ドラゴンボールZ・オルタナティブ~世界線c~   作:三軒過歩

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(第五十話)ミライとライ

「ミライ、ミライねえ。うん、未来世界から来たミライ、覚えやすいわね。これからよろしくね。」

 

ブルマがそう言って他の戦士がそれに続く。

 

「さて、では私達も人造人間を追いましょう。」

 

戦士たちが飛ぼうとしたとき、悟飯がブルマに向かって言った。

 

「ブルマさん、お父さんににこのことを知らせてくれませんか、万が一ゲロが人造人間を起動したときのために病気が治ったらすぐに来てくれって。」

 

「いいけど、どうやって知らせるわけ?壊れちゃったのよ。飛行機。」

 

「それなら同性ですし私が連れてきます。人造人間を破壊するだけならピッコロ達だけでも事足りますからね。研究所の捜索は人手が多い方が良いですが、ブルマさんとトランクスをここに置いていくわけにはいきませんし。悟飯はすぐに家に帰ってこのことを伝えてください。悟空はもちろんヤムチャさんも重要な戦力ですから。」

 

そう言ってブルマとトランクスを背負ったところでヤジロベーが岩穴から這い出てきた。

 

「俺を忘れるな。俺も連れてけ。」

 

「ヤジロベーさん飛べないんでしたっけ。困ったなあ…。」

 

少しばかり思案顔になり、すぐさまミライを呼ぶ。

 

「ミライさん!ヤジロベーさんをお願いします。」

 

「…分かった。」

 

ヤジロベーをミライが背負う。

 

「待て、おめえが連れてくなら俺はそのままカリン搭に連れっててくれ。」

 

「ミライさん、早く()()()()()()。」

 

「ああ、分かった分かった、今行くさ。」

 

「いや、だから、カリン搭に…」

 

ヤジロベーを黙殺したミライがライについて行った。ピッコロ、天津飯にクリリンはゲロの研究所を探し始める。

 

 

ベジータ達が自分の研究所のおおよその場所を知っているというアクシデントがあったものの、何とか研究所にたどり着いたゲロは人造人間の二人を起動しようと機器を操作する。

 

「エネルギー吸収装置さえ無事なら、こいつたちを動かさずともやつらを殺せるのに、こうなった以上は仕方あるまい。」

 

そう言って自身の使い物にならなくなった左手を見る。右腕はもがれ、左手のエネルギー吸収装置も逃げる際に無理に吸収したときにシステムがショートし、吸収できなくなった。

 

「吸収モードと解放モードの切り替えのラグは今後の課題だな。」

 

そう言いながら非常停止装置を手に十七号と十八号を起動した。

 

「「おはようございます。ドクターゲロ様。」」

 

「ほお、私に挨拶をするか。」

 

「当然です。私達の生みの親ですから。」

 

「ドクターゲロ様も人造人間になられたのですね。」

 

「永遠の命が欲しくてな。正直言って安心したぞ。お前達は機能の大半を永久炉と強大パワーに振り向けすぎたため、以前は私の命令を聞かないありさまだった。今度は、わしの命令に従ってもらうぞ。ここに来る命知らずともを倒すんだ。いいな。」

 

「はい。」

 

「分かりました。」

 

従順に従っているふりをしながらも十七号と十八号は目線を合わせて反逆の機会をうかがっている。

 

 

「それでは私たちは皆のところに戻ります。」

 

そう言ってライは飛び立つ。

 

「え、俺は?カリン搭に返してくれねえの?」

 

取り残されそうになるヤジロベーがミライを留めてそう話す。

 

「あー、ブルマ、車か何か、見繕ってあげてくれ、今のお前なら、痛手でもないだろう。」

 

「え、まあそれくらいは良いけど…。」

 

「じゃあよろしく頼むな。」

 

そう言ってライを追いかけて行った。

 

「今の、ねえ。」

 

意味がありげにブルマはつぶやいた。

 

 

シュッ!

 

「な、なにをする!」

 

十八号が気を引いたところにすかさず十七号が緊急停止装置を奪う。

 

「俺達がお前などに従うわけないだろう。これさえなければな。」

 

そう言って装置を踏みつぶす。

 

「チッ、貴様ら失敗作が!すぐにまた停止させてやる。」

 

「フフッどうやって?」

 

「作り直す!」

 

いかに天才と言えど、頭に血が上った状態ではそれが現実的でないと気づけない。

 

「じゃあ、楽しみしているよ。俺達に殺される前にそんなことができるのか、なっ!」

 

十七号が振りかぶって心臓部を貫こうと腕を構えたその瞬間、鉄扉に激しい衝撃が走る。

 

「くそっ!」

 

その衝撃に気を取られ、攻撃の手が一瞬鈍ったおかげで十七号からの攻撃を避ける。

 

