ドラゴンボールZ・オルタナティブ~世界線c~   作:三軒過歩

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主人公っぽい何かが足りない。これはオリ主ものなのに、ドラゴンボールに脇役突っ込んでみたになってしまっている。うーん、どうしたものか。指摘されて確かにってなるあたり独りよがりな文章になってるんだなあと。


(第三十七話)スウの結末

生き返っても宇宙空間であるという問題もベジータによって解決し、ライ達が生き返れることが分かったところでライは閻魔大王のところに戻ってきていた。

 

「ようやくお主の体から出られるな。さんざん無理するからこっちも大変だったのう。」

 

「それはすみませんでした。けれど、無理しなければ勝てない相手でしたし、仕方ない部分もあったかと。」

 

「責めているわけではない。お主も含めたみんなの活躍があったからフリーザに勝てたのだろう。」

 

「そうです…か。」

 

そう言うとライが少しよろけ、気が小さくなった。

 

「アクマイト光線の効果が切れたのか。それにしても効果時間がやけに長かったの。三時間くらい持ったんじゃないか。」

 

「なんか、やけにスッキリしましたね。」

 

悪の気がなくなったライの頭は靄が晴れたような気分になっていた。

 

「すまなかった。とんでもない技を、とんでもないことをしてしまって。」

 

そこにスウの声が響く。目の前を見ると魂がふよふよと浮かんでいた。

 

「父さん…ですよね?」

 

「魂になって見た目では分からないかもしれないがそうだよ。何ならお前の小さい頃の話をしてやろうか?」

 

「いえ、結構です。とんでもないことを言われそうですからね。」

 

「ここには俺達以外いないんだから気にすることなどないと思うのだがな。」

 

「スウよ、この私を無視するとはいい度胸だのう。」

 

軽く咳払いした後神様がスウに言った。

 

「まあ良い、最期くらい親子水いらずにしておいてやろう。」

 

そう言うと神様は去っていった。

 

「改めて、本当にすまなかった。正気を失っていたとは言え、許されることではない。」

 

「いいえ、結果論ですけど、私たちがフリーザに勝てたのは父さんのおかげでもあるんです。」

 

アクマイト光線による戦闘力の増強、これなしにライはフリーザが悟空が来るまでの時間を稼げなかっただろうし、元気玉のときも悟空を助けに行けた。

 

「それに、父さん、悪の気に飲まれていても私や母さんのことは大切に思ってくれてたみたいですしね。」

 

「え?」

 

小声で言ったその発言はスウの耳には届かなかったのか、スウが聞き返す。

 

「いえ、とにかく、恨んでなんていませんよ。こういう軽いところ、悟空のが移ったのかもしれないですね。」

 

そう言ったライの言葉に魂になって表情は読み取れないがそれでもスウが救われたようにライは感じた。

 

「ところで、アクマイト光線、私に教えてくれませんか。フリーザ打倒の協力者ですし思惑はどうあれ天国に行けるどころか肉体を与えられてもおかしくないくらいのことを父さんもしてるはずですし、あの頃みたいに一緒に修業しましょうよ。」

 

「いや、俺は、ここまでさ。俺はもうすぐ生まれ変わる。」

 

「え?」

 

「俺の心は悪に囚われていた。今は元に戻っているのは、俺の魂が既に浄化され始めているからなんだ。悪の気の部分から浄化され始めるから今はこうしてライと話せるが、やがてすべての気が浄化されて生まれ変わる。今は、閻魔大王様に功績を盾に少し時間をもらっただけさ。」

 

唖然としているライにスウはやけに流暢に話していく。

 

「そ、れ、は…」

 

ライに構わずスウは話を進めた。

 

「もうこの世に未練もほとんどないし。俺はこれでいいんだよ。さっさと次の人生を歩んだ方が、いいと思う。」

 

「最近、らしいという言葉で色々済ませてるような気がします。でもしょうがないですよね。それが父さん、スウらしいってことなんでしょうから。」

 

そこまで言うと、

 

「流石ライ、あたり。それじゃあさよならだ。生まれ変わったらまた会おう。」

 

そう言ってスウは搔き消えた。搔き消える瞬間、ライはスウの魂からスウの姿を幻視した。

 

「また、会いましょう!」

 

慌てて言ったその声はきっとスウに届いている。

 

「生まれ変わってもそれが父さんって分からないじゃないですか。全く、本当に、最後までらしいんだから。」

 

その顔は、泣いているのか、笑っているのか、自分でも分からなかった。

 

「ちゃんと別れを言えたか?」

 

いつの間にか神様が近くに来ていた。目元をこすって神様に向き直る。

 

「ええ、ちゃんとかどうかは分かりませんけど。」

 

「それならよかった。では私も神殿に戻るとするよ。それではな。」

 

神様が帰ろうとしたところでライが呼び止める。

 

「神様、お説教が残ってますよ。」

 

「……そうだったな。」

 

たっぷり数秒をかけてそれだけ言った。

 

 

「それでは今度こそ神殿に帰るとするよ。それでは界王様、私は失礼します。」

 

げっそりとした表情で神は蛇の道を戻っていった。神様もパワーアップを果たしている。数日とかからず帰れるだろう。

 

「「お帰り、ライ。」」

 

「お帰りなさい。」

 

ヤムチャと天津飯、それに餃子がライを出迎えた。

 

「ただいま帰りました。みんな。」

 

「わしをスルーするのか。そうか、そうか、これはお説教が足りなかったかな。」

 

「!」

 

ライの背筋に緊張が走る。

 

「さっすが界王様、スルーとするをかけたんですね。」

 

そう言ってヤムチャがフォローして溜飲を下げる。三人はこれから四か月修業に励む。

 

 

「界王拳!」

 

