(第三十八話)二人目の超サイヤ人
「気づいたか、ライ。」
「ええ、フリーザは悟空に殺されたはずなのにどうして…」
ライは界王からフリーザが悟空に殺されたことを聞いている。驚愕も人一倍だろう。
「だが、この気は間違いなくフリーザだ。大方孫を殺しに来たんだろうぜ。」
「では、悟空ももう少しで来るんでしょうか。いやでも…」
「そんなことは知らん。だが、これだけは言えるぜ、俺たちは孫がくる可能性に賭けてあいつを食い止めなけりゃならん。」
そう言うとピッコロはフリーザの方へ向かって飛び始めた。ライもそれを追う。
「やつの気から察するにおそらくここからそう遠くないところに着陸するだろう。急ごう。」
「ええ。」
*
「貴様等さっさと気を消せ、スカウターで居場所がバレるぞ。そこのナメック星人と地球人はそうしてる。」
「ライ!ピッコロ!」
ベジータとヤムチャ、天津飯に餃子がいたのでそこにピッコロとライが合流するとすぐにベジータがそう言った。
「お久しぶりです、ヤムチャさんに…ブルマさんも!?」
「私はナメック星にいた時は一度もフリーザを見れなかったからね。一目見てみたかったのよ。どうせフリーザが本気になれば地球ごとドカンじゃない。」
「いや、まあ確かにそうかもしれませんけど。地球上はどこも危険な場所ですがここはとても危険な場所です。すぐに帰った方が…」
そこまで言いかけたところで悟飯とクリリンが合流する。
「悟飯、悟空は!」
ヤムチャが問いかけるが悟飯は首を横に振るだけだった。
「やはりまだ戻ってないのか。」
そうしてフリーザの宇宙船が地球に着陸する。
「「「「「!」」」」」
その気に圧倒され、ヤムチャ、餃子、天津飯は言葉も出せない。
「お、おい、フリーザってのはあんなにとんでもない馬鹿でかい気なのか。」
「あんなもんじゃないですよ。この程度ならまだ希望はありましたけど、もっともっと大きくなります。」
ライがそう言って悟飯やピッコロも頷く。
「生き返ったばかっりでまた死ぬのか。」
そう言いながらもフリーザ船の着陸地点にヤムチャは向かい始めた。
「逃げてもいいですよ?私たちが食い止めてる間に悟空がくる可能性もありますからね。」
「馬鹿言うなよ。みんなを守れるよう修業してきた、あの時そう言っただろう。平和ボケしてたのは認めるが、だからといってお前らを置いて逃げたりはしない。」
それを聞いてライは口角を上げると、崖を登り始めた。
*
「何か用かな、地球人。」
地球人皆殺しに動き始めたフリーザ兵たちを切り落とし、一人の青年が立つ。残った兵士が動揺するなか、フリーザとコルドは冷静に問う。
「お前たちを殺しに来た。」
厳しい目つきでフリーザ達を睨みつける。
「今、なんて言った?」
「お前たちを殺しに来た、と言っているんだ。」
それを聞いてフリーザとコルドが不敵に笑う。
「何も知らないというのは良いものだな。」
「知っているさ、お前、フリーザだろ。」
「こんな銀河の果ての辺境の星まで僕の名が知れ渡っていたとは。だが残念なことに僕が宇宙一の力を持っていることまでは知らなかったようだ。」
馬鹿にしたように言うフリーザに対してそのあおりに乗ることもなく返す。
「お前がここで死ぬことも知っている。」
怒りに顔を歪ませるが、すぐに兵たちを動かす。
「戦闘力たったの5か、ゴミめ、ちょっと痛いけど我慢しな、すぐに終わるからよ。」
そう言うと凄まじい速度の光線銃を放つがすべて片手ではじく。
「「「「こ、このおおおお!」」」」
兵士たちが一斉に飛び掛かるが一瞬で切り伏せた。
*
「「「!」」」
急に戦士たちの動きが止まる。それを見てブルマが言った。
「な、なに?どうしたのみんな。」
「わ、分からない。でかい気が急に現れて」
「一瞬にしてたくさんの気が消えた。」
「あの山の向こうで何が起こっているんだ!?」
*
「なかなかやるではないか。」
「地球人にしてはだけどね。」
一瞬で兵士たちを切り捨てた青年を前にしてもフリーザ達の余裕は崩れない。この程度の芸当は、ライ達でも可能なのだから。
「次は、お前たちの番だ。」
「知ってるかい、中途半端な力を持つとかえって早死にするんだ。」
「お前のようにか」
馬鹿にしたように言う。
「そんな姿になってまで、よくおめおめと地球に来られたもんだ。わざわざ殺されるために。」
「口の減らないガキだ、お仕置きが必要だね。光栄に思うがいい、僕が死刑執行人になってあげよう。」
ようやくフリーザが戦闘態勢をとる。
「初めから全力でかかってくるんだな。僕は孫悟空さんのように甘くはない。」
