「カカロットを倒すのはこの俺だ。貴様等ガラクタ人形なんかお呼びじゃねえ。」
「私はついでですか。」
せき込んだのちにライに言うがベジータは一瞥しただけで悟空に話を進める。
「俺はすべて見ていた。貴様は自分の体の異変に気付きながらも超サイヤ人になってしまった。そんなことをすれば症状は一気に進行しちまうだけだ。馬鹿め。」
そう言うとベジータは悟空をピッコロ達のところに蹴り飛ばす。
「全く、わざわざ隙を作ろうと下手な芝居をしたのにベジータめ、余計なことをしやがって。」
文句を言いながらも悟空を受け止めた。
「僕、お父さんを家に連れて行きます!」
「まて、俺が連れて行く。悟飯よりも戦力になれないだろうし、体格差も考えれば、俺が一番早く連れて行ける。」
「未来から来たやつの話では、そいつはウイルス性らしいから、お前も薬を飲んでおけよ。」
「分かった。悟空を家に届けたら、必ず加勢に戻る。」
そう言ってヤムチャは飛び立った。十九号が追いかけようとするが二十号の静止でここにいる戦士を倒そうと構えをとる。
「今日だけで仙豆を二粒も食べることになるとは。」
「油断しすぎだ。悟空に寄りかかられたくらいで集中力を乱すんじゃない。」
「ちょっと想像以上に悟空が深刻だったんで驚いただけです。もう油断しません。」
そう言った直後、十九号と相対していたベジータが超サイヤ人になる。
「「「「!!」」」」
人造人間たちだけでなく、ベジータ以外全員が驚愕する。
「そんな、馬鹿な、超サイヤ人は穏やかな心を持ってないとなれないんじゃないのか!?」
「穏やかだったさ。そして純粋だった。ただし、純粋な悪だがな。」
そう言って人造人間に向き直る。
「ヤムチャさんは知ってたんですかね。ベジータが超サイヤ人になれること。」
「さあな。そんなことは分からん。だが…」
ピッコロが言葉を区切る。その表情は複雑だ。
*
「!」
「この気は…!」
悟空を運ぶヤムチャは悟空が何かに気づいたことを感じ取り、すぐにベジータが超サイヤ人になったことを確信した。
「ベジータも…超サイヤ人に…?」
悟空が苦しそうに何とかそれだけ言う。
「俺も知らなかったが、どうやらそうみたいだぜ。ベジータの奴、ついに超サイヤ人に目覚めたんだな。」
「はは、追いつかれちまったってことかな、うぐっ!」
「無理するな。もうすぐパオズ山だ。すぐに特効薬を飲ませてやるから。」
ヤムチャがさらに速度を上げる。そして独り言ちた。奇しくも、ピッコロとセリフがかぶる。
「「やつが超サイヤ人になれるんなら、あいつら人造人間に勝ち目はない。最も、人造人間がいなくなった後、やつが地球の脅威になりうるから全く安心はできないがな。」」
そのヤムチャの確信を体現するかのようにベジータが十九号を圧倒する。
「言ってなかったが、超サイヤ人になると狂暴性が増すんだ。貴様等痛みを感じないんだろう?ラッキーだったな。」
地面にたたきつけ、その衝撃でクレーターができる。倒れている十九号に向かってそう言い放つベジータには圧倒的自信がうかがえる。両腕でベジータを掴んだ十九号の腕を引きちぎる。
「恐怖を感じるのか。人造人間でも。」
自分が飛べることも忘れ、クレーターから這い出て逃げる十九号にベジータが渾身のビックバンアタックを打ち込んだ。
「あの狂暴性は素でしょう。」
ライがそう言い、それに他の戦士がうなずいた。
「クリリン!仙豆をさっさと寄越せ。さっさとしろ!」
二十号との問答の末、二十号は逃げて岩山に身をひそめる。ベジータのブラフにひっかっかり、戦闘を避けた。
「クリリン、仙豆をやるんだ。」
戸惑うクリリンにピッコロが指示を出す。仙豆を受け取ったベジータはすぐに超サイヤ人に変身して二十号を追った。
「ベジータは戦いの天才ですね。人造人間が本当に手からエネルギーを吸い取ることをわざわざ戦いを長引かせてまで確認して、しかも、あのままだったら二十号が勝っていたでしょうに、奥の手があるように見せかけることで人造人間の情報を実質無償で手に入れた。」
十九号をベジータが圧倒していれば、二十号はすぐさま撤退の選択を下し、十九号を盾に逃げていただろう。ライはベジータの凄まじい戦闘センスに感嘆する。
「超えたかもしれない、悟空を。」
ピッコロが同調するようにそう言った。
「ともかく俺はベジータを追うぞ。人造人間の最期をとにかくこの目で確認したい。」
「俺も行くぞ。」
「僕も。」
「私もです。」
天津飯がベジータを追おうとすると他の戦士たちも同じ様に動き出す。
「分かった、だが戦おうとするな。お前達の手で負える相手ではない。見つかったら気を高めて俺かベジータに知らせろ。くれぐれも慎重にな。」
ピッコロがそう指示を飛ばし、ライ達は人造人間を探し始めた。
*
「気がないというのは相当に厄介だな。気に頼りすぎていたのかもしれない。私には嗅覚もあったというのに。」
ライがいらだちも露わにそう独り言ちたところでどうにもならない。すると急にピッコロからテレパシーが入る。
「(ライ、すぐに来てくれ、人造人間だ!)」
「!どこだ…わずかな気の乱れ、あっちだ!」
テレパシーを聞いてすぐさま駆け付けようとするが、全員人造人間に悟られないように気を抑えていたことが災いし、ワンテンポ遅れる。
「ふっふっふ、貴様のエネルギーはほとんど吸い取れた、このまま死んでしまえ。」
「ふっ!」ドン!
