一ノ瀬学園
ある人が、焦った雰囲気で学園長室に向かっていた。
バンッ
桐須「異議・・・失礼します、学園長。」
それは、桐須先生だった。
桐須「唯我成幸君の件・・・、どういう事でしょうか?」
と学園長に尋ねた。
学園長「・・・。」
それは前日に遡る。
一日前、同所
学園長「唯我君、この場にいない安達君同様、君は本当によくやってくれた。実のところ、ほぼ確定の方向で動いていたのだが。」
成幸「・・・すみません。・・・バカな事をしていると、自分でも思います。」
学園長「本当に・・・、それで良いのかね?」
成幸「はい。」
学園長「分かった。では唯我成幸君、君のVIP推薦を取り消そう。」
成幸「僕の我儘で、ご迷惑をお掛けしてすみません。」
それを、大森は偶然聞いていたのだった。
回想終了
桐須「・・・何故、そんなに簡単に聞き入れたのですか?彼は今まであれ程の努力と成果を・・・」
すると、学園長は桐須先生に対して、
学園長「おや、桐須先生。君は元々彼の教育係には反対だったのでは?」
そう言った。すると、桐須先生は、
桐須「諦観・・・、私の知る限り、彼ほど他人と真摯に向き合い寄り添える人物は希有です。少なくとも、そこは評価されるべきかと。」
と成幸を評価した。
学園長「不思議な男だね、彼は。氷の女王をしてそこまで言わしめるとは・・・。」
桐須「も、勿論、別に深い意味は・・・」
すると、
学園長「聞き入れるしかあるまい。」
桐須「!」
学園長「そんな彼の・・・恐らく初めての真剣な我儘なのだから。」
と学園長はそう言ったのだった。
図書室
図書室では、成幸と純を除いたいつものメンバーが勉強していたが、あるいつもの席をチラッと見て昨日の事を思い出していた。
昨日、緒方うどん屋
古橋『ななな成幸君、VIP推薦蹴ったって・・・。』
純『お前、何で・・・!?』
うるか『そーだよ!?どーゆーこと!?成幸!!』
成幸『わ、悪い・・・、あまり変な心配掛けるのも嫌だったし、皆には、もう少し落ち着いてから話そうと・・・あ、いや・・・バイトさせてもらう手前、緒方には相談してたんだけど。』
と言い、そして、成幸はこう続けた。
成幸『俺・・・、教育大学に行こうと思ってる。』
と言った。
成幸『教育について徹底的に一から勉強してみたい。でも、VIP推薦で提携している大学じゃ難しいみたいでな。』
うるか『で、でもホラッ!教師になりたいならなんだっけ?キョーシュク?』
純『教職だ。』
古橋『そうだよ!VIPで行った大学で教職課程取るって手も・・・。』
成幸『・・・それも考えたけど、俺・・・要領悪いからさ、やるからには本気で覚悟決めてやらなきゃ、本気のお前らに並び立てない。遠くから憧れてるままじゃ嫌なんだ。』
と成幸は真っ直ぐな目で言った。そして、
成幸『俺は・・・、ある人がそうしてくれたように、人に寄り添って教えられるような教育者を目指したい。』
と言った。これには、
純(成・・・、「ある人」ってまさか・・・!)
純はその「ある人」とは誰のことを言っているのか、察したのであった。
回想終了
古橋(・・・それで、学費や受験費用貯めるためにあんなにバイトを・・・。)
すると、
緒方「成幸さん、中々来ませんね。後安達さんも。」
と言い、それに武元と古橋は反応した。
緒方「?」
うるか「ほ・・・ほらさー、リズりん。スイセン蹴ったってコトは・・・。」
古橋「うん・・・。私達の教育係ももう・・・ってことだよね・・・?勿論、安達君のサポート役も・・・。」
それに緒方ははっと思い、
緒方「何と!?そういうことなのですか!?」
と言った。
古橋「気付いてなかったの、りっちゃん!?」
緒方「そうですか・・・。昨日店に忘れ物していったので、今日成幸さんに渡そうと思っていたのですが、では明日に・・・。」
うるか「タオル?」
これには、
古橋(本当に分かってるのかな・・・。)
と思ったのだが、
うるか「まっ、でも良いことじゃん!!応援してあげなきゃっしょ!あたし達はあたし達でガンバロッ!!純も昨日成幸に・・・」
回想
純『そっか・・・。』
うるか『純?』
古橋『安達君?』
純『お前がそう決めたのなら、別に何も言わねーよ。』
そう言って、純は成幸の胸に拳を当てて、
純『頑張れよ、成!俺も、メッチャ頑張るからよっ!!』
そう言った。
成幸『ああ!!頑張って、立派な教育者になってみせる!!』
回想終了
うるか「・・・ってそう言ったしね!!」
古橋「だっ、だよね!よーし、やるぞー!!」
そう言って、それぞれ勉強を再開したのだった。
古橋(そうだよ・・・、成幸君のやりたいこと全力で応援するためにも、成幸君に頼らなくても大丈夫ってところをちゃんと証明しなくっちゃ!)
