ドラゴンボールZ・オルタナティブ~世界線c~   作:三軒過歩

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二次創作は原作の終わりがちゃんとあるから間延びしても完結に向けて確実に進んでいる実感があります。人造人間編に限らずもっとコンパクトに出来ればよかったんですけどね。


(第五十九話)現代の結末

「な、何を言って…」

 

十六号が動揺しているうちに、時間切れが来る。体は膨れ、身動きが取れなくなり始める。

 

「レッドリボン軍に、孫悟空に囚われるあまり大切なものを見失っていたんだ。でももういいんだ十六号。私が間違っていた。」

 

ザシュッ!

 

「あ、が…」

 

自爆モードに入って自分でも解除することができなくなって尚、生き残る方法を、ゲロは知っている。

 

「十六号に付けた爆弾はここら一帯を平にする。貴様等でも防ぎきれない威力でだ。」

 

「な、なんだと!」

 

ベジータが驚愕の声を上げる。一瞬だけ視線を後ろに向けた。

 

「だが、わしなら防ぐことができる。…交換条件だ。そいつを生かせ。貴様等の科学力でもそれくらいはできるはずだ。」

 

首だけになった十六号を動揺しているトランクスに向かって投げる。

 

「お前はわしの最高傑作だったんだな。造ってよかったぞ。」

 

首が切れた十六号の身体と自分を囲うようにバリアーを張る。ただのバリアーではない。今までベジータやミライから吸収したエネルギーすべてを消費して強固なものにする。

 

「待て、待ってくれ、父さん!!」

 

十六号の叫びは届いたか、最期に泣きそうな顔となったゲロと目が合った。

 

キーン、ドッゴオオオオオオオン!

 

「ぐっ!」

 

「この威力はっ!」

 

バリアは張られたままだというのに、すさまじい爆音に爆風がバリアの外まで届いてくる。耳鳴りが収まり、バリアがあったところを見ると、そこには何も残っていなかった。

 

(恐ろしい威力だ。俺でも防げたかどうか)

 

トランクスがそう思うほど、パワーだけならばセルすらも凌駕するほどの力を手に入れて、その弱点を気づいていないトランクスがそう考えてしまうほど、その爆発は凄まじく、それをバリアの中で収束させ切ったゲロの力がとんでもない物であったと痛感する。トランクスはあのバリアが吸収した力をすべて使いきる一回しか使えない技だと知らない。

 

「俺と戦うときは手加減してやがったんだ…!」

 

そしてそれはベジータもだ。つい先ほどまで圧倒していた相手が実は本気でやっていなかったと感じてしまった。自分を凌駕しうると痛感してしまった。

 

「俺はこいつらガラクタ人形に、勝てなかった。」

 

ドシュン!

 

ベジータが飛んでいく。

 

「最後に人造人間に救われるとは思わなかったな。あんな奴の交換条件でも、ちゃんと果たさないとか。」

 

爆風で機能停止したのか、何の反応も返さない十六号をトランクスはカプセルハウスに持っていった。

 

 

「すいません、本当は昨日のうちに事情を説明しに戻るつもりだったんですが…」

 

「気にするな、大体の事情は俺が見ていたからな。」

 

十六号をカプセルハウスでブルマに預け、事情を説明しようと天界に行こうとしたトランクスだったが、ブルマの両親につかまり、そこで一晩過ごすことになっていた。

 

「同じ一年の修業だったのに、どうしてこうも成長速度に差があるんですかねえ。圧倒的だったじゃないですか。」

 

一晩たち、天津飯とヤムチャは下界に下りた。今天界にいるのはライとピッコロ、修業中の悟空と悟飯、そして天界の管理者であるミスターポポの六人だ。

 

「それでも最後にはゲロに救われました。俺も父さんも。」

 

「そう言えばそのベジータはどうしたんですか?」

 

ベジータが天界についてこないのは理解できるが、どんなに気を探っても地球上にベジータの気を感じなかった。ベジータほどの実力であれば、意図して気を抑えた状態でなければ地球のどこにいても分かる。

