「こんにちはライさん、お久しぶりです。」
「悟飯久しぶりです、大きくなりましたね。」
人造人間の騒動から七年後、ライは数年振りにあった悟飯に顔を綻ばせて言う。
「そう言うライさんは全然変わりませんね。」
「貴方と違ってもう結構いい歳で成長のよちないんですよ。でもまあ変わらないってのは好意的に受け取っておきます。ところで悟天君はどうですか元気してます?」
父さんのことを聞かないあたり、なんとなく想像できるのだろう。実際に修業に明け暮れているからおそらく想像通りであろうが。
「ええ、最近じゃ父さんとの組み手で超サイヤ人になっちゃいましたよ。」
「へえ、超サイヤ人になった悟天ですか。少し戦ってみたくはありますね。近いうちにパオズ山にお邪魔しようかなあ。」
「本当ですか!ええ、是非来てくださいね。僕も悟天も父さんや母さんだっていつでも歓迎しますから。」
そう言ってくれた悟飯に礼を言って先を促す。
「ふふ、ありがとう悟飯。それじゃあ悟飯の学校が休みの日にでも。ところで何か用があったから来たんじゃないんですか?」
「ああそうでした!ライさん、一月後に天下一武道会が開かれるんです。学校の友達に誘われて出ることになったんですけど、そしたら父さんや悟天も出るってやる気になったんでみんなも誘おうかなって。」
「それじゃあピッコロや天津飯さん達も?」
「ええ、ピッコロさんやブルマさん一家はもう出場してくれるって言ってました。ブルマさんからヤムチャさんにも話は通ると思いますし後はクリリンさん一家と天津飯さん達ですね。」
「なるほど、久しぶりに勢ぞろいするわけですか。」
「はい。いい返事がもらえると思ってます。でも…」
でも天津飯さん達の気が見つからないんですよねえと愚痴る。
「彼ほどの実力者なら地球のどこにいても見つかるはずなんですけど…きっと今取り組んでる修業のせいですね。私が居場所を知ってるので話を通しておきますよ。」
「そうですか!よかったあ。天津飯さん達だけ仲間外れになりそうで困ってたんですよ。是非お願いします。」
「ええ。」
「それじゃあ僕はそろそろ行きますね。一ヶ月後、楽しみにしてます。」
そういって悟飯は飛び立った。
*
「ほう、天下一武道会か。懐かしい大会だな。」
悟飯がライの元を訪れた次の日、ライは天津飯のところにやってきていた。
「せっかくだからどうですか。私も出ますし、久しぶりにみんな集まるみたいですけど。」
「…すまないが、今回は見送らせてくれ。」
少し悩んだようだが、断られてしまう。予想していたことではあるけれど。
「やっぱりその修業、一ヶ月じゃ完成しませんか。」
「まあな。これが完成するまでは自分を追い込むのをやめたくないんだ。」
この人は生真面目で自分に厳しいから。
「そうですか、残念ですけど仕方ないですね。それじゃあ修業が完成したら私と手合わせしましょう。修業の成果を見てみたいです。」
「ああ、そうだな。そしたら餃子も連れてこちらから会いに行くよ。」
「ええ。楽しみにしてますね。」
そう言ってライは天津飯の元を去った。
*
そして天下一武道会の日はすぐにやってくる。
*
「ライ!こっちこっち、おーい!」
パパイヤ島について受付に向かっていると聞きなじみのある声が聞こえた。
「ブルマさん!お久しぶりです。それにみんなも。」
集まっていた、ブルマ一家に孫一家、そしてピッコロにそれぞれ挨拶を交わす。
「悟飯ごめんね。天津飯には断られちゃった。」
「いえいえ、本人の都合もあるでしょうし、仕方ないですよ。今日は頑張りましょうね。当たったら絶対勝ちますから!」
「私もそう簡単には負けません。」
そう話しているとクリリンが会話に入ってきた。
「お前達と戦うにしてもせめて本選で戦えればいいんだけどなぁ。これだけいれば誰かしらは予選でぶつかっちゃうよ。」
「あれ?知らなかったんですかクリリンさん、今回から予選の形式がかわったんですよ。」
「へえそうなのか、そりゃまたどうして?」
「なんでもアナウンサーが前回の本選があまりに地味だったから少しでも派手になるようにパンチマシンでパワーが上の人から順に16人とっていくみたいです。」
この話はあくまで噂だけれど、意外と核心をついていると思う。第二十三回天下一武道会を最後までリングアナとして全うした彼にとって前回の大会は余りに面白みに欠けるものだろうから。
