ドラゴンボールZ・オルタナティブ~世界線c~   作:三軒過歩

43 / 83
前話と少しかぶってますが、日が開いたので思い出す意味もかねてってことで。展開上必要なことでもあります。


(第三十九話)最強の幻影

「気づいたか、ライ。」

 

「ええ、フリーザは悟空に殺されたはずなのにどうして…」

 

ライは界王からフリーザが悟空に殺されたことを聞いている。驚愕も人一倍だろう。

 

「だが、この気は間違いなくフリーザだ。大方孫を殺しに来たんだろうぜ。」

 

「では、悟空ももう少しで来るんでしょうか。いやでも…」

 

「そんなことは知らん。だが、これだけは言えるぜ、俺たちは孫がくる可能性に賭けてあいつを食い止めなけりゃならん。」

 

そう言うとピッコロはフリーザの方へ向かって飛び始めた。ライもそれを追う。

 

「やつの気から察するにおそらくここからそう遠くないところに着陸するだろう。急ごう。」

 

「ええ。」

 

 

「貴様等さっさと気を消せ、スカウターで居場所がバレるぞ。そこのナメック星人と地球人はそうしてる。」

 

「ライ!ピッコロ!」

 

ベジータとヤムチャ、天津飯に餃子がいたのでそこにピッコロとライが合流するとすぐにベジータがそう言った。

 

「お久しぶりです、ヤムチャさんに…ブルマさんも!?」

 

「私はナメック星にいた時は一度もフリーザを見れなかったからね。一目見てみたかったのよ。どうせフリーザが本気になれば地球ごとドカンじゃない。」

 

「いや、まあ確かにそうかもしれませんけど。地球上はどこも危険な場所ですがここはとても危険な場所です。すぐに帰った方が…」

 

そこまで言いかけたところで悟飯とクリリンが合流する。

 

「悟飯、悟空は!」

 

ヤムチャが問いかけるが悟飯は首を横に振るだけだった。

 

「やはりまだ戻ってないのか。」

 

そうしてフリーザの宇宙船が地球に着陸する。

 

「「「「「!」」」」」

 

その気に圧倒され、ヤムチャ、餃子、天津飯は言葉も出せない。

 

「お、おい、フリーザってのはあんなにとんでもない馬鹿でかい気なのか。」

 

「あんなもんじゃないですよ。この程度ならまだ希望はありましたけど、もっともっと大きくなります。」

 

ライがそう言って悟飯やピッコロも頷く。

 

「生き返ったばかっりでまた死ぬのか。」

 

そう言いながらもフリーザ船の着陸地点にヤムチャは向かい始めた。

 

「逃げてもいいですよ?私たちが食い止めてる間に悟空がくる可能性もありますからね。」

 

「馬鹿言うなよ。みんなを守れるよう修業してきた、あの時そう言っただろう。平和ボケしてたのは認めるが、だからといってお前らを置いて逃げたりはしない。」

 

それを聞いてライは口角を上げると、崖を登り始めた。

 

 

「「「!」」」

 

急に戦士たちの動きが止まる。それを見てブルマが言った。

 

「な、なに?どうしたのみんな。」

 

「わ、分からない。でかい気が急に現れて」

 

「一瞬にしてたくさんの気が消えた。」

 

クリリンと天津飯がそう解説する。するとすぐに地球が震えはじめる。

 

「この気は…お父さんだ、お父さんの気だ!」

 

「でもどうしてこんな一瞬で!?」

 

「どうやったかは知らんがカカロットが地球に戻ったようだな。」

 

すぐに爆発が起こり土煙が舞う。

 

 

「貴様、まさか生きていたとはな。」

 

「お前を殺すまでこの僕が死ぬとでも?言ったはずだよ。貴様は俺に殺されるべきなんだ、と。」

 

「それにしてもこの超サイヤ人はどうやってここにこれたんだ、レーダーではあと三時間くらいはかかる予定だったはずだが。」

 

コルドがそう疑問を投げかけるのに悟空は少し口角を上げるだけでその場から()()()

 

「む?」

 

「瞬間移動ってやつだ。」ピュン!