と思った古橋だったが、
古橋「あれ・・・、この数式ってどう展開するんだっけ・・・?」
ある問題の公式に躓いてしまったので、
古橋「成幸君っ、ここの公式ってこれで・・・」
成幸に教えを請うたのだが、
緒方「・・・文乃?」
いつもいる席が空席だったので、恥ずかしさのあまり赤面してしまったのだった。
緒方「文乃?文乃・・・?」
古橋「分かってる・・・分かってるからりっちゃん・・・。今すぐ忘れて。」
うるか「もー、大丈夫?文乃っちってば・・・。」
古橋「あ、あはは・・・。お恥ずかしいなぁ。でもやっぱりちょこっと寂しいよね、うるかちゃん?」
うるか「そーだねー。確かにちょっち寂しいかも・・・。純もいないし・・・。」
古橋「あはは・・・。りっちゃんは割といつも通りだね。成幸君と安達君が教育係とそのサポート役辞めちゃって寂しかったりしない?」
その問いに、
緒方「・・・そうですね・・・、確かに、『成幸さんと安達さんが来ない』という事実を快く認識していない自分がいます。これが『寂しい』ということなのかもしれません。」
と答えた。そして、
緒方「ですが、成幸さんが誰でもなく自分自身のために、一杯悩んで出した答えなのですから、やっぱり嬉しいです。一番嫌なのは、成幸さんが幸せになってくれないことですから。恐らく一番長い付き合いでもあった安達さんも嬉しいはずです。」
と続けた。これには、
うるか「リズりん・・・。」
古橋「りっちゃん・・・。」
二人は感動したのか、
う・古((こんなちんまいのに・・・なんて大人な!!!))
と失礼な事を思い、それを察した緒方は、
緒方「あ?ちんまくありません。」
と返したのであった。
うるか「でも・・・、リズりんの言う通りっしょ!」
古橋「うん・・・、私達がウジウジしてたら成幸君安心して頑張れないもんね。成幸君に負けないように、私達も頑張ろ!」
その時、
成幸「うぃーっす。」
純「よう。」
純と成幸がやって来た。
成幸「悪い悪い。今日の分のノート纏めてたら遅れちゃったよ。」
純「俺はコイツの付き添い。」
成幸「さ、やるかー。」
これに、
古橋「何でいるの!!?」
と古橋に言われてしまった。
成幸「えええ!?いちゃダメ!!?」
純「何だ突然!!?」
うるか「だだだだってだって!もうキョーイク係やる必要ないっしょ!?後サポート役も!?」
古橋「そ、そうだよ!これ以上私達の面倒見てたら成幸君の勉強の妨げに・・・!」
成幸「え・・・、全然妨げとかなってないけど・・・。」
うるか「そんなわけないじゃん!!」
古橋「成幸君は優しいからいつもそう言って無理を・・・」
すると、
純「まあお前ら落ち着けって、成。」
成幸「ああ、ほれ。」
う・古・緒「「「!?」」」
と言って、純は3人を落ち着かせ、成幸はその3人に自身のテスト結果を照れ気味に見せた。
成幸「へへ・・・、ちょっと自慢。今回の定期テスト、えらい成績上がっててさ、自分でもびっくりしたわ。」
純「俺もコイツのテスト結果見て驚いたわ。」
成幸「俺、要領悪いからさ、お前らに教えながら復習する位で丁度なのかも・・・。だからさ・・・、これからも最後まで、俺を信じて付き合ってくれたら、正直助かる。」
と言った。これには3人は感動して、
う・古・緒「「「引き続きよろしくお願いします!!」」
純・成「「正座!?」」
正座したのだった。
成幸「あ、いや、こちらこそ・・・、どうも丁寧に・・・、えええ・・・!?」
これには成幸自身困惑したのだが、
純(最後まで、か・・・。)
純は、成幸の『最後』という言葉に少し複雑な表情を浮かべた。これに、
うるか(純・・・?)
武元は気付いたのだった。
投稿できました。
前回予告した通り、12巻の問97をアレンジし投稿しました。
こうやって皆と一緒に勉強して、自身の事を考えたんでしょうね。だから、VIP推薦を取り消したのでしょう。
成幸君の決意はスゴイです・・・。
さ、さて、次回ですが、まだ決めておりませんので、ゆっくり考えてみます。
後、松坂大輔選手、日米23年間の現役、お疲れ様でした!!
これまでの活躍、決して忘れません!!感動をありがとう!!
では、また!!