「お待たせしました。」
精神と時の部屋は開かれ、中からトランクスが出てくる。続けてベジータも外に出てきた。
「本当に待ったぞ。」
「すいません、父さんは中に入って二ヶ月ほどで超サイヤ人の限界を乞えたみたいですが、それでも納得するまで修業を続けていたので、それでここまで時間が…」
遅れた事情を話すトランクスの言葉をベジータがさえぎる。
「トランクス、余計なことを言うな。」
その不敵な笑みに悟空は修業がうまくいったことを確信する。
「うまくいったんだな、ベジータ。」
「ああ、貴様がこれからこの部屋に入っても無駄になる。人造人間どもは俺が片づけてしまうからな。」
「ベジータ、お前がどれほど強くなったかは知らん。だが、人造人間たちを舐めすぎている。」
「お前がその部屋で修業している間にゲロはとんでもない力を手に入れてしまった。」
「ベジータ、おらもちらっとだけゲロを見てきたが、とんでもねえバケモンだったぞ?」
ピッコロや天津飯、悟空までもが忠告するが、ベジータの自信は崩れない。そしてそれは意外なことにトランクスもだ。
「相当、強くなったんですね。二人とも。」
ライが二人をそう評した。そうしていると、ブルマの声が神殿の外から響く。
*
「ブルマ、なんでここに?」
「亀ハウスに行く途中でクリリン君に会ってね。そこでここのことを聞いたのよ。クリリンの持ってたのはカプセルハウスで見るために先に届けてもらってるわ。それで目的は…」
最初に外に出た悟空がブルマにそう問うとブルマはそう答えるがトランクスを見たブルマは話を止める。
「あら!?」
ブルマが駆け寄る。
「あんたなんで髪型が変わってるの?かつら?」
そう言って髪を引っ張って不思議がる。トランクスから精神と時の部屋について聞きだした。
「そんな下らんことをしに来たんじゃないだろう。用があって来たんじゃないのか!?」
「ああ、そうそう。」
そう言ってブルマはフリーザ兵が使っていた戦闘服を取り出した。
「ライやピッコロ達は着ないの?」
「フリーザやサイヤ人たちが着ていた服など、着る気にならん。」
「俺もだ。ベジータと同じ服なんて死んでもごめんだ。」
ピッコロと天津飯が突っぱねるが、ライはそう言う理由ではないらしく、少し困ったような顔をした。
「私はその…変身があるのでこういうしっかりした服には向かないんです。」
「確かにそうね。今度貴方にあう戦闘服も作ってあげるわね。」
だから絶対に人造人間をベジータ達に倒してもらわなきゃ、と続けた。二人が話しているうちにベジータは飛び立ち、トランクスも悟空から仙豆を受け取り飛び立とうとしている。
「トランクス!」
「何ですか母さん?」
「絶対に死んじゃだめよ。二人ともだからね。」
母親らしく妻らしいセリフ、こういうところが尊敬できる、自分にないものを持っている。
「はい。」
トランクスも頷き飛び立った。
*
「それじゃあ、次はおらたち親子の番だな。」
「はいっ!」
悟空と悟飯が精神と時の部屋に行くのを見送った後、天津飯がピッコロに問いかける。
「ベジータはゲロを見つける算段があるんだろうか。」
「ある。奴はスパイロボの存在を知っていたからな。」
「!」
「気づいていたならスパイロボを壊しちまったてことだろ。だから何だって言うんだ。」
ヤムチャが疑問を投げかける。
「多分、壊してない。」
「壊してない?」
「ベジータのやりそうなことですね。十七号や十八号は偵察をするような性格ではないでしょうし、となればそのロボを使っているのはゲロしかいない。ベジータが気をある程度出して飛んでいるのもスパイロボにベジータをもう一度見つけさせてゲロに場所を知らせるためですか。」