ガシャン!
ライの攻撃により二十号が引きはがされる。
「すまないライ、助かったぜ。」
「お礼は結構です。こうして人造人間をあぶりだせたんですし。」
「なぜだ、あいつに見つかるわけは…」
二十号はライ達の距離が離れたところを狙った。それなのに援護が早すぎると不思議がっているうちに二十号は包囲される。
「俺にやらせろ、ベジータ。絶対に手を出すな。」
クリリンから仙豆を受け取り全回復したピッコロが二十号に相対する。
(手を出すな、か。いいぞ、もう一度やつのエネルギーを吸い取ってやればベジータに…)
ピシュン!
二十号がピッコロに目線を向けた瞬間ピッコロが搔き消える。
「!」ゴン!
驚ている間に、ピッコロの膝蹴りがもろに入る。油断したからだと自分に言い聞かせ、特攻してくる二十号を再び返り討ちにした。
*
「遅かったか、悟空達も人造人間もどこにもいない。」
「タイムマシンで余裕をもってセットしたはずなのに、どうしてこんなにずれてしまったんでしょう。」
過去に戻り、人造人間が現れた島に着いたライとトランクスはボロボロになった島を見てそう話す。
「もう一度タイムマシンでもう少し前に戻ればいいんじゃないか、今度は一週間単位で。」
「いえ、帰りの分だけで燃料がやっとですよ。」
「じゃあ、この世界で一月ほど長居すればちゃんと帰れるだろう。」
「いえ、タイムマシンでは、時間を移動する長さよりもその跳躍にエネルギーを使うんです。」
「そうか、じゃあ、今の時代で何とかするしかないな。急ごう、まだ戦いの気を感じる。」
「!確かに、向こうの方ですね。急ぎましょう。」
そう言ってライとトランクスは戦場に向かった。
「時間がずれてしまった原因だが、多分タイムマシンが一人用だったからだろ。」
戦場に向かう途中、ライがそう話す。
「一人用?」
「二人だから一人分余計な重量が重なって、それが不安定で精緻な構造の上に成り立っていた渡航にゆがみを生じたんだろ。」
「ああ、なるほど、だから前回俺が来た時よりも大幅にずれてしまったんですね。」
「まあ、俺はタイムマシンの原理なんてからっきしだし、ただの勘だがな。」
そう話していると、眼下にクレーターが目に入る。
「ライさん、あれを!」
素通りしようとしたライをトランクスが呼び止める。
「何だ、まだあいつらは戦ってる、道草食ってる場合じゃ…」
そう言いながらライも目を見張り言葉を失う。
「これは何だ?人造人間は三人いたのか?」
何とかそれだけ言うと、今度はトランクスがありえないような顔をした。
「ライさんも知らないんですか!?俺はてっきり、昔ライさんや悟飯さんが仲間たちと倒した人造人間なのかと。」
「いや、俺もこんな人造人間は知らない。俺の知る、いや、死んだ他の仲間だって人造人間はあの十七号と十八号だけしか知らない。」
「皆は一体何と戦っているんだ…!」
二人はより一層速度を上げた。
*
「はぁあ!」
「てぃや!」
二十号の攻撃を避けて肘うちを当てる。何とかもう一度気を吸い取ろうとする人造人間を冷静に反撃していった。
「ぐっ…おのれぇぇ!」
再びピッコロに襲い掛かるが腕を掴まれてみぞおちに重い一撃を食らう。そのまま蹴りを食らい岩山に突撃し土煙が舞う。
(しめた!)
土煙を目くらましにピッコロに接近していった。
ガシッ!
「よく覚えておけ、俺たちは戦いで一気にお前たちの言うエネルギーを増幅して、爆発させるんだ。さっきお前が奪ったエネルギーは知れたものだったということだ。」
ガシャン!
