ドラゴンボールZ・オルタナティブ~世界線c~   作:三軒過歩

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(第七十話)大人の義務

ドラゴンボールを七つ集め終わり、西の都のカプセルハウスに着く。

 

「ねえ、さっきから深刻そうな顔してるけど、その魔人ブウとかいうやつの戦いがどうなったのかって気だけでもなんとなく分からないの?」

 

カプセルハウスに戻ってトランクスと悟天を寝かせるとブルマがライに詰め寄ってきた。

 

「ブルマさんえっと、あの…」

 

「何か隠してるでしょ。分かるのよ。あなたのことは妹みたいに思ってんだから。」

 

確信のある表情。そんな顔をされたら正直に答えるしかなくなる。

 

「気を読んでいるだけなので正確ではないかもしれませんがそれでも覚悟のいる内容です。後悔しませんか?」

 

「ええ、いいの。どんな内容でも受け入れて見せるわ。どうしようもないときはあなたの胸を借りるもの。」

 

敵わないなあとこぼしライは降参のポーズをとって話し始める。

 

「まず魔人ブウと悟飯の戦いです。悟空とベジータの戦いはブウが復活してもしばらく続いていました。二人の決着がつく前に悟飯はブウに殺された。」

 

これに関しては確信がある。ブウの気が膨れ上がったと思ったら悟飯の気が消えた。生きているとは思えない。同様に界王神に関しても似たようなことが言える。彼も死んでしまったのだろう。でも彼等に関してはドラゴンボールで生き返らせることができる。問題は悟空とベジータだ。

 

「ッ!」

 

「その後に悟空とベジータとの戦いはおそらくベジータが勝ちで決着がつきました。でも決着が不自然だったので、悟空がどうなってるのか分かりません。まあ今動きがないってことは期待しない方が良いんでしょうけど。ベジータはそのまま魔人ブウに挑んで、そしてそのままブウに…。」

 

「そっか…」

 

「意外と冷静なんですね。」

 

泣き叫ぶかと思ったのだが、ブルマはそっかと言っただけで落ち着いている。

 

「言ったでしょう。あなたのことは妹見たいに思ってるって。なんていうか、あなたの前ではかっこつけたいの。ねえ今の話ってヤムチャや亀仙人さんも知ってるの?」

 

「そうですね。大体私と同じところまでは推測できているでしょう。」

 

「気を利かせてたのね、労ってあげないと…」

 

「本当にブルマさんは強くてかっこいいです。貴方みたいなれればよかったのに。」

 

私にあなたのような強さがあればベジータが凶行に走る前に防げたかもしれないのに。きっとブルマさんがあの時武舞台にいればベジータを止められたのだろう。

 

「何言ってるのよ。あなたがすぐにベジータを食い止めようとしてくれたから犠牲が減ったのよ。私はあの時なにもできなかったんだから。」

 

そう言ってくれて少しは救われた。

 

「さあ、みんなのところに戻りましょう。このことを伝えてあげなきゃいけないから。」

 

「そうですね。」

 

そう言って大広間に戻るとちょうど悟空が瞬間移動でやってきたところだった。

 

「良かったぁみんな揃ってる。ライがいてくれたおかげですぐ瞬間移動できたぞ。」

 

「い、生きてる?だってじゃあいままであなたはなにを…」

 

「すまねえな、詳しい話は後だ。今はとりあえずドラゴンボールを持って集まってくれ。神殿まで瞬間移動する。」

 

目を白黒させながらもライ達は神殿に移動した。

 

 

「というわけだ。とりあえず地上は危険だから神殿に連れてきた。」

 

「なるほど、魔人ブウは復活してしまったんですか…。」

 

「そったらことより、悟飯はどこだ?」

 

「あ、いやチチさん、それは…」

 

話を聞いていたブルマと気を読める者たちの表情がこわばる。覚悟を決めるのが一番早かったのは悟空だった。

 

「どうせ言わなきゃいけないことだから、言う。…悟飯とベジータは死んだ。魔人ブウに殺されたんだ。」

 

「あひゅう…」

 

