本選ではクリリンが簡単に突破し、ピッコロがあのシンという人に対して棄権する。その後のビーデルとスポポビッチの戦いは一方的な展開でスポポビッチが勝利した。そして。
「ふはは、意外と簡単だったな。」
悟飯とキビトの戦いは界王神であったシンによって動きを阻害されたために悟飯がエネルギーを吸われる。
「もしよければ、あなた達もついてきてください。とても助かります。」
そう言って界王神がヤムーとスポポビッチを追いかけ始めた。
「どうすんだ、悟空。」
「おらはいくさ。こうなって原因を絶対に知りてえからな。」
「それじゃあ、俺も行こうかな…」
それを悟空やそれを追いかけるベジータ、ピッコロやクリリンがついて行くことを決意する。
「私は残ります。」
しかしライは残ることを宣言する。
「え、お前は残るのか?」
「ええ。あの二人を止められる監視役が必要でしょう?」
会場の屋根の上を指さしていった。上にはトランクスと悟天が扮したマイティマスクがいる。
「ここにはブルマさん達もいますし、何かあれば私とヤムチャさんで時間稼ぎ位はします。悟空がいればすぐに戻ってこれるでしょうし。」
「そっか、じゃあ悟天達を頼むぜ。」
そういって悟空やベジータ、それにピッコロが飛び出し、クリリンが十八号に追いかけることを伝えに行く。
「ええ、任せてください。…さて」
*
「ねえ、私も一緒にいっていい?いっぱいあるの知りたい事。」
キビトによる復活パワーで復活した悟飯がビーデルに詰め寄る。
「駄目って言っても…」
「無理です。あなたはついて行かせない。」
強い意志でついて行こうとするビーデルをライが押しとどめる。
「ライさん!」
「スポポビッチ程度に勝てないあなたがついて行ったって足手まといです。やめておきなさい。」
「何するのよ!足手まといになんかならないわ。もし私がやられそうになっても見捨ててくれて構わないから!」
「悟飯はそんなことできない。分かってて言ってるなら相当性格悪いよ。」
そんなつもりはないだろうけれどこうでも言えば止まるだろう。なんとなく分かるのだ。大界王よりもさらに上、界王神が危機感をもって動いている現状、相当大変なことになるだろうと。
「悟飯、行ってきなさい。こっちは私に任せて。あとで顛末を教えてくださいね。この子にも。」
「はい、行ってきます!」
ドシュン!
悟飯が礼を言って飛び立っていった。
*
「事態がはっきりするまで天下一武道会は休憩としまーす!」
悟空達が飛び立ってしまった後、出場選手の大半がいなくなったために試合は中断となった。それから一時間が立つ。
「残ったのがわずか五人、この中でトーナメントをやっても盛り上がりに欠けますからねえ。」
「賞金さえもらえればどうでもいいよ。悟空達がいなくなったのはある意味じゃラッキーだったね。高順位を取れる確率が上がった。」
「フフ、それはどうでしょうね。私以外にも意外な強敵が紛れてるかもしれません。」
少年の部で戦っていた二人を見れば私も十八号さんも簡単には勝てないだろう。二人で一人を演じるというハンデはあってもそれを強みにした戦いだってできるはずだろうし。
「皆さん、大変長らくお待たせしました。去ってしまった選手たちは戻ってくる様子がありませんので残った五名に加え、一回戦で敗退してしまったブンター選手、ビーデル選手に加え、予選会で惜しくも本選出場を逃したキーラ選手を加えた八名で本選を開催したいと思います。」
二人で話しているとアナウンサーが選手たちにそう通達する。
「それ大丈夫なのかい、なぜだか超回復したビーデルさんはともかくブンターはもうボロボロだろう」
ジュエールがそう言うが、傍らにいたブンターは不敵な笑みを浮かべる。
「へっ俺があの程度のチビ親父の攻撃にいつまでもやられてると思うなよ。全然大丈夫だぜェ」
「ちっ!あのやろうクリリンが気を遣ってやったのをいいことに…!」
クリリンは気のコントロール技術が極めて高い。きっと大きなけがやダメージを引きずらないように気絶させたのだろう。同じ芸当ができる武闘家を私は知らない。亀仙人さんならできるのだろうか。
