が生き返っておりませんが…」
それに対してはベジータが解を与えた。
「その村の奴等を殺したのは俺だからな。俺はそのフリーザの一味じゃあない。残念だったな。」
ベジータがそう言ったところで七つの石が落ちてくる。
「ナメック星のドラゴンボールも我々を追ってこの地球に来たようだ。」
「ナメック星のドラゴンボールって便利ですね。地球のは散らばるだけなのに。」
「散らばってしまっては探すのに何年もかかってしまうでしょう?」
さも当たり前のようにナメック星人たちは言う。ナメック星のドラゴンボールは使用されるとその輝きを与えた者、最長老の元に戻るようになっていたのだ。
「さっきも言ったように私の寿命はもうほぼない。これからはムーリ、お前が最長老となるのだ。そうすれば再びドラゴンボールは輝きを取り戻す。それを有効に使ってくれ、頼んだぞ。」
そう言ってムーリに手をかざした。
「は、はい。」
その言葉を聞いて安心したように笑みを浮かべ、再び最長老は天に召された。
「最長老様、どうか安らかな眠りを。」
ピッコロがそう言ったのを聞いてデンデが確信を持つ。
「貴方はネイルさんと同化したのですね。」
それを聞きピッコロが頷いた。
「サウンとガウも俺の中にいる。」
「そうですか、三人とも生きて…!」
無事を聞いたデンデの顔がほころんだ。
「最長老さんも死んじゃったし、クリリン君も、もう戻ってこれないのね。」
「ええ、ドラゴンボールで一度よみがえった人間は二度は戻れないですから。」
悔しそうに悟飯が言うがデンデはキョトンとした顔で言った。
「え?大丈夫ですよ。ナメック星のドラゴンボールは何度でも蘇れます。自然死でなければですけど。」
それを聞いて笑みがこぼれる悟飯たちをライもまた顔を綻ばせて聞いた。
「(ナメック星のドラゴンボールは地球のそれと比べてだいぶ優秀ですね。)」
願いを使えば特定の人の元へ帰ってくる。三つまで叶えられる、同じ願いを何度でも叶えることもできる。確かにそう考えるのも無理ないであろう。
「(お主も生き返れるではないか。良かったな。それにスウも。)」
「(ええ。本当に良かったです。私も結婚、してみたかったんですよ。)」
「(わしにはよくわからないができるとよいのう。それにしても…)」
そう言う神の声から察するに少しむくれているのだろう。
「(地球のドラゴンボールは何人もの人間を生き返らせれるのだぞ。ナメック星のそれとも劣らんほど凄いのだ。)」
「(ははは、それは失礼しました。)」
そう言う声はやはり弾んでいた。
*
ライ達が地球戻ってきて、ナメック星人たちをどうしようかという話になろうとしているころ界王の能力を使ってヤムチャから通信が入る。
「(ブルマ、ライ、聞こえるか。)」
「(ヤムチャさん!)」
「(ヤムチャ!)」
「(落ち着いて聞いてくれ。悟空のことだ。悟空はフリーザを倒して…)」
そこまで聞いたところでフリーザを倒したことをブルマが周りに言う。
「(静かに聞いてくれ!それだけじゃないんだ。フリーザを倒した後で悟空はナメック星の爆発に間に合わずに、死んだ…!)」
ヤムチャは悲壮な声音で言うが、ブルマは軽いノリで話した。
「(お、おい。少しは悟飯のことも考えろ!)」
「(ヤムチャさん、ナメック星のドラゴンボールは何度でも生き返らせられるんですよ。)」
「(へ?)」
間抜けなヤムチャの声がライとブルマの脳内に響いた。
超サイヤ人悟空とフリーザの戦いはライが入る余地がないから楽でした。次の次からは人造人間編ですね。