 

「父さんは、多分武者修業に言ってるんだと思います。俺が十六号をカプセルコーポレーションに持っていったときに、少し前に宇宙船に乗ってどこかへ行ってしまったとクリリンさんから聞きました。」

 

「絶対の自信を三度へし折られて、それでもまだ上を目指すんですか。」

 

一度目は先を越されて超サイヤ人に覚醒した下級戦士に、二度目は天下無敵のはずの超サイヤ人で負けたことに、そして超サイヤ人の壁を越えても人造人間に及ばなかったことに。

 

「その飽くなき強さへの執着が父さんを純粋のサイヤ人足らしめてるんです。」

 

そう言ったトランクスは満足げだ。精神と時の部屋での一年間は、不器用な親子の関係に変化をもたらしたのか。

 

「それで、あの、ミライさんはどこに?」

 

満足げな表情から打って変わって不安の色を濃くしてトランクスが聞く。否、もう気づいている。気を感じ取れないということがどういうことか。自分が精神と時の部屋にいる間に何があったのか。

 

「ミライ、は」

 

「ミライは人造人間十七号達との戦いで死んだ。」

 

ライが言いよどんでいる間に、ピッコロが言い切る。

 

「やっぱり、そう、ですか。でも十七号達はピッコロさんとライさんが仇を討って倒してくれたんですね。」

 

「それは…ミライは十七号と十八号を倒して私を助けるために自滅前提の技を使ったんです。それで二人を倒してそのまま。」

 

私のせいで師匠を二度も失わせてしまってすいませんと謝るライに慌ててトランクスが言った。

 

「ミライさんは俺を鍛える時に言ったんです。大切な人を守るために自分を鍛えているって。ライさんは、ライさんも、ミライさんにとって大切な人だった。これはそれだけの話です。俺に謝るのを見たらミライさんは怒りますよ。」

 

「俺が再び分離できれば生き返れたかもしれないんだが。」

 

地球の神龍は同じ人間は二度生き返らせることはできない。しかし、この世界でミライを生き返らせたことはない。試してみる価値はあることだった。三人の雰囲気が重くなる。

 

「そんなの簡単なことじゃねえか。ナメック星に行けば何度でも生き返らせる神龍があるんだろ?」

 

重くなった雰囲気を吹き飛ばすような明るい声が場に響く。

 

「「悟空!」」

 

「悟空さん、修業が終わったんですね。」

 

「ああ、しっかし、本当におらたちが修業している間に全部片付いちまうとは思わなかったぞ。」

 

ポポから話を聞いたのだろう。冗談めかしてそう言った。

 

「やけに早いですね。三時間くらいまだ時間はあったはずですけど。」

 

三時間、精神と時の部屋で言うならば一ヶ月半程度早く出てきた。

 

(超サイヤ人をごく自然な状態で維持している。超サイヤ人を超えるために原点回帰したってとこでしょうか。)

 

「これ以上身体を無理に鍛えても辛いだけだ。そんなのは修業じゃねえ。今の限界近くまでは鍛えられたつもりだ。」

 

「それはまあ、見てればなんとなく分かります。」

 

この二人の得も言われぬ威圧感、明らかに昨日までの二人とは違う。

 

「事情はあらかた聞いた。人造人間に殺されちまったのはミライだけじゃあねえ。ナメック星をおらの瞬間移動なら見つけられるだろうし、ナメック星のポルンガにミライを生き返らしてもらうついでに新しい神様も連れてこれたら最高じゃねえか。」

 

あっけらかんと戦いででた犠牲を解決する策をだしてきた悟空にその場の全員の顔が驚愕に染まり、そして…

 

「あは、そっか、そんなことでよかったんだ…!」

 

事態ををいち早く理解したライが満面の笑みで笑った。

 

 

「お世話になりました。いろいろごちそうになって…ここ数年で一番贅沢させてもらいました。」

 

「何言ってんの。地球のために戦ってくれた人を歓迎するのは当たり前でしょ…特にあなたは私の息子なんだから。」

 