 

ドッガアアアン!

 

「な、なに!?」

 

その気功波はコルドの心臓を貫通し、奥の宇宙船が爆発する。

 

「貴様ら一族はこの程度では死なないだろう、何度もチャンスを与えてやったのに反省しなかったようだな。」

 

「こ、のお!」

 

コルドが指から光線を放つが軽々と悟空は避ける。

 

「死ねえ!」

 

フリーザもエネルギー波を放つがそれを弾いた。

 

「馬鹿な!今の攻撃を、片手で!」

 

フリーザが驚いている間にも悟空は高速移動でフリーザに接近する。

 

「今度こそ止めを刺してやる!!」

 

そうしてあの時、フリーザを両断した気円斬をなぞるように左手に気を込めて手刀でフリーザを真っ二つに切り裂いた。

 

ビシッ!ガスッ!スパッ!ザクッ!

 

そうして目にも止まらぬ早業で小間切れにした。

 

「波あああ!」

 

気功波でフリーザが完全に消滅する。

 

「ま、待て、星を一つ、いや太陽系すべての星をやろう、だから助…」

 

後ずさるコルドの命乞いも意に介さず気功波で消滅させた。

 

 

「流石は悟空だなあ、やっぱり遠くに行っちまったような気分だ。」

 

クリリンが圧倒的な強さでフリーザ達を倒した悟空を見て少し悔しそうにそうこぼした。

 

「あの時よりも強くなってましたね。流石は父さんだ。」

 

そう言うは悟飯。悟飯はライと一緒に超サイヤ人になった悟空の姿を見ている。その凄さを肌で感じた悟飯は悟空の強さをそう評価する。

 

「それはそれとして、どうやって急に現れるなんて芸当ができたんですか?」

 

「そうだ、それに教えろ、カカロット、貴様どうやってナメック星から生き残った。」

 

ベジータがそう聞く、悟空の仲間たちも同じ様に頷いた。

 

「フリーザの船は壊れちまってたんだろう?界王様も悟空は死んだって言ってたし。」

 

「おらももうダメだって思ったさ。もう死ぬんだって。けどな…」

 

そう言って悟空が事情を話す。ギニュー特戦隊の宇宙船を見つけられたこと、その宇宙船がヤードラット星に行くようにインプットされていたこと。その星で瞬間移動を教わったこと。

 

「ほかにもいろんなことができるらしいんだけどな。念話とか遠くの出来事を知る能力とか。でもあんまり長居するのも悟飯やチチに悪いと思ってな。期限を決めてやったから、瞬間移動しか習得できなかったんだ。」

 

「それはすごいな。」

 

「結果的にそのおかげで俺達は助かったわけか。」

 

ヤムチャと天津飯がそう言って感心する。

 

「それにしても外敵を払えてよかったです。」

 

「今まで散々な目に地球も私達もあってきたけど、これからは孫君さえいれば大丈夫よね。良かったあ。」

 

「はっはっは。かもな。それじゃあ、おらは悟飯と一緒にチチのとこに帰るとするさ。チチの飯が恋しいぜ。」

 

そう言って悟空は悟飯と一緒に瞬間移動で帰っていった。

 

「便利だなあ。瞬間移動。」

 

「ま、孫に教わっても無理だろう。お前と違ってあいつは感覚派だしな。」

 

「まあ、確かに。」

 

それぞれが各々の場所に帰り、再び平和な日々が続いていった。しかし…

 

 

「僕、ドラゴンボールを探してきます!!」

 

そう言って悟飯が孫家を飛び出す。悟空が心臓病に侵されてからわずかに一ヵ月。彼の容体は恐ろしい速度で悪化していった。その心臓病はウイルス性という今までにない物であり、カプセルコーポレーションが提携している最高峰の医療機関に見せても治療法はなかった。一ヶ月も持たないと余命を宣告された悟空とそれを聞いたチチはそれを悟飯に隠していたが、余命を一週間切った段階でそれも隠し通せなくなり、それを悟飯に明かした。その矢先に飛び出した言葉だ。