その言葉を放った瞬間チチはショックで気絶する。仕方ないことだ。実の息子が死んだなんて私には想像もつかないことだから。

 

「(僕の声が聞こえるかな、地球の諸君?)」

 

気で感じ取って薄々分かっていたこととは言え、実際に言われるとショックは大きかった。でもそんな余韻に浸れる暇さえ悪魔どもは与えてくれないらしい。

 

「(そんなわけで、僕が言った三人に心当たりがある人は僕に教えるんだ。魔人ブウにお菓子にされたくなかったらね。)」

 

要約すれば、ピッコロの情報提供を求める念話だった。ただし期限は五日でそれまで地球人を殺して回るらしい。

 

「あ、あのヤロー…!」

 

「あいつらが悟飯やベジータを殺したのか、どぶを下水で煮込んだようなクズ野郎め。」

 

「みすみす犠牲者を出すことはない。俺が出ていく。」

 

「馬鹿なこと言ってんな。おめえが言っても殺されるだけだ。」

 

ピッコロが飛び出そうと動き出す前に悟空が止める。

 

「耐えなければならねえって言ったのはおめえじゃねえか。殺された人々や地球はドラゴンボールで元に戻せるんだ。気にするな。」

 

「そうですよ。気持ちは分かりますけど今は辛抱するときです。」

 

「…なるほど。」

 

頭では分かっているはずだ。だから踏みとどまってくれる。

 

「悟空、でもどうするのですか、あなたとベジータの実力は拮抗していた。ベジータが負けた以上悟空一人では勝てないでしょう。あなたを援護できる戦士だってもうここには…」

 

辛うじてピッコロだろうか。そのピッコロでさえ悟空から殺されるだけだと言われるレベルだ。

 

「それに関してはおらに一つだけ考えがある。その修業を精神と時の部屋でするつもりだ。おらが使えるぎりぎりまでな。」

 

悟空が精神と時の部屋を使える時間はあと二十四時間と少し。どんな修業をするか知らないが、一年で体得できるか怪しいのだろう。

 

「上手くいくのか?」

 

「分かんねえよ。ずっと前に一回試して諦めたことだ。でも一年間ずっと向き合えば出来るかもしれねえ。」

 

「分かりました。あなたが修業を終えるまで必ずこの神殿は守りますから。ねえピッコロ?」

 

「ああ、バビディの念話を聞いてチビ共が先走らないようにもな。」

 

「ああ、チビ共と、チチと、みんなを頼む。」

 

ピッコロとライとクリリンに見送られ悟空は精神と時の部屋に入っていった。

 

 

「いっつも悟空に頼りっぱなしで、どうしてこうなんでしょう。」

 

悟空を見送った後ピッコロとクリリンにそう愚痴をこぼす。

 

「仕方ない。俺達の実力が足りないからな。だがだからと言って何もしなくていいというわけではない。俺達には俺達に出来ることがあるだろう。」

 

「まっ、とりあえずバビディたちがここに勘付かないことを祈りつつ悟天やトランクスをここにとどめておかなきゃな。」

 

クリリンがそう言ったタイミングで悟天とトランクスの気が動き出した。彼等の目が覚めたのだろう。三人が二人の場所に行く。

 

「あ、ライさん!良かった、ここがどこなのかさっぱり分からないし、パパたちがどうなったのかすっごく気になるし、事情を話してもらうからね!」

 

「僕達を気絶させた理由も!」

 

そう言うと今度はごまかされないぞという強い意志の表れか超サイヤ人になって気を高めている。そんな姿を見てピッコロやクリリンがため息をこぼす。

 

「もちろん説明するよ。全部聞いてもらってこれから一日、何があっても私達と一緒にいてもらうために。」

 

そう言ってライは二人に今地球で何が起こっているか、どうして二人を気絶させたのか話始めた。

 

 

「嘘だッ!パパが殺されたなんてそんなの…!!」

 

「うわーん!兄ちゃんが死んじゃったああああ!!」

 

事情を話し終わってベジータと悟飯が死んでしまったことに二人は泣きわめく。まだ十歳にも満たない子供だ。三人は彼らが泣き止むまで待とうとするがそんな都合を相手は考えてはくれない。