トランクスとミライに視線を向けながらトランクスを抱いたブルマがそう言った。

 

「ありがとうございます。」

 

あれから二日後、悟空は界王の助力もありナメック星を発見、ポルンガでミライを生き返らせたのち、地球に憧れを持っていたデンデを新しい神へと据え地球のドラゴンボールも復活した。

 

「もう帰っちゃうのね」

 

「長居しすぎると帰れなくなりますから。」

 

ミライが生き返ってから一晩慰労会をした次の日の朝、タイムマシンの前でトランクスたちが別れを告げている。

 

「ちゃんと倒せたのかの報告くらいは来て欲しいんですけどね。」

 

それから少し離れたところでミライもライとピッコロに別れの挨拶を済ませていた。

 

「それは難しいだろうな。時間が経てば経つほど、そしてタイムマシンを使えば使うほど、この時代と俺達のいる時代は離れていく。往復に必要な燃料も爆発的に増える。」

 

「それは残念です。」

 

不満げに言った。

 

「心配はいらないさ。俺でもこの時代の人造人間と互角程度には強くなれた。この時代の人造人間は俺達の時代よりずっと強かったし、まず負けないさ。なにより…」

 

目線をトランクスに向ける。

 

「あいつの強さはもう桁違いだよ。全く、師匠の面目丸つぶれだ。」

 

「そう言うわりには嬉しそうですけど。」

 

カリン様といい界王様といい師匠は弟子に越されると悔しさより喜びが勝るらしい。私も師匠になれば分かるのだろうか。

 

「それはまあ、お前も誰かの師匠になれば分かるさ。なあピッコロ。」

 

「ふん。」

 

話を振られたピッコロは少し気まずそうに顔をそむけた。

 

「まあ私は誰かの師匠とかそういう柄じゃないですから。」

 

「遠回しに()も向いてないって言ったな。」

 

「あ…はっはは。」

 

乾いた笑いでごまかす過去の自分を見ながら、まあそうなんだろうなと思う。もっと優れた師匠がいれば、ピッコロが生きていれば、悟飯は数年もしないうちに人造人間を凌駕し過去に助けを求めずとも解決していたのだろう。あの時生き残るべきは()じゃなかった。

 

「ミライさん!」

 

トランクスに呼ばれ後ろ向きの思考を中断する。ピッコロが何か言いたげだったがトランクスの呼びかけがあったことで飲み込んだようだ。

 

「別れの挨拶は済んだか。」

 

「ええ。最後に父さんに会えなかったのは残念ですけど、でもいいんです。俺は父さんがただ冷たいだけの人じゃないって知ってますから。」

 

あたり一帯を吹き飛ばす威力で爆発するとゲロに告げられた時、ベジータが一瞬視線を自分に向けていたことをトランクスは見逃さなかった。あれは自分を庇うためだったのだとそう結論付けていた。

 

「じゃあ、いくか。」

 

「はい!」

 

二人がタイムマシンに乗り込む。

 

「忘れるところだったこれ持ってきなさい。」

 

ブルマからホイポイカプセルを投げられる。

 

「カプセルコーポレーションも壊されちゃってんでしょ。簡易ガレージが入ってて、いろいろ必要そうな器具とかもあるから未来の私に渡しなさい。立て直しが早くなるわ。」

 

「ありがとうございます!」

 

二人は見送りに来た面々に手を振り返して過去の時代を後にした。




十六号の自爆で人造人間編を終えるのは最初から決めてたことなんですけど、原作通り悟空をあの世で修業させるために十六号と界王星に瞬間移動させるか、ゲロに決めてもらうかですごく悩みました。展開上これが自分にできる一番自然な終わり方です。対十六号も今回のようにベジータが戦うパターンとトランクスが戦うパターンで考えてみたり、難産でした。でもどう頑張っても主人公であるライとミライは空気になる。この作品は原作ありきとはいえ私の好きなように出来るんですけど、書き始めて気づいたんですけど私って結構原作厨だったみたいでオリ主は異物に感じてしまうんですよね。どうしようもない自己矛盾。
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