ドラゴンボールZ・オルタナティブ~世界線c~   作:三軒過歩

57 / 83
(第五十一話)ピッコロと二人のライ

「クリリン!無事ですか?」

 

「あ、ああ。俺はな。全く動けなかったから、見逃されちまったかな。」

 

ハハハと懐から仙豆を取り出して力なく笑う。

 

「彼我の戦力差を見極めていたからこそ動けなかったんだろう。恥じることはない。それより仙豆を寄越してくれ。俺もトランクスたちに配る。」

 

「ああ、ミライさん、頼む。」

 

「ミライでいい。」

 

「私も配ります。」

 

三人でピッコロや天津飯、ベジータにも配っていく。

 

 

「ミライさん、俺達も修業しましょう。一週間程度しかないですが、少しでもあがきましょう。勝率を少しでも上げるんです。」

 

飛んでいったベジータを見てトランクスがそう言った。今のままでは悟空が完治しても勝てないと思っているのだろう。実際に戦力差は大きい。しかしミライは首を振る。

 

「トランクス。お前はベジータを追って一緒に修業してこい。」

 

「と、ベジータさんとですか?」

 

少し動揺した声音で返す。

 

「そうだ。俺はいろんなやつと修業して、そいつらの戦い方を取り込んでスタイルを確立させてきたが、あいつとは修業したことがない。あいつの戦い方はお前のさらなる成長につながる。」

 

「…分かりました。行ってきます。」

 

少しためらったが、さらなる成長という言葉に突き動かされトランクスも飛びさった。その後クリリンが話す。

 

「さてと、俺たちはどうするかな。」

 

トランクスが去った後ピッコロに判断を求めているかのようにクリリンがそう言った。

 

「さあな、勝手にしていろ。」

 

「なんだよ、冷たいなあ。仲間じゃないか。」

 

しかし仲間という言葉にピッコロは噛みつく。

 

「ふざけるな。いつから俺が貴様等の仲間になった!?この俺は世界を征服するために貴様等をただ利用しているだけだということをわすれるな!!」

 

「すっかり忘れていた。あいつは魔族だもんな。ま、まだ世界征服を考えていたのか。」

 

飛び立ったピッコロを見て天津飯が呆然とそうこぼすが、クリリンとミライ、ライは考え込むように沈黙しクリリンが一足先に口を開く。

 

「オレは世界征服なんて嘘だとおもうな…」

 

「私もです。彼も悟空やベジータと一緒ですよ。誰よりも強くありたい。最強でいたいと思ってるんでしょう。そのために、きっと神様のところに。」

 

思い起こされるのは四年前、ピッコロと修業を始めた時。

 

ー----

 

「次元の違うフリーザをも倒してしまう伝説の最強戦士。だからどうした?俺があいつに届かない理由はあるのか、最強に比肩したフリーザの存在が、俺も孫に勝ちうると証明する。」

 

ー----

 

「ピッコロは、強いです。」

 

その言葉にハッとした表情をした天津飯が言う。

 

「悟空が治るまで一週間くらいだったな。俺は餃子のところに戻って少しでも修業する。それじゃあまたな。」

 

天津飯も去っていく。決意に満ちた表情だった。

 

「俺も武天老師様のところに戻って修業する。ヤムチャさんと悟飯も悟空を連れてそこに向かってるんだと思う。悟空の家はバレてる可能性が高いからかな。お前達もどうだ?」

 

「ええ、それなら私も…」

 

クリリンに答えようとしたライをミライが留める。

 

「まて、ライ。お前は俺と一緒に来てもらう。」

 

「へ?」

 

「…何か考えがあるんですね?」

 

ライがミライにそう問い返す。

 

「まあ、多少は強くなれるはずだ。」

 

「クリリンさん、私はミライと一緒に行きます。有事の際はすぐに合流します。」

 

クリリンにそう話し、ライとミライは二人で飛んでいった。

 

 

「それで、どこに向かうんです?方角的には天界ですけど。」

 

「場所は正直どこでもいい。神様の近くに行けば、状況がすぐ読める。合流も楽だろう。そこで俺と修業してもらう。」

 

「自分と修業するとはピッコロみたいですね。」

 

「それはやってみてのお楽しみだな。俺はお前よりも約二十年修業している。戦術の幅が違う。ちゃんと指導してやるさ。」

 

ライとミライは神殿に着く。

 

 

「やっぱりまだ同化してなかったんですね。」

 

下界を見下ろす神の後ろで座して待つピッコロをみてライがそう言った。ピッコロは盛大に舌打ちを放つ。

 

「そいつが人造人間が本当に脅威となるのか見極めさせろとな。さっきからずっとあんな調子だ。取り返しがつかないことにならんといいがな。」

 

「なるほど、それならちょうどいい。神様が決断を下すまで俺達と修業してくれ。」

 

その様子を見てミライがピッコロに話を持ち掛ける。

 

「貴様は、ミライか。そんな余裕はない。俺は一刻も早く、こいつと同化しなければならない。余計なことをしてられんのだ。」

 

そう言って断るピッコロを神様が遮る。

 

「ピッコロ、その者たちの相手をしてやれ。」

 