「ベジータを見つければ多分ゲロは襲いに行くだろう。探すまでもない。」
*
「父さん、どうしてここに?」
ベジータを追いかけていたトランクスはベジータが止まった場所に首をかしげる。
「ここに居れば、ゲロのやろうがやってくるからだ。」
不機嫌に言い放つ。その場所は数日前にベジータがゲロに倒された場所だった。
「あいつ以外はもはや雑魚だろう。まあゲロのやろうも雑魚だとは思うがな。まあとにかく、ゲロを殺して俺が全宇宙ナンバーワンであることを証明する。」
「強気なセリフだな、ベジータ。」
そう宣言した直後ドクターゲロが姿を現した。その後ろには十六号も控えている。
「卑怯な不意打ちからくると思っていたが、意外だな。」
「今の私にもう敵はいないからな。」
「ほう、では後ろの奴は飾りか?」
十六号に視線を向けて問う。
「当然だ。こいつは勝手についてきているだけだからな。それに、貴様等が共闘したところでこの私には敵わない。」
レーダーで調べるまでもないと構えをとった。吸収形態から通常形態に変わりゲロの気を感じられるようになる。
「ははははは!知らないというのは幸福なことかもしれないな。」
超化する。拳を振るう。
「何だと!」ガシッ!
辛うじて受け止める。
「確かに相当パワーを取ったようだが、この俺には敵わない。」
感心したようにベジータが言う。余裕の表情は崩れない。
ドガン!
蹴り飛ばす。岩壁にぶつかる。呆然と、信じられないものを見るようにベジータを見た。
「あ、ありえない。たかが数日だぞ。私はあの時よりはるかに強い力を手にしているんだぞ!?」
「計算だけで分かるものじゃない、俺達サイヤ人はな。」
不敵に言い放つ。しかしそれでもいくらか平静を取り戻したゲロは言った。
「いや、まだだ。貴様一人なら、まだ負けん…!なめるなよ、ベジータ如きが…!」
ガッ!ガッ!
両手で組み付く。
「うおおおお!」
「はあああああ…はあー-!」ドガッ!
「おぐぅ…」
ベジータに蹴りを入れられてうめき声が漏れる。
「そらっよっと!」ゴシッ!
「うがっ!」
ドンッ!ドンッ!ドンッ!
「こ、この…まだ負けんぞ!」
「なかなかタフだな。おっと、人造人間に痛みなんてないか。」
(なぜだ、こいつのエネルギーを吸収しているのに、まるでパワーが落ちない。)
「お前もあの十九号とかいうやつみたいに首だけにしてやる…よっ!」
ゲシッ!
「っ!」
掴んできたゲロを蹴り飛ばしきる。ゆらゆらと立ち上がった。
「どうやら本当に相当のパワーを吸収したようだ。どうやって吸収したのか興味はあるが…まあ、貴様を殺せばカカロットたちから聞き出せるだろう。」
そう幻滅したように言うベジータにはもう自分が脅威として映っていないことなど明らかだ。
「な、め、るなあ!」
戦闘形態を変える。エネルギーが消費されていく。力は引き出される。
「お前如き、お前如きにこのわしがやられるわけにはいかんのだッッ!」
ガッ!ババババババ!
エネルギー波を乱射して撹乱し、その隙にベジータ接近して殴りかかる。
「む!?」
顔面を殴られ唇が切れる。少しよろけた。
「ふっ。」
「やはりこんなものか。だが超サイヤ人を超えた俺には遠く及ばない。」
「何だと?」
「はああああああああ!」
ベジータが気を高め始める。筋肉は肥大化し、体が一回り大きくなる。超サイヤ人を超えた姿を披露する。
「き、貴様は本当にあのベジータなのか…?」
レーダーで強さを図ったゲロが戦慄した。不敵に笑う。
「違うな。俺は、超ベジータだ。」
「超ベジータ?」
ドンッ!
