「おかえり、トランクス、ライ。」
「「ただいま。」」
タイムマシンで戻ってきて壊れかけのカプセルハウスに入るとすぐにブルマが出迎えてくれた。
「ちょっとーどうしたのよ。ずいぶん身長が伸びたんじゃない?」
トランクスとライは過去の精神と時の部屋で一年以上過ごしているが、ブルマからすれば一週間程度しかたっていない。
「神様の神殿には精神と時の部屋って言う一日で一年過ごせる部屋があるんです。そこで俺もライさんも一年間修業をして…」
「なるほどね。それにしてはライは全く変わってない気がするけど。」
「当たり前だろ。俺はもう成長期なんて終わってるんだから。」
冗談っぽく憤慨するライにごめんごめんと謝って二人に向き直る。
「とにかく無事に戻ってくれてよかったわ。その感じだとうまくいったみたいだけど。」
コーヒー三つを用意して椅子を勧めるブルマにトランクスとライがにんまりと顔を合わせて過去であった出来事を話し始めた。
*
「へえ、この世界では人造人間に殺されたゲロがそんなになってたんだ。」
「ひょっとしたらこの時代にも十九号や十六号がいるのかもしれないな。」
「そうかもしれませんが、ドクターゲロが亡き今彼等が起動することはないでしょう。放っておくのが一番です。」
「研究所の場所は分かってるから、様子ぐらいは…」
と、そこまで言いかけたところでラジオから人造人間に関する情報が流れてくる。
「パセリシティなら結構近いな。」
「行きましょうライさん。過去だけじゃなく、この時代も平和にしなくちゃ。」
「ホントに大丈夫なの?」
いざ戦うとなって心配が顔と声音に乗るブルマにトランクスが力強く返した。
「大丈夫。過去で父さんに鍛えてもらえましたから。」
ド、ドシュン!
「へえ、ベジータがねえ。あいつそんな一面もあったんだ。」
残されたブルマがぽしょりとベジータへの評価を改めた。
*
ドアッ!ドガガガガガ!
パセリシティでは十八号が破壊の限りを尽くしていた。
「ゲームに負けた腹いせにこれとは、まるでガキだな。」
「うるさいよっ!」
ドドドドドドド!
ガキだとたしなめられても十八号が破壊の限りを尽くすのをやめない。人造人間として生を受けるまでの十八年間、人造人間として生きてきた十八年間、三十六年の月日が経っているにもかかわらず彼らの精神年齢は十八のまま止まっている。
ギャウウンッ、カッ!
「む?」
あきれた様子で十八号を見ていると突如上空に光の玉が現れる。
「やっとだ、やっとお前らを殺せる力が手に入った。」
狼姿に変身したライが人造人間たちの前に立つ。
「久しぶりだな、ライ。」
「ちょこまかと逃げ回ってたようだけど、また戦いに来たのか。あはっ。最高のタイミングだよ!」
私は今機嫌がすこぶる悪いんだ。そう言って残忍に笑う十八号をライもトランクスもかわいそうなものを見る目をするだけだった。
「もうさっさと殺してしまっていいだろ十七号。こいつらを殺せば、街を襲うより何倍も気が晴れそうだ。」
「遊びが一つ減ってしまうが、まあいいだろう。だが、後ろの奴は俺がもらうぞ。」
その言葉に残忍な笑みを浮かべ気功波をトランクスに打ち込んだ。
「あの時、あの時とは違うぞッ!」
キンッ!ドーーン!
そう叫んで腕を振るう。気功波は弾かれる。
「フン、少しは強くなったみたいだね。」
ババババババ!
連続エネルギー波を打ち込み続けるがすべて片手で弾きながら接近していく。
「殺された仲間たちの仇だ。消えろっ!」
「ッ!」
ズバッ!
「んなっ。十八号!なぜお前如きに十八号が…」
「次は、悟飯さんの仇だ。」
「貴様ごときに俺を殺せるか!」
トランクスに突っ込んでいく十七号をトランクスは返り討ちに打つ。
「でぇりゃあっ!」ピシュウン!
ドガァァァン!
十七号も十八号も塵一つ残さず消滅した。
「これですべてが終わりましたね。」
「ああ。やっと、やっとあいつらに顔向けできるよ。」
ライが天を仰いでそう言った。
そして三年の月日が流れた。
*
「まさか三年で往復分のエネルギーがたまるなんて思わなかったわ。」
「俺としては三年もかかることに驚いたんですけど。前々回は八か月、前回は一年だったじゃないですか。」
過去に渡航するのは回数を重ねれば重ねるほど、時間が経過すればするほど難しいものになる。今の時代と過去の時代、二つに分かれた世界線はトランクスとライの介入によってどんどん別物として離れて行ってしまうからだ。
「私としては十年はかかるはずだったのよ。でもあんたたちが過去の私からもらってきたカプセルのおかげで燃料の開発が相当早く済んだわ。」
過去の私に感謝しなくちゃとブルマが続けた。
「人造人間を倒せたことの報告、ライさんは本当に来なくていいんでしょうか。」
「まあライにも今は仕事があるから忙しいんでしょ。見送りには来るって言ってたわよ。ちょっと夜遅くなりそうだって言ってたわ。」
今ここにはブルマとトランクスしかいない。ライは二年前警察官となり、市民の平和を守っている。
「過去に渡航する人数は少ない方が燃料も少なくて済むから、それはありがたいんだけどね…」
そう言いながら語尾には若干の疑問が乗る。当然二人より一人の方が燃料は少なくて済むが、仮にライが一緒に渡航してもあと半年ほど燃料を溜めれば済む話、警官の仕事だってライが一週間やそこらいなくなるだけで回らなくなるならこの都市の治安は崩壊しているだろう。いずれの理由も少し弱い気がする。
(俺達が過去にいる間この時代が無防備になることを気にしているのか…?そんな脅威が万一現れたとしてもこの時代は人造人間の殺戮と破壊を二十年近く耐えきった。俺達が過去に行く数日で地球が取り返しのつかないことになるとは考えにくい。)
どうもしっくりくる理由に心当たりがない。
*
「この件、殺人の可能性が高いんじゃないか。」
ライが今追っている事件は、数時間前に都市の住民が丸ごと消えた件だ。同僚が言う可能性について考えてみる。
「でもこの都市には数千人はいたんだぞそいつら全員殺すってどうやるんだよ。しかも都市には被害がほとんどない上に遺体もない。」
絶対にしようとは思わないが、数千人殺す程度なら数分でできる。建物などに傷つけないという枷をつけなければ一瞬だ。しかし…
「それが問題なんだよな。皆殺しってだけなら兵器を使えば可能だろうが、遺体すら残らないってのがなあ…。」
頭を捻るがここで考えてもどうにもならないだろうと現場を見て回る。
「服だけが残されるって、今までもあったんだけどな。規模は違うが。」
「何だと!!」
同僚がボソッと言ったとんでもない発言にライはつかみかからんとする勢いで聞いた。
「うわっ!急に大声を上げるなよ。ったく、年間数十名程度似たように服だけ残して消える行方不明者がいるんだよ。でもその程度の数の行方不明者は珍しいわけじゃあない。」
過去の記録を見たらしいその同僚によれば大体千人に一人くらいの割合で行方不明者は出ているそうだ。その一つ一つに手を回せるほど警察も暇じゃないことはライも知っている。しかし、嫌な予感がぬぐえない。
「どうにも嫌な感じだな。」
妙な胸騒ぎがした。少なくともこの事件を引き起こした人物は俺やトランクスにもできないことができる者だ。とんでもない存在がいる気がした。
ー-----
「ちょっといいか、ミライ。」
「そんな体で俺に話しかけてくるとはいい度胸だな、人造人間。」
三年前、過去から現代に戻る前に十六号に言われたことを思い出す。
「壊されるならそれはそれで構わない。お前からすれば俺も悪の権化にしか見えないのは理解できる。だが、この話は聞いておいた方がいい。」
首だけになった十六号はブルマたちの技術で肉体が与えられていた。もちろんゲロが作ったそれとは見た目以外は別物だ。今の十六号には普通の人間より少し強い程度の力しか与えられていない。
「…冗談だ。何か忠告があるなら話せ。」
「未来はどうなってるか知らんが、この世界のゲロは十七号や十八号、そして自分自身よりもはるかに強力な人造人間を造っていた。この時代では完成を諦めたようだし、未来では既にゲロが死んでいるようだからまず心配はいらないだろうが、一応気に留めて置け。」
ー----ー
過去で十六号から聞いた話が思い出される。そんなはずはないと首を振った。その話を聞いてこの時代の研究所も破壊したのだから。
「それじゃあ、俺はそろそろ上がる。」
「おう、お疲れ~」
警察署で同僚たちの挨拶を背に、すっかり暗くなった空を見上げる。普段ならブルマからもらった車を使うが、カバンにしまってあるホイポイカプセルには目もくれず誰にも見られないように裏路地に入り、一気に舞空術で上空に飛んだ。
「気のせいだ。異様な事件で後ろ向きになってるだけだ。」
自分に言い聞かせながら凄い速度でカプセルコーポレーションに向かった。
*
「ライさん、仕事終わったみたいです。」
カプセルコーポレーションにいたトランクスはライの気が動き出したことを研究室にいるブルマに伝える。
「あらそう?この研究が終わったらすぐに行くから、先に外出て待っててちょうだい。戻る年調整しといてね。」
世界が平和になりタイムマシンの燃料も生成も終わった。ブルマが早急に研究しなければならないことはとりあえず終わったのだが彼女は天才研究者、新たなる発明に余念がないらしい。
「分かりました。ライさん結構急いでこっち来てるみたいなんで早めに来てくださいね。」
ブルマにそう言ってトランクスは外に出た。
BOMB!
「さて、十八年前に行きたいからエイジ770年だな。」
タイムマシンを出して年代をいじるために乗り込もうとするトランクスの背後を
エイジ???年
↓
エイジ788年
「…」グシャ!
「ッ!ゴハッ!」
背後から急に肺を貫かれ反応しきれなかったある青年が、トランクスが倒れる。
「ほう、攻撃の瞬間まで気を抑えていたにもかかわらず反応して見せるとはなあ。どうやら私の知るお前よりはずいぶんと強かったようではないか。まあもはやどうでもよいことだが…な。」
セルは奇襲を成功させたことに満足しトランクスを見下ろす。
「き…は、な…の…!」
肺を撃たれたことによりまともに声を発することができず言葉にならない言葉を発する。
「知ったところで意味はあるまい、まもなくお前は死ぬのだからな。まあせめてもの情けだ。貴様の肉親も一緒にあの世に送ってやる。じゃあな。」
そう言うと相手は気功波を撃ちだそうとした。その威力たるは青年の背後の建物を吹っ飛ばすほどであり、今のトランクスに防ぐ術はなく、そのままやられるしかない状況だった。
「や…ろ!」キュイン!ドガアアアン!!
気功波により大きな粉塵が舞い視界が遮られる。その様を見て少し顔をしかめる。
「少し強くしすぎたか。まあいい。もう私がここに来ることはないのだからな。」
そうこぼし、青年を奇襲した戦士はタイムマシンに乗り込む。雨が降り始めた。
「むう、この姿のままではタイムマシンに乗れないか、仕方ない。これも完全体のためだ。」
発進のボタンを押し、カバーが下がっていくのに呼応するかのようにセルの姿がどんどん縮み卵になっていった。タイムマシンが作動する。それを止める者はいない。
*
「…ゴフッ!」
セルがトランクスに止めを刺そうと放った一撃はしかしトランクスには当たらない。そのすべてをライが肩代わりしたからだ。
「ッ!」
「私が生き残った意味をずっと考えてた。あの時、私じゃなくてピッコロが生き残ったらきっとこんな未来になってなかったのにって。ずっとそれが負い目だった。」
それが払拭できたわけじゃないけれど、
「やっとみんなに謝りに行ける。」
「グ、ウ…ライさん!待って、死んじゃだめだっ!」
血があふれる状態で尚、叫ぶ。雨によって待っていた粉塵が地に落とされる。カプセルコーポレーションが大破している。ブルマは助かっていないことを悟る。
「私の手の届く範囲は、最期まで狭かった。ごめんね、トラ…」
瞳から光が失われ、倒れ込んだ。肺を貫かれた痛みで最初から気なんて感じられなかったけれど、ライの気はもう感じられないであろうことを、死んでしまったことを理解してしまった。
「ライさん!ライさん!うわあああああああああああ!」
死の淵に立ったトランクスが、その肉体が窮地を脱しようと超化する。稲妻が全身からほとばしり、すさまじい光を放つ。
「雷が落ちたか!?」
「見て、あそこ!二人倒れてる!」
異変に気付いて様子を見に来た近くの住民が慌てて騒ぎ出す。
「本当だ、急いで救急車を呼ぶぞ!」
トランクスの超化が解けて気を失ったのは救急車が到着する直前のことだ。
*
「臨時ニュースをお伝えします。西の都、カプセルコーポレーションにて落雷による火災が発生しました。この事件により、代表のブルマ氏が火災に巻き込まれて死亡、その息子のトランクス氏が意識不明の重体です。また付近にいたとみられる警察官のライ氏が雷に打たれて死亡しています。」
世界線cell
この世界線はセルがトランクスを殺した世界、ゆえにタイトルドラゴンボールZ・オルタナティブ(別の世界のドラゴンボール物語)でした。
トランクス8億
ライ2500万
セル12億
トランクスは未来に帰ってきてからも修業を重ね、原作の未来トランクスセルゲーム時と同じくらいの強さを手に入れました。トランクスは通常時でこれなので不意打ちでなければセルに勝ち目はありません。セルは未来世界でも生体エキスを頑張って集めてこの値まで伸ばしました。
ライは修業自体はしていましたが警官として働き武道からは少し距離を置いていたので500万のパワーアップに収めました。年齢もきついですしね。ちなみにライが助けに入った時は界王拳のみなので5億です。この日が満月だったらまた違った結果になったでしょう。
セルは数万人程度しかいない人間全員から生体エキスをすっても12億には届かないので動物からも吸ったりしたんでしょう。なんならほとんど動物エキス。