 

「待ってけれ!悟飯ちゃん!!」

 

悟飯を呼び止める声は一つしかない。悟空は寝たきりになってしまっていた。最も起きていたとしても衰弱しきっていた悟空には悟飯を呼び止める余力はないだろう。

 

 

「病気で死んだものを生き返らせることはできない。同じような理由で、死因となる病気も治療することはできない。それは神の理に反する。」

 

「神龍って意外と融通が利かないですよね。病気で死ぬのは自然死ではなく病死でしょうに。」

 

ピッコロとライは悟空からその病のことを聞いた。余命が宣告された時点で、悟空の仲間にこの事実は周知のものとなった。子供だからと伝えられなかった悟飯を除いて。

 

「神は万能ではない。何せ俺の半身だからな。」

 

「微妙に反論のしにくいことを…」

 

ライは思案に暮れる。

 

「知らず知らず、ドラゴンボールに頼りすぎてたんでしょうかね。」

 

どうにもならないことを察して悔しそうにそうこぼした。そして一週間後、その日は訪れる。

 

 

「確か…いでよ神龍そして願いを叶えたまえ、だったよね。」

 

わずか一週間でドラゴンボールをそろえ切った悟飯が神龍を呼び出そうとしていた。わずか八歳にして一週間でドラゴンボールを集めたのは初めてドラゴンボールを集めた悟空が十二歳だったことを思えば破格の速さだ。

 

「いでよ神龍そして願いを叶えたまえ!」

 

空が暗く染まり、神の龍が顕現する。

 

「ドラゴンボールを七つそろえし者よ、さあ、願いを言うが良い。どんなものでも叶えてやろう。」

 

「お父さんの、孫悟空の病気を治してください。」

 

悟飯が切実な声音で頼むが神龍は表情一つ変えずに言う。

 

「それはできない。」

 

と。

 

「どうして、どんな願いでも叶えるって言ったじゃないですか!」

 

そして神龍は最悪の事実まで突きつける。

 

「孫悟空という者の病気は孫悟空を死に至らせる病気だ。自然死の要因となる病気は治すことができない。」

 

この心臓病で後遺症が残るだけであれば神龍に頼めば完治させることができる。超サイヤ人ならば耐えられるのではないかという、淡い期待を粉々に打ち砕いた。

 

「じゃあ…いいです。ありがとう。」

 

神龍をボールに戻すとドラゴンボールは輝きを失わないまま散った。

 

 

神龍に願いを叶えられずとぼとぼと帰っているとピッコロから念話が入る。

 

「(悟飯、急いで戻ってこい、悟空が、もう…)」

 

「お父さん!」

 

彼は急ぎ驚異的な速さで帰り始める。

 

 

「ピッコロ、悟飯は間に合うでしょうか。」

 

「急いでこっちに向かってきてるが、五分だな。」

 

いよいよ悟空の死が近いということで悟空の家には悟空の仲間、クリリン、亀仙人、ブルマ、ヤムチャにプーアル、ウーロン、天津飯と餃子、ヤジロベー、果てはベジータまでもが集まっていた。そうしていると悟飯が凄い速度で戻ってくる。こちらを見向きもせずに家のドアを開けた。

 

「お父さん!!」

 

家の中には牛魔王とチチが悟空の最期を看取る。

 

「悟飯ちゃん…」

 

悟飯が帰ってくるのを待つようにかすかに感じ取れた気が完全に消えた。

 

「「「「!」」」」

 

「チッ!」

 

ベジータが忌々しそうに舌打ちを打ち、それが仲間内で悟空が死んだことを確信させる。

 

「史上最強も病魔には勝てないってことかよ。」

 

「悟空!」

 

「悟空…」

 

「孫君…」

 

全宇宙最強はただの病魔に敗北する。

 

 

「でりゃ、とりゃ、たああ!」ゴン!バシッ!ドガッ!