そう言いきって間もなく、速攻で接近しゲロを殴り飛ばす。空中に飛ばされたゲロに追撃とばかりに蹴りを打ち込んだ。
「おげ…あ…」
「そらっ!」バンッ!
おまけとばかりに肘うちを放ち、ゲロを海に叩き落す。水柱が上がる。
ザバッ
「計算外だ。あいつがこの数日でここまで力を上げることがありえるなんて…!」
「どうやら修業で差が付きすぎてしまったらしいな。」ゴォン!
「あぐっ」
「そぉらもう一発だ。」ゲシッ!
「うぐぅ!」
バン!ガン!ドン!
「あ、がぁぁ…」
右腕でゲロを掴み左腕で連打を浴びせていく。最初の数発はガードできていたが、それができなくなっていった。
「これで終わりだな。」
ゲロを投げ捨てて止めとばかりに気功波をため始める。
「こんなところで、こんなところでわしは…!」
戦意を喪失したゲロが岩壁にもたれかかりながらそうこぼす。もはや気功波を吸収する気すら起こっていない。しかし、そんなゲロを助ける者が存在する。
トン。
「む?」
ドンッ!
「うがっ!」
ベジータが殴り飛ばされた。
ヒューン!ドッシャアァン!!
「なっ、父さんが!?」
「じゅ、十六号?」
傍観を決めていたトランクスが動揺し、しかしそれは助けられた本人も同じだ。
「ありえない。十六号のパワーではベジータを吹き飛ばすことなどできはしないはずだ。まさかっ!」
「貴様…ゲロのやろうより強かったとは思わなかったぜ。少しは楽しめそうだ。」
吹き飛ばされたベジータが起き上がりそう言い放つ。
「ドクターゲロは殺させない。」
「十六号は自爆モードに移行している。だが…」
十六号は自爆モードになってから一度キャンセルされている。それから調整もしていない今、自爆モードに移行したときのパワー上昇率はとんでもないが、基礎パワーは半減以下だろう。自爆が発動するまでは五分。残り一分になれば止めることはできなくなる。それまでに決着をつけることは不可能に近い。
「うおおおお!」
ビュン!バッ!ガスッ、ガシッ!
十六号の凄まじいラッシュをベジータは避け、あるいは避けきれずにかすり、最後には受け止めた。
「これだ!これなんだよ!俺がやりたかった戦いはこういうものだ!!」
ドンッ!ガガガガガガガガ!
ベジータは歓喜し、ベジータは十六号と打ち合う。
ドンッ!
ベジータが一撃食らう。
「まだまだぁっ!」
攻撃を仕返す。
ゴンッ!
「うぐっ!」
再び十六号が攻撃を入れる。
バンッ!
ドン!ドン!ドドン!ドドドドン!
衝撃波が舞う。恐ろしく強い力が周囲を埋めつくす。
「い、今のうちにゲロに止めを…」
ベジータと十六号が戦っている中、トランクスがゲロを倒そうと近づいていった。
「ッ!そうはさせんっ!」
「んなっ!」
それに気づいた十六号がトランクスに襲い掛かる。
バン!バン!
トランクスと十六号が組み合う。
「うおおおおお!」
「くっ、おおお!」
それをベジータは黙っていない。トランクスを蹴り飛ばす。
「そんな雑魚に構うな、全力で来い。」
ゴスッ!
すぐさま腕を外しロケットパンチを放つ。急に飛んできた拳をもろに食らう。
「ヘルズフラッシュ!」
そしてそのままに必殺のエネルギー波を撃つ。狙うはトランクスだ。
「あの野郎!」
ヒュンッ!