「復活することに対して不満が無ければこれを開催したいのですが…いかがでしょうか。」
これはお伺いだったのか。なるほど、選手が去るなんて非常識な行動だったって言うのに、それの穴埋めをしなければならない運営には頭が下がる。もっとも悟空達を止めるなんてことは世界の破滅を招くかもしれないことを考えれば、悟空達を咎めるなんてできない。咎めるべきは悪の手先であろうヤムーとスポポビッチくらいだろうか。
「ええ、私は構いませんよ。数年に一度の大会、無駄には出来ないでしょうし、少年の部に劣らない戦いをお見せしますよ。ねえ、十八号さん。」
「ああ、そうだな。私も構わない。」
もともと残っていた選手が次々に案を承諾していく。
「俺達…じゃなかった、俺も構わないぜ!」
「みなさんありがとうございます。それではトーナメント表を作らせていただきますね。選手は呼ばれましたらこちらにくじを引きに来てください。」
*
「会場の皆様お待たせしました!人数が減ってしまったため、一回戦で惜しくも負けてしまった二人と、惜しくも十六名に滑り込めなかったキーラ選手を復活させての八人でトーナメントを開催したいと思います!そのトーナメントの結果は…これだ!」
第一試合はキーラとライ、第二試合はジュエールとマイティマスク、第三試合は十八号とブンター、そして第四試合はサタンとビーデルだった。第一試合から第三試合までは当然というべきだろうライ、マイティマスク、十八号が勝利する。第四試合は盛り上がる。前回大会大人の部チャンプと少年の部チャンプ。二人の戦いはそれまでの試合が全て一撃で決まったこともあって白熱した。その結末は激戦の末、ビーデルが勝った。いや、激戦とは呼べないだろう。ビーデルは舞空術を使わずに戦っていたのだから。
「技巧とパワーのぶつかりあった素晴らしい試合でした。皆さん、その試合の立役者親子に惜しみない拍手を!」
パチパチパチパチ!
「さて、それでは続きまして、ライ選手対マイティマスク選手です!二人とも圧倒的な強さで一回戦を勝ち上がってきました。その実力はどれほどのものか、私非常にわくわくしておりますっ!」
「よろしくお願いしますね、マイティマスクさん、いえ、トランクス君に悟天君。」
武舞台に上がり握手を交わす際に耳打ちする。
「イイッ!ば、バレてる…!」
「大丈夫、大丈夫。ばらしたりしないから。私もあなた達と戦ってみたかったので。」
「よ、良かったぁ…俺達もライさんがどれくらい強いのか気になってたんだ。全力でかかってきてね!」
その言葉にはいはいと返して距離を取った。
「それでは、始めてください!」
「ハアッ!」ドン!
合図と共に二人が飛び込んでくる。振るわれる攻撃を受け止める。
「よっと!」ドン!
「てりゃりゃりゃりゃりゃ!たあー!」
凄まじい速度の連撃、だが両手しか使ってこないのであれば対処は容易い。
「それっ!」
「うわぁ!」
蹴りがマイティマスクの下半身、すなわち悟天に当たる。
「よ、は、それっ!」
ドン!ゴン!バガン!
拳を二つ、ついでに蹴りを一発。マイティマスクが吹っ飛ぶ。
ビュイン!
空中で静止し観客席に突っ込むのを防ぐ。止まれるように調節した。
「足元がお留守ですよ。マイティ、さん。」
「な、なんだとー!俺達の実力はこんなもんじゃないんだ!」
どうやら何事かもめ始めたようだ。この年で超サイヤ人になれる天才児、プライドが高く、煽り耐性は低いだろう。動きが単調になるはずだ。
「おい、悟天おまえもキックとか使えよ!このままじゃ負けちゃう!」
「だって、前が見にくいんだもん!うまく攻撃なんてできないよ!」
「うまく攻撃を出来ればあげるおもちゃ増やしてやるからさ、頼むよ。」
「本当!?絶対だよ。よーし、任せて!」
ビューン!シュシュシュシュ!
「うわっ!ちょ、まっ…」
逆効果だったのか、奮起された。確かにヒントになるように煽ったわけだけれど。腕と足が独立しているがゆえにアンバランスな動きだ。対応が難しい。防戦一方になる。
「ハアァッ!」ボウッ!
ドンッ!