「チッ!もうベジータ達が来たのか、ゲロを殺し損ねてしまった。」

 

「なんだと!」

 

悪びれずにそう飄々と言ってのける十七号にゲロが戦慄する。

 

「じゃあ、生き残れちゃったついでに聞きたいんだけど、このカプセルの中にいるのも人造人間なの?」

 

「ッ!触るな!絶対に触るんじゃない!そいつは試作型で失敗作なんだ!」

 

「おや、俺達より前に作られたみたいじゃないか。まだ残っているのもあったのか。」

 

そう言って十六号のカプセルをのぞき込む。

 

「触るんじゃない。そいつを起動すれば、わしだけでなく、お前たちの首を絞めることにもなる!」

 

「そんなものをどうしてとっておいたの?」

 

「作り直すつもりだったんだ!ええい!触るなっ!」

 

「汚い手で触るな!」

 

十八号を引きはがそうとするゲロを吹き飛ばす。

 

「忘れてるかもしれないけど、俺たちは貴様を恨んで殺そうとしてるんだぜ。まずは自分の身を案じたらどうなんだい?」

 

「お前等…!」

 

残った左手で鉄扉を開けるボタンを押す。この二人を相手にするよりも第三勢力を介入させようと画策した。

 

「ふむ、ベジータ達を隠れ蓑に使う気か、なかなか悪くない策だな。ベジータ達が俺達程度に強いというありえない仮定が必要だが。」

 

 

「何か言いたいことがありそうだな。それも誰にも聞かせたくないことで。」

 

ブルマたちを送り届け仲間たちと合流しようと移動しながら、ミライがライに問う。

 

「流石、ミライさん。いえ、流石()と自賛すべきでしょうか。」

 

その言葉を皮切りに、ライは移動をやめて空中で静止した。ミライもそれに倣う。

 

「俺はミライだ。ライではない。だからその表現は正しくないぞ。」

 

「まあ、確かにそうかもしれませんね。私はトランクスがいうような地獄の未来は体験してませんし、頬傷もない。」

 

暗にもう正体が分かっていると伝えている。その発言を聞いてミライは両手を挙げて降参のポーズをとった。

 

「トランクスから過去の俺、過去のライは女で頬傷もないって言われてたから同一人物とは思われないと思ったんだが。わざわざトランクスに嘘もつかせたってのに。」

 

「その頬傷で確信を持ちました。その傷は私が父さんから認めてもらった証ですから。忘れるはずもありません。」

 

「もう親父が死んでから何十年もたってるっていうのに、よく覚えていたものだ。」

 

「貴方にとっては何十年でも、私にとってはまだ五年もたってないんです。」

 

歳より扱いするなと憤慨する。

 

「そうか、そうだよな。ここはまだ、平和な可能性が残されている時代だ。」

 

はっとした、少しばかり悲しそうな声音でそう話す。

 

「そうです。絶対に平和にして見せます。…ところで、」

 

覚悟を新たにしたところでライがずっと聞きたかった核心を突く。

 

「貴方はなぜ正体を明かさないのですか。トランクスの正体は明かされましたし、正体がバレたところであなたがこの世界で存在できなくなることなんてありえないでしょうに。」

 

「それは、少し難解な話だ。今、お前がいる時代と俺達がいる時代は別物として離れて言っている。同一人物が二人同じ時間軸にいて、その矛盾を知る存在が増えれば増えるほど世界線が歪んで二つの世界同士が離れる速度が加速度的に早くなる、らしい。俺たちがここで人造人間を倒す方法を見つけても帰れなければ意味がない。」

 

ブルマから聞いた話をそのまま話す。それ以外にも理由はあるのだが、それは敢えて話す必要はないだろうとそれだけ言った。

 

「ああ、なるほど分かりました。それでは、二人の時以外はいままで通り銀河パトロールのミライと呼びますよ。」

 

「よろしく頼む。」

 

そう言って二人はまた合流に動き出した。

 

「そう言えば、なんでお前は傷がないんだ?本質は同じだから、そういうのに無頓着だと思うんだが。」

 

自分が女性になったとして、何か変わるとも思えない。現にこの時代のライも武闘家で交友関係も自分とそっくりだ。

 

「私は気にしてませんでしたけど、この時代では最初の天下一武道会の後ヤムチャさんと一週間ばかり修業をしたんです。その時ブルマさんに顔の傷は治しておきなさいって言われて、そのまま治療を。」

 

カプセルハウスで改めて自己紹介をしたときに男だと思われていたようで女だと訂正したら凄い剣幕で詰め寄られた。あれ以来、ブルマは実の姉のように良くしてくれる。

 

「ああ、なるほど。じゃあその大きめの髪留めも?」

 

「これは悟空が結婚したときに、先越されたって言ったら結婚願望あるなら身だしなみに気を使いなさいってその時にもらったやつですね。」

 

