一ノ瀬学園校庭
この日、マラソン大会のため、校庭には生徒で溢れていた。
小林「あ~あ、マラソン大会なんて何の意味があるんだろーね、成ちゃん。」
成幸「まぁ・・・、正直喜ばしいイベントじゃないよな。」
その時、
うるか「おっしゃー!気合入れていくぜー!」
純「気合入れすぎてヘバんなよ、うるか。」
うるか「へっへー、それはこっちの台詞だよー!」
近くに純と武元の話し声が聞こえた。それを聞いた小林は、
小林「ま、やっぱ優勝候補は、純ちゃんと武元がダントツだろうねー。」
と言った。すると、成幸に気付いた純と武元は、
うるか「おーっす成幸!ヘバんなよー!」
純「自分のペースで良いぞ成!こばもな!」
そう言った。
成幸「ああ、ありがとう!」
小林「ありがとう、純ちゃん!」
その時、横から
大森「おーっす、唯我、小林ー♪昨日の洋ドラ見たー?」
大森が話しかけてきて、
大森「スゲーよな外国人って!挨拶でフツーにキスとかしちゃうんだぜ!!俺外国の大学受けよっかなー♡」
と言った。
小林「何寝ボケてんの大森。キスったって、挨拶じゃほっぺとかでしょフツー。」
大森「そりゃまぁそうだけどよ!!俺はほっぺでも全然オッケー♡」
成幸「そもそも、お前日本語以外喋れんのか?」
その際、成幸からご尤もなツッコミを食らった。
先生A「よーい。」
パンッ
そして、マラソンがスタートした。小林の予想通り、純と武元は順調な立ち上がりを見せ、走って行った。一方の成幸は、
成幸「はぁ、はぁ、はぁ。」
成幸(み・・・皆ちょっと速すぎない・・・?)
体力が無いため、遅れてしまっていた。しかし、遅れていたのは成幸だけではない。
緒方「ぜぇぜぇ。」
成幸「!」
緒方「はーっ、はーっ、はーっ。な・・・成幸さん、ゲホッではありまオエッ・・・。」
緒方も体力無いため、遅れていたのだった。
成幸「緒方・・・。そういや、お前も体力無い仲間だったね・・・。」
と言われた緒方は
緒方「な、何を!!一緒にされては心外ですっ!丁度これから本気を出そうとしていたところ・・・ッ!?」
強がったのだが、その途中で足裏を痛めたのだった。それを見た成幸は、
緒方「ん・・・、ん・・・っ。」
成幸「全く・・・、ムリに見栄張ろうとするから・・・。」
緒方の足裏をほぐしていた。すると、緒方が突然
緒方「・・・成幸さん。悩みがあるなら、私に甘えて良いのですよ!!」
と言い始めた。
成幸「近いッ!!!というか急に何の話!?」
緒方「先程文乃に何か相談しかけていた気がしたので・・・。」
成幸「見られてた!!何て恥ずかしい!!」
しかし、緒方の視線に負けて、成幸は悩みを相談したのだった。
緒方「・・・つまり、安達さんがプロ入りを決めたという事に関してですか?」
成幸「あ、ああ。自分の幼馴染がこうして活躍して評価され、プロの世界に入ったというのは非常に誇らしいんだけど・・・。」
緒方「・・・何か問題が?」
成幸「ああ、実はそのドラフト会議の前、あいつがやけにぼーっとしてた時があっただろ?」
緒方「そう言えば、そんなときがありましたね。」
成幸「あの後、純に聞いたんだ。」
回想
純『どうした、成?』
成幸『お前、最近やけにぼーっとしてんな。本当に大丈夫なのか?何か悩みがあるんじゃないのか?』
純『・・・何でそう思った?』
成幸『何年の付き合いだと思ってる?』
純『・・・ったく、お前って鈍いのか鋭いのか分かんねーな。』
そう言って、純は悩みを打ち明けた。
純『・・・俺、実は去年辺りからメジャーから声が掛かっててな。それで迷ってたんだよ。』
これには、
成幸『えっ!?マジで!?メジャー!?』
純『ああ、マジだ。』
成幸『ス、スゲーじゃん!!』
成幸は驚いてしまった。
純『ありがとう。実際この前の国際大会で、プロだけでなくメジャーからも更に評価が上がってな。一応プロで活躍して稼いで、母さんを楽させたいという目的は持っていたんだが、メジャーでもやってみたいという思いも持っていたから、結構迷ってたんだよ。』
成幸『そ、そうなのか。』
純『ああ。』
回想終了
緒方「そうだったんですね。」