「ギャッ!」
ドーーン!
叩き落す。武舞台にクレーターができる。
「ちょっと、いえ、かなり大人気ないとは思うんですけどね。君達に負けたくないのです。」
界王拳、二人が超サイヤ人にならない限りは封印しておきたかったのだが。あまりに受けにくかった。それほど二人は強い。
「マイティマスク選手ダウン!だ、大丈夫でしょうか、起き上がれます?」
「ちっくしょう、パワーアップするなんてずるいよなあ。」
「イテテ…あれカイオウケンってやつだよ。兄ちゃんから聞いたことがある。」
「だったら、俺達も超サイヤ人になろうぜ。そうすりゃ絶対勝てる。」
「そうだね!そうすれば勝てる!」
カウントが数え終わる前に飛び上がる。
「飛び上がりました!マイティマスク選手はまだまだ戦うようです!」
「ライさん、驚いたよ。あんなに強いなんて。だから…」
「僕たちも本気出す!」
「「ハアァッ!」」ボウッ!
「ハハッ!」
本気を出してくれた。全力の二人と戦える。ジャッキーさんもこんな気持ちだったのだろうか。
「まだまだ君たちには負けられない!」
パワーボールを作り、打ち上げる。ライが人の姿から狼の姿に変わっていく。オーラが白から深紅に変わっていく。
「さあ、私の全力をもってあなた達を叩き潰す!」
*
「あの覆面野郎、悟天とトランクスだったのか。」
控室で戦いを見ながら十八号は独り言つ。ライが言ってた意外な強敵ってのはあいつらのことだったわけだ。二人で戦っているなら係員にでも突き出せばいいのだろうにそれをしないのはやっぱり彼女も武闘家ということなのだろうか。強さを無理やり手に入れてしまった私と武の道を探求し続けた彼女、考え方が違うのは当然だ。
「まっ、あいつらが削り合ってくれるなら好都合だし、どうでもいいけどね。」
実力は伯仲しているようだしどっちが勝つにしてもこっちが有利になるだろう。
*
「く、ライさんがこんなに強かったなんて…」
ドォン!ダガッ!ガッ!
ライの連撃をトランクスが受け止める。
「君たちもすごく…強いっ!」
相手の攻撃は大体防げているものの、自壊技の二十倍界王拳を連発している。そうしなければ防げないが、見た目以上に追い込まれている。
(楽しいなぁ)
口角が自然と上がってしまう。次世代は育ってる。私が圧倒的才能の壁の前で醜く足掻いている間にも、その壁の向こうにいる者たちはどんどん次のステップに進んでいくのだろう。
「さあ、そろそろ決着と行きましょうか!!」
きっと、地球の危機に私は必要ない。ライという武道家の幕引きの時間がやってきたのだろう。決着はここだ。最後に見せてあげましょう。この私唯一のオリジナル技を。
「ビクトリーキャノン!」
接近してくるライにカウンターのようにトランクスが放つ気功波を気弾を使って滑るように接近する。
「ウルヴィアインパクト!」
バン!ババン!ババババ!
爆発波をまとった拳、当たった場所を衝撃波が何度も襲う。
「うわっ!おわっ!ちょっと!」
動きが鈍る、その隙に。
「気円斬!」
「トランクス君、まずいよ!よけて!」
「あわ、あわわわ!」
ギシャッビリッ!
「ヤバッ、ああ、服が…!」
マイティマスクが悟天とトランクスに分離する。
「ああッ!なんと、マイティマスク選手二人で出場していたようですッ!失格、失格でーす!」
地上でのアナウンサーの声を聞き、ライが口を開く。
「武闘家として最後に全力で戦ったのがあなた達でよかったです。」
言い争ってる二人を見ながらそう言って二人に手を差し出す。
「二人とも素晴らしい試合でした、ありがとう。」
「え、あのえっと…こちらこそ?」
「僕も楽しかった!」
悟空やベジータ、悟飯にも決して劣らない戦士。手を握ってくれようとした二人を躱して抱きしめる。
「「わっぷ」」
「君たちの行く末が楽しみです。君たちには無限の可能性が広がってるんですから。」
もちろんこの子たちが武の道に進まない選択をとっても尊重するけれど。できればこの子たちが武道を極めていく姿を見てみたい、そう強く思った。