「へえーラッキーだったな。それなら俺達全員本選出場は決まったようなもんじゃないか。」
「ええ。ついでにもう一個朗報です。前回から子供の部と大人の部に分かれたらしくて、だから悟天君とトランクス君は別枠です。これも悟空とピッコロレベルの戦いに子供を巻き込めないっていう配慮だったんでしょうけどね…」
「今のあいつらよりも物凄い大怪獣バトルが少年の部で行われるってことか。なんか今回出場する子がかわいそうになってきたぜ。」
「はは、確かにそうですね。でも僕は悟天とトランクス君の戦いが楽しみですよ!」
「ええ、きっと天下一武道会史上最高の戦いになりますよ。もっとも今日はその最高の戦いが何度も塗り替えられる日になるんですが。」
「ははっ!違いない。」
そう言ってライ達は受付を済ませ、道着に着替えなおすと予選会場に入る。
*
「ややっ!やややや!君達は!」
予選会場に入るとすぐにアナウンサーが嬉しそうに駆け寄ってきた。
「今日はなんと素晴らしい日だ。まさか君たちに会えるなんて、ずぅーっと待っていたよ。君たちがまた参加してくれるのを!」
「よっ」
「どうも」
「お久しぶりです、アナウンサー。」
何度も参戦していた悟空やクリリン、そしてライが挨拶を交わす。
「正直言って君たちが出場しない天下一武道会は退屈そのものだったよ。もうレベルが低い低い、おや?」
三人の後ろにいる仲間たちに目線を移す。
「ところで、皆さん仲間かな?」
「ええ。みんな前回よりも圧倒的に強くなってきてますから楽しみにしてくださいね。」
「いやー結構結構頼もしい。あなた、もう会場を破壊しないでくださいね。」
アナウンサーがピッコロに釘を刺す。
「さあな。」
「こらこら。」
「まあまたあの凄まじい戦いが見れるならなんでもいい。期待してるよ。君たちなら予選突破確実だ!素晴らしい試合を頼むよー!」
そう言ってアナウンサーが去っていった。
*
それからほどなくして天下一武道会の予選が始まる。予選方法はライが調べていた通り、パンチマシンの数値の高い順だった。アナウンサーと目が合う。
「それでは最初は前回優勝者のミスターサタンさんにやってもらいましょう。」
(参考記録を見せてくれるってところかな。変に目立たないようにってことでしょうか。)
アナウンサーの細やかな気づかいに軽くお辞儀すると彼がにんまりと笑った。
「130も出せれば予選突破ですかね。」
悟飯が友達に会いに行くと去ってしまったがそれ以外の仲間内にそう話す。
「そんなことは分かってるさ、問題はどうやってそれくらいの値に調節するかだ」
十八号が少し困ったような表情で言った。
「そんなもの壊しちまえばいいだろう。」
「せっかくの気づかいを無駄にしちゃ悪いでしょう。まったく。」
「気を調節すればいいんだよ。そんな難しくない。」
そう言うとちょうど十八号の出番になったようだ。一度とんでもない値を出したがなんとか調節しなおして200前後に数字を抑える。
「やっぱり難しいですよね。日常レベルの力と戦闘用の力は違いますもん。しかも武闘家レベルなんて日常レベルとも戦闘用のレベルとも離れた中途半端な力ですもん。」
「ふっふっふ、気のコントロール技術だったら俺の独壇場だ。」
そう言ってクリリンがパンチマシンをたたく。結果は140。その後も悟空やピッコロ、それにライが調節に難儀しながらも200前後をたたき出し、ベジータがパンチマシンを破壊した。サイヤ人として生きてきた彼に手加減など技術的に可能かどうか以前にありえないのだろう。
「あ~ららやっちゃった。」
クリリンがそう言うように、ライ達もあちゃーと頭を押さえているが、それでパンチマシンが復元されるわけではない。ライ達より後にパンチマシンをたたくことになる悟飯は組み合わせによっては悟天とトランクスの戦いを見れないかもしれない。ちょうど少年の部が始まるとアナウンスが入った。
「悟天とトランクスが出る少年の部が始まるらしいぞ、せっかくだから見に行こうぜ」
悟空を皮切りに予選を終わらせた六人が移動する。その途中で悟飯のところにも立ち寄った。悟空が驚きクリリンが茶化す。
「女の子の武闘家なんて珍しいですね。」