成幸「ああ。俺も聞いたときは驚いたよ。それに、あんな純を見たのは初めてだったし。」
緒方「けれど、結局安達さんは、プロに決めましたね。」
成幸「ああ、それについては、最初に相談してから暫く経った時に聞いたんだ。」
回想
純『成、俺プロ入りするわ。』
成幸『え、そうなのか!?メジャーは!?』
純『それは胸の内にしまっておく。実際あの大会で通用したからといって、メジャーでもあっさり通用したら、全国の高校球児は全員メジャーリーガーになれると思う。だから、もう迷わねー。俺は何もかもを越えてからメジャーに行く。』
成幸『・・・そうか。』
純『それに、あいつが俺の事から目が離せないくらい一番になってやる。』
成幸『あいつ?誰だ?』
純『ふっ、秘密だ・・・。』
成幸『何だよそれ・・・。けど、お前がそう決めたのなら、俺は何も言わねーよ。頑張れよ、応援してるから!!』
純『ああ!!』
回想終了
緒方「そうだったんですか。」
成幸「ああ。その後実際に指名されて、正直俺も嬉しい気持ちになったよ。」
緒方「はい、私も文乃もうるかさんもそうでした。特にうるかさんが一番嬉しそうでしたね。」
成幸「ああ。・・・けど」
緒方「?けど?」
成幸「・・・けど、それと同時に気付かされちゃったんだよな・・・。」
成幸(純だけじゃなく、緒方や古橋、そして武元がいつも生き生きと輝いていて、それに比べて何も無い自分にどこかで距離を感じていた。その距離の正体、それは・・・)
その時、
たんっ
純と武元が、並んで走り去ったのだった。
うるか「あ、おーっす!」
純「よう!」
うるか「へっへーっ♪一周差ー!」
それを見た成幸は、
成幸「やっぱり、まだ無理そうか・・・。暫くここで安静にしててくれ。後で先生呼んでくるからな。」
と言って立ち上がった。
緒方「す、すみません・・・。感謝です。」
成幸「こっちだよ。」
緒方「え?」
成幸「ちゃんといっぱい悩ませてくれてありがとう、緒方。」
と言って、その場を後にしたのであった。
うるか「ほっ、ほっ。」
純「ふっ、ふっ。」
うるか「うっし、今日は結構調子良いぞ。」
純「それ、フラグだかんな・・・。」
うるか「ああー!!それ言わないでよー!!」
純「はは。わりーわりー。」
うるか「もー!!」
その時、
成幸「うおおお。」
純・う「「ん?」」
後ろから声が聞こえた純と武元は、振り返ると、
純・う「「!?」」
成幸が全力疾走していた。
純「おい成、飛ばし過ぎだぞ!?」
うるか「そうだよ!?短距離じゃないんだし、ムリしてヘバったら意味ないっしょ!?」
すると、成幸はペースダウンをしてしまい、
純「ったく、ムリすっから・・・。」
うるか「そうだよ、言わんこっちゃ・・・」
しかし、
ぐんっ
純・う「「!」」
またペースを上げ、
成幸「おっ、追い付いたぞ、純ッ!!!」
そう言った。
純「って、まだ一周差だぞ!」
うるか「そうだよ成幸!」
しかし、
成幸「良いんだよ、それでも。」
と言った。
成幸「周回遅れでも、意味が無くたって、それでもいいんだ。」
成幸(遠くで立ち止まったままよりはずっと良い。俺はお前らと並び立ちたい。)
成幸「うおーっ、気持ちいいぞチクショー!!」
突然成幸がそう言うので、
純・う「「!?」」
純と武元は驚いた。
純「お前、マジどうした!?」
うるか「ワケ分かんないよ!?」
成幸「はっはっは!んなこと分かってるっつーの!?」
と返した。すると、
成幸「それより純っ!!!」
純「何だ!?」
成幸「絶対一番になれよ!!」
と成幸は純にそう言った。
純「・・・はっ!!言われなくても、トーゼンだよっ!!行くぞ、うるかっ!!」
うるか「うん!!」
純とうるかは、成幸を見て何か伝わったのか、あっさり成幸を抜かして、ゴールに辿り着いたのだった。
投稿できました。
今回は、前回予告した通り、11巻の問95の内容をアレンジし投稿しました。
結構強引にアレンジしましたので、読みにくかったらお許し下さい(土下座)
次回ですが、恐らく問96を投稿しようかと思います。
では、また!!