 

すべての攻撃をいともたやすくピッコロはいなす。あれから一年、悟空の死を乗り越えようと、ライとピッコロは以前にもまして激しい修業を積んでいたが、成果はなかなか感じられない日々が続いていた。目標の喪失、悟空の死は重く二人にのしかかる。

 

「ここまでにしよう、ライ。」

 

「…ええ。」

 

修業に一区切りをつけ一息つく。二人ともがむしゃらに修業をしていたが、どうしてもこういう時には思い出してしまう。孫悟空の喪失を。

 

「あれから二年か。」

 

「ええ。まだ数ヶ月しかたってないような、そんな気がします。」

 

「同感だな。だが、悟飯を見ると、嫌でも時の流れを感じずにはいられん。」

 

身体的な成長が止まったライやピッコロと違い、悟飯、そしてトランクスはすくすく成長している。時々悟飯は様子を見に来るが会うたびに成長に驚かされる。

 

「悟飯は学者目指して頑張ってるらしいですね。この前来た時もテストがどうとか言ってましたし。」

 

悟飯は悟空の死後、武術から離れて生活している。まるで父の未練を振り払うように。そのくせ、ここに来ると必ず組み手をしていく。少しでも父の面影を感じようとするかのように。

 

「もともと学者になりたいとか抜かしてたからな。あいつの望み通りの人生だろう。俺たちがとやかく言うことじゃない。もうこの世界は平和なのだから。」

 

悟飯は武術から離れてはいるが、肉体は子供のそれから大人のそれに変わりつつある。特段の修業を積まずとも力は増している。戦いの感は鈍ってきているが。

 

「勿体ない気もしますけどね。まあ、悟飯は頭もいいですし、どっちにしても勿体ないのかもしれませんけど。」

 

こうして平和な日々は過ぎていく。

 

 

「ピッコロ、俺と勝負しろ。」

 

さらに一年が経つ頃、ベジータがライとピッコロのところにやってきた。ベジータも修業を一人続けていた。

 

「貴様とか、今更何のために。」

 

「カカロットが死んだ今、貴様がこの地球、いやこの世界で最強だろう。いや、最強だった。」

 

そう言うとベジータが超サイヤ人に変身する。

 

「史上最強の超サイヤ人。俺がそれになれた今、俺は、負けることは許されない。最強を証明しなければならない。」

 

 

ピッコロはベジータに対して油断を一切せず全力で戦ったがそれでも一瞬で決着がついた。それほどまでに超サイヤ人は圧倒的だった。あまりの力の差に、ベジータはピッコロの命を奪おうとすらせず、死なないように加減さえした。勝利したベジータはしかし、全く嬉しそうな顔をしなかった。

 

「完敗だ、流石伝説の戦士、超サイヤ人。」

 

もはや悪態すらもつけない。それくらいピッコロとベジータには差があった。

 

「フン、貴様に言われたところで嬉しくもなんともない。それに、俺はベジータだ。超サイヤ人だから強いんじゃない、俺は俺だから強いんだ。」

 

「…」

 

ベジータはそれだけ言うと飛び去った。超サイヤ人にこだわっていながら、超サイヤ人をその強さの理由にすることを拒む。そのあり方がいびつだと、ライは思う。

 

「ベジータは、まだ悟空を目指しているのでしょうか。」

 

ピッコロに手を差し伸べながらそう疑問を投げかける。

 

「そうだろうな、だが、どんな強さを手に入れたとしてもベジータは満足しない。いつまでも孫の幻影を追い続けるんだろうよ。」

 

「そう、でしょうね。」

 

(あなたも私もそうなんでしょう。)

 

いつまでも幻影を追っていては強くはなれない。そう分かっていながら、追うのをやめられない。




人造人間・未来編開幕。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。