界王拳の倍率ををどんどん上げていく。しかしそのライのオーラは白いままだ。

 

「十二倍!」

 

ライのオーラが赤く染まった。

 

「ん、ぎっ!」

 

すぐにライからオーラが書き消えた。

 

「十倍までは赤いオーラが出なくなったな。」

 

「多分界王拳に慣れが出てきたからじゃろうな。今までは、肉体が耐えられるだけで負荷は二倍だろうとあったが、それすらもなくなっているのだろう。」

 

「それでも十倍を超えると無理ですね。体が持たない。」

 

「まあそうじゃな。そもそも人の体は実力の数倍の力に耐えられるようにはできておらんのだから、十倍まで耐えられるだけで相当お主らが鍛え上げられてる証拠だ。」

 

そこまで言ったところで界王様が地球でポルンガが呼び出されたことを感知した。

 

「孫悟空が生きていたようでな。自力で帰ってくるから一つ願いが残ったらしい。誰か一人を呼び戻したいといっておるが。」

 

「俺はもう少し修業をしたい。」

 

「僕も天さんと一緒にいる。」

 

界王拳を習得したばかりの天津飯と餃子はまだ残るといい、ライとヤムチャが候補になる。

 

「じゃあ、ライか、ヤムチャだな。どっちがいい?」

 

「私ももう少し残りますよ。ヤムチャさんにはブルマさんがいるじゃないですか。早く会ってあげてください。」

 

「そうか。なんか悪いな。じゃあお先に生き返るぜ。」

 

そう言うとヤムチャが消え地球に生き返った。

 

 

さらに四ヶ月後

 

「餃子さんも界王拳、マスターしましたね。」

 

「うん。これでもう心残りはない!」

 

「あとは俺達で独自に実力を磨いていくとするさ。そろそろまたナメック星のドラゴンボールが使えるころだろう。」

 

そう天津飯が言うと界王がちょうど三人を呼び出した。

 

「お主らとも今日でお別れだ。お主らにはわしの知る武術は一通り教えた。後は自分たちで実力を磨くがよい。もう死ぬなよ。」

 

「「「はい!」」」

 

そう言って三人は地球に帰っていった。

 

 

「お帰り、ライ、天津飯、餃子。」

 

地球に着くとヤムチャがそう出迎え、ブルマや悟飯たちも次々に出迎えてくれた。

 

「これでようやく、サイヤ人の騒動は決着ですね。」

 

「ほんと、長かったようだけど年数にしたら二年だぜ?いろいろありすぎた。」

 

ヤムチャはカプセルコーポレーションに住み、ベジータは宇宙に武者修業、ピッコロはサイヤ人が襲来したときに悟飯と修業した場所で一人己を鍛え、悟飯は学者になるという夢のために勉学に励んでいる。

 

「ライはこれからどうするんだ?」

 

天津飯も餃子も己を高めるために修業を続けるようだがライは今後の身の振り方が決まっていなかった。

 

「私は…とりあえず村に戻ります。毎年帰ってたんですけど、死んでから帰ってないので地元のみんなに元気な姿を見せようかと。それからは、まあ少し考えてることがあるので。」

 

「まあ、今のライならどこにいても気で場所が分かるし、何かあっても連絡が取れないなんてことはないか。」

 

「ええ、たまには会いに来ます。」

 

そう言ってライはカプセルコーポレーションを後にした。

 

 

それから数日後、ところ変わってピッコロが修行場としている渓谷。

 

「貴様、何か言いたいことがあるなら隠れてないで言ったらどうだ。」

 

ピッコロが岩陰に向かってそう声をかける。

 

「バレてましたか。」

 

「隠れる気もないのにバレてたはないだろう。何の用だ。」

 

「いえ、私、サイヤ人がくるまではあなたの監視をしてたんですよ?サイヤ人の脅威が払われたのでそう言えばピッコロがいたな、と。」

 

「けっ!だったら気を隠すくらいしたらどうなんだ。あの頃のようにな。」

 

「することもないから暇つぶしみたいなものですよ。バレたっていいんです。」

 

己を鍛えた始めた理由は何だったか。よく考えてみれば父さんに言われたから、だったような気がする。お前なら天下一武道会でも通用しうる、世界最強を目指せると言われたから始めた。そして、自分よりも強い人(武天老師)に出会い、ライバルと呼べるような人(悟空やクリリン)にも出会った。その人たちに負けられないと思ってさらなる修業を積んだ。そしてかつてのライバルの一人は今や次元が違う強さを誇り、手の届かないと感じられるほどの高みにいる。修業を続ける意味をライは見いだせていない。

 

「だったら俺の修業に付き合え。打倒孫悟空は変わらない。」

 

「…超サイヤ人、見ました?」

 

「次元の違うフリーザをも倒してしまう伝説の最強戦士。だからどうした?俺があいつに届かない理由はあるのか、最強に比肩したフリーザの存在が、俺も孫に勝ちうると証明する。」

 

「強いですね。」

 

戦闘力的な強さではない、強さを追い求める者としての(つよ)さをライは感じ取った。

 

「分かりました。お付き合いしましょう。界王拳も教えます。一緒にさらなる高みを目指しましょう。」

 

「当然だ。ライ、貴様にも決して負けん。」

 

「いえ、私だって、悟空にもピッコロにも、誰にも、負けません。」

 

そして約一年の月日が流れた。




スウはこれで永久離脱です。スウがあの時悪の気に飲まれていなかったら、多分死んではいなかったように思いますがこれも運命なのです。さて、今のところ無印、サイヤ人、ナメック星と三つの章を書きましたが、話数的には後半分ない気もしますがストーリー的には約半分ってところです。これからもよろしくお願いします。章の初めに散らした結末や独白や慟哭はまだ先の話。

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