飛ばされた腕を投げ返してぶつける。
「あがっ!」
二人の実力は伯仲していた。ベジータがトランクスを蹴り飛ばした隙を十六号がロケットパンチでついたように、十六号がヘルズフラッシュをトランクスに打った隙をベジータが突く。
「あいつの邪魔をする余裕などないはずだ。俺に集中しろ。」
「そうはいかない。俺は、俺はドクターゲロを守る。」
投げ返された腕を付けなおし、構えをとる。
「人造人間のくせに地球人みたいな甘ったれたことを言うもんだな。反吐が出る。」
だが、と言葉を続けてトランクスに向かって叫んだ。
「トランクス、手を出すなよ。どうやらこいつはゲロのやろうが気になって仕方がないようだからな。」
「なっなにを言ってるんですか!」
ゲロを攻撃すれば守るように動く十六号は隙だらけだ。その隙を突けば、確実にベジータは勝てる。もちろん、トランクスがゲロを逃がすことなく。しかし、トランクスは渋々ながらも攻撃しようとしていた構えを解き、それでも逃がすまいとゲロの近くに立ち戦いの様子を見始めた。
「さあ、存分に俺と戦ってもらうぞ。」
「悪いが、すぐに決着をつける。」
エネルギーが暴走を始めてもう二分以上たっている。自爆モードは五分経てば自動的に爆発する。あと二分以内にベジータとトランクスを倒さなければいけない。それができないなら二人を道連れにする。
ドン!ドン!ドドン!ドドドドン!
凄まじい衝撃波が地上を再び支配した。その衝撃波は数十秒経ち唐突に終わりが来る。
「グハッ!」
十六号が島に叩き落された。奇しくもゲロの目の前だ。
「チッ!貴様ずっとその死にかけを気にしやがって。実力が近い者同士の戦いで余計なことを考えればどうなるかなんて、ガキでも分かる。」
片腕は外れ、頬はえぐれ、耳飾りが砕けて落ちた。それでもまだ立ち上がる。後ろで壁にもたれかかっているゲロを庇うように。
「そんなになっても、いやそんなになるほどにその死にかけが大事か。」
「なぜだ、わしを守れなどという命令は、いや、そもそも自爆だって孫悟空の抹殺以外には使用できないように設定していたはずだ。」
「俺はあなたに、過去と決別して欲しかった。」
ベジータに突っ込む。反撃を食らう。片目の機構が機能しなくなる。しかしそれでも、左腕でベジータを掴んだ。
「バリアを張れ!」
自爆が始まるのを実感する。いくら基礎パワーが半分以下になっているとはいえ、この距離ならベジータは確実に巻き込める。近くにいるトランクスもドクターゲロがバリアを張って閉じ込めてくれれば間違いなく道連れだ。
「はっ!」
ドヒュゥン!
しかし慌てた様子もなく、ベジータは十六号気合砲で弾き飛ばす。左手はもげた。岩壁にもたれかかるゲロにぶつけられる。
ガン!
「自爆しようとしていることくらい気づかんとでも思ったか?」
自分の身を犠牲にしようとしているやつは皆似たような顔をする。フリーザ兵として地上げ屋をやっていた時、そんな奴は腐るほど見てきた。
「あがっ…」
身体が膨れ始めた。もう止めることはできない。ドクターゲロだけでもとゲロを投げ飛ばそうとするが、両腕が取れている。十六号の顔が絶望に染まる。
「もういい、もういいんだ十六号。」
しかしそのドクターゲロの顔はつい先刻まで驚愕の表情だったとは思えないほどに、トランクスやベジータが今まで見たこともないような表情で、ゲロが十六号に言った。
少しわかるゲロの戦闘形態
・解放形態
吸収した力を消費するときの形態です。通常形態よりもはるかに強い力を発揮できますが、吸収した力は消費され減っていきます。エネルギー波を撃たないときにもできますが打つときは必ずこれです。ゲロなら1億5000万+吸収した力×2となります。
これでゲロの形態は全部書きました。なかなか魔改造されたと思ってます。まあこの話ではすでに実力が足りてませんけどね。原作のベジータみたいに相手が悪かっただけです。ベジータはいつも嚙ませしてましたけど強いって感じるのと似た感じで。