「神よ、余計なことに構わず、さっさと見極めて俺と同化しろ。あいつらが地球に害を為す存在なのは明らかだ。俺達を攻撃してきた。死んでもおかしくない攻撃だ。」

 

「先に仕掛けたのはお前たちの方だ。」

 

何度も同じことを言わせるなと言外に言う。平行線であることを察知し、それ以上会話が続かない。

 

「チッ!いいだろう。神が見極めるまでだ。それまで貴様等で憂さ晴らしをしてやる。ついて来い。」

 

そう言って身をひるがえし神殿の中に入っていった。

 

 

「ここは、かなり劣悪な環境ですね。」

 

「修業をする場ととらえれば最高の環境だけどな。」

 

ピッコロに連れられて精神と時の部屋に入る。

 

「ここは精神と時の部屋と呼ばれる部屋だ。扉を閉めれば現世と時間の流れが変わり、現世の一日がここでは一年となる。残念なことに制限がいくつかあってな。現世で二日間以上使うと出られなくなる。」

 

そう言って扉を閉める。

 

「そんな場所をどうして今まで教えてくれなかったんですか。」

 

「それは多分やみくもに長い間修業すればいいという物ではないからだろう。俺とお前の実力が拮抗しているのがいい例だ。」

 

「あっ…」

 

ミライはライよりも二十年近く修業している。それでも差がほとんどないのはつまるところ自分よりも強い相手と戦わないことにはいずれ限界が訪れる。そう言うことだろう。ミライはほとんど人造人間と戦っていなかった。

 

「好都合なことに、今はピッコロがいる。あいつとの修業は俺たち同士で戦うよりも成果が出るはずだ。」

 

格上との対決。それはミライとライをさらなる高みへと導く。

 

「そう言うことだ。だが修業を始める前に、ミライ、お前に一つ答えてもらうぞ。」

 

「なんだ。俺に答えられることは多くはないぞ。」

 

「なに、お前の正体にようやく確信が持てたから、なんでそんなことをしたのか聞いておきたくてな。正体を偽るやつに背中を預ける気にはならない。」

 

場に緊張が走る。ミライ、未来のライの素性を知るものが増えれば増えるほどこの時代に居られる時間は短くなる。

 

「驚いたぜ。ライ。三年前にトランクスはお前のことを死んだと伝えていたが、まさか生きていたとはな。」

 

 

「ヤムチャさん、悟空は?」

 

「薬を飲んでからは落ち着いている。多分、トランクスの見立て通り、一週間もすれば治るんじゃないか。」

 

亀ハウスに来たクリリンとヤムチャがそう話していると、悟空の様子を見ていた悟飯がやってくる。それをみてヤムチャは状況説明をクリリンに求めた。

 

「それにしても無事でよかったぜ、あれからどうなったんだ。悟飯から少しは聞いているが、あれから人造人間は復活してしまったんだろう?」

 

「ええ、ゲロは倒しましたけど、それよりはるかに強い人造人間十七号に十八号、さらにはトランクスの歴史にはいないはずの十六号までが起動してしまいました。十六号の強さは分かりませんけど、十七号と十八号は俺達はおろかベジータでさえも勝てないほどの強敵です。幸いにも誰も殺されませんでしたが、やつらの目的が悟空の抹殺なのは間違いありません。」

 

「やっぱり、お父さんが…」

 

実の父親が狙われていると知って悟飯が愕然とする。

 

「まあ、ここに居ればある程度は安全だ。奴等、なぜか飛んでいこうとしてなかったし、時間を掛けながら悟空の元に向かってるっぽい。それにここなら周りに俺達以外居ないから、誰か近づいてきたらすぐに逃げられる。」

 

「それなら少しは時間がありそうですね。ところでピッコロさんは何しに神殿に向かったんですか?」

 

「それは多分神様と同化しに行ったんだ。ナメック星でネイルってやつとしたように。」

 

「そうですか。神様と。ピッコロさん、あんなに神様を忌み嫌っていたのに。」

 

悟飯はピッコロと一年間修業をしている。その時にとりとめのない話を少しだけした。彼が神様の半身であること。その話をしていた時のピッコロの表情はとても苦しそうだった。その話を聞いた悟飯は決意する。

 

「クリリンさん、ヤムチャさん。お父さんが元気になるまで、僕に修業をつけて下さい!」

 

決意に満ちた悟飯の顔を見て二人は顔を見合わせて言う。

 

「「もちろんだ。」」

 

 

ボコッ!ドオオン!

 

ドクターゲロの研究所がトランクスに破壊されてから数時間後、誰もいないはずのその場所で地中から一人の人造人間が飛び出す。

 

「はは、ふははは!わしはまだ生きておる。孫悟空への復讐も、十七号達への制裁も、成し遂げられる。いや成し遂げて見せる!」

 

切り落とされた右腕に吸収機能を失った左腕を高く上げ、荒れた山地にゲロの声がこだまする。

 

 




ピッコロが精神と時の部屋の存在を知っているのは分離前の神様が先代の元で修業していたからその時に教えてもらったということで。精神と時の部屋三人入ってる問題は魔人ブウ編見ればまあってのもあるんですが、一応独自設定の理由があります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。