右腕を切り落とし、投げ捨てる。
「本来の歴史では俺たちは貴様等にやられたらしいが、どうやら未来は変わってしまうようだな。貴様らが思ったほどの強さじゃなかったか、俺たちが強くなりすぎてしまったのか。」
「…くそっ」
二十号が逃げようとするがそれを防ぐように先回りした攻撃を浴びせていった。
「では、とどめといこう。」
そう言ったところで二人が到着する。
((あいつも違う…!))
「だ、誰なんですか、あいつは、あいつと戦っていたんでしょう!?」
「何を言っている、おまえの言っていた人造人間だろう。」
「違うのか!?」
流石にベジータやピッコロでも動揺を隠せない。
問答をしていると、飛行機に乗ったブルマたちがやってきた。
「今だ!」
そう言った直後、二十号の様子が変わる。二十号から感じられるはずのない気が、起こるはずのないオーラが顕現する。
「「「「「は?」」」」」
「なにぃ!」
ピッコロに悟飯、天津飯にクリリン、そして現代のライとベジータが固まる。
「貴様等に絶対に勝ち目がないと言ったのは本当だ。今に貴様等を殺しにやってくるぞ!」
「逃がすか!」
「まずい!母さん!」
気功波を波状に乱発し凄まじい衝撃があたりを襲う。未来のライがその気功波の中を突っ込んで二十号に肉薄する。
「二十倍界王拳!」
オーラを紅く染めながら二十号に向けて片手をかざし気功波を放つ。
「チッ!」
舌打ちを一つ打って気功波を受け止め、吸収する。その二十号からは既にオーラも気も感じない。
「なっ!くそっ!」
気功波を吸収されたことに驚きながらもすぐに追いすがろうとする未来のライに両目から光線を放つことで目くらましとし、逃げおおせた。
「俺としたことが、くそっ!逃げやがった!」
悔しそうにしているベジータの前にトランクスが立ちはだかる。
「なぜ、あなたは助けなかったんですか!あなたの奥さんと子供でしょう!」
厳しい口調と言葉で攻め立てるがベジータは悪びれもしない。
「下らん、俺はそんなものに興味はないんだ。邪魔だ引っ込んでろ!」
そう言って一人二十号を探し始める。やがてブルマが二十号の正体はドクターゲロであると言い、ベジータとトランクスはドクターゲロの研究所の方に飛んでいった。
*
「お父さんってどういうことかしら、あの子のお父さんも人造人間に殺されちゃったってこと?」
ベジータを追いかけるトランクスが去り際に残した言葉をブルマが拾う。
「もう黙っていても意味はない。あいつの名前はトランクス、父はベジータ、母はお前だ。つまり、あいつはその赤ん坊の成長した姿だ。」
「えええ!」
「ぎえええ!」
「うっそお?」
「そう言えば似てる、そうか、だからあいつも超サイヤ人になれたんだ。」
皆がそれぞれに驚きと納得をしていると未来のライが岩陰から姿を現した。
「トランクスの正体が明かされてしまったなら、俺が隠れているのも意味はないか。」
そう言った未来のライがまとっていたローブは先の戦いで破れ、姿を隠すという本来の役割を満たせなくなってしまっていた。
「えっと?あなたはトランクスと一緒にいた…」
「あーえっと…まあ銀河パトロールだ。」
上手い言い訳も思いつかず、結局ブルマに言われたままにそう名乗った。
「「「「銀河パトロール?」」」」
「それ、役に立つの?」
五人が疑問符を浮かべるが、一人だけ疑問が違う。
「へ?」
ブルマの疑問にライが驚いたような顔をする。過去のブルマによって銀河パトロールが存在することが明らかになったからだ。
「だって銀河パトロールって、ジャコと同じってことでしょ。」
「あ、ああ、大丈夫だ。俺はジャコと違ってスーパーエリートだからな。」
圧倒されながらもとっさにそう言った。
「余計心配になるんだけど、まあ分かったわ。だからそのローブにそのロゴが入っているのね。」
「まあそう言うことだ。最も、俺はあの人造人間に程の実力はないから、お前達にも協力してもらう形になる。すまないが、よろしく頼む。」
先ほどゲロを取り逃したことが尾を引いているのかそう言って頭を下げる。
「いや、協力してくれることだけでもありがたいんだ。こちらこそよろしく頼む、えっと、名前はなんて言うんだ?」
天津飯がそう聞く。
「…ミライ、銀河パトロール隊員のミライだ。」
二十号に発生したオーラや気はそのうち本人が話すでしょう。我々はその時を待てばよいのです。
さて現代のライ、未来のライと区別が面倒なのでこれからは未来はミライ、現代はライと呼びます。
ピッコロ2億
ミライ1000万
トランクス800万
ピッコロは通常時でではなく界王拳使用時の値です。ピッコロは十倍界王拳を普通に戦うときにも赤いオーラなく引き出せるようになりました。十倍以上は無理です。