そう言って髪留めを触る。

 

「よく壊れなかったな。頭部に攻撃を食らうことはまあそんなにはないが、ベジータやフリーザ達と戦えば、それ以前に修業をしてれば簡単に粉々になってしまうだろうに。」

 

「実はこれは十代目です。最初にもらったやつは一週間と持たずに壊れちゃって、そしたらブルマさんがいろいろ工夫して壊れにくいやつを作ってくれたんです。」

 

「なるほどな。ブルマが絡むなら納得だ。」

 

そう言ってミライは苦笑いした。

 

 

「これ以上人造人間を増やされてたまるか!」

 

ゲロと十七号達の話を聞いて、さらに十六号なるものが生み出されそうになっていることを悟ったトランクスが超サイヤ人に変身する。

 

「よせ!こんなところで気功波を撃ったら…!」

 

「はああああ!」

 

クリリンの静止も聞かずに、トランクスは気功波を放った。

 

「馬鹿野郎!」

 

ドッゴーン!

 

クリリンがそう叫び洞窟から飛び出す。クリリンよりも入口よりにいたピッコロ達も巻き添えを避けるべく後退し、研究所が粉々になった。

 

「馬鹿め、無駄に気を消耗しやがって。奴らがあんな攻撃でやられるわけないだろう。」

 

粉々になったはずの研究所から出てきたのは七人。クリリンやトランクスたちだけでなく、十七号と十八号も難を逃れていた。しかも十八号は十六号が入っているカプセルを持ったまま脱出している。

 

「まあ、元凶は死んだようだがな。敵が一人減ったんだ、そう無駄でもないだろう。…これから一人増えるわけだが。」

 

距離を取って人造人間の出方を伺う。十七号達は十六号を起動するとそのままどこかへと去っていった。

 

「あいつらどこに向かったんだ?」

 

天津飯が呆然とそう話すがそれをベジータが遮る。

 

「そんなことはどうでもいい!このベジータ様を前に無視を決め込むとはどういう了見だ?全宇宙一は俺だぞ!それを分からせてやる…!」

 

「待ってください!と、ベジータさん!」

 

トランクスの静止を遮ってベジータは人造人間たちを追い始めた。

 

 

「ベジータの気が上がりましたね。」

 

合流しようと移動しているとベジータの気が大きく上がる。

 

「残念なことに、ゲロの企みは防げなかったわけだ。」

 

ベジータの気を感じ取ってライが言うと、ミライがそう付け加える。

 

「ゲロと戦っているだけという可能性はないでしょうか。」

 

「最悪は常に想定して動け。覚悟の有無はいざというときに生死を分けるぞ。」

 

自分をたしなめるという不思議な体験をしながらミライとライはさらに速度を上げた。

 

 

「ああああああああ!」

 

折れた腕を庇いながらベジータは膝をつく。最強を確信していた。超サイヤ人になり、サイヤ人の王子に戻ったと、取り戻したはずのプライドは簡単にへし折られた。

 

「父さああん!」

 

父の危機にたまらずトランクスが飛び出す。しかしそれは、十七号の参戦を意味する。戦力差がさらに開く。

 

「あの馬鹿!」

 

「ちきしょう!」

 

「天津飯、ピッコロ!よせっ!」

 

天津飯とピッコロが飛び出し、クリリンが唯一二人を制止しようと動く。クリリンは自分よりも圧倒的に強い相手と何度も戦っている。気を感じれなくとも、彼は天津飯はおろかピッコロよりも正確に敵の実力を測っていた。だから、動けない。

 

「はあああ!」

 

トランクスが十八号に向けて振り下ろした剣は簡単に防がれる。それだけではない。フリーザをも両断したその剣の刃は欠けてしまっていた。全く通用しないことに驚く間もなく十七号の豪檄を食らい、トランクスが吹っ飛ぶ。一瞬で超化は切れてしまった。

 

「無粋なことをしてくれるな。お前達は。そこで動けないでいるあいつを見習ったらどうだ?」

 

ドンッ!ガンッ!

 

クリリンに視線を向けているというのに、ピッコロ、天津飯の攻撃に的確に反撃し一撃で沈めていく。

 

「やはりこんなものか。」

 

「俺が、俺が負けるかあああ!」

 

片腕を折られていることを意に課さず、ものすごい速度で十七号に突っ込んでいくがそれを十八号につかまれる。

 

「ちょっと、あんたの相手は私なんだけど?」

 

「くっ!」

 

「それっ!」

 

地面にたたきつけられる。それでもエネルギー波を放ってくる。

 

「もう片方の腕も折っておこうか。」

 

死体蹴りのように蹴り上げたことでついにベジータの髪色も元に戻った。ライ達の合流は間に合わない。

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