 

「(地球人諸君!どうやらだれも情報を提供したがらないみたいだからとりあえず東西南北の都を破壊することにするよ。まずは南の都からだ。全部の都を破壊すれば地球人の三割くらいは死ぬんじゃないかな?)」

 

「お前達聞いちゃだめだ!あと一日待てば悟空が何とかしてくれるッ!」

 

クリリンが叫ぶが直接脳内に響くようなバビディの念話を聞かないようにすることなんてできない。ピッコロとライが動き出す。

 

「子供だからって何度もやられない!」

 

トランクスがそう言ったかと思うと悟天と共に超サイヤ人になってピッコロとライから距離を取る。

 

「俺達だってここで飛び出したらどうなるか分かってるよ。パパや悟飯さんがやられたんだからきっと勝てない。でも…」

 

「兄ちゃんたちの仇を僕達も討ちたいよ、このまま何もしないでいるなんてできない!」

 

そんな二人を慈しむような顔でライがなでた。

 

「君たちは強いよ。そしてもっと強くなる。だけど君たちはまだ子供なんだよ。無茶させられない。」

 

「俺たちはそこらの大人よりずっと強いってば!!」

 

その言葉にクリリンが引き継いだ。

 

「分かってる。お前達はライや十八号と同じくらい強いし当然俺よりずっと強いさ。ここにいる中でお前達に勝てるのはピッコロくらいだよ。」

 

「だったら!」

 

「でもお前達はまだ成長途中なんだ。まだまだ強くなれるし悟飯みたいに学者の道だってあるし、何でもできる。その未来を守るのは大人の義務、俺達の役目なんだ。そこに強さは関係ない。」

 

「そう言うことだ。いいからお前達は俺達大人の戦いを見てればいい。そしてお前等が大人になった時、今度はお前たちが次世代を守るんだ。」

 

トランクスがピッコロの相手をすれば悟天くらいは神殿から飛び出せたかもしれない。でも二人とも受け入れてとどまってくれた。

 

「さて、神殿と二人を守るって話だったもんな。次は神殿をあいつらに悟られないようにしなきゃ。」

 

バビディが通信をしてきた位置から南の都まで、彼らはカリンを通る。彼等がこんな目立つ塔にちょっかいを掛けないわけがない。ここを通りかかるまで数分。神殿が如意棒を取り込んで移動できるようになるまで十分はかかる。だから時間稼ぎは大人の役目だ。

 

「あいつらの狙いをここから逸らすだけだ。なに、そんなに難しい話じゃない。」

 

その言葉に二人が頷き神殿の外に出るとクリリンが十八号に呼び止められた。

 

「待てよクリリン!」

 

「十八号…」

 

「やばそうだったら逃げろって言っただろ。こんなのめちゃくちゃヤバイじゃないか。どうしてまた戦いに行こうとしてるんだよ。」

 

先に行ってくれと言葉を受けピッコロとライが天界から降りる。

 

「ごめんな十八号、このまま万が一ここがバレたら地球はお終いだ。お前たちが暮らせるようにちゃんと地球を守っておきたいんだよ。一日待てれば悟空が何とかしてくれる。」

 

「そ、そんなの、ライやピッコロにやらせればいいじゃないか!わざわざお前が行かなくたって!」

 

ハッと口をつぐむ。自分勝手なことを口走ってしまったとバツの悪そうな顔になる。

 

「俺はこんなんでもお前の旦那でマーロンの父親だからさ、降りかかりそうな火の粉は払っておきたいんだ。ごめんな。」

 

「大丈夫、ピッコロやライがいるんだ。そう簡単にはやられないよ。」

 

ニカッと笑う。俺の笑顔に悟空みたいな力はないかもしれないけど、十八号には通用してくれることを願って。

 

「じゃ、行ってくる!」

 

そう言ってクリリンも天界を降りた。




超にてデンデが十七号のところへ悟空を案内する際にやっていた神殿の移動に如意棒しまう時間を独自設定として追加しました。
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