「ほう、お前もあの超サイヤ人の仲間か。」
その強さに少し納得したように言った。
「会ったことはない、知っているだけだ。」
「ほう、知っているだけ。」
「お前たちはさっきこう言っていたな、あの超サイヤ人が来るまでに地球人を皆殺しにして悔しがらせてやろうと。」
「確かに言った。最も貴様が部下たちを殺したおかげで、このフリーザの手で殺さなければならなくなったけどね。」
「誤算だったな。超サイヤ人は孫悟空さん一人じゃない。ここにもいたということだ。」
そう言うと青年の髪が逆立ち、色は金色に染まる。
*
「な、なんだ。あいつは!」
ようやく戦場に到着したベジータ達が見たのは謎の青年がフリーザを切り刻み、気功波で完全に消滅させた場面だった。
「い、今のは、間違いなく、フリーザだ、フリーザだった。」
「フリーザをあっという間にばらばらに。」
「孫君たらすっごく強くなったのね。また助かったわね。地球。」
「ち、違います。あれは悟空じゃ、ない…!」
戦士たちはその謎の青年の元へ飛ぶ。
*
「素晴らしい強さだ。超サイヤ人、まさに想像以上だ。どうだ、フリーザの代わりに我が子にならんか?地球よりもっと素晴らしい星も、思うがままだ。宇宙一の貴様こそ我が一族にふさわしい。」
「興味がない。それに、俺よりも俺の師の方が強い。それにその師よりも…」
しゃべりすぎたとでも言いたげに口を閉じる。
「ほう、それは残念だ。ところでその剣はなかなか素晴らしい剣だな。あのフリーザの体をいとも簡単にばらばらにしてしまうのだから。少し見せてはもらえんかな。」
剣を受け取ったコルドはその剣で青年に切りかかる。
チャッ!
「どうやら剣だけではなかったようだな。」
そう言うとコルドに向けて気功波を放つ。その力はコルドの体をやすやすと貫通する。命乞いも全く意に介さず二撃でコルドを殺し、フリーザ船も破壊した。
*
フリーザ一味を瞬殺した謎の青年を唖然とした様子で伺っていると、その青年から好意的な声音で呼び掛けられる。
「これから、孫悟空さんを出迎えに行きます。一緒に行きませんか?」
唖然としている間にもその青年はもうじき悟空が着くといって着陸地点に向かい始めた。
「ぼく、あの人について行ってみます。」
「悪い人には見えませんもんね。得体は知れませんが。」
悟飯がついて行くと言うのを皮切りにみんなで青年を追いかける。
*
「孫悟空さんが着くまであと、三時間ほどかかります。飲み物たくさんあるので、良かったらどうぞ。」
到着地点につくと、その青年がぽいぽいカプセルから冷蔵庫を取り出した。肝が据わっているブルマが頂くと言うと悟飯も飲み物を取りに行く。
「私もいただいて良いですか?」
「え!ああ、もちろんです。どうぞ。」
ライも飲み物をもらい、気になっていたことを聞こうと口を開くとそれよりも先に悟飯が青年に問う。
「どうしてお父さんのこと、知ってるんですか?」
「僕も話に聞いているだけで、会ったことはないんです。」
「じゃあ、どうして悟空が来ると?」
「すいません、言えないんです。」
クリリンの問いに申し訳なさそうに答えるがそれをベジータが強く咎める。
「言えないってどういうことだ。貴様は一体何者だ。」
「あの規格外の力も気になります。フリーザを倒した時、超サイヤ人になってましたし、サイヤ人なんですよね?」
ベジータに便乗し、ライも聞く。
「えっと、いや、確かに超サイヤ人にはなってましたけど…」
「ふざけるな!サイヤ人は俺と、カカロット、ここでは孫悟空と呼ばれているが、あとそこのカカロットと地球人の混血のガキ以外残っていない。だから貴様がサイヤ人であるはずがない!」
「でも、さっき超サイヤ人になってるんですよ。この方。」
「チッ!だいたい、サイヤ人には黒髪しかいない。」
「不思議なもんですねえ。不思議と言えばもう一つあるんですけど…」
青年は困ったような表情でうつむいたままだ。
「そのロゴ、カプセルコーポレーションのですよね。そこの社員なんですか?」
「えっ、ああ確かに。」
「そ、そう言うわけじゃないんですが…」
「それも秘密ですか。じゃあ、名前も歳も全部秘密にするんですか?」
「えっと…」
「ああ、いろいろ知ってるみたいなので、知ってるかもしれませんが、私はライって言います。以後よろしく、で合ってますか。」
「え、ええ、よろしくお願いします。そしてすいません、名前は言えないんです。歳は十七歳です。」
「じゃあ、私は年齢を黙っときます。これでおあいこってことで。」
そう言って笑うと悟飯にクリリン、ブルマたちも名乗る。
「それで、さっき突っかかってきた人がベジータで、そこのターバンとマントをつけた人がピッコロです。」
「ええ、よく知ってます。あ、いえ、これも聞いたことがあるだけですが。」
「不思議な人ですね。まあ、地球を救ってもらった恩人には変わりないのですけど。フリーザ達を倒してくれてありがとうございました。」
そう言ってライは深々と頭を下げた。
*
「ピッコロさん、ずっと聞きたかったんですけど、どうしてデンデ君達と一緒に新しいナメック星に行かなかったんですか?」
「大した理由なんかない、刺激のない退屈な日々は、ごめんだからな。」
ぶっきらぼうにそう言う。
「ということは今でも毎日厳しい修業をしてるんですか。」
「ああ、そこのにやけ顔と一緒にな。余計なことは言うなよ。」
「はいはい、分かりました。」
にやけ顔ことライは残念そうに頷いた。
「ところで、えっと、そこの十七歳さん、私と、ついでにベジータに何かついてますか、さっきからちらちらと見てきてますよね。私、意外に視線には敏感なんですよ?」
「す、すいません…あ、そろそろ三時間です。孫悟空さんが到着します。」
そう言うとライ達も悟空の気を感じ取る。土煙に巻き込まれない程度の距離に宇宙船が着陸した。
*
「あれ、どうしておらがここに着くって分かってたんだおめえたち。」
仲間の歓声の中、宇宙船を降りた悟空の第一声がそれである。
「この子よ、この子、この子が孫君がここに来るって教えてくれたのよ。」
「お父さんこの人知ってるんでしょ?」
「ん?誰だ?」
ブルマと悟飯がそう言うが悟空は全く知らないといった。
「え、でもこの子が孫君がくるって教えてくれたのよ。」
「ほんとか?フリーザ達はおらがいつ着くか知ってたみたいだけど、あ、誰がフリーザ達をやっつけたんだ?ピッコロかライか、それともベジータか。すげえ気だったな。」
「フリーザ達をやっつけたのはこの方ですよ。しかも超サイヤ人になれます。」
「超サイヤ人に?そいつはすげえや、若いのによ。おら達以外にもサイヤ人がいたんだな。」
ベジータに否定されるもどうでもいいと軽く返した。
「孫さん、実はお話があります。貴方だけに伝えなければならないことが。」
青年の様子から事態をくみ取り、少し離れた場所に移動する。
*
「ピッコロ、聞こえます?」
「盗み聞きとは悪趣味だな。ライ。」
「いえ、私は聞こえてませんよ。耳は普通の人よりはいいんですけど、嗅覚ほど優れてるわけじゃないので。」
「まあ、聞こえてはいる。だが、その内容を伝えるかどうかは、保証しない。」
「それで充分です。」
*
「孫さんは自分の意志で超サイヤ人になれますか。」
「ああ、最初は無理だったが、修業でできるようになった。」
「なっていただけませんか、今、ここで。」
そう言われ、悟空は超サイヤ人になる。
「これでいいのか。」
「ええ、驚いたな。超サイヤ人になった僕とそっくりだ。」
そう言うと青年も超サイヤ人になる。
「失礼します。」
そう言うと悟空に切りかかる。しかし悟空は微動だにしない。
「どうして、避けなかったんですか。」
「殺気が無かったからだ。止めると分かっていた。」
「なるほど、では今度は止めません、いいですね。」
そう言って構えると悟空も人差し指に気を込める。
*
「超サイヤ人同士の戦いが見れるなんてな、あいつ、悟空の噂を聞いて腕試しに来たとかだったりしないか。」
「多分そう言うのではないですよ。数合しか打ち合っていないですし、彼、相当実力を抑えてます。」
ヤムチャがそう言ったがライが潜在パワーを探り、そう判断する。
「へ、へえ。そう。」
「あれほどのサイヤ人をベジータが知らないのもおかしいですし、謎が深まるばかりですね。」
そう言いながらピッコロに目線を送ったが、まだ話せないとばかりに首を振る。
*
ー貴方なら信じることができる。すべてをお話しします。ーとトランクスと名乗った青年は話す。それは地獄のような未来の話。フリーザを悟空が倒した世界。
界王拳の赤いオーラが出なくなったのはライと天津飯と餃子の三人です。ヤムチャは修業してなかったのでオーラは赤いままです。メカフリーザの後、悟空の死後と必死に修業してましたけどそういう方面では修業しなかったので。ついでにピッコロですが、本家から聞いたわけではないのでそこまでは昇華しませんでした。ライはそのことに少しばかり負い目を感じていたりするのですが…それはが物語に関わるのはもっと先の話