仲間内に女性の武闘家がいなかったから、ライにとってビーデルの存在は珍しく映る。
「しかもけっこう強い。」
当然、ライやクリリン達の領域には遠く及ばない。あくまでも一般の武闘家としてみるならば、だ。
「ええそれに飲み込みもいいんです。僕最近彼女に舞空術を教えたんですけどもう飛べるようになったんですよ。」
「私それ覚えるのに数ヶ月かかってるんですけど…」
なるほど、彼女もまた何か違えば私達と同じ領域に踏み入れたかもしれない人間なのだろう。
「そう言うことならちょっと楽しみになってきました。本選ではよろしくお願いしますね。」
「は、はい、よろしくお願いします。」
そうして挨拶を済ませ悟天達の戦いを見に行った。
*
「場外!トランクス選手の勝ち!優勝です!!トランクス選手の優勝!」
少年の部は当たり前というべきだろうが、二人の独壇場だった。彼等二人がお互い以外に負けるなど、そんなことはありえない。ブロックが違う幸運にも恵まれて彼等二人で決勝戦となり、二人は超サイヤ人を解禁しての激しい戦闘の末、トランクスの優勝になった。決め手はトランクスの気功波。背中にもろに受けた悟天が勢いを殺しきれずに場外に出てしまう。
「すっげえ戦いだったな。俺正直ちびっ子たちがこっち来なくてほっとしちゃったよ。」
大人の部本選が午後から始まるとのアナウンスを聞いて昼食にしようと移動している間も二人の戦いの話題で持ちきりだった。
「私はむしろこっちに来て欲しかったくらいですよ。絶対白熱したのに…」
二人の戦いを見て臆するクリリンとは対称的にライは二人の戦いを見て彼等が少年の部で出場したことに不満があるようだ。武闘家を引退して警官として身を立てているクリリンとは違ってライはまだ武闘家で生計を立てている。その差。
「弱音吐いてるんじゃないよ。みっともない。」
弱気になったクリリンに十八号がしっかりしろと檄を飛ばす。
「そりゃあライや十八号はまあそれなりにあいつらともやりあえるだろうけどさ…俺はあいつらと戦うってなったら場外に追い出すくらいしか勝ち筋がないよ。」
「なんだ、勝つ気あるじゃないですか。」
そういってライ達は食堂に向かった。
*
昼食でサイヤ人たちの無尽蔵ともいえるのではないかという胃袋を見たのち、本選の組み合わせを決める抽選会に出る。本選出場者十六名の中で不運にも悟空とベジータが一回戦で戦うことになってしまったが、それ以外は仲間内での戦いはなかった。ただ、仲間内以外にも意外な強者はいる。それは例えば。
「最初から彼の仲間と戦えるとは運が良かったですね。どの程度のものかある程度見極められるでしょうし。」
「ええ。彼等の実力が私達の力になればよいのですが。」
何やら不穏なことをはなしている二人だったり、
「ちっ、さっさとエネルギーを吸収してあの方のお役に立たねば。」
「そう焦るな。戦いになれば実力も分かる。」
さらに不穏な話をしている二人だったり、
「一回戦目からライさんじゃん、俺あの人がどれくらいやれるのか、前からすっごい気になってたんだよねえ!」
「僕も僕も!この前家に来た時は戦ってくれなかったし。」
本選出場者に成り代わったちびっ子二人組だったりする。まあちびっ子二人は仲間内だが。
(仕方ない子たちだなあ)
係員に突き出してもいいがせっかくの機会だ、騙されてあげよう。きっと悟空やベジータ達気を探ることができる者はみんな気づいたうえで放置しているのだろうし。十八号だけは気を探れないから気づいていないかもしれないが、戦うことになればクリリンが伝えるだろう。まあ一回戦で倒すつもりだし、彼女はどちらが勝ち上がるにせよ二回戦でやられてしまうだろうから戦うことはないだろうが。
「さて、抽選が済んだのですぐに本選に移ります。一回戦目のクリリン選手とブンタ―選手は武舞台に上がってください。それ以外の選手は控室に移動してください。控室はあちらです。」
係員に案内され控室から本選の様子を見始めた。ライにとって四回目の天下一武道会が始まる。
途中で気づいてしまったことがあるのです。この世界はサタンが英雄ではないということに。天下一武道会優勝ということで有名ではあるんでしょうが。ちなみにこのパンチマシンの記録は現実のものとはかなり乖離しているようです。少なくとも単